最終話第9話ネタバレ解説『シー・ハルク』史上最大の大暴れ ラストの意味は? あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

最終話第9話ネタバレ解説『シー・ハルク』史上最大の大暴れ ラストの意味は? あらすじ&考察

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『シー・ハルク』最終回はどうなった?

2022年8月18日(木)から配信を開始したドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』は、10月13日(木) に最終回となる第9話が配信された。MCUドラマとしては初めての木曜配信作品となり、Disney+オリジナルのマーベルドラマ第1作目『ワンダヴィジョン』(2021) 以来となる全9話の構成になった本作。各話にサプライズを仕掛けて視聴者を楽しませてきたが、それも第9話がラストになる。

MCU作品としても、連続ドラマの配信は『シー・ハルク』がフェーズ4ラストになる。11月11日(金) にはフェーズ4最後の映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の公開を控えており、MCUフェーズ4もクライマックスに。『シー・ハルク』最終回ではどんな展開が待っていたのか、今回も各シーンを解説していこう。なお、以下の内容はネタバレを含むため、必ずDisney+で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』最終回第9話の内容に関するネタバレを含みます。

ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』最終話第9話「主人公は誰?」ネタバレあらすじ&解説

オープニングの元ネタは?

ついに最終回を迎えたドラマ『シー・ハルク』。第8話ではデアデビルの登場に、ソコヴィア協定が廃止されていたことが明らかになるなど、驚きの展開が待っていた。加えて、ラストでは主人公ジェニファー・ウォルターがハルクキングにはめられる展開に。第9話では、これまでファンサービスで多くのキャラクターがカメオ出演してきたことを踏まえたかのように「主人公は誰?」というタイトルが設定されている。

いつものマーベルスタジオのオープニングタイトルで幕を開けたかに思われた最終話第9話だったが、急に映像が4:3のアナログサイズに切り替わる。そして、ジェニファーがハルクの力を手に入れたあらすじが紹介されるのだが、これは1977年から1982年まで米CBS系で放送されたドラマ『超人ハルク』のオマージュというかリメイクである(音楽も同じものを使っている)。

ジェニファーの「私を怒らせないで。大変なことになる」というセリフは、『超人ハルク』におけるビル・ビクスビー演じるブルース・バナーの決め台詞。マーク・ラファロ演じるブルースは同作のブルースと同じ服装をしている。シー・ハルクの姿もいつものCGではなく、70年代風の手作りのコスチュームになっている。

最後には「ザ・サベッジ・シー・ハルク(凶暴なシー・ハルク)」という字が登場するが、これはドラマが放送されていた1980年から1982年にかけて刊行されたシー・ハルクの最初のコミックシリーズのタイトルである。

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世間のジャッジ

しかしこれはジェニファーが見ていた夢。ジェニファーは前回のラストでプライバシー動画を流出させられ、怒ってモニターを壊したところでダメージ・コントロール局に取り押さえられたのだ。かつてアボミネーションことエミル・ブロンスキーが入っていたダメージ・コントロール局 最高警備レベル刑務所に入れられたジェニファーの元に現れたのはマロリーらだった。

ジェニファーは「普通の人なら怒る」というもっともな反論をするが、マロリーは問題は「世間がどう見るか」という残酷な現実を突きつける。この状況は映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) でデアデビルことマット・マードックがピーター・パーカーに「世論の裁きもある」と言った状況に似ている。

結局ジェニファーは不起訴となる代わりに、エミルと同じく足に抑制装置を付けることに。変身できなくなったジェニファーはGLK&Hもクビになり、テレビでは「シー・ハルクの終焉 (The End of She-Hulk)」と報じられている。たった一度の、それも正当な怒りに対して世間は「不安定」と騒ぎ立てる。

家にはマスコミが押し寄せ、ジェニファーは実家の両親のもとへ引っ越すが、そこにもマスコミが駆けつける。マスコミに水をかけた父モリスは「水不足がなんだ」と言っているが、カリフォルニア州は長年干ばつによる水不足に悩まされており、水を大量に使うセレブにペナルティを課している。

ポスターに注目

ジェニファーの実家の自室には映画『キューティ・ブロンド』(2001) のポスターが貼られている。『シー・ハルク』の主演のタチアナ・マスラニーは本作には『キューティ・ブロンド』の影響があることを明かしている。『キューティ・ブロンド』は同じく女性弁護士のエル・ウッズが他者から特定のイメージを持たれながらも、仕事に奮闘するという作品だ。

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ベッドの横の壁には同名の女性の法廷闘争を描いたジュリア・ロバーツ主演の映画『エリン・ブロコビッチ』(2000) のポスターも貼られている。エリン・ブロコビッチが環境を汚染して周辺住民に健康被害を及ぼしていた大手電力会社のPG&Eを訴え、3億3,300万ドルの和解金を勝ち取った一件はアメリカでは広く知られている。エリン・ブロコビッチは三人の子どもを持つシングルマザーで、社会からの逆風を受けながら訴訟を戦った。

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ジェニファーの先人へのリスペクトが感じられる一方、壁にはUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のペナントが飾られている。カリフォルニアでも屈指の名門大学だが、コミック版ではジェニファーの出身大学はUCLAになっており、MCU版でもジェニファーはUCLAの法学部出身という設定になっているようだ。

意気消沈しているように見えたジェニファーだが、独自にインテリジェンシアの情報を突き止めようとしていた。正体不明のハルクキングが管理人を務め、国外のサーバーを経由しているインテリジェンシアをどう告訴するかを考えるジェニファー。あくまで法律で彼らを追い詰めるつもりのようだ。

そして、第3話以来の登場となる元同僚のデニス・ブコウスキーがテレビでジェニファーを中傷する様子も。好き放題やられているジェニファーはシー・ハルクに二度となれないという事実に、それを望んでいたはずなのに引っ掛かりを感じている。だが、冒頭の『超人ハルク』風のナレーションが入りそうになったところで「ナレーションで説明するほど脱線していない」と、いつものように第4の壁を破っている。

ジェニファーは、ブルースとエミルにテキストメッセージを送るが送信エラーになってしまう。それでも、ジェニファーは第7話で歓迎されたエミルのもとへ気分転換に向かうことを決めるのだった。

一方、ニッキはジェニファーの母エレインにもらったジェニファーの学生時代のダンス動画をインテリジェンシアに投稿していた。これに食いついたハルクキングはニッキをその晩のイベントに招待する。投稿者が男性だと思い込んでいるハルクキングはニッキに「Bro.」と呼びかけるのだった。

この「学生時代のダンス動画」の元ネタは、史上最年少の米連邦下院議員として知られる民主党のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員の学生時代の動画が2019年1月にSNS上で拡散された件である。10年近く前のオカシオ=コルテス議員が学生だった頃に撮影されたダンス動画が突如として拡散され、同議員は右派の人々から攻撃を受けた。この時、後にゼウス役でMCUに参戦することになるラッセル・クロウは同議員を賞賛するコメントを出している。

2020年代になっても残る女性に対して「はしたない」と他者がジャッジできるというミソジニーな感覚を利用した作戦で、ニッキはインテリジェンシア潜入の糸口を掴んだのだった。

ハルクキングの正体

ジェニファーはエミルの瞑想リトリートに到着。パグは「女性を見下すように話して」というニッキからの指示を受けて嫌々ながらも潜入を開始する。この時、イヤホンで電話を繋いだパグは電波が悪いことを主張しており、この場所が第7話でジェニファーが電波探しに苦戦したエミルの瞑想リトリートの土地であることを示唆している。

イベントに集まったミソジニーな男たちは、「シー・ハルクがいるならヒー・ハルクもいるべき」「レディ・ソーは?」という会話を交わしている。「レディ・ソー」論争は映画『ソー:ラブ&サンダー』(2022) で終わったところだ。

「シー・ハルクが男でも批判してる」「スーパーパワーを持てるのは実力ある者だけ」という会話は、現実社会においてもそう言いながら女性だけを標的にするミソジニストにありがちな言説だ。気を悪くするパグに対し、こうした言葉を聞き慣れている様子のニッキはミソジニストたちが喜ぶ言葉を心得ていて、的確な指示をパグに送っている。

そして、そこには第4話でジェニファーとマッチングして第5話でマロリーのクライアントとして登場したトッドの姿が。やはりハルクキングの正体は、以前からシー・ハルクの肌の硬度に関心を持っていたトッドだったのだ。

一方のジェニファーはレッカーにエミルの居場所を聞いていた。レッカーはお茶を勧めるが、サラセンがニワトリの血を入れるから注意するよう助言する。サラセンは第7話で「自称バンパイア」と紹介されている。

「やり過ぎ」

ロッジでイベントに出ているというエミル。そのイベントとはやはりハルクキングのイベントであり、エミルはアボミネーションの姿で登場する。エミルは取り立ててミソジニーな言説を並べるわけではなく、インテリジェンシアを「境遇に不満を抱えている」者たちとして一般的なコーチングを与えている。どうやら講演を受けたのはカネのためのようだ。

そこにジェニファーが到着し、アボミネーションに返信したエミルと遭遇。ニッキも合流すると、トッドがハルクキングであること、真の目的は血を盗み、血を合成して安全にパワーを得られるようになることだった。これは超人血清を再生産して量産したフラッグ・スマッシャーズと同じ発想だ。トッドはジェニファーが力を与えられ、自分は自力で手に入れたと言うが、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギの言葉を借りるなら、「力を求めるのがヴィラン」である。

トッドがハルクに変身したところで登場したのはタイタニア。この展開に「やり過ぎ」と言うジェニファーにトッドが襲い掛かるが、それを守ったのはエミルだった。しかし、そこに最後の乱入者であるブルースが登場。勘違いしてエミルに攻撃を始め、『インクレディブル・ハルク』(2008) 以来となるアボミネーション vs ハルクの戦いが始まる。

原作者への文句

めちゃめちゃな状況で一人冷静だったのはジェニファーだ。「これ、面白い?」と視聴者に問いかけると、画面がDisney+のメニュー画面に戻ってしまう。それでもジェニファーは抑制装置を外してシー・ハルクに変身すると、メニューの“窓”を壊し、メイキングシリーズの『マーベル・スタジオ アッセンブル』の窓に移動する。ちなみにシー・ハルクは移動する際にドラマ『ロキ』のサムネを歪めている。

メイキング=実社会に入り込んだシー・ハルクは、ドラマ『シー・ハルク』の制作部に直行。脚本家のジェシカ・ガオら実際のスタッフが会議をする中、ジェニファーは最終回の内容に抗議する。なお、原作者に文句を言うのも、枠を破って別のコマに行くのも、シー・ハルクが原作コミックでやっていることである。

しかし、スタッフからは「ケヴィンの希望なの」とスタジオ社長のケヴィン・ファイギを示唆する名前を出され、誰もケヴィンに逆らえないという空気を出されてしまう。確かに、今のMCUの成功があるのはケヴィン・ファイギの力によるところが大きい。

それでも、ジェニファーはケヴィンに直接話をしに行くとマーベル・スタジオ本社へ赴く。あのスタン・リーのようにケヴィン・ファイギも遂に作品内に登場するのかと妙な緊張感が高まる。警報を鳴らされながらも強行突破するジェニファー。ここで流れる曲はLatto「Big Energy」(2021)。「パパ、いつになったら遊ぶのをやめる?」「私を扱える男はそんなにいない」と歌われている。

ケヴィン登場

そして、誇張しすぎなケヴィンの部屋にいたのは「知識拡張型映像相互接続隊 (Knowledge Enhanced Visual Interconnectivity Nexus)」、略してKEVIN。思わず笑ってしまったが、この巨大なMCUシリーズを取りまとめるのは人間業じゃないと言われる風潮を風刺した演出だろう。

© 2022 Marvel

ケヴィンはCG処理が必要なシー・ハルクの姿からジェニファーの姿に戻るよう頼む。『ミズ・マーベル』(2022) では、カマラ・カーンが画面外で能力を使い、音だけを被せる手法でCG処理の手間をカットしていたが、ここでもカメラをジェニファーから外して元の姿に戻るのを待っている。

これはマーベル作品におけるVFX班の過重労働が問題になっている中で、スタジオ側もその問題を認識しているということを示しているのだろう。そうであれば、実際に解決に至ることを願うばかりだ。

ケヴィンは、各作品が良い作品かどうかは「ネット上の議論に委ねる」という潔さを見せる。そんなケヴィンに対し、ジェニファーは「最終弁論」を始める。法廷コメディドラマの弁論パートのラスボスが、シリーズ制作スタジオの社長(しかもAI)という捻りの効いた展開だ。

ジェニファーは、MCUの売りを「息もつかせぬプロットと壮大な物語」としながらも、超人血清の話のようなどんでん返しを詰め込んで同じ結末になっていることを指摘する。やはり、血清で誰でもハルクになれるという展開のベースには『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の流れがあったようだ。

人生の迷走の中でジェニファーとシー・ハルクの両立に悩むという物語をジェニファー自身が大切にしていることを訴え、遂にケヴィンは考えを変える。キャラクターの声を聞くという新しい展開だ。そして、ジェニファーの提案に従って、『シー・ハルク』最終話の展開が変更されていく。

やり直し

まず、トッドがハルクのパワーを得る展開はなかったことに。また、ハルクが宇宙から帰ってきたという展開もなしに。ケヴィンはこれに対して、「But we were going to introduce…(……を紹介しないと)」と言っており、何かが紹介される予定だったことを明かしている。

第2話の考察記事で書いた通り、ハルクが宇宙に行くという展開は原作コミックのハルクに息子ができるという展開を想起させるものだった。ケヴィンは「どんでん返し」としてハルクの息子を『シー・ハルク』で紹介したかったのかもしれないが、ジェニファーからは「映画で使って」と却下されている。

ジェニファーは第8話で関係を持ったデアデビルの再登場まで要求。さらに、MCUではファザコンの話が多いことにも注文をつける。ここではトニー・スターク、ソー、ロキ、スター・ロードの名前が挙げられているが、非白人であるティ・チャラとシャン・チーを同列に並べない配慮も見せている。最後には皆が聞きたかったであろう「X-MENはいつ来るの?」という質問を投げかけ、ジェニファーはカメラの向こうの私たちにサムズアップを見せている。

『シー・ハルク』シーズン2の構想に触れたところで、ジェニファーはケヴィンから作品世界へと追い返される。ハルクだから第四の壁とバッドエンディングをスマッシュするというセリフはクールだ。「たまにはマット・マードックもね」というオマケも忘れていない。

ケヴィンは「大きなスクリーンで会おう」という映画化を示唆するウソでやり返し、ようやく『シー・ハルク』最終回は本編に戻るのだった。

ようこそ、私の人生へ

逮捕されたトッドに、ジェニファーは「法廷でね」と告げる。これがジェニファー・ウォルターのやり方だ。だがそれは従順に法律に従うということではない。法律より上の支配者(ケヴィン)に直談判し、枠組みそのものを変えさせて法律内で決着をつけられるようにするという、もう一段上の解決方法をやってのけたのだ。

そこにご褒美のように空から降ってきたのはデアデビルことマット・マードック。まさかの二話連続出演だ。人のいいデアデビルは人気者で、タイタニアもデアデビルのファンのようだ。エミルはアボミネーションに変身したことで、仮釈放違反となり10年は刑務所に入るという。

全てが解決し、流れる曲はリチャード&リンダ・トンプソン「I Want to See the Bright Lights Tonight」(1974)。「毎日働いて疲れたけど、やっと週末が来る」「すべてのトラブルは横に置いて、あなたにタクシー代があれば問題はない」と歌われている。

ジェニファーの一族の集まりにはマットも加わっている。デアデビルが守るヘルズキッチンの話になり、育った街で困っている人を法律で助けたいというドラマ『デアデビル』(2015-2018) の時と変わらぬマットの思いが明かされている。

父は子育ての話をし始め、ジェニファーは「彼は1週間いるだけ!」と主張する。1週間もいるのか……。お節介な家族を前に、ジェニファーがマットにかける言葉は、字幕では「これが私の家族」となっているが、英語では「ようこそ、私の人生へ (Welcome to my life.)」と言っている。ジェニファーがケヴィンに直訴した、ジェニファーの人生を描くという内容に沿って、マットがジェニファーの物語に入っていくという演出になっている。

ハルクの〇〇

ところが、そこに現れたのはハルクの姿のブルース・バナー。惑星サカールに行っていたというブルースは、息子のスカーを親族に紹介するのだった。明らかにケヴィンの意向である。やはり第1話で現れたサカールからの遣いは、ブルースに息子を引き取らせるために呼び出しに来たのだった。なお、このシーンで地味にニューヨークを破壊したハルクとその後のニューヨークを生きたデアデビルの面会が実現している。

『シー・ハルク』最終話第9話のラストシーンは、シー・ハルクが法廷に向かう場面。ミソジニーサイトを運営していたトッドについて「彼のような人は責任を取るべき」とキッパリ言ってのけ、「罪のない人を攻撃し、傷つけたら私が相手になる」と宣言する。字幕では省略されているが「攻撃し、傷つけたり、ハラスメントをしたりするなら (if you attack, harm, or harass innocent people)」と言っている。

法律家として、スーパーヒーローとして、その両方で攻撃を受ける人々を守るとジェニファーは宣言し、エンディング曲はミッシー・エリオット「We Run This」(2006) で幕を閉じる。「アパッチ」をサンプリングした曲で、「私はトップモデルディーバ」という歌詞が登場するが直前にリポーターもシー・ハルクのことを「法廷のディーバ」と呼んでいる。

そして待っていたのはポストクレジットシーン。再び収監されたアボミネーションことエミル・ブロンスキーのもとをウォンが訪れる。ウォンは「ドラマ全盛期だから」と迎えが遅れた理由がドラマ鑑賞にあることを認め、エミルをカマー・タージへ連れて行く。映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) でのアメリカ・チャベスに続き、またもウォンに新たな弟子ができたようだ。

ドラマ『シー・ハルク』最終話第9話ネタバレ感想&考察

最大の“大暴れ”

ドラマ『シー・ハルク』の最終回はまさかまさかの展開に。シリーズを作り出すAIのケヴィンが紹介され、一部の設定が巻き戻されて“なかったこと”になった。設定ごと変えてしまうとは、ハルク以上の大暴れである。「女性は感情的」という偏見に着地させず、制御された怒りでより大きな“破壊”を生み出す展開は「ハルク」フランチャイズのラストとしても見事だった。

ミソジニストの集団を率いたトッドを大層なヴィランにさせず、卑近な一般人として描き直した点もクールなポイントだ。シー・ハルクの最大の敵は、ヒーローのシリーズにとって都合の良い物語と枠組み自体を作り出すシステムの方にあった。ジェニファーは、その目論見を弁論によって破壊したのだった。

この展開は、MCUにおける女性キャラクターが不憫すぎるという問題に一つの答えを示した。ケヴィンが「こうでなくちゃ」と考えるヒーローものの展開によって、MCUではナターシャ・ロマノフやワンダ・マキシモフらが酷い目に遭ってきた。時にミソジニーは悪意によってではなく、前例を踏襲するという形や、「より良い物語を」という意見によって再生産される。

そんなMCUの流れを、キャラクター自身が望む展開を実現させることによって止めたことに意義がある。MCUはこれまで、女性キャラクターから大事なものを奪うことで展開を作ってきた。だが、『シー・ハルク』ではジェニファーが自分が望むものを奪い、最後に「罪のない人を攻撃し、傷つけたり、ハラスメントをしたりするなら私が相手になる」と宣言することで、新たなスーパーヒーローになる。これ以上ないエンディングだ。

「ハルク」フランチャイズに期待

そんなジェニファーの意向を突き破ってケヴィンによってゴリ押しされたのが、ハルクの息子スカーの登場だ。原作コミックではハルクが宇宙に追放される「プラネット・ハルク」というシリーズが存在する。このシリーズではハルクは惑星サカールに漂流し、そこでブルースはカイエラ・ザ・オールドストロングという女性との間に息子ができるのだが、ブルースはそれを後で知ることになる。

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ブルースがサカールに漂着するという展開は映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017) で描かれたが、この息子ができるという展開だけがMCUでは実現していなかった。この度、『シー・ハルク』でMCUに三人目のハルクが紹介されたことで、今後「ハルク」フランチャイズが拡大していくことは間違いなさそうだ。

「ハルク」シリーズの映画は、MCUではこれまで『インクレディブル・ハルク』しか作られていない。これは、劇場での配給権をユニバーサルが保持しているからで、ディズニー傘下のマーベル・スタジオはディズニーで配給できない「ハルク」映画の製作を避けてきた。しかし、『インクレディブル・ハルク』の公開から15年が経過する2023年にはこの配給権はマーベルに戻るとされており、「ハルク」フランチャイズの新たな映画が制作される可能性は十分にある。

コミックでは屈指の人気キャラでありながら、映画では単独作品が作られず、お助けキャラとしてのイメージが強かったハルク。フェーズ5以降では更なる活躍が期待できそうだ。

なお、2023年7月28日(金) 米公開の映画『ザ・マーベルズ(原題)』では、韓国のスター俳優パク・ソジュンが出演するが、原作で韓国系アメリカ人でハルクの力を手に入れるアマデウス・チョウ役を演じるとの予測もある。あくまで予測であり真偽は不明だが、「ハルク」フランチャイズが復活するとなれば、こうした予測も現実味を増してくる。

ハルクの息子スカーの今後については、こちらの記事で詳しく考察したので合わせてチェックしていただきたい。

ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』は、次々と災難が降りかかるジェニファーが最後の最後に主導権を握り、作品自体をコントロールするというとんでもない展開をやってのけた。ファンがMCUに求めていたものは、キャラクターに対する愛であり、(もちろんメタ的にではあるが)「好きなようにやらせてやる」を実現したことの意義は大きい。

加えて「ハルク」フランチャイズの可能性を広げる展開も同時にやってのけ、お腹いっぱいの仕上がりに。全9話を贅沢に使い切った『シー・ハルク』は唯一無二のMCU作品になったのではないだろうか。かなりハードルは上がってしまったかもしれないが、フェーズ5のドラマシリーズも配信を楽しみに待とう。

ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』は全9話がDisney+で独占配信。

『シー・ハルク:ザ・アトーニー』

シー・ハルクのコミック作品は、『シーハルク:シングル・グリーン・フィメール』のケン・U・クニタによる日本語訳が発売中。

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ケヴィンの登場について脚本家が語ったケヴィン・ファイギの影響についてはこちらの記事で。

『シー・ハルク』最終話で回収されなかった9つの謎のまとめはこちらから。

ドラマ『ウェアウルフ・バイ・ナイト』のネタバレ解説はこちらから。

MCU入りする『デッドプール3(原題)』の情報と復活するヒュー・ジャックマン版ウルヴァリンのこれまでの作品についての解説はこちらから。

ドン・チードル主演の『アーマー・ウォーズ』はドラマから映画への変更が発表された。詳細はこちらから。

『ザ・マーベルズ』でのキャプテン・マーベルの変化についてブリー・ラーソンが語った内容はこちらから。

コミコン2022で発表された映画『サンダーボルツ』、ドラマ『デアデビル ボーン・アゲイン』を含むMCUフェーズ5全作品のまとめはこちらから。

 

『シー・ハルク』第8話の解説はこちらから。

第8話で明らかになったソコヴィア協定廃止が及ぼす影響についての考察はこちらから。

第7話の解説はこちらの記事で。

第6話の解説はこちらの記事で。

第5話の解説はこちらの記事で。

第4話の解説はこちらの記事で。

第3話の解説はこちらの記事で。

第3話で明かされたウォンの過去について、脚本家が語った内容はこちらから。

第3話配信後にブロンスキー役のティム・ロスが示唆したアボミネーション再登場の可能性についてはこちらから。

第2話の解説はこちらの記事で。

第1話の解説はこちらの記事で。

第1話のキャプテン・アメリカのくだりについて主演のタチアナ・マスラニーが語った内容はこちらから。

 

11月11日公開の映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』予告編の解説&考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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