解説&考察『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』特報 最後のアレは誰? 歌の意味は? ヴィランはネイモアか | VG+ (バゴプラ)

解説&考察『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』特報 最後のアレは誰? 歌の意味は? ヴィランはネイモアか

© 2022 Marvel

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』初映像公開

2022年11月11日(金) 公開を予定しているMCU『ブラックパンサー』(2018) の続編映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』より、初の予告が公開された。米サンディエゴで開催されているコミコン2022での発表に合わせて、マーベル公式から予告映像とポスターが公開されている。

ポスターには、「FOREVER(永遠に)」という文字と公開日を示す「11.11.22」という数字、マーベル・スタジオのロゴにブラックパンサーの象徴的なマスクとスーツを呼び出す装置が置かれたシンプルなものに。2020年8月に大腸癌で亡くなったティ・チャラ役のチャドウィック・ボーズマンへの哀悼を示しているようにも思える。

チャドウィック・ボーズマンの急逝を受け、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギと副社長のネイト・ムーアは続編以降でチャドウィック・ボーズマンのリキャストを行わず、ティ・チャラを登場させない方針を表明していた。ネイト・ムーアは、ティ・チャラとチャドウィック・ボーズマンの演技は分かち難く結びついていることから、「ティ・チャラなしでこのシリーズを前に進める」という結論に至ったと話している

前作の主人公不在で進められる『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の初予告はどのような映像になったのか、各シーンを解説及び考察しながら見ていこう。

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』特報解説&考察

「ノー・ウーマン、ノー・クライ」の意味

冒頭聞こえてくる音楽はボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ「ノー・ウーマン、ノー・クライ」(1974) を1995年生まれのナイジェリアのシンガーTemsがカバーしたもの。言わずと知れたレゲエの名曲だが、『ワカンダ・フォーエバー』の特報では、「泣かないで」「小さなダーリン、涙をこぼさないで」と歌われるフックの部分の後、歌詞は1ヴァース目の途中に移る。

「私たちには良い友人がいて、良い友人を失った」「輝く未来の中にあっても、あなたの過去は忘れられない」「だから涙をふいてほしい」という歌詞が続き、冒頭の50秒は亡きチャドウィック・ボーズマンとティ・チャラへの追悼に捧げられているようだ。

なお、このTemsが歌う「ノー・ウーマン、ノー・クライ」はYouTubeでフルバージョンが公開された。詳しくはこちらの記事で。

ルピタ・ニョンゴ演じるティ・チャラの幼なじみナキアは浜辺で海を見つめている。玉座に座るアンジェラ・バセット演じる女王ラモンダの姿から、ワカンダには王が不在であることが示される。ワカンダの人々が白装束で踊るシーンはワカンダの葬儀だろうか。レティーシャ・ライト演じるティ・チャラの妹シュリはブラックパンサーのマスクを持ってこの儀式に立ち会っている。

ダナイ・グリラ演じるオコエの姿も。ワカンダの国王親衛隊であるドーラ・ミラージュはドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) 以来の登場になる。同作では、ワカンダがサムのコスチューム製作を助けると共に、メンバーのアヨがバッキー・バーンズに当分はワカンダに来ないよう忠告していた。ティ・チャラの死が関係していたのだろうか。

ネイモア登場

やはり海を眺めるラモンダ。シュリも海の前で涙を流す。一方で、水中出産する民族の姿が映し出される。そして大仰な冠を被って振り返ったのは、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で初登場となるネイモアだ。ネイモアは「サブマリナー」の名でも知られる原作コミックに古くから登場しているキャラクターで、初登場はなんと1939年刊行の『Marvel Comics #1』

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ネイモアは海底王国アトランティスの代表で、原作コミックでは『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) に登場した秘密結社イルミナティにアトランティス代表として参加している。この特報では、水中出産で生まれたばかりのネイモアと、クジラと共に海中を移動するアトランティスの人々の姿も映し出されている。

そして、ヘリポートのついた作業船には武装した勢力が乗り込み、作業員を制圧。更にシュリがたたずむワカンダの王座の間は床が水で溢れ、柱には火が走っている。先ほどのドーラ・ミラージュメンバーは柱と柱の間に立っていたが、離れ小島になった玉座の前にはシュリの姿しかない。

そのシュリは研究所のような場所でドミニク・ソーン演じるリリ・ウィリアムズと握手を交わす。リリ・ウィリアムズは原作コミックでは15歳の天才科学者で“アイアンハート”になる人物。「アイアンハート」は「アイアンマン」の後継シリーズで、MCUでもドラマ『アイアンハート(原題)』が2023年秋にDisney+で配信されることが発表されている。また、アイアンハートの初登場が『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』になることも以前から明かされていた。

次に燃え盛る屋敷を見つめるのは幼少期のネイモア。その後ろ姿は大人になるが、周囲のアトランティス人たちは過去も現在も青い肌の色をしている。原作コミックにおいてもネイモアの父が人間であったことから、ネイモアだけは青い肌のアトランティス人とは違う見た目になっている。

ラモンダの訴え

ウィンストン・デューク演じるジャバリ族のリーダー・エムバクも再登場すると、「私は世界で最も強力な国のクイーン」と話し始めるラモンダの声が聞こえる。気づけばBGMの「ノー・ウーマン、ノー・クライ」は「Everything’s gonna be alright.(すべてうまくいく)」というフレージが繰り返されるブリッジに入っており、そのテンポは早くなっていく。

オフィシャルな場に出席するラモンダの背後には国連の紋章が見える。ラモンダは国連の場で何を表明しようとしているのだろうか。「家族全員がいなくなった」というラモンダの言葉の後には壁に描かれたチャドウィック・ボーズマン演じるティ・チャラの絵が。「すべてを捧げてきたのに?」と憤るラモンダはワカンダの玉座で誰かに訴えかけているようだ。

ラモンダは、夫ティ・チャカを『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) で失った。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) でサノスの指パッチンを生き延びた一方でティ・チャラとシュリを失っており、二人の復帰後に再びティ・チャラを失ったことになる。「すべてを捧げてきたのに?」と言いたくなるのも当然だ。ワンダやソーもそうだが、MCUは全てを失う人が多過ぎる……。

そしてアトランティスの戦士たちが映し出されると、前作でも活躍したマーティン・フリーマン演じるエヴェレット・ロスが一瞬だけ登場。続いて『アイアンマン』(2012) のトニー・スタークのように金槌を振るうリリ・ウィリアムズは荒いハートの形に金属片を切り落とす。これはアイアンハートの誕生を示唆する演出になっている。

一方でアトランティスの人々にも攻撃が加えられている。飛び出したのはエムバクで、ジャバリ族はワカンダの支配よりもワカンダのために外敵と戦うことを決めたようだ。この後も続く水責めを含むアトランティス人たちの攻勢は続く。特報を見る限りはワカンダとアトランティスの間で戦争に突入してしまったようだが、基本的に原作では海上に関心のない民族として描かれるアトランティスと、平和志向のワカンダがなぜ衝突することになってしまったのだろうか。

「ノー・ウーマン、ノー・クライ」から「Alright」へ

そして、映像がクライマックスに向かうと共にバックの音楽は「ノー・ウーマン、ノー・クライ」の「Everything’s gonna be alright.」という歌詞が、ケンドリック・ラマーの「Alright」(2015) の「We gon’ be alright.」に移り変わっていく。完璧なマッシュアップだ。

2022年のスーパーボウルのハーフタイムショーでも披露されたケンドリック・ラマー「Alright」は、警察からのアメリカ黒人への暴力に触れ、問題だらけの社会に生きる中でも「私たちは大丈夫」と前を向く曲だ。ブラック・ライヴズ・マター=BLM運動の中でも歌われている。

友人を失っても「忘れない」と前を向く「ノー・ウーマン、ノー・クライ」と、不条理な社会の中にあっても「大丈夫」と前を向く「Alright」。個人的な感情と社会への意識が歌われる二曲がマッシュアップされていることで、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で描かれるであろう逆境と、前に進もうとする力強さが伝わってくる。

なお、ケンドリック・ラマーといえば、前作『ブラックパンサー』のテーマ曲である「All The Stars」をSZAと共に手掛けている。

ラストのスーツを着た人物は…

そして、「Alright」の歌詞が1ヴァース目冒頭の「Uh, and when I wake up(そして私が目を覚ました時)」に入るところで、新たなブラックパンサーの姿が映し出される。そのコスチュームには金色のラインが入っており、爪もゴールドになっている。一見すると前作のヴィランだったキルモンガーを想起させるが、この新たなブラックパンサーの正体はおそらくシュリだろう。

原作コミックでは兄ティ・チャラが重傷を負った際に、シュリがその力を証明してブラックパンサーになる。『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』では、新たなブラックパンサーを登場させるのかどうかが意見の分かれるところだったが、ティ・チャラが死に、明確に新たなブラックパンサーが登場するということであれば、シュリ以外の後継者は考えづらい。

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問題はその力を得るためのハート型のハーブが前作でキルモンガーに燃やされてしまっているという点だ。ティ・チャラ以外でハーブを摂取しているのはキルモンガーだけだが、キルモンガーが生きているという線はかなり厳しくもある。一方でシュリならば、リリの手を借りてハート型のハーブと同じ力を得られる薬を独自に開発していることもあり得る。原作とは違う展開があるのかシュリがブラックパンサーになるとすればどこから力を得るのか、この二つのポイントに注目たい。

なお、前作『ブラックパンサー』では、シュリはティ・チャラのために紫のラインのコスチュームと金のラインのコスチュームを用意しており、最初は金のコスチュームを勧めたい様子だった。ティ・チャラは「惹かれるが目立ちたくない」と地味な方を選び、残った金のスーツは後にキルモンガーが使うことになる。シュリが新たなブラックパンサーになったのだとすれば、自分の推しだった金のスーツを作り直してもおかしくはないだろう。

また、この新ブラックパンサーの向こう側には、膝をついたネイモアの姿が見える。マーベル最古のキャラクターの一人であるネイモアが、新ブラックパンサーの前に立ちはだかることになりそうだ。

そして、「ワカンダ・フォーエバー」という囁きと共に、11月11日(金)に本作が公開されることが示され、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』特報の幕が降りる。ティ・チャラ不在で作るという製作陣の堅い意志と、それでも前に進んでいくという力強さを感じさせる初映像だった。本編の公開が待ちきれない。

なお、サンディエゴ・コミコン2022では、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』がMCUフェーズ4の最終作になることが発表されている。米マーベル公式で公開された本作のあらすじは以下の通り。

「マーベル・スタジオの『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』はラモンダ女王、シュリ、エムバク、オコエ、ドーラ・ミラージュがティ・チャラ王の死後、世界の権力者からの介入から国を守るために戦う。ワカンダの人々が次の章に進むことを受け入れようと努力する中、ヒーローたちはウォー・ドッグ(ワカンダの国際スパイ)のナキアとエヴェレット・ロスの助けを得て団結し、ワカンダ王国の新しい道を切り拓く。

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は2022年11月11日(金)公開。

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同時に公開されたドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』本予告の解説と考察はこちらの記事で

コミコン2022で発表されたMCUフェーズ5全作品のまとめはこちらから。

2024年5月公開が発表された『キャプテン・アメリカ:ニュー・ワールド・オーダー』についてはこちらの記事で。

2024年11月公開のMCU版『ファンタスティック・フォー』についての発表はこちらの記事で。

2025年5月公開が発表された『アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ』についてはこちらから。

2024年11月公開が発表された『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ』についてはこちらから。

 

 

マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは、本作の脚本について「並外れた仕事をやってのけてくれた」と称賛している。詳しくはこちらの記事で。

 

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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