オーツ・スタジオから新作動画が公開
10ヶ月ぶりの新作発表
『第9地区』(2009)のニール・ブロムカンプ監督が立ち上げたことで知られるオーツ・スタジオ (OATS Studios)が、YouTubeで新作動画を公開した。同スタジオからの作品公開は「ADAM: Episode 3」(2017)以来、実に10ヶ月ぶり。この間、クラウドファンディングを利用した長編映画製作への挑戦と失敗、ニール・ブロムカンプ監督の「ロボコップ」最新作監督就任など、オーツ・スタジオを取り巻く環境は目まぐるしく移り変わっていた。しばらくオーツ・スタジオの新作動画は観られないかと思われていただけに、SFファンにとっては嬉しいサプライズとなった。
公開されたのは「God」シリーズの続編
今回公開された動画は、「God: City」と題された3分35秒の作品。2017年7月に公開された「God: Serengeti」の続編だ。このシリーズでは、『第9地区』で主演を務めたシャールト・コプリー演じる“神”を、『第9地区』ではエイリアンのクリストファー・ジョンソン役で出演したジェイソン・コープが神に従う“執事”を演じている。前作ではタンザニアの高原を舞台として、原始時代の人間を翻弄していた神だが、今回の舞台は現代風の街。どこかの国の大統領を思わせる尊大さを見せる神は、人間たちにどんな困難と救いをもたらすのだろうか。
オーツ・スタジオの情熱は消えていなかった
オーツ・スタジオは、ニール・ブロムカンプ監督が兄弟のマイク・ブロムカンプと共に2017年に立ち上げたインディペンデントスタジオ。スポンサーではなく、ファンからの支援を受ける形で短編動画を製作してきた。
この1月には、ニール・ブロムカンプ監督が公開された短編動画から、長編映画化して欲しい作品をファンに尋ねるアンケートをツイッター上で実施。この結果、ベトナム戦争を題材としたSF作品「Firebase」(2017)が選ばれ、4月には、長編映画化に向けてクラウドファンディングが実施された。スポンサーに頼らない新しい大作映画づくりの方法として注目を集めたが、この時は残念ながら支援金は目標額に達することはできなかった。その後、ニール・ブロムカンプ監督は「ロボコップ」シリーズ最新作の『RoboCop Returns』(公開時期未定) で指揮を執ることが発表された。
この為、オーツ・スタジオの短編製作と長編製作プロジェクトは、一旦休止に入ったかと思われていた。だが、ここに来て10ヶ月ぶりの短編作品公開となり、同スタジオの短編製作への情熱は、まだまだ薄れていないことが証明された。「God: City」の説明欄には「Godは、私たちの創造主 (creator) の物語」というコメントが記載されている。物語を生み出し続けるクリエイターたちの今後にも注目だ。