ネタバレ解説『シー・ハルク』最終回第9話にケヴィン・ファイギが与えた影響とは 脚本家は「正しい結末」 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『シー・ハルク』最終回第9話にケヴィン・ファイギが与えた影響とは 脚本家は「正しい結末」

© 2022 Marvel

『シー・ハルク』最終話でまさかの展開

2022年10月13日(木) に配信されたドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』最終回となる第9話は、まさかまさかの展開で大きな話題を呼んでいる。「シー・ハルク」がTwitterでトレンド入りしたのはもちろん、シー・ハルクの第四の壁を破る演出からデッドプールの愛称である「デップー」もトレンド入りする事態となった。

そして、米マーベル公式は話題となった最終回の展開についてその裏側を明かす記事を公開している。そして、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが最終話のあの展開に与えた影響についても明かされている。

なお、以下の内容は『シー・ハルク』最終話第9話の重要なネタバレを含むので、必ず本編をDisney+で視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』最終回第9話の内容に関するネタバレを含みます。

『シー・ハルク』最終話 ケヴィンの衝撃

『シー・ハルク』最終回の第9話では、あまりに都合の良いメチャクチャな展開に主人公のジェニファー・ウォルターズが「これ面白い?」と疑問を持ち、第四の壁を破って制作者のもとへ赴く。そこで脚本家ら製作陣から「ケヴィンの意向」と告げられたジェニファーは、厳重なセキュリティを突破して“ケヴィン”に直談判しに行く。

マーベル・スタジオでケヴィンといえば、社長でMCUを知り尽くしているケヴィン・ファイギのことを指す。“マーベルの父”とも呼ばれた故スタン・リーのように、ケヴィン・ファイギも遂にMCU作品にカメオ出演するのかと思いきや、そこで待っていたのはAIのK.E.V.I.N.(知識拡張型映像相互接続隊/Knowledge Enhanced Visual Interconnectivity Nexus)」だった。

人間ではなくAIがMCUのストーリーを管理していたというまさかの設定。ジェニファーはここから本作の展開に異議を発して、最終回を自らが望む展開に修正していく。仕組みから破壊してしまうというハルクもびっくりの荒技で『シー・ハルク』は唯一無二の作品になったと言える。第四の壁破りでお馴染みのデッドプールも、ここまでやられてしまってはやることがなくなってしまいそうだ。

ケヴィン・ファイギの言葉

気になるのは、自分達を作品内に登場させた製作陣の意図と、ケヴィン・ファイギ自身がどれほどこの設定に絡んでいたのかという点だ。『シー・ハルク』でヘッドライターを務めたジェシカ・ガオは、ケヴィンをAIとして登場させたことについて、まずはこう語っている。

ネット上では、ケヴィン・ファイギが本作でカメオ出演するのではないかという憶測が飛び交っていました。でもこんな風にカメオ出演するなんてびっくりですよね。

続いて、途中まで進んだ全員集合のはちゃめちゃな最終回案について、実際に一度は用意されたエンディングだったことを明かしている。

20個くらいのバージョンのフィナーレを書いた後、「これはマーベルの番組なんだから、マーベルのクラシックなエンディングにした方が良いよね」と思い始めたんです。巨大なヴィランとの戦いに大団円。でも、丸い穴に四角い杭を打っているようでしっくりこなかったんです。

そんなジェシカ・ガオに別の方向性を与えたのは、やはりケヴィン・ファイギその人だったという。ガオはこう語っている。

私はマーベルの期待に応えようと、このドラマはこうしなきゃいけないと考えていましたが、(ケヴィンは)そんなことをしなくてもいいと気づかせてくれました。彼は「どうして? 誰もそうしろとは言っていませんよ。そうする必要はありません。全く違うことをしてもいいんです。この番組はマーベルがやってきたことと全く違う何かなのだから、私たちは全く違うことをやるべきです」と言っていくれて、「おぉ」と思いました。その許可を得たことで全てが変わりました。

着想はコミックから、第8話にもヒントが

ジェシカ・ガオは、ジェニファーがケヴィンに抗議するというアイデアのヒントを原作コミックから得たという。原作コミックのシー・ハルクは、コミックの書き手である原作者に展開の文句をつける場面がある。これを踏襲する形でジェニファーは物語の創造主たるケヴィンに抗議するのだ。

彼女が番組に出るだけでなく、意見を持つということは自然なことだと感じました。特に彼女はこのドラマの制作者に完全に裏切られたのですから。マーベルの支配者であるケヴィンに文句を言いにいくというのは正しいことだと思ったんです。

実は、ジェニファーが制作者に裏切られた感覚というのは、第8話の時点から演出されている。デアデビルとの恋を経て幸せな時間を過ごしたと思いきや、第8話ラストではプライバシーが晒されてダメージ・コントロール局に確保されるという最悪の展開が待っていた。

この件について、マーベル公式は、「彼女はシー・ハルクになって以来、自分のショーに手を加えている黒幕がいることを知り、彼らが自分の利益を最優先していると盲目的に信じてきました」と説明する。その上で、ジェシカ・ガオは「多かれ少なかれ、(制作側は)彼女の利益を考えている、少なくとも悪意はないという暗黙の前提がありました。この瞬間(第8話のラストで)、彼女は裏切られ、彼らが彼女の利益を一番に考えているわけではなかったと知るのです」と語っている。

確かに、第8話ラストのジェニファーのカメラ目線は、視聴者に訴えかけているようでもあるが、製作陣に「マジ?」と訴えかけているようでもある。ジェニファーは第8話ラストの時点で既に製作側がキャラクターのことを考えていないと悟っており、その結果がケヴィンに直談判しにいくという第9話の展開につながったのだ。

ケヴィン・ファイギの意見も反映

そして、『シー・ハルク』最終話に登場するケヴィン (K.E.V.I.N.)は、元々機械ではなく、タキシードを着たジェームズ・ボンド風の人間に演じさせるつもりだったという。だが、より不条理さを増大させるために機械という設定にしたのだとか。

また、当初のロボットのケヴィンは、現実のケヴィン・ファイギのトレードマークになっているベースボールキャップを被ったデザインになっていたという。この案に疑問を呈したのは意外にもケヴィン・ファイギ本人だったのだという。ジェシカ・ガオはこう回想する。

(ケヴィン・ファイギが)「なんでロボットが帽子を被るの?」って言ったんです。私が「それが不可解な点ですよ。ケヴィン、MCUを支配しているというAIの頭脳は描くのに、ロボットが帽子を被っているかもしれないということについては超えられない論理の一線があるということですか?」と聞いたら、彼は「そうです」って。

最終的にキャップはロボットの頭の被せるのではなく、カメラの上につばが乗せられる形で表現されることになった。ガオはこれを「妥協案」と笑っている。

© 2022 Marvel

このように、『シー・ハルク』第9話の展開には、ケヴィン・ファイギのアイデアも少なからず採用されているという。例えばジェニファーがまず脚本家達の元を訪れるのもケヴィン・ファイギのアイデアだったそうだ。

なお、米マーベル公式サイトには、既にK.E.V.I.N.のキャラクターページが作られている。今後も黒幕として作中に登場することを期待させているが、ジェニファー以外にケヴィンを操れるキャラクターはいなさそうだ。

「正しい結末」

最後にジェシカ・ガオは、『シー・ハルク』最終話の終わり方について、「この番組にとっては正しかった」と語っている。

全てのショーにおいて正しい結末というわけではありませんが、この番組にとっては正しい結末でした。この番組がどういうものなのかということを、これ以上ないほどに明確にしています。初日から、このドラマがどんな番組なのか、どんなことを期待されているのかということについて、率直かつ正直に話してきました。でもなぜか、皆さん信じたがらなかったんです。数ヶ月前からこんな作品ですよって伝えてきたのにね。

確かに『シー・ハルク』は第四の壁を破る特別なドラマであるという触れ込みだったし、ジェニファーも作中で繰り返し視聴者に語りかけてきた。しかし、ドラマを観ていた私たちは物語に展開やラストに待っているであろうどんでん返し、毎回のサプライズゲストやミステリの答えに気を取られ、まさかこんな展開が待っていることを想像することはできなかった。

ドラマ『シー・ハルク』は成功を収めたと言っていいだろう。ライターズルームでのやり取りと、ジェニファーとケヴィンの会話の中ではシーズン2についても触れられたが、実現を願おう。

ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』は全9話がDisney+で独占配信。

『シー・ハルク:ザ・アトーニー』

Source
Marvel

シー・ハルクのコミック作品は、『シーハルク:シングル・グリーン・フィメール』のケン・U・クニタによる日本語訳が発売中。

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ハルクの息子スカーの今後については、こちらの記事で詳しく考察している。

『シー・ハルク』最終回第9話のネタバレ解説はこちらから。

第8話で明らかになったソコヴィア協定廃止が及ぼす影響についての考察はこちらから。

ドラマ『ウェアウルフ・バイ・ナイト』のネタバレ解説はこちらから。

MCU入りする『デッドプール3(原題)』の情報と復活するヒュー・ジャックマン版ウルヴァリンのこれまでの作品についての解説はこちらから。

11月11日公開の映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』予告編の解説&考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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