ドラマ『シー・ハルク』第7話はどうなった?
MCUドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』は、MCU初のドラマ作品である『ワンダヴィジョン』(2021) 以来となる全9話で構成されている。いつもなら第6話で最終回となるところだが、『シー・ハルク』は第7話からがラスト3話となり、クライマックスへと入っていく。
MCU映画の方は11月11日(金) に『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』の公開を控え、先日『デッドプール3(原題)』がMCU作品として2024年9月に公開されると発表されたばかり。ドラマの方はどんな展開を見せてくれるのだろうか。今回は『シー・ハルク』第7話の各シーンをネタバレありで解説していく。
以下の内容は、ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』第7話の内容に関するネタバレを含みます。
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ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』第7話「リトリート」ネタバレあらすじ&解説
ジョシュとの恋
第3話で仮釈放が認められたアボミネーションことエミル・ブロンスキー。ジェニファー・ウォルターズはエミルが仮釈放後に瞑想リトリートを開業すると主張していた。アメリカでは10年ほど前から瞑想ができる施設が流行している。第7話は、仮釈放が認められたエミルのその後を中心に展開していくことになる。冒頭の振り返りでは、ジョシュからそのままのジェンがいいと言ったこと、更にインテリジェンシアというミソジニーウェブサイトでシー・ハルクが標的にされていることに触れられている。
ジョシュと良い感じになっているジェニファーはありのままの姿でプライベートを楽しんでいる。職場でもシー・ハルクの姿になりながら、「屋台の提案:フライドポテトをミルクセーキにつけたやつ。どう?」というジョシュからのテキストにニヤついている。このシーンで流れている曲はハイムの「Now I’m In It」(2020)。ジョシュからのテキストで「You in?」と聞かれており、それに応答するタイトルになっている。歌詞は「友達ではいられない」「自分を取り戻そうとしてる」と歌われている。
ジョシュとデートを重ねるジェニファーは最高の時を過ごしていた。一方で最優秀女性弁護士にノミネートされたジェニファーにニッキは「ガラに行ける?」と言っているが、ガラはパーティのことだ。ニッキはジェニファーがインテリジェンシアの件に引っかかっているのではと心配していたが、ただジョシュに夢中になっているだけだった。
しかし、ジョシュからの返信がないまま土曜日を迎えたジェニファーは、数秒に一回スマホをチェックする状態に陥ってしまう。この状態に身に覚えがある方も多いのではないだろうか。日曜日にエミル・ブロンスキーの保護観察官からの電話で起こされたジェニファーは、エミルが装着を義務付けられている抑制装置から警告があったと知らされる。
普通の弁護士とは違い、スーパーパワーを持っているジェニファーは同じくスーパーパワーを持っているクライアントの対処まで要請される。スーパーヒューマン専門の弁護士も楽ではない。保護観察官のチャックは一応週末に予定がなかったか確認してくれるが、ジェニファーは念の為助手からの着信がないかチェックしてから「ないから平気」と答えている。
サマー・トワイライツのモブヴィランたち
運転中もジョシュからの返信を待っているジェニファー。途中で歌っているのはハンソン「MMMBop」(1997)。「どれだけの関係ができても続くのは一つか二つ」「彼らはすぐに消え去っていく」という歌詞が歌われている。
エミルが暮らしているのは、サマー・トワイライツという名のゲーテッドコミュニティ(門と塀で囲まれた高セキュリティのコミュニティ)。ちなみにチャックにハルクの姿になることをなんというか聞かれたジェニファーは、英語では「Hulking out.(ハルキングアウト)」と答えている。エミルの件は鶏を守るために電気柵に触れ、抑制装置が故障しただけという結論に至る。
保護観察官のチャックはこれで帰っていくが、チャックの車のナンバープレートが大写しになるシーンでプレートには「CA EXEMPT」と書かれている。これは「カリフォルニア州 免除」を意味し、車が公用車であることを示している。保護観察官は公務員なので公用車が使えるのだが、かなり古いフォードのトーラスに乗っている。
さて、ジェニファーはすっかりエミルのことを信じているが、エミルは「君はどう思った?」と信用を確認するような質問をしていて、どこか怪しい。そこに現れたのはエル・アギラとマン・ブル。戦いながら登場してジェニファーのプリウス・プライムを破壊してしまう。プリウス・プライムは北米で最新モデルが330万円以上する。ただし、『シー・ハルク』の舞台は2024年頃と見られるので、2022年モデルだったとしてもこの時代では古い型のモデルということになる。
ここで登場したマン・ブルは1971年にコミック『デアデビル』で初登場のキャラクター。エル・アギラという剣士のキャラクターは原作コミックではミュータントで、その名前はスペイン語でワシを意味する。第7話は脚本を「スパイダーマン」や「X-MEN」のコミックを手がけてきたゼブ・ウェルズが手がけていることもあってか、モブヴィランが一挙に登場する回となっている。なお、ゼブ・ウェルズはアニメ『ホワット・イフ…?』(2021-) のスピンオフシリーズ『マーベル・ゾンビーズ(原題)』のヘッドライターも務める。
都合よく(悪く)車が故障したことで、ジェニファーはレッカー車が到着するまでエミルの瞑想リトリートに残ることに。Wi-Fiもなく携帯の電波も飛んでいない環境でジョシュからの連絡を確認できず、仕事もできないジェニファーは苛立ちを隠せない。蒸し風呂の勧めも断り、ジェニファーが電波を探して歩き回るシーンで流れている曲はティエラ・ワック「Peppers and Onions」(2020)。「私はただの人間、完璧じゃない、ただの人」と歌われている。
バンパイアとグループカウンセリング
結局ジェニファーが行き着いたのは、エミルが開いているグループカウンセリングの集会。ポーキュパインとサラセンが紹介される。ポーキュパインは1963年にコミック初登場のキャラクターで、米陸軍で武器デザイナーとして働いていたというキャラクターだ。ポーキュパインとはヤマアラシのことで、ヤマアラシをモデルにしたバトルスーツを着ているという設定だ。
サラセンは1999年刊行のコミック『ブレイド』で登場したキャラクター。「自称バンパイア」とされているのは、2023年11月米公開を予定しているMCU映画『ブレイド(原題:Blade)』でバンパイアを初紹介としたいからだろうか。ブレイドは人間とバンパイアの血を引くバンパイアハンターである。なお、ドラマ『ロキ』(2021-) シーズン1ではメビウスが過去に「ヴァンパイアも尋問した」と述べており、MCU世界のバンパイアの存在が認められている。
そしてここで登場したのは、第3話で仲間と共にジェニファーを襲撃したレッカー。ジェニファーはカメラの向こうの視聴者に「覚えてる?」と語りかけ、第3話ラストのシーンを再生するようスタッフに指示している。怒るジェニファーにエミルは話し合いを勧め、ジェニファーはレッカーの話を聞いてみることに。
レッカーは「イキがってスーパーヴィラン気取り」だったことを認め、「自分の行動には責任を取る」と謝罪する。もちろん襲撃してきた相手を許す必要なんてないのだが、このカウンセリンググループはジェニファーが抱えている問題に話題をすり替えている。携帯を手放せない状態を指摘されたジェニファーは、ジョシュについて話し出すと、一同はジョシュが遊びだった可能性を指摘。ジェニファーは自分とシー・ハルクの関係について語り始める。
最後に流れた曲は?
ジェニファーはシー・ハルクになることで注目を集められたが、みんなを騙している気がすると話す。加えて、人々が見ているのはシー・ハルクの方で本当のジェニファーには興味がなく、ジェンにとっては辛い状況だったことを明かす。ゆえにジェニファーを好きになってくれたジョシュにハマってしまったと。この話を聞いた一同はジョシュをボコろうと盛り上がるが、最終的にはみんなジェンが好きだと表明することで、ジェニファーはありのままの自分でいることを受け入れるのだった。
レッカーは、これ以上ジョシュに時間を割かなくていいと助言し、一同はジェニファーにジョシュの電話番号を消させる。蒸し風呂にも入りすっかり一同と打ち解けたジェニファーは、すっきりした表情でサマー・トワイライツを後にする。ジェニファーがトラックに乗っている場面で流れている曲はデュア・リパ「IDGAF」(2018)。「私はあなたを切り捨てる」「もう十分に泣いたから、あなたの愛はいらない」と歌われている。
デュア・リパは2021年にアルバム『Future Nostalgia』(2020) でグラミー賞最優秀ポップ・ボーカル・アルバム賞を受賞。セクシュアルマイノリティのコミュニティと若い世代から絶大な支持を受けている。フェミニストであり、その姿勢は歌詞にも色濃く反映されている。
だが第7話はこれでは終わらなかった。舞台は三日前に遡り、ジェニファーがジョシュと一夜を過ごした時の裏側が描かれる。なんとジョシュこそがインテリジェンシアの一員だったのだ。ジョシュはジェニファーが寝ている間にスマホのデータをコピーすると、ジェニファーの写真とともにハルクキングへシー・ハルクの血液を採取したと開削できる絵文字のテキストメッセージを送信。残り2話を残し、第7話は不穏なラストで幕を下ろす。
ドラマ『シー・ハルク』第7話ネタバレ感想&考察
敵は誰?
『シー・ハルク』第7話はグループカウンセリングを通してジェニファーが自らのアイデンティティと向き合う良いお話……かと思いきや、最後にはジョシュがアチラ側だったという悲しい展開に。確かに第3話ではジョシュは新郎側として式に参加しており面識がありそうな人はいなかったし、ラストにはジェニファーと二人きりになったところをインテリジェンシアに監視されてもいた。
一方で、こうなるとジョシュのことを忘れさせようとして連絡先まで消させた一同も怪しくなってくる。最後は良い感じにまとめられていたが、実際にはジェニファーが弱っている状況で強引にコミュニケーションが進められている節もあった。ジェニファーを襲ったレッカーのこともうやむやになっているし、なんだかホモソーシャルなやり取りが多かったことも事実だ。
また、第3話ではエミル・ブロンスキーの仮釈放が認められた直後にレッキングクルーがジェニファーを襲撃している。第7話でジェニファーがレッカーの登場に対して身を乗り出したときには、エミルが「ジェン、お願いだ」と制止していた。まるでレッカーとジェニファーの因縁を知っていたように。また、今回ジェニファーがエミルの元を訪れたきっかけも、エミルが抑制装置を電気柵に当てて故障したことが原因だった。
第3話ラストでレッキングクルーが言っていた「ボス」とは、もしかしてエミル=アボミネーションのことだったのだろうか。しかし、エミルが今回もヴィランということであれば、ヴィランはやっぱり更生できないというメッセージになってしまう。今後のMCU世界的にもヴィランの仮釈放は認められにくくなっていくだろう。
なお、エミル・ブロンスキー役を演じるティム・ロスは、第3話配信開始時点で「私たちは彼を信じるべきなのか?」と意味深な発言をしている。
そして、ただのジェニファーであっても皆から受け入れられるという自信を一応は取り戻したジェニファーは、この残酷な現実にどのように対処するのだろうか。サマー・トワイライツの一同が本当にジェニファーを助けてくれるのなら、それはそれで良いのだが……。
そして焦らしに焦らされているデアデビル登場は第8話で実現するのだろうか。間違いなくジェニファーの味方であってくれるであろうデアデビルことマット・マードックの登場が待ち望まれる。
ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』はDisney+で独占配信中。
シー・ハルクのコミック作品は、『シーハルク:シングル・グリーン・フィメール』のケン・U・クニタによる日本語訳が発売中。
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