『ロキ』の小ネタに注目
Disney+で配信中のマーベルドラマ『ロキ』(2021) に、MCUフェーズ4の作品として公開が予定されている『ブレイド(原題:Blade)』と、ソニーが展開するSPUMC第4作目『モービウス』につながる小ネタが登場した。6月30日(水)に配信された『ロキ』第4話での出来事で、本筋とは関係のない会話で触れられている。
問題の発言は『ロキ』第4話の15分35秒が経過する頃。メビウスが「今までクリー人もタイタン人もヴァンパイアも尋問した」と発言するのだ。このセリフは日本語吹き替えならはっきりと述べられているのだが、字幕版では省略され、「クリー人もタイタン星人も尋問したのに」と表示されている。なお、英語の字幕は「You know, we brought in Kree, Titans, vampires.」となっている。
クリー人は映画『キャプテン・マーベル』に登場した人々で、かつてキャロル・ダンヴァースが所属していた特殊部隊スターフォースの故郷がクリー星だった。タイタンは言わずと知れた大ヴィラン・サノスの故郷である。こうしたMCUではお馴染みの星の人々と共に「ヴァンパイア」が挙げられたのだ。つまり、MCU世界にはヴァンパイアが存在するということになる。
ヴァンパイアといえば…
マーベル世界のヴァンパイアといえば、二つの作品の名前が挙がる。一つ目は『ブレイド』だ。同作はマーベル・スタジオが結成される前の1998年にニュー・ライン・シネマによって製作され、三部作として公開された。そしてMCUフェーズ4では『ムーンライト』(2016)、『グリーンブック』(2018) でアカデミー助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリを主演に据えてリブートされる。
『ブレイド』の主人公は、人間と母がヴァンパイアに噛まれたことでヴァンパイアの血を引いて生まれたエリック・ブルックス。ヴァンパイアは人間社会に隠れて生活しており、エリック・ブルックスは母の復讐のためにヴァンパイアハンターとして活動する。
マーベル・スタジオ代表のケヴィン・ファイギは『ブレイド』の復活について、『ドクター・ストレンジ』(2016) がMCUに加わったことで、超自然的な要素を取り入れる流れができたと説明している。『ロキ』の主人公ロキもまた魔法を操る存在だ。メビウスが尋問したという“ヴァンパイア”は『ブレイド』でのヴァンパイア登場のための“地ならし”だったのかもしれない。
Just announced in Hall H at #SDCC, Marvel Studios’ BLADE with Mahershala Ali. pic.twitter.com/mtrDBy5OV0
— Marvel Studios (@MarvelStudios) July 21, 2019
SPUMCとのクロスオーバーにも期待
そして、もう一つのヴァンパイア作品は2022年1月21日(金) に米公開を予定している映画『モービウス』だ。こちらはMCUの作品ではなく、ソニー・ピクチャーズが映画化の権利を持つ「スパイダーマン」シリーズのユニバース展開を行うSPUMC (Sony Pictures Universe of Marvel Characters) の作品。『ヴェノム』(2018)、『ヴェノム: レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021) に続くSPUMC第3作目にあたる。
『モービウス』では、DCEUのジョーカー役でも知られるジャレッド・レトが主人公のマイケル・モービウスを演じる。モービウスのキャラクターとしての正式名称は“モービウス・ザ・リヴィング・ヴァンパイア”なのだが、原作コミックでは自らの病気を治療しようとした際に吸血鬼のような体質になってしまったという設定。種族としてのヴァンパイアではなく、映画版も予告編を見る限りはその設定が踏襲されているようである。
故に、『モービウス』はケヴィン・ファイギがいうような「超自然的」な流れを汲んでいるわけではなく、どちらかというとハルクのような「超科学的」な存在である。なお、1998年版の『ブレイド』にはモービウスの登場を示唆するエンディングが存在していたが、最終的にはカットされている。
だが、メビウスの「ヴァンパイア」発言が『モービウス』につながりうると考える理由は他にある。『スパイダーマン: ホームカミング』(2017) に登場したバルチャーことエイドリアン・トゥームスが、『モービウス』に登場する可能性が噂されているからだ。『モービウス』の予告編には、バルチャーを演じたマイケル・キートンが登場する。作品内に登場するポスターには、『スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム』(2019) のエンディングを引き継いでいるかのようにスパイダーマンを「人殺し」となじる落書きが描かれているなど、MCUとSPUMCのクロスオーバーを示唆する要素が散りばめられているのだ。
ヴェノムのMCU参戦もかねてより期待されているが、“ヴァンパイア”という共通点から、『ブレイド』と『モービウス』のストーリーが合流する可能性も考えられる。ともかく、今回の『ロキ』第4話におけるメビウスの“ヴァンパイア発言”によって、MCU世界におけるヴァンパイアの存在が確定した。この小ネタは、MCUの世界観を更に拡大する一助になるだろう。
ドラマ『ロキ』はDisney+で独占配信中。
『モービウス』に登場するバルチャーをはじめとするMCUのヴィランによるチーム結成の可能性についてはこちらの記事で。
ドラマ『ロキ』第4話の解説はこちらから。
『ロキ』第4話ポストクレジットシーンの解説はこちらの記事で。