『シー・ハルク』第1話配信開始
ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』が2022年8月18日(木) より配信を開始した。弁護士として働く主人公のジェニファー・ウォルターは、ある日、初代アベンジャーズのメンバーであるハルクことブルース・バナーと同じ力を手に入れてしまう。『シー・ハルク』は、普通に働きたいジェニファーの“力”との向き合い方をコミカルに描くコメディドラマになっている。
MCUドラマとしては『ワンダヴィジョン』(2021) 以来のコメディ作品となった『シー・ハルク』は、第1話からコメディ要素が満載だった。中でも、予告編でも公開されていたキャプテン・アメリカについてのくだりは、物語の中でも印象的な使われ方をしていた。あのくだりはなぜ取り入れられたのか、米マーベル公式で出演者と製作陣が裏側を語っている。
以下の内容は、ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』第1話の内容に関するネタバレを含みます。
“キャプテン・アメリカのくだり”の意味とは
『シー・ハルク』第1話では、主人公のジェニファーが従兄弟のブルースに対し、キャプテン・アメリカについてのあるセオリーを共有する。それは、国のために戦ってきたキャプテン・アメリカは多忙だったため恋人がおらず、ヴァージンのまま一生を終えたのではないかというもの。
MCUの作品を見てきた私たちにとっては的外れな内容だが、アベンジャーズの戦いを知らない人々の視点では様々な噂が流れているのだろう。ドラマ『ミズ・マーベル』(2022) でも、カマラ・カーンがアベンジャーズについての“考察”を披露する場面があった。
『シー・ハルク』第1話の序盤ではこのジェニファーの自説は思わぬ乱入によって遮られてしまうが、ミッドクレジットシーンではジェニファーは再びブルースに自説を展開する。酔ったふりをして史実とは異なる妄想を並べ立てると、ブルースは思わずスティーブがヴァージンではないという事実を具体的なエピソードと共に話してしまう。
キャプテン・アメリカについての、いわば低俗なやり取りが『シー・ハルク』の第1話に繰り返し挿入された件について、主演のタチアナ・マスラニーが米マーベル公式でこう話している。
MCUはもはや巨大なもののように感じられますが、この番組では些細な事柄や日々の生活のこと、それにキャプテン・アメリカの性生活といった奇妙な問題が取り上げられます。私の脳内もそんな風に動いているので、演じていて楽しかったです。(ジェンに)共感するのは簡単でしたよ。
崇高なスーパーヒーロー像とは違う、ジェニファー・ウォルターの思考を表現するため、些細なことを取り上げていくのが『シー・ハルク』という作品の特徴のようだ。タチアナ・マスラニーは、脚本を担当したジェシカ・ガオのシー・ハルク愛についても触れている。
ジェシカは、コミックにオマージュを捧げて、全てを破壊し、シー・ハルクのメカニズムを見つめようとしていました。それが、この番組の背後にある意図的なイタズラだったように思います。
シー・ハルクは、原作コミックでも第四の壁を破り、読者に話しかけるキャラクターとして知られている。その破壊的で自由な原作の設定を、製作陣はドラマにも持ち込みたいと考えていたようだ。これまでのMCU作品では触れられなかった点に突っ込んでいくジェニファーの姿は、原作コミックに対する最大のオマージュであるとも言える。
バランスも大事に
一方で、『シー・ハルク』の監督を務めるカット・コイロは、コメディでありながらMCUの一部である本作について、そのバランスの取り方に苦慮したということを明かしている。
この作品が他と異なる点については多くの話題がありますが、私の仕事の一つは、このプロジェクトをMCUの世界の中に留めることでした。私たちはテーマとトーン、日常の中のコミカルな瞬間を追求していますが、それでもまだMCUの一部であると感じられるようにする必要があります。
超人法の部署が存在するこの世界では、MCUのキャラクターが有機的に物語に加わり、無意味なカメオのように感じられることはないと思います。スーパーヒーローでも法律の助けが必要なんだねって具合に。私はその可能性に魅了されています。多くのヒーローが法律事務所のドアを通ってくるんです。
カット・コイロ監督は、法廷ドラマである『シー・ハルク』の特徴を活かし、ヒーローでも法の助けが必要になるというアイデアを通して、多くのキャラを登場させるつもりのようだ。拡大し続けるMCU世界の中で、シー・ハルクとジェニファーのキャラクターを守りながら、コメディドラマ&法廷ドラマをやってのけるという難題に挑む『シー・ハルク』。全9話で起こる今後の展開に期待しよう。
ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』は2022年8月18日(木) よりDisney+で独占配信中。
シー・ハルクのコミック作品は、『シーハルク:シングル・グリーン・フィメール』ケン・U・クニタによる日本語訳が発売中。
Source
Marvel.com
ドラマ『シー・ハルク』第1話のネタバレ解説はこちらから。
MCU版“超人法”についての解説と考察はこちらの記事で。
ドラマ『ミズ・マーベル』最終話のネタバレ解説はこちらから。
『ムーンナイト』最終話で回収されなかった9つの謎はこちらから。
『ソー:ラブ&サンダー』『ミズ・マーベル』を含むMCUフェーズ4の時系列はこちらの記事で。
11月11日公開の映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』特報の解説&考察はこちらから。
9月9日からは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が追加映像と共に再上映される。詳しくはこちらの記事で。
コミコン2022で発表された『デアデビル ボーン・アゲイン』を含むMCUフェーズ5全作品のまとめはこちらから。
2025年5月公開が発表された『アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ』についてはこちらから。
2025年11月公開が発表された『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ』についてはこちらから。