第6話ネタバレ考察 〇〇は〇〇を選ぶ? 『ボバ・フェット』で「スター・ウォーズ」シリーズを繋ぐ重大な描写が | VG+ (バゴプラ)

第6話ネタバレ考察 〇〇は〇〇を選ぶ? 『ボバ・フェット』で「スター・ウォーズ」シリーズを繋ぐ重大な描写が

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『ボバ・フェット』第6話で騒然

Disney+で配信されているドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』は最終回目前の第6話が配信され、世界で話題を呼んでいる。その衝撃の展開の詳細はこちらの解説記事を参照してもらうこととして、本記事では第6話のあの描写が持つ意味と今後について考察していきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』第6話の内容に関するネタバレを含みます。

シークエルに繋がる展開

『ボバ・フェット』第6話はもはや隠れ『マンダロリアン』シーズン3であり、「スター・ウォーズ」の歴史にとっても『エピソード7』から始まった続3部作/シークエル・トリロジーに接続する重要な回だった。

今後、幾度となく参照されることになるであろうこのエピソードには、ベビーヨーダことグローグーが登場。そして、『マンダロリアン』シーズン2の最終話で登場した若き日のルーク・スカイウォーカーに、かつてアナキン・スカイウォーカーの弟子だったアソーカ・タノも登場した。

更には『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) をはじめとするアニメシリーズで活躍を見せてきたキャド・ベインが初めて実写版で登場するなど、主人公のボバ・フェットを差し置いててんこもりの展開を見せた。特にアナキンの息子であるルークとアナキンの唯一の弟子だったアソーカの対話や、師匠のヨーダの姿をグローグーに重ね合わせるルークの姿は印象的だった。

だが、『ボバ・フェット』第6話は“オールスター集合の楽しいお話”にはならなかった。観ている人には、どこか不穏さを感じながら42分間を走り切った方もいただろう。その背景にあったのは、この後にルークを待っている恐ろしい未来と、『マンダロリアン』で積み重ねられたマンドーとグローグーの絆だった。

ルークを待っている未来

まず『ボバ・フェット』第6話の冒頭では、ルークが新たなジェダイ・オーダーの復活を目指してジェダイの学校を建設しようとしていることが語られた。この学校は後に『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』(2015) で描写された新たなジェダイ・テンプルになるのだろう。『エピソード7』ではカイロ・レンとレン騎士団によってパダワンたちが殺され、テンプルは焼き討ちにあった様子が描かれた。つまり、このルークのジェダイ学校は失敗することが確定しているのだ。

ルークは後にレイア・オーガナとハン・ソロの息子で自身の甥にあたるベン・ソロを弟子として育てる。しかし、ルークはベン・ソロの中にある強大な暗黒面を恐れ、自らの手でベン・ソロを殺そうとした。それを知ったベン・ソロはダークサイドに堕ち、ルークが育てていた11人の弟子を殺してジェダイ・オーダーの復活を頓挫させたのだった。

まずルークによるジェダイの学校建設が示唆された時点で、「スター・ウォーズ」ファンが心配になったのは、ルークが育てていた12人の弟子(ベン・ソロを含む)の中にグローグーがいたのではないかということだろう。もしグローグーがジェダイ・テンプルに加わっていたとしたら、グローグーはカイロ・レンの手で殺されてしまったことになる。

故に、『ボバ・フェット』第6話のラストでグローグーが迫られた「アーマーか、ライトセーバーか」という選択は、グローグー自身にとって非常に重要なものだったのだ。

グローグーはどちらを選ぶ?

『ボバ・フェット』第6話のラストで、ルークは幼いグローグーにあまりに理不尽な二択を迫る。マンダロリアンのアーマーを受け取ってマンドーの元に戻るか、ヨーダのライトセーバーを受け取って偉大なジェダイを目指すか、二者択一を迫るのだ。

もちろん二人の関係は対等ではないし、そもそも選択を迫る人間がどちらか一方の利害関係者である時点でフェアな要求ではない。ルークはマンダロリアンやマンドーの魅力について説明しないし、アーマーを選べば「愛着に負けたことになる」と追い込みをかける。おそらくこのルークの態度は演出上意図されたものだろう。

まだ弟子を持ったこともないのにジェダイの歴史を一身に背追い込んでしまったルークは、ジェダイを絶対視することや掟を押し付けることの危険性を知らずにいるのだ。ルークにはまだ段階を経て成長する時間が必要だったはずだ。

そんな状況で、もしグローグーがライトセーバーを選んでジェダイへの道を歩み出したとしても、アナキンのように掟を押し付けられてダークサイドに堕ちてしまう危険もある。アナキン・スカイウォーカーは愛着を選んだことでダークサイドに堕ちたとも言えるが、そもそもはジェダイ・オーダーが掟に執着したことにも原因があった。だがルークが後にジェダイの古い考えや傲慢さを過ちと認められるようになるまでは、まだ長い時間を要する。

仮にグローグーがヨーダのライトセーバーを選び、カイロ・レンの襲撃を生き延びたとしよう。この事件を機にルークは姿をくらませてしまうのだから、グローグーはマンドーとの別れを選んだことを悔いることになるだろう。かつての“ベビーヨーダ”が、二百年程を経て成人した時に“ダークヨーダ”になり、新たな「スター・ウォーズ」三部作の強大な敵とならないことを願うばかりである。

ダークセーバーの所有者に?

では、グローグーがマンドーのアーマーを選んだ場合はどうだろうか。グローグーは無事にマンドーの元に帰り、『マンダロリアン』シーズン3が幕を開けるはずだ。制作陣は、ヨーダと同じ種族であるグローグーがジェダイになる道を選ばなくても、ファンが「もったいない!」と微塵も思わずに全力で応援できる体制を『マンダロリアン』の2シーズンをかけて築いてきたと考えることもできる。

重要なのは、現時点でマンドーがダークセーバーの所有者になっているということだ。ダークセーバーは、『ボバ・フェット』の第5話とアニメ『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2018) のシーズン3第15話「ダークセーバーの試練」でも語られた通り、1,000年以上前にター・ヴィズラが創造したものであり、ター・ヴィズラはマンダロリアンからジェダイ・オーダーに加わった最初の人物である。

つまり、ダークセーバーを持っていたター・ヴィズラはマンダロリアンとジェダイの教義の両立を実現していたものと考えられる。であれば、強いフォースの力を持つグローグーがマンダロリアンのアーマーと共にダークセーバーを振るい、かつてのター・ヴィズラのようにマンダロリアンとジェダイの間に「バランスをもたらす」存在になることもあり得る。

ダークセーバーは戦いとらねばならないという教義があるが、『マンダロリアン』シーズン3ではマンドーが何者かにダークセーバーを奪い取られ、グローグーがその敵を倒してダークセーバーの所有者になるという展開もあるかもしれない。もう少し先の未来を舞台にした「スター・ウォーズ」新シリーズでは、ター・ヴィズラのようにダークセーバーを振るいマンダロリアンのアーマーに身を包んで活躍するグローグーの姿が見られるだろうか。

グローグーの過去はなぜ描かれた?

グローグーにマンドーのアーマーを選んでほしいと考えるファンは少なくないだろう。朗報は、『ボバ・フェット』第6話でのある描写がグローグーの選択を後押しする可能性があることだ。

第6話では、ルークがグローグーの記憶を呼び覚ますシーンが描かれた。そこで映し出されたのは、オーダー66において、かつてのジェダイ・テンプルと思われる場所でグローグーを守ろうとする3人のジェダイがクローン兵たちに殺される場面だった。

ここがかつてのジェダイ・テンプルであれば、このシーンは暗黒面に堕ちたアナキン・スカイウォーカー/ダース・ベイダーがジェダイ・テンプルに討ち入りし、パダワン達を殺したタイミングということになる。なお、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005) ではアナキンとクローン兵たちがテンプルを去った後にヨーダとオビ=ワン・ケノービが到着しており、グローグーを助けたのは別の人物だということが分かる。

いずれにせよ、グローグーはジェダイと共に過ごしていたと思われる幼少期にトラウマを背負っている。これが遠因となりジェダイとして争いに身を投じることを嫌い、マンドーとの幸せな生活を選ぶのかもしれない。それがルークの父であるアナキンによって作られたものだと知れば、ルークはグローグーにジェダイになることを強いることはできまい。

長寿で幼少期が長いグローグーが約30年前に経験した辛い記憶を、あえて今回のエピソードで見せたことには、グローグーがジェダイの道を選ばない理由を補強する意図があったのではないだろうか。

ルークに与えうる影響

最後に考えておきたいのは、グローグーの選択がルークに与える影響についてだ。グローグーがライトセーバーを選ぶとすれば、ルークはやはりジェダイの掟やモラハラ的なやり方に疑いを持たずに突き進んでいくことになるだろう。一方で、グローグーがアーマーを選べばルークの失望も大きく、更に焦りを募らせることになるだろう。

ルークはいずれにせよジェダイ・テンプルとジェダイ・オーダーの再建を諦めず、弟子を集めていくことになる。一方で、ヨーダの姿を重ね合わせていたグローグーという巨大な才能に拒絶されたルークは、甥のレンを育てなければというプレッシャーに苛まれることになるのではないだろうか。

ルークはまだマスターとして未熟であり、グローグーと共に成長していく必要があった。だが、グローグーとの強い絆を持つマンドーの存在がルークを焦らせた。まだわずかな信頼関係しかないのに、グローグーに今後を決める二者択一を迫ったのは明らかに悪手である。ラスト・ジェダイとして孤独にジェダイの再建を目指すルークは、確実に危うさを抱えながら走り続けている。

グローグーがどちらを選ぶにせよ、ルークには明るい未来は待っていないということ、そして、 グローグーとマンドーの未来は不確定ということが味噌である。であれば、見ている側はグローグーとマンドーに肩入れせざるを得ない。

Disney+の「スター・ウォーズ」シリーズは、独自の教義を重んじるマンダロリアン守旧派をクールに描き、帝国にも反乱軍にも属さないバッド・バッチの立場や砂漠に生きるタスケン・レイダースの歴史とカルチャーを尊重して描くなど、様々な立場と価値観を主体的に描いてきた。こちらの記事でも書いた通り、ヨーダと同じ種族で強いフォースを持っているからといって、犠牲を払ってまでジェダイにならなくてもいいという考えもあって然るべきだ。

グローグーはどんな道を歩むのか、いや、制作陣がグローグーにどんな道を歩ませるのか、しかと見届けよう。

『ボバ・フェット』最終話のネタバレ解説はこちらの記事で。

ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』はDisney+で独占配信中。

『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(Disney+)

『ボバ・フェット』第6話のネタバレ解説はこちらから。

『ボバ・フェット』最終話第7話までの簡単な各話あらすじはこちらから。

第1話の解説はこちらから。

第2話の解説はこちらから。

第3話の解説はこちらから。

第4話の解説はこちらから。

第5話の解説はこちらから。

『マンダロリアン』シーズン3は『ボバ・フェット』と同時進行で製作されていたことが報じられている。詳しくはこちらから。

過去作品でのボバ・フェットの活躍と本作までの経緯はこちらの記事に詳しい。

ボバの“妹”であるオメガが主要キャラとして描かれるアニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は、シーズン2の配信が決定している

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』のメイキング映像も公開されている。詳細はこちらから。

アナキンの弟子であるアソーカ・タノを主人公に据えたドラマ『アソーカ』についての情報はこちらから。

『バッド・バッチ』で判明した帝国がクローンを廃止した理由についてはこちらの記事で。

『バッド・バッチ』の各話解説はこちらから。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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