最終回第7話ネタバレ解説! ドラマ『ボバ・フェット』ボーバー・フェッ! ラストの意味は? あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

最終回第7話ネタバレ解説! ドラマ『ボバ・フェット』ボーバー・フェッ! ラストの意味は? あらすじ&考察

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ドラマ『ボバ・フェット』最終回

2021年12月29日(水)よりDisney+で配信を開始したドラマ『ボバ・フェット』/The Boba Fett』は、「スター・ウォーズ」シリーズの人気キャラクターであるボバ・フェットを主人公に据えた作品。ボバ・フェットとその相棒のフェネック・シャンドだけでなく、「スター・ウォーズ」シリーズから様々なキャラクターが登場し、これまで語られることのなかった重要なストーリーを提示してくれている。

そんな『ボバ・フェット』もいよいよ最終話となる第7話に突入。シーズン2まで8話ずつで語られたドラマ『マンダロリアン』(2019-) よりも一話少ないエピソード数で描かれる本作は、最終回でどのような展開を迎えたのだろうか。今回はドラマ『ボバ・フェット』最終回の各シーンをネタバレ有りで解説していく。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』最終回第7話の内容に関するネタバレを含みます。

最終話第7話「名誉のために」のネタバレあらすじ&解説

明らかになった事実

シリーズ最長となる1時間の長尺で公開されたドラマ『ボバ・フェット』最終話。これまでのあらすじでは、戦争の準備を進めてきたボバ陣営とパイク陣営それぞれの様子が映し出される。第6話でパイクが爆破したサンクチュアリーを訪れたボバとフェネックは、改めてこの戦争の悲惨さを認識する。

そこに現れたマンドーは、スパイスの取り締まりを条件にコブと話をつけたという。実際にはコブは凄腕賞金稼ぎのキャド・ベインに撃たれてしまったが、町の人々は助けてくれるのだろうか。それにしてもマンドーが主役ではなく助っ人としていてくれると安心感がある。

ボバはパイクからスパイスビジネスのルートを奪うのではなく、それを廃止することを宣言。これにはパイク・シンジゲートがスパイスでドラッグを製造しているという背景があり、新たなギャングのボスになった人物がドラッグビジネスを廃止するというギャング映画の“あるある”が踏襲されている。

加えてボバがフリータウンの人々が軍勢に加わるのかどうかに敏感になっていること、宮殿ではなくサンクチュアリーを拠点にして町を守るべきと言う若い構成員の意見を聞く姿を通して、優秀なマネージャー/経営者としてボバの一面が描かれている。

パイクと市長が籠る拠点に現れたのはキャド・ベイン。心配性(だがリーダーとしては正しい)の市長はフリータウンの他にボバが頼るあてはないかと確認するが、ここで過去編でボバを受け入れたタスケン・レイダーを皆殺しにしたのはパイクだったことが明らかになる。スパイス輸送の列車を止められ、みかじめ料を求められたパイクは、ニクトのギャングの仕業だと思わせる形でタスケン達を殺したのだ。

パイク達は元からみかじめ料を支払う気はなく、ニクトにみかじめ料を払ったという話も嘘だったのだろう。第4話ではボバに助けられたフェネックが、強いタスケンの集落がニクトに殲滅されたという話に「ニクトがタスケンを?」と疑問を呈していたが、やはりパイクの仕業だったのだ。

「街の破壊は許さない」という市長に、手段は選ばないという姿勢のパイク。そして名案があると言うキャド・ベイン。いよいよ戦争が始まる。最終話第7話のタイトルは「名誉のために (In the Name of Honor)」。名誉のために誰が何を果たすのだろうか。

グローグーの選択

タイトルクレジットの後に映し出されたのはR2-D2の乗ったXウイング・スターファイター。この瞬間にホッとした人も多いのではないだろうか。R2-D2がタトゥイーンに来たということは、グローグーをマンドーの元に返しに来たということだ。機体はR2-D2が操縦をしており、操縦席に乗っていたのはグローグーだけだった(ルーク、ついて来てやりなよ)

ドロイドと会話ができるペリ・モットーはR2-D2と会話しながらグローグーとの再会を喜ぶ。グローグーは「ハロー」と聞こえる言葉を発しており、少し喋れるようになったようである。そして衣服の中にはマンドーがアソーカに託したアーマーを着ている。やはりグローグーはヨーダのライトセーバーではなく、マンドーのアーマーを選んだのだ。

これは「スター・ウォーズ」シリーズにとっても大きな転換点になる。ダークサイドに落ちずにジェダイ以外の道を選んだメインキャラクターの登場は、「スター・ウォーズ」世界の多様性を押し広げていくことになるだろう。グローグーの選択については、こちらの記事で考察した通り。グローグーはマンダロリアンとジェダイを繋ぐ存在になるかも知れないし、ルークもこの一件から何らかの影響を受けることになったのだろう。

vs キャド・ベイン

ボバ陣営では、フェネック・シャンドが隊長として指揮を取っていた。パイクの軍隊を奇襲する作戦で、ガモーリアン、クルルサンタン、そして若い衆に各地の見張りを任せ、ボバ、フェネック、シャンドーはサンクチュアリー跡地で待機する。フリータウンの援軍が遊撃隊となるため、援軍が来なければ防戦一方になってしまうのが今回の作戦のポイントだ。

しかし、そこに現れたのはボバ陣営が予期していなかったキャド・ベインだった。正史で描かれている範囲ではボバとキャドは初面会ということになるが、実はアニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) では、ボバ・フェットを弟子にしたキャド・ベインの物語を描く構想があった。ボバのヘルメットの弾痕はキャドとの決闘でついたものという裏設定があり、本作でそれを踏襲しているかどうかは不明だ。

キャド・ベインはフリータウンでコブを倒したことを告げ、スパイス・ビジネスを認めるよう迫る。だが、ボバはパイクのボスとしか交渉しないと強気に出る。ボバはもうプレーヤーではなくボスなのだ。ここでキャドはあえてタスケンを殺したのがパイクだという事実をバラし、ボバを感情的にさせる作戦に出る。

珍しく感情的になるボバを助けたのはフェネックだった。フェネックがボバに誘いに乗らないよう忠告すると、ボバは矛を収める。これが個人事業主だったらそうはいかない。組織を作ったボバ自身も、組織に救われているのだ。

しかし、ここで街の人々がボバ陣営に反旗を翻す。中立を守るということでゴートラと協定を組んだはずだったが、どこかで罠が仕掛けられていたのだ。ガモーリアンは崖から落とされ、クルルサンタンも無力化される中、フェネックはモス・アイズリーに向かう道中で凄腕賞金稼ぎの腕前を見せて若い衆を助ける。若い人には憧れの対象となるロールモデルが必要だ。

名誉のために

窮地に立たされたボバ・フェットは、マンドーに離反するよう助言するが、マンドーはこれを「教義に反する」と断る。絆を重んじるマンダロリアンは仲間を見捨てたりしない。街を見捨てられないと言うボバに、マンドーは共に「名誉の死」を遂げることを約束。ここでタイトルの「名誉のために (In the Name of Honor)」が生きてくる。このタイトルは「名誉のために死ぬ=Die in the Name of Honor」という意味であり、せっかくマンドーのことを選んだグローグーがまた孤児になってしまうことを予感する。

と、ここで市長の執事長が別の方法もあると提案を始める。初めて執事長が視聴者に感謝された場面ではないだろうか。首都惑星のコルサントで教育を受けたという執事長は、交渉術に長けているとして降伏することを提案するが、ボバはこれを逆手にとって執事長に宣戦布告をさせる。

そして、ここからが『ボバ・フェット』最終回の見せ場の一つだ。ベスカーのアーマーを着たボバ・フェットとマンドーの二人が意表を突いて空から舞い降りると、フリータウンの人々、街の若い衆、クルルサンタンが次々と到着。シティガール&ボーイに田舎町の人々、いずれもタトゥイーンを守ろうとする人間か、バウンティ・ハンターとしてボバへの忠誠を誓った人間だ。

感動の再会

攻撃を仕掛けてきたパイクの撃退に成功した一同だったが、そこに現れたのはドロイデカの強化版のようなバリアを張ったドロイド。スコーぺネク・ドロイドだ。「スコーぺネク」とは「サソリ(スコーピオン)のような」という意味で、このドロイドは通商連合や独立星系連合によって使用されていたことになっているが、正史(カノン)に登場したのはこれが初めてだろう。ドロイデカは『エピソード1』からの新三部作や『クローン・ウォーズ』で登場したが、今回のドロイドはパイクが購入したものなのだろうか。

ドロイドのバリアはブラスターでもミサイルでも、そしてダークセーバーでも貫通できない。ボバは援軍を呼びにいくと飛び立つが、マンドーは命がけでドロイドの気をそらして仲間を守る。マンダロリアンの教義に則り、命をかけて戦うのだ。一方のクルルサンタンは若い衆に助けられる場面も。グラディエーター(闘技士)として戦ってきたクルルサンタンも、ここで仲間のありがたみを知ったのではないだろうか。

そしてマンドーの前に現れたのはペリ・モットー。ドロイドから逃げる中でペリはマンドーとグローグーを再会させる。R2-D2もペリにグローグーを預けて帰ったのか。そこは責任を持ってマンドーのもとまで届けてほしいところだが。

しかし、グローグーを見た瞬間のマンドーの「あっ…」という声がかわいい。再会の瞬間、グローグーはマンドーにジャンプして抱きつく。ルークとの訓練中はフォースの力を使えず、ちょっとしかジャンプすることができなかったが、この場面はフォースの力を使うことができたのだろう。

これは、ドラマ『マンダロリアン』シーズン2第5話(チャプター13)において、アソーカが石ころを使ってグローグーのフォースを引き出そうとしてもうまくいかず、マンドーがグローグーの好きなシップのパーツを使ってフォースを引き出すことに成功した場面を想起させる。ジェダイにとって愛着は忌避すべきものとされているが、グローグーにとっては愛情がフォースの力を引き出す鍵になっているのかもしれない。

感動の再会を果たした二人。「また会えるとは思ってなかった」「寂しかった」と正直な気持ちを吐露するマンドー。アーマーのことを「シャツ」と呼んでいるが、それを着るグローグーを見て嬉しそうにしている。そうこうしている間にもドロイドは追ってくるが、マンドーは転倒しても真っ先にグローグーを守る。親子である。

怪獣映画顔負けの展開に

そして、やはりボバ・フェットが呼んできたのは第3話でハットの双子から貢物として受け取ったランコアだった。ドラマ『マンダロリアン』と『ボバ・フェット』のマンドー編は漫画『子連れ狼』(1970-1976) を下敷きにしていたが、ここでは怪獣映画を意識した足音と音楽でランコアの登場シーンが彩られている。『キングコング』からの影響もあるだろう。

ボバは第3話で「ランコアに乗りたい」という無茶な希望を申し出ていたが、ここで成就することに。ランコアは物理攻撃でスコーぺネク・ドロイドを一体撃破すると、次にマンドーがダークセーバーを操ってもう一体のバリアを撃破。マンドーはマウントを取られてしまうが、ここでグローグーがフォースを発動し、間一髪のところでマンドーを助ける。

思えば『マンダロリアン』シーズン1第2話では、 グローグーはマッドホーンからマンドーを助けるためにフォースを用いた。やはりグローグーのフォースの根源には“愛着”があるように思えてならない。最終的にはスコーぺネク・ドロイドはランコアが引きちぎって撃破。旧三部作ではあんなに恐い存在だったランコアがこんなにも頼もしい存在に変わるとは……。

市街戦が繰り広げられている一陣の方では、若い衆のリーダーであるドラッシュがサイクラー・ライフルを借りて、フリータウンの女性と共闘。フェネック・シャンドがロールモデルになり、シティ・ガールとローカル・ガールのシスターフッドが実現する。ランコアの到着まで一行を守り切ると、ランコアはスコーぺネク・ドロイドとの激戦を繰り広げた末に勝利。怪獣がロボをバラバラにしてねじ伏せるという怪獣愛あふれる演出をたっぷり見せる作りになっている。

キャドとの会話が意味したこと

ランコアとの見事なコンビネーションを見せるボバだったが、そこに現れたのはキャド・ベインだった。炎を使ってランコアを撃退すると、遂にボバ・フェットとの一対一の対決が実現する。この場面でボバは「もうガキじゃない」とキャドに告げているが、『クローン・ウォーズ』で製作が計画され幻となった設定では、幼くして父のジャンゴを失ったボバをキャドが賞金稼ぎとして育てるというものがあった。これを踏襲しているとすれば、二人の因縁は相当に深いものになる。

ここでキャドはボバにスピードで勝ると主張するが、ボバは自分にはアーマーがあると主張する。これは、賞金稼ぎとして身軽に生きられるキャドと、背負うものが増えて身動きは取りづらくなったが守ってくれる仲間がいるボバの対比になっている。

なお、キャドはボバに「最後のレッスン」と言っており、やはり二人は師弟関係にあったということを示唆している。二人が使う武器も同じものが多い。そして、ボバに殺し屋としての父親の血が流れていると言い放つキャドのセリフは、「スター・ウォーズ」に通底する親子の物語を想起させる。だが、ボバは違う道を選んだし、アーマーと共にボバを救ったのはタスケン・レイダーの伝統的な武器であるダッフィだった。

自分で自分を守れないなら弱い者だと言い放ったキャドに、ボバは自分で歩んだ道で会得したダッフィを使って形成を逆転させる。歩んできた歴史で出会った人々が自分を作っていくのであり、孤独に生きてきたキャドにはボバに予期できない新しい武器などもなく、人間としての幅も広がることはなかった。最後の奇襲も工夫のない火炎放射器であり、ボバはあっけなくダッフィでキャド・ベインにとどめをさすのだった。

ラストの意味は…?

一方、怖がりなランコアはパニックに陥っていた。第3話でも調教師がランコアは凶暴なのではなく怖がりなだけだと解説していた。ここでランコアを止めようとしたのはマンドーだ。グローグーにはレイザー・クレストの操縦桿に付いていたお気に入りのボールを渡す。マンドーはレイザー・クレストを失い、グローグーと別れても、ちゃんとこのボールを肌身は出さず持っていたようである。

だがそのマンドーもランコアの前になす術なし。またも追い込まれたマンドーを助けたのはグローグーだった。フォースの力を使ってランコアを眠らせると、フォースを使ったことで疲れ切ってしまい、ランコアと一緒に眠ってしまう。

敗戦濃厚なパイクは買収したゴートラと市長を置いて逃げ出そうとしていたが、別行動をしていたフェネックが一網打尽に。ボバと違ってフェネックは容赦がない。パイクと共にタトゥイーンの街の実力者達も一掃されることになったのだった。

パイク達から街を守ったボバは人々から感謝・尊敬されるようになっていた。ボバは子ども達からメイルーラン・メロンをもらっているが、これはタスケンの集落でクリーチャーを倒してからブラック・メロンを貰えるようになった展開と同じである。ボバはこの状況に「俺たちには向いてない(似合ってない)」と謙遜するが、その視線の先にはクルルサンタンと若い衆の姿があった。

その頃、宇宙にはN-1 スターファイターに乗るマンドーの姿があった。その後ろでは通常ドロイドが入るスペースにグローグーが入り、何かをねだっている。子煩悩なマンドーはこの要求を拒否しきれず、「これで最後だぞ」と言いつつ亜高速スラスターを使用するのだった。グローグーを喜ばせるために取り付けたわけではないが。

そしてエンディングテーマは初めてフルバージョンが流れるが、この曲が「ボバ・フェット」を歌詞に使ったボバ・フェットの賛歌だったことが明らかになる。「ボーバー、フェッ!」「ボバボバボン」の歌詞はしばらく耳から離れそうにない。

そしてその後に待っていたのはミッドクレジットシーン。エンディングでボバは回復用のバクタ・タンクは使用中と話していたが、その中に入っていたのはフリータウンの保安官コブ・ヴァンスだった。そしてその隣には第4話の過去編で登場してフェネックに手術を施したサイボーグの修理士だ。

第6話でキャド・ベインに撃たれたコブだったが、まだ助けられる余地があったのだろう。ボバはフェネックの命を助けたのと同じように、ドロイドを埋め込んでサイボーグ化することでコブを助けようとしているようだ。これはコブ・ヴァンスのスピンオフを示唆しているのか、それとも『オビ=ワン・ケノービ』『アソーカ・タノ』『マンダロリアン』シーズン3と、今後公開を控えているドラマシリーズでのコブの活躍を示唆しているのだろうか。

このラストについては、こちらの記事で考察している。

『ボバ・フェット』最終回第7話考察

当初は低調な滑り出しで心配の声もあがっていたドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』だったが、最終的には素晴らしいエンディングを迎えたのではないだろうか。特に終盤3編は怒涛の展開で全員集合の展開に。振り返ればこの終わり方に向けての無駄な要素は一つもなく、それぞれのプレーヤーが輝くほどにボスとしてのボバの風格が増す作りになっていた。

第7話ではパイク・シンジゲートを退治するという『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(2021-) シーズン1のバッド・バッチもできなかった大目標を達成。ボバは裏社会どころかタトゥイーンの街全体を統治することになったようである。また、若い衆の視線を通してフェネックの株も爆上がり。ボバが老いてもフェネックがタトゥイーンを統治してくれるだろう。

何より第7話はこれまで足りていなかったアクションシーンがド派手に披露された。マンドーとボバの共闘に、マンドーのダークセーバーによるセーバーアクションも取り入れられ、対ドロイド戦に、怪獣バトルという新たな要素も「スター・ウォーズ」に加わった。

また、『ボバ・フェット』は、孤独な賞金稼ぎとして生きてきたボバ・フェットが中年にして雇用主を失い、人々の助けを借りながら更なる成長を遂げていく物語だったように思える。フェネックをはじめ、帝国の終焉と共に雇い主を失った賞金稼ぎは多い。

また、『マンダロリアン』シーズン2では、父ジャンゴのアーマーを追いかけ、ジャンゴのデータが入ったチェーンコードを大切に持っているボバの姿が描かれた。『ボバ・フェット』では、アーマーは大切にしながらも過度に父の姿を追い求めることはなく、新しく自分の組織を築いていき、それを大切にするボバの姿が描かれた。

だからこそボバは、いつまでも過去の姿と同じだとボバを見くびったキャド・ベインの想定を上回ることができたのだ。それはおそらくキャドの方が、「銀河最強の賞金稼ぎ」としてライバル視していたジャンゴ・フェットに固執していたということだろう。キャドはボバのことを“ジャンゴの息子”としてしか見ていなかったのだ。

後半戦の主役になったマンドーとグローグーについては、『ボバ・フェット』の中で決着がついたのは意外であった。『マンダロリアン』シーズン3の冒頭はマンドーとグローグーが合流した状態で始まるだろうから、『ボバ・フェット』を通らないと『マンダロリアン』の物語は理解できないということになるだろう。

一方で、グローグーがどのように決断を下したのかということと、その時のルークの反応は描かれることはなかった。グローグーにアーマーを着せてあげていたことは好印象だが、送迎をR2-D2に任せたところを見ると色んな憶測をしてしまう。きちんとグローグーのことを諦めたのかも気に掛かるし、不機嫌な感じでなければいいのだが……(グローグーに二択を迫った姿を思い出すと心配になってしまう)。

グローグーがヨーダのライトセーバーとジェダイの道を選ばなかったことに対して、ルークはどのような感情を持ったのだろうか。ルークがベン・ソロを手にかけようとした理由は、ベンの中に暗黒面を見たからだった。ジェダイで禁止されている“愛着”を選び、ダークサイドに堕ちる道を回避したグローグーとの一件は、ルークのその後に影響を与えることはなかったのだろうか。

今後、「スター・ウォーズ」ドラマでは『アソーカ』『オビ=ワン・ケノービ』などルークに近い人物のスピンオフドラマシリーズが続く。あるいは、『マンダロリアン』シーズン3や『ボバ・フェット』シーズン2があるとすれば、ルークがジェダイ・テンプルを建設しようとしているのと同時代が描かれることになるため、今回のようにその様子がカメオ的に挿入されることがあるかもしれない。

これまでのキャラを主人公に据えるところからスタートしたMCUとは異なり、「スター・ウォーズ」シリーズでは『ボバ・フェット』が初めて過去キャラ主人公のドラマ作品になり、ここからは懐かしい面々に再びスポットライトを当てる作品が続く。40年越しに主人公作品が作られた『ボバ・フェット』が開いた新たな扉を「スター・ウォーズ」はどこまで広げていくのだろうか。今後もその展開を見守っていこう。

ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』は全7話がDisney+で独占配信中。

『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(Disney+)

『ボバ・フェット』シーズン2についてはこちらの記事で。

『ボバ・フェット』各話のあらすじを簡単にまとめた記事はこちらから。

第6話の解説はこちらから。

第1話の解説はこちらから。

第2話の解説はこちらから。

第3話の解説はこちらから。

第4話の解説はこちらから。

第5話の解説はこちらから。

『マンダロリアン』シーズン3は『ボバ・フェット』と同時進行で製作されていたことが報じられている。詳しくはこちらから。

過去作品でのボバ・フェットの活躍と本作までの経緯はこちらの記事に詳しい。

ボバの“妹”であるオメガが主要キャラとして描かれるアニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は、シーズン2の配信が決定している

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』のメイキング映像も公開されている。詳細はこちらから。

アナキンの弟子であるアソーカ・タノを主人公に据えたドラマ『アソーカ』についての情報はこちらから。

『バッド・バッチ』で判明した帝国がクローンを廃止した理由についてはこちらの記事で。

『バッド・バッチ』の各話解説はこちらから。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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