第4話ネタバレ解説! ドラマ『ボバ・フェット』 『マンダロリアン』と繋がる展開が ラストの意味は? あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

第4話ネタバレ解説! ドラマ『ボバ・フェット』 『マンダロリアン』と繋がる展開が ラストの意味は? あらすじ&考察

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ドラマ『ボバ・フェット』第4話はどうなった?

Disney+で独占配信されているドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』は、アニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(2021-) に続く「スター・ウォーズ」シリーズの最新作。ドラマ『マンダロリアン』(2019-) シーズン2のラストから繋がるボバ・フェットの物語が描かれる。

「スター・ウォーズ」シリーズきっての人気キャラであるボバ・フェットの過去とその後を描くドラマ『ボバ・フェット』も、第4話で全7話の折り返し地点を迎える。タトゥイーンの裏社会に君臨したはずのボバとフェネック・シャンドは、この困難を乗り越えられるのだろうか。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』の内容に関するネタバレを含みます。

第4話「迫り来る嵐」のネタバレあらすじ&解説

あの人が登場

第3話では過去パートは少なめだったが、ショッキングな展開が待っていた。タスケンの民に受け入れられたボバ・フェットだったが、その集落はニクトのギャングによって襲撃され、皆殺しにされてしまった。第4話はその後を描く過去パートから幕を開ける。

タスケン・レイダースから与えられたパンサに乗って、亡きジャバ・ザ・ハットの跡を継いだ幹部のビブ・フォーチュナが仕切る宮殿に向かったボバ・フェット。唯一残されたパンサとは仲良くやっているようだ。野営中に謎の光を目にしたボバがそこに向かうと、倒れているフェネック・シャンドの姿を見つけたのだった。

このシーンはドラマ『マンダロリアン』シーズン1第5話のラストシーンの続きになっている。タトゥイーンの若き賞金稼ぎであるトロ・カリカンによって腹部を撃たれたフェネック・シャンドは、その場に倒れ込んだが、同話のラストには何者かがフェネックの元に現れて幕を閉じていた。

ボバ・フェットがフェネック・シャンドを連れて向かった先は、身体にドロイドを埋め込んだ若者たちがたむろする場所。予約なしでは受けないという修理士に大金を積んで、フェネックを“修理”してもらう。ドラマ『マンダロリアン』シーズン2の第6話(チャプター14)では、フェネック・シャンドがドロイドになっている腹部を開いて見せ、「私にとっての運命はボバ・フェットだった。恩義がある」と話している。

ボバはフェネックのことを知っていたようで「Master Assassin=暗殺の達人」と呼んでいる。フェネックもボバ・フェットのことを知っているらしい。有名な賞金稼ぎ同士、砂漠で救われたという経験を共有する二人。ボバは、タスケンの民がニクトに殺されたことを自分のせいだと思っているようだ。

「金は要らん」というボバだが、フェネックにファイアスプレーを取り戻す手助けをするよう求める。ファイアスプレーとは、これまでボバ・フェットと父ジャンゴが使っていた宇宙船の名前だ。かつては「スレーヴI」と呼ばれていたが、「奴隷」を意味する言葉であったため、現在(ディズニー以降)は型番の「ファイアスプレー」で呼ばれている。

ボバ・フェットは、「アーマーがなければボバだと認識されない」という理由でビブ・フォーチュナのもとに赴けないらしい。助けてもらった借りを返すため、フェネックはボバに協力することに。ボバは早速パンサを逃してあげているが、第3話でランコアを溺愛していたように、ボバは相当動物が好きなのかもしれない。

ボバ・フェットはアーマーを取り返した後、「裏切り者のブタ」を殺して玉座を手に入れるという。ビブ・フォーチュナのことだろうか。「命がけでバカどもに仕えても空しい」と言うボバは、タスケンに受け入れられたことで考え方が変わったようだ。使い捨てにされる賞金稼ぎから足を洗うことを決めたのだ。

5年が経過していた

フェネックの装置で内部の情報を手に入れた二人は、宮殿に侵入することに成功。ビブ・フォーチュナの組織の独特なドロイドたちと護衛を退け、凄腕の二人はファイアスプレーを奪還することに成功。歴戦の賞金稼ぎ同士の絶妙なコンビネーションを見せている。

生きていることを隠したいというボバ・フェット。これで時系列的には『ボバ・フェット』後を描いたシリーズでボバ・フェットの名前が出てこなかったことには説明がつく。そして、借りは返したはずのフェネックだったが、「後始末がある」というボバ・フェットに付き合うことに。コンビに手応えを感じたようだ。

ボバ・フェットはタスケンを殺したニクトをファイアスプレーで襲撃して皆殺しに。血で血を洗うヤクザ的なやり方は、“ヒーロー”ではないボバ・フェットだからこそ魅せられる展開だ。更にアーマーをなくしたサルラックの穴に向かうボバ・フェット。「何年も前に(all those years ago)」この穴にいたと話しており、この時点で数年が経過していることが分かる。

『マンダロリアン』の舞台は『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983) の約5年後。『ボバ・フェット』第4話で『マンダロリアン』シーズン1第5話に合流したことから、『ボバ・フェット』の過去編も『マンダロリアン』と同じ時期に設定されていることが分かる。ボバ・フェットは相当長い時間をタスケン・レイダースの集落で過ごしたようだ。

流石にアーマーも溶けるているのでは、と言うフェネックに、ボバは「ベスカーは溶けん」と返答する。ドラマ『マンダロリアン』でも描かれたように、マンダロリアン・アーマーの素材であるベスカーは特別に頑丈で、ライトセーバーの攻撃も防ぐことができる。『ボバ・フェット』第1話の過去編ではジャワ族がボバ・フェットのアーマーを持ち去っていたが、この時ボバは気を失っていたため、まだアーマーがここにあると思っているのだ。

ファイアスプレーごと飲み込もうとするサルラックに対し、機転をきかせたフェネックが爆弾を投じてサルラックは爆破される。なお、このシーンでは穴の近くに『エピソード6』でジャバ・ザ・ハットが乗っていたセール・バージが朽ちている。

忠誠心=royalty

穴の中に入ってでもアーマーを見つけ出そうとするボバ・フェットだったが、やはりアーマーはここにはない。それにしても酸で火傷をしながらでもアーマーを探すとは、すごい執念である。夜になるとボバはフェネックに、今の自分の考えを話し始める。

今まで「無用な殺し」を引き受け、多くの仲間を失ってきたとして、雇い主が少し考えてればもっと稼げて命も救えたと、経営者たちの甘さと杜撰さを指摘する。それがボバがファミリーを抱えようとしている理由なのだ。そしてボバは「俺たちの方が賢い」と、フェネックに共に組織を立ち上げることを提案する。起業である。

「自由でいたい」と言うフェネックの言葉は、字幕は「一匹狼」となっているが、英語では「independent contractor(個人事業主)」となっている。これに対し、ボバ・フェットは「忠誠心」を報酬として与えるとオファー。固定給ではなく成功の分け前を与えるとも。

「忠誠心」の英語は「ロイヤリティ (royalty)」であり、著作権料などの権利料の意味もある。“自由”が魅力であるフリーランスには権利料という概念が基本的には適用されない。ライターのフリーランサーを例にすると、労働の対価である原稿料は支払われるが、権利の料金である印税が支払われることは少ない。払うのは敬意だけなくロイヤリティも、というわけだ。

しかも、ボバは命をかけてフェネックを守ることも約束する。第1話の時点で、ボバはガモーリアンを忠誠心で従わせると言っていたが、それは一方通行のものではなく、雇い主と雇われる側が双方に与え合うものなのだ。

そして、ボバはタスケンとの時間によってヤワになったのではなく、「強くなった」と主張する。裏を返せば、個人を使い捨てにしていた今までの雇用者は「弱かった」ということであり、より「強い」経営に乗り出すことを示唆している。

ラストの意味は…?

そして舞台は現在編に。第4話は50分中の30分以上が過去編に費やされる回になっている。前回、雇い主には捨てられ、ボバ・フェットからは屈辱の放免となったブラック・クルルサンタンは、クラブのサンクチュアリーで酒に酔って暴れていた。そこに現れたボバ・フェットは、オーナーのガルサ・フウィップが「荒っぽさが人を魅了する時代は終わった」と言葉巧みにクルルサンタンを説得する姿を目にする。

ツケを帳消しにすることも条件に出し、なんとか説得できたかに思えたが、クルルサンタンは別の客の腕を引きちぎると、きちんとお金を払って帰ってしまう。そんな厄介者のクルルサンタンに声をかけたのはボバ・フェットだ。第3話で「クズに仕えるな」と言っていたボバは、自ら「仕事をしないか」とかつての賞金稼ぎ仲間にオファーするのだった。

宮殿ではフェネックがかつてのジャバの側近相手にビブ批判を繰り広げながらボバ・フェットに従うよう演説していた。相手は、第3話で明かされた3つの区域のリーダー達だろう。ボバは、縄張りには手を出さないこと、貢ぎ物も求めないことを約束。互いに儲かるように、win-winの関係を作ろうとしているようだ。

そして、ボバは「タトゥイーンの富を奪っている」として、迫り来るパイク軍と戦うことを提案する。批判的な態度を見せるリーダー達だったが、床に潜むランコアが彼らをビビらせて再び交渉の席につかせる。一同はランコアの真上で食事をしていたのだ。また、このシーンでは過去編でボバが宮殿で戦った小さなドロイドも登場し、今も使役していることが明かされている。

防衛同盟を組もうというボバの提案に対して自分たちのことしか考えていない一同に、ボバ・フェットはパイクとの戦いにおいても中立を貫くよう指示。一方で、ボバが戦いこの惑星に平和をもたらすと約束する。戦争を控え、仲間を増やすのではなく、敵を作らないという方向で舵をとったのだ。

そして、金はあるが兵がいないというボバ・フェットに対して、フェネック・シャンドは「兵は金で買える。当てがあればね」と返答。そしてこの時、背後ではドラマ『マンダロリアン』のテーマ曲を思わせる音楽が流れ、『ボバ・フェット』第4話は幕を閉じる。ここにきて『マンダロリアン』とのクロスオーバーということになるのだろうか。

『ボバ・フェット』第4話考察

『ボバ・フェット』第4話はフェネック・シャンドと合流するまでの過去編が中心的になっていた。これで過去編は時系列的には『マンダロリアン』シーズン1と合流したことになる。後は『マンダロリアン』シーズン2でマンダロリアンに渡ったボバのアーマーを取り戻しに出かけるところまでが過去編で描かれるのだろう。

今回の過去編で重要だったのは、ボバがタスケンとかなり長い時間を過ごしていたこと、そしてその中で一人で生きていくのは危険であり、誰かとより良い組織を作ることができると考えるに至ったことが明かされたことだ。

ボバ・フェットはそもそも賞金稼ぎとしての生き方に不満を持っていたのだろうか。ボバは父から引き継いだ二代目であり、生まれてこの方、タスケンとの日々を過ごすまでは賞金稼ぎ以外の生き方を知らなかった。フェネックも「辞め時を決められる仕事じゃない」と言っており、不満を持ちながらも足を洗えない状況が続いていたのかもしれない。

現在編においては、ボバは割とあっさりブラック・クルルサンタンを仲間に引き入れた。第3話の若者達に対してもそうだったが、突き放したり懲らしめたりするのではなく、その有り余ったパワーを活用する方向で接するボバは、やはり親分肌である。

総じてドラマ『ボバ・フェット』はフリーランス(個人事業主)だったボバがフェネックと共に、よりマシな組織を志して起業するという物語のようだ。アニメ『バッド・バッチ』では、帝国や反乱軍といった大きな組織に属さず、フリーランスであり続けることの美徳が描かれた。帝国崩壊直後と帝国成立直後という不安定な時代を舞台にした両作は、私たちにとってははるか遠い世界の話でありながら、身近なテーマの物語を届けてくれている。

パイクとの戦争を控え、ラスト3話。マンダロリアンの登場に期待しつつ、今後の展開を見守ろう。

ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』は2021年12月29日(水) より配信中。

『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(Disney+)

第5話の解説はこちらから。

第1話の解説はこちらから。

第2話の解説はこちらから。

第3話の解説はこちらから。

過去作品でのボバ・フェットの活躍と本作までの経緯はこちらの記事に詳しい。

ボバの“妹”であるオメガが主要キャラとして描かれるアニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は、シーズン2の配信が決定している

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』のメイキング映像も公開されている。詳細はこちらから。

アナキンの弟子であるアソーカ・タノを主人公に据えたドラマ『アソーカ』についての情報はこちらから。

『バッド・バッチ』で判明した帝国がクローンを廃止した理由についてはこちらの記事で。

『バッド・バッチ』の各話解説はこちらから。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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