リブート作品『仮面ライダーBLACK SUN』2022年春
名作『仮面ライダーBLACK』(1987-1988) がリブートで蘇る。2021年4月3日(土)、石森プロ・ADK EM・東映は『仮面ライダーBLACK SUN』の2022年春スタートを発表した。
仮面ライダー生誕50周年を記念して同時に発表されたのは、「エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明監督が脚本・監督を務める『シン・仮面ライダー』の2023年3月公開と、『仮面ライダーW』(2009-2010) の正統続編で「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載されている『風都探偵』(脚本 三条陸/作画 佐藤まさき) アニメ版の2022年夏配信だ。初代仮面ライダーと平成ライダーのと共に躍動するブラックの姿に期待したい。
白石和彌監督の手腕に期待
特に期待したいのは重厚なストーリーだ。リブート版『仮面ライダーBLACK SUN』の制作を指揮するのは白石和彌監督。『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(2009) で長編デビュー後、『凶悪』(2013)、『日本で一番悪い奴ら』(2016)など、社会派映画からコメディまで、“ブラック”な作品を発表してきた。白石和彌監督は『彼女がその名を知らない鳥たち』(2016) 公開の翌年にブルーリボン賞監督賞を受賞すると、『孤狼の血』『止められるか、俺たちを』『サニー/32』(2017) を発表した翌年にも同賞に輝いた。
バブルの真っ只中に生まれた『仮面ライダーBLACK』は、人間の欲望を抉り出すストーリーがその特徴であった。不完全な存在である人間を淘汰しようとする暗黒結社ゴルゴムのスポンサーは、5万年の命を持つ怪人に憧れを持つ人間たち。政治家、学者、経営者、セレブなど、社会的に地位の高い人間がゴルゴムに所属し、社会的弱者の抹殺を目指している。これらの人間はゴルゴムに対して経済的・技術的・直接的 (暴力的) 援助を行う一方で、怪人への改造手術を受けたり、逆に財政支援を受けるなど、ゴルゴムからの恩恵も受けている。また、続編『仮面ライダーBLACK RX』(1988-1989) では地球の環境破壊をテーマにしたストーリーが展開されている。
「人間の心に悪がある限り、必ず甦る」とはゴルゴムのボスである創世王のセリフだが、2022年にリブート版として甦る『仮面ライダーBLACK SUN』は、リーマンショック、3.11、コロナ禍を経験した現代日本でどのような物語を紡いでくれるのだろうか。白石和彌監督が描き出す脚本に期待しよう。
長期シリーズ化にも期待!
一方で、『仮面ライダーBLACK』の魅力は人間ドラマにもある。ゴルゴムによって改造手術を受けて世紀王ブラックサンとなった主人公・南光太郎と、同じく改造され世紀王シャドームーンになった親友・秋月信彦の悲劇の対決は、仮面ライダー同士の戦いという設定以上に、“孤独な戦士の物語”としてのドラマに更なる深みをもたらした。
これらの膨大な要素は、『仮面ライダーBLACK SUN』にどのように盛り込まれるのだろうか。『仮面ライダーBLACK SUN』の公開形態は発表されていないが、ニチアサとは異なる枠組みでのドラマ化となれば、長期シリーズ化や続編製作も期待できる。もし、通常のテレビドラマの構成であれば10話から12話になるだろう。それでも、近年のNetflixやAmazonプライムビデオ、Disney+作品を見れば、重厚なストーリーを描き出すには十分な話数とも言える。『仮面ライダーアマゾンズ』(2016-2017) のようにシーズン2への更新ということも考えられるだろう。
「仮面ライダー」シリーズとしての『仮面ライダーBLACK』の最大の特徴は、“続編”が存在するということだ。「仮面ライダーBLACK」シリーズとしては、『BLACK』の51話と『RX』の47話を合わせて全98話が制作されている。テレビで主人公を変えずに”続編”が作られたライダー作品は、今のところ『仮面ライダーBLACK』および『仮面ライダーBLACK RX』だけなのだ。リブート版『仮面ライダーBLACK SUN』でも、続編製作やシリーズ化、延いてはスピンオフの登場などにも期待したい。
『仮面ライダーBLACK』は、「仮面ライダー0号」をイメージして原点回帰が行われた作品であり、改造手術で得た力でもって悪を倒す正統派ライダーを作り直した作品。再び生まれ変わるブラックサンは、どのような物語を見せてくれるのだろうか。
『仮面ライダーBLACK』のリブート作品『仮面ライダーBLACK SUN』は2022年春始動。
『仮面ライダーBLACK』はBlu‐ray BOX