第2話ネタバレ解説! ドラマ『ボバ・フェット』タスケン・レイダーとの意外な過去が明らかに あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

第2話ネタバレ解説! ドラマ『ボバ・フェット』タスケン・レイダーとの意外な過去が明らかに あらすじ&考察

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ドラマ『ボバ・フェット』第2話はどうなった?

「スター・ウォーズ」シリーズより、最新作となるドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』が配信されている。『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980) で初登場のボバ・フェットを主人公に据えた作品で、ドラマ『マンダロリアン』(2019-) やアニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(2021-) にも登場したフェネック・シャンドがボバの相棒として活躍する。

『ボバ・フェット』第1話では、『マンダロリアン』シーズン2後のボバ・フェットの姿と共に、映画『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983) のその後の展開が描かれた。後者は今まで謎に包まれていた部分であり、タトゥイーンの砂漠での経験がボバ・フェットに大きな影響を与えたことが示唆されている。第2話ではどのような物語が描かれたのか、今回もネタバレありで各シーンを解説していく。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』第2話の内容に関するネタバレを含みます。

第2話「タトゥイーンの部族」のネタバレあらすじ&解説

刺客の正体とランコア

第1話で何者かが送り込んだ刺客を捕らえたフェネック・シャンドは、一人を捕虜にしてボバ・フェットの宮殿に連れ帰っていた。ドロイドによるとその刺客は「ナイトウィンド」に送り込まれたのだという。ここでは「伝説的な組織」とされているが、「ナイトウィンド」という名前は、正史に含まれない“レジェンズ”に分類される作品にも海賊船の名前として登場する。

ボバとフェネックは、ジャバ・ザ・ハットがやったのと同じように刺客をランコアの住む穴に落として脅しをかける。『エピソード6』ではルーク・スカイウォーカーが同じ目に遭っている。だが「スター・ウォーズ」ファンの方は知っている通り、このランコアはルークによって退治されている。ナイトウィンドの刺客は市長が自分を雇ったことを明かすが、扉の向こうにランコアの姿はなく、もぬけの殻だった。

ジャバが処刑の手段としてランコアを利用していた“残像”をうまく活用したトリックだ。おそらくボバは最初から刺客を殺すつもりはなかったのだろう。「尊敬で支配したい」と言うボバ・フェットらしい采配である。ちなみにアニメ『バッド・バッチ』ではジャバの側近であるビブ・フォーチュナが幼いランコアのムチを連れ帰っていたが、ムチはまだ生きているのだろうか。

なお、バッド・バッチのメンバーは、シドにフェネック・シャンドについて調べてもらう代わりにムチの救出作戦を引き受けている。

vs 市長

やはりボバ・フェットを狙っていたのは市長だった。刺客を引き連れて“市役所”を訪れたボバだったが、「アポはありますか」とお役所対応をされてしまう。第1話で登場した執事長を無視して市長の部屋に入ったボバとフェネック・シャンドは、まるで王様のような態度のモク・シェイーズ市長と対面する。

ここで執事長はボバを「大名」と紹介しているが、英語表記も「Daimyo」となっている。つまり市長が将軍であり、大名であるボバは市長に奉公する義務があるということだ。市長は、表社会のリーダーと裏社会のリーダーという関係ではなく、明確な主従関係を置こうとしていることがうかがえる。

市長は刺客を“ハット・スペース”の外で活動していたとしてその場で処刑してしまう。ハット・スペースとは、ジャバ・ザ・ハットと同じ種族が仕切るハット・クランの支配下にある銀河系領域のことである。

市長はボバが刺客を「連行した」として褒美をあげようとするなど、賞金稼ぎ扱いを止めようとしない。ボバは「褒美」を「貢物」として受け取ることで引き上げるが、市長は「ファミリーの統括」の困難さについてと、前回ボバ・フェットとフェネック・シャンドが訪れたサンクチュアリーへ行くよう助言を与えるのだった。どうやら市長がボバを見くびっているというだけの単純な話ではないようだ。

ハットの双子

ボバ・フェットは第1話で登場したクラブのサンクチュアリーで、オーナーのガーザ・フウィップから、「双子がいとこの遺産を求めている」と教えられる。ボバが名前をあげている惑星の「ナル・ハッタ」とは、アニメ『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』(2008-2014) に登場したハット種族の母星である。ジャバ・ザ・ハットの遺産を求めて別のハット族が襲来していることが示されているのだ。

大仰な輿に担がれて現れたのはハット族の双子。二人は自分たちがジャバの縄張りを引き継いだと主張している。ここでボバ・フェットはハット語を使っているが、ジャバ・ザ・ハットとのやり取りのために覚えたのだろうか。小説版ではボバの父であるジャンゴ・フェットがボバにハット語で話しかける場面も描かれている。

そして、双子はチューバッカを代表するウーキー族のグラディエーターを招き入れる。ウーキーは怪力だが比較的穏やかな種族だ。黒い見た目のウーキーも珍しい。死ぬ覚悟で決闘を受け入れようとするボバとフェネックだったが、双子は一旦引くことに。「気を抜くな、賞金稼ぎ」と捨て台詞を吐いているが、英語字幕は「Sleep lightly」となっており、「浅く眠れ(寝る時は浅い眠りにしておけ)」と非常に嫌な脅しをかけている。

明らかに強敵となる黒いウーキーグラディエーターの登場。さらにフェネックは「殺すには許可がいる」と、ハット・クランの存在を示唆する。ハット族で構成される犯罪集団のハット・クランは、マフィアのファミリーのようなもので、下手に手出しをすれば組織的な報復は免れない。ハット・クランはジャバの死後に衰退していくが、『ボバ・フェット』の時点ではジャバの死からまだ5年しか経っておらず、有力なファミリーの一つだったのだろう。

教え合うこと

そして過去パートへ。第1話ラストでサンドピープルことタスケン・レイダーから尊敬を勝ち取ったボバ・フェットはタスケン・レイダーの伝統的な武器であるガダッフィの使い方を教わっていた。この状況、この歳にして新しい武術を習得するとは、向上心がすごい。とはいえ、この時のボバはルーク・スカイウォーカーに敗れた直後。父の形見であるマンダロアのアーマーも奪われ、何かを変えなければという思いもあったのかもしれない。

ここで、列車のような乗り物を走らせて、謎の勢力がタスケン・レイダーを襲撃。多くのメンバーが命を落としてしまう。ボバ・フェットは手話でコミュニケーションをとり、ガダッフィとライフルを受け取って一人で列車の集団に挑むための準備を進める。ボバが向かったのは、第1話で登場したギャングのもと。ガダッフィを駆使してギャングをのしていくボバ。アーマーなしでも流石の強さだ。

ギャングからスピーダーを奪ったボバ・フェットは、バンサ(バッファローのような家畜)を殺されて移動手段を失ったタスケン・レイダーにそれを贈呈。ガダッフィの使い方を教えてもらったボバは、スピーダーの乗り方を教えてあげる。どちらの文明が上ということではなく、互いのスキルを教え合うことで、共通の敵に挑むのだ。

ボバ・フェットとタスケン・レイダーは共に与え合い、教え合う関係になったが、ここに“列車”が襲来。スピーダー4台とスナイパーで装甲の厚い列車に挑むこのシーンは、映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018) の列車強盗シーンを想起させる。タスケン・レイダーとボバはガダッフィをうまく活用して列車を攻略していくも、車掌のドロイドが逃走。ボバはガダッフィを使って列車を止め、列車の集団を捕虜にする。

ボバ・フェットのジャッジ

英雄となったボバは、すっかりボス的な存在に。尊敬を集めて支配するやり方はこの時に学んだものなのだろうか。ボバは、この集団が『クローン・ウォーズ』や『バッド・バッチ』にも登場したサンサナ・スパイスの貿易に手を出していることを見抜き、原住民であるタスケン・レイダーに通行料を支払うよう言い渡す。さながら裁判官だ。

約束を破れば10倍返しとし、この内容をシンジケートに伝えるようボバは集団のリーダーに告げる。シンジケートとは、スパイスの流通を取り仕切るパイク・シンジケートのことで、『バッド・バッチ』第13話でもリーダーのパイクが登場し、スパイスの流通をめぐる物語が繰り広げられている。

パイク・シンジケートはダース・モールが率いるシャドウ・コレクティヴとも同盟関係にあり、帝国成立数年後の映画『ハン・ソロ』では一定の勢力を誇っていた。『ボバ・フェット』の過去編はまだ帝国崩壊直後であり、今回もその存在感を示している。

郷に入っては郷に従え。ボバ・フェットは列車の集団にブラックメロンの水を頼りに砂漠を歩くよう指示する。タスケンの民はそうやって生きているということを教え、タスケン・レイダーへのリスペクトを抱かせるための策だろう。

黒装束の理由が明らかに

その夜、ボバ・フェットはタスケン・レイダーの首長からその歴史を教わっていた。海が干からびた後、他の部族が殺し合う中、隠れて生き延びたのがタスケン・レイダーなのだという。生き延びた後も、惑星外からの“機械”の脅威から隠れてきたというが、ボバはもう隠れる必要はないと助言するのだった。

ボバ・フェットは、導いてくれたお礼として、主張からトカゲ贈り物を受け取る。だがそのトカゲはボバの体内に入り込むと、ボバに幻覚を見せてアーマーのこと、父のことを思い出さつつ、一本の木のもとへと導く。その枝を持って帰ったボバ・フェットはタスケン・レイダーの装束を与えられる。『マンダロリアン』シーズン2で登場した時のボバ・フェットの黒装束はこの時に与えられたものだったのだ。

そして、持ち帰った枝は職人の指導のもと、自らの手で加工してオリジナルのガダッフィに。これまで私たちが何気なく見ていたガダッフィが、一つ一つ伝統的な製法で手作りされている様が描かれる。砂漠の装束に自分のガダッフィを手に入れたボバは、タスケン・レイダーと民族舞踊を踊り、第2話は幕を閉じる。

『エピソード6』から『マンダロリアン』での登場までに、ボバ・フェットにとっては大きな出会いがあったのだ。ここからアーマーを追うことになるであろうボバの過去編にも期待しつつ、ハットの双子が迫る現在編にも要注目だ。

ドラマ『ボバ・フェット』第2話考察

ドラマ『ボバ・フェット』第2話は、第1話とは打って変わって、前後半で現在編と過去編が描かれた。現在編ではタトゥイーンの政治社会をめぐる厄介な状況が示唆された。力で市長を封じ込めるだけではダメなのだ。

まず現れたのはジャバ・ザ・ハットの後釜を狙うハット族の双子。兵力もあり、ウーキーの戦士という切り札もある。ボバ・フェットとフェネック・シャンドはまだまだ仲間が足りない。第1話ではガモーリアンの護衛が味方についたが、第2話では新たな仲間は増えなかった。

一方で、同じタトゥイーンを舞台にして、ボバ・フェットが過去にサンドピープルことタスケン・レイダーと契りを交わしていたことは大きなヒントになる。タスケン・レイダーがボバのピンチに助太刀に現れる展開も期待できるだろう。

一方で、そもそもボバ・フェットがジャバ・ザ・ハットの玉座を引き継ごうと決意した動機についても注目したい。タスケン・レイダーを守る目的などがあるのかもしれない。父の形見であるアーマーの奪還のためにボバがタスケン・レイダーの集落を離れることは想像に難くない。だがタトゥイーンに戻ってこようと思った動機、“支配”の側に回ることにした動機については後々明かされていくことになるだろう。

そして『ボバ・フェット』第2話での描写は、サンドピープルことタスケン・レイダーの新たな一面を描くことに成功している。タスケン・レイダーは『エピソード2』でも「凶暴で知性のない怪物」と揶揄されており、原住民に対する差別な視線が注がれていた。『エピソード3』ではアナキン・スカイウォーカーの養母のシミがタスケン・レイダーに誘拐されて命を落とし、アナキンはタスケンを虐殺。アナキンは「奴らは獣だ」と言い放った。

『ボバ・フェット』第2話では、タスケン・レイダーの歴史と文化が語られ、決して一面的な存在ではないことが示された。また、ボバ・フェット自身がタスケンを従えるのではなく、その文化に受け入れてもらうことで、これまでの「スター・ウォーズ」のメインキャラクター達とタスケン・レイダーの間にあった壁を丁寧に取り壊している。

どんな相手でもリストペクトを持って対等に接するボバ・フェット。フェネック・シャンドもまた、そんな人物だからこそついていくのだろう。全7話の中盤にさしかかる第3話では、どのような出会いが待っているのだろうか。配信を楽しみに待とう。

ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』は2021年12月29日(水) より配信開始。

『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(Disney+)

第3話の解説はこちらから。

第1話の解説はこちらから。

過去作品でのボバ・フェットの活躍と本作までの経緯はこちらの記事に詳しい。

ボバの“妹”であるオメガが主要キャラとして描かれるアニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』は、シーズン2の配信が決定している

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』のメイキング映像も公開されている。詳細はこちらから。

アナキンの弟子であるアソーカ・タノを主人公に据えたドラマ『アソーカ』についての情報はこちらから。

『バッド・バッチ』で判明した帝国がクローンを廃止した理由についてはこちらの記事で。

『バッド・バッチ』の各話解説はこちらから。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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