新予告編公開『デッドプール&ウルヴァリン』 ウルヴァリンは機能不全? 本当の要注意人物は誰? 解説&考察 | VG+ (バゴプラ)

新予告編公開『デッドプール&ウルヴァリン』 ウルヴァリンは機能不全? 本当の要注意人物は誰? 解説&考察

©2024 Marvel

新ポスターも公開! 『デッドプール&ウルヴァリン』予告編解説&考察

2024年に公開される唯一のMCU作品である『デッドプール&ウルヴァリン』が7月26日(金)に日米同時公開される。その新予告編が2024年4月22日(月)に公開された。そこでは、これまでの予告編では不明瞭だったヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンの姿がはっきりと映し出され、何故ウルヴァリンとデッドプールが組むことになったのかも一部明らかにされた。

それでもすべては明かされず、考察の余地が残されたものとなっている『デッドプール&ウルヴァリン』の新予告編。本記事では2024年4月22日(月)に公開された新予告編の考察と解説をしていこう。なお、本記事は原作コミックなどからの考察や解説を含むため、情報を一切入れずに楽しみたいという方は注意してほしい。

誰にも歓迎されないウルヴァリンと勧誘するデッドプール

予告編はバーカウンターで、1人深酒をしているウルヴァリンから始まる。しかし、バーテンダーからは歓迎ムードではない。久しぶりの「X-MEN」の再起動で、ミュータントが社会から差別されていることを思い出させる演出だ。「お前は出禁だ。さっさと出てけ」とまで言われてしまうウルヴァリンだったが、1杯の酒を貰えれば帰るというなど、完全に酒浸りになっていることがわかる。

バーテンダーとウルヴァリンの間に割って入ったのが、デッドプールだった。デッドプールはウルヴァリンを親しげに「おチビちゃん(Peanut)」と呼び、ウルヴァリンが必要だと語るが、ウルヴァリンはデッドプールのことを「お嬢さん」と呼び、誘いの言葉を突き返す。そのようなウルヴァリンを急かして立ち上がらせるデッドプールだったが、ウルヴァリンはアダマンチウムの爪でデッドプールを引き裂こうとする。

しかし、ウルヴァリンの爪は僅かしか出てこない。世捨て人となったウルヴァリンの爪が加齢で出てこなくなるのは、『LOGAN/ローガン』(2017)でも見られた症状だ。酒浸りの様子とひっかけて、デッドプールは「かわいい爪チ○コ(Whiskey Dick、インポテンツに関するスラングの1つ)」と呼ぶ。ちなみにピーナッツも男性器のスラングである。デッドプールはウルヴァリンの名前の由来となったグズリとひっかけて「中年ウルヴァリンあるあるだ」と茶化す。

デッドプールは額に銃を突きつける。そうして「おでこで深呼吸したくなきゃ、話を聞け」とデッドプールは脅すが、ウルヴァリンはそのようなことには怯むことはなく、それどころか笑みを浮かべて銃口を自分の額に寄せるのだった。

ウルヴァリンは自分の時間軸を消滅させた?

ウルヴァリンとデッドプールは『ロキ』(2021-2023)で登場した虚無の世界にいた。虚無の世界は『ロキ』で時間軸を管理するTVAによって剪定されてしまった時間軸の変異体たちが向かう場所だ。もしかすると、ウルヴァリンとデッドプールの時間軸は神聖時間軸ではないとして剪定されてしまったと考察できる。

だが、そうなると矛盾が生じる。TVAはロキによって変えられ、神聖時間軸以外も時間軸は守られるようになったはずだ。原作コミック寄りの黄色のコスチュームを着たウルヴァリンに対して、デッドプールは「このままじゃ大切なもの全てを失う」と怒鳴るが、ウルヴァリンは「知るかクソ」と返す。デッドプールは返す刀で「お前の世界にもクソって言ったのか?」と詰め寄る。

その後、TVAの施設ではパラドックスが「この男は世界を救えなかった」と語っていることから、このウルヴァリンは何か大きな問題を起こして時間軸を消滅させてしまったようだ。時間軸を消滅させるようなこととは何なのだろうか。考察の余地のある展開だ。

20世紀FOXは虚無の世界に?

虚無の世界でウルヴァリンとデッドプールは戦うが、その背景には20世紀FOXのロゴが映っている。そのことから20世紀FOX版「X-MEN」シリーズの世界が剪定されたと考察できる。ウルヴァリンがデッドプールの股間を突き刺すのは「デッドプール」シリーズらしい演出だ。デッドプールが脇腹に銃を連射するのはヒーリングファクター(回復能力)のミュータント同士の戦いに相応しい戦術だと考察できる。

また、カフェでウルヴァリンとデッドプールが話すときに、デッドプールはウルヴァリンのトラウマについて本人が話すのを待つべきか、それとも回想シーンという演出を待つべきか尋ねている。ウルヴァリンはそれに苛立っているが、回想シーンという映画の演出を待つなど、デッドプールは新予告編でも第4の壁を破っている。

ウルヴァリンこそX-MEN

デッドプールは誕生日パーティーの写真を見せ、「俺は世界の救い方を知らないが、お前は知ってる」と説得する。「俺はヒーローじゃない」と語るウルヴァリンだったが、デッドプールは「お前は元X-MEN。お前こそ元X-MEN」と説き続ける。

この場面でウルヴァリンはスーツの袖を引きちぎっているが、実はこれまでの20世紀FOX版「X-MEN」シリーズではウルヴァリンはタンクトップであることが多い。これは黄色い原作コミック寄りのコスチュームに身を包んでいても、ウルヴァリンのタンクトップとヒュー・ジャックマンの腕の筋肉を強調していると考察できる。

デッドプールは『デッドプール2』(2018)でX-MENに一時加入しており、そこから脱退させらた際に、代わりのチームとしてX-フォースを結成している。そのデッドプールの言葉だからより重たい。そうしてウルヴァリンはアダマンチウムの爪を伸ばすのだった。

メインヴィランは誰?

ここで『デッドプール&ウルヴァリン』のメインヴィランの登場だ。スキンヘッドの女性はカサンドラ・ノヴァだと考察できる。カサンドラ・ノヴァはプロフェッサーXが母胎にいるときから誕生を阻止しようとした双子の妹だ。誕生を阻止した理由は、カサンドラ・ノヴァがミュータント絶滅を目論む邪悪な存在だからだ。新予告編では「バカな子たち」と言い、紅茶を飲むなど演出面から彼女の性格を考察できる。

また、『ロキ』で登場した紫色の煙の姿をした怪物のアライオスも登場している。『ロキ』のシーズン1でクラシック・ロキの決死の攻撃で消えたと思われたアライオスだったが、まだ生き残っていたようだ。アントマン(巨大化しているのでジャイアントマン)の頭蓋骨とヘルメットなども登場している。

『マッドマックス:怒りのデス・ロード』(2015)のパロディらしき場面も登場している。「マッドマックス」の最新作の『マッドマックス:フュリオサ』にMCUでマイティ・ソーを演じたクリス・ヘムズワースが暴君ディメンタス将軍役で出演しており、『デッドプール&ウルヴァリン』ではソーがデッドプールを抱きかかえて泣くというカメオ出演しているという情報もあるため、それを踏まえた演出とも考察できる。

他にもスローモーションの大アクションや先の読めないストーリーに関して「夢が叶った」というなど、第4の壁を破るジョークが多い。ちなみにこの場面では『X-MEN2』(2003)に登場したアダマンチウムの爪を持つレディ・デスストライク、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011)に登場したテレポーテーション能力を持つ悪魔のような容姿のアザゼル、そして以前の予告にも登場した発火能力を持つパイロが登場している。

ジャイアントマンの頭蓋骨からドクター・ストレンジたち魔術師がつくるポータルへとデッドプールとウルヴァリンが飛び込むが、その先には何が待っているのだろうか。アライオスやウルヴァリンをサイコキネシスでねじ伏せるカサンドラ・ノヴァらしき人物など、メインヴィラン級の敵が多数登場するため、その先に何が待ち受けているのか考察は尽きない。

本当の要注意人物はアル?

新予告編の最後ではデッドプールがアルからコカインを進められている。しかし、コカインはケビン・ファイギから禁止されていると第4の壁を破るジョークをデッドプールが飛ばす。ケビン・ファイギはFワードは許したようだが、流石にコカインはディズニー社からNGが出たようだ。

その後、ボリビアン・マーチング・パウダー、スノーボード、ディスコ粉、白い17歳のカルテ、フォレスト・バンプとコカインの隠語を列挙していく。そして『アナと雪の女王』(2013)の名曲「雪だるまつくろう?」とコカインをひっかけるギリギリのジョークまで飛ばしている。これは雪だるま(Snowman)と薬物の売人をかけたジョークだ。酒浸りのウルヴァリンに要注意人物のアルと20世紀FOX版「X-MEN」シリーズとMCUをどのように繋げるのか期待が尽きない。

『デッドプール&ウルヴァリン』は2024年7月26日(金)より日米同時公開。

『デッドプール&ウルヴァリン』公式サイト

『デッドプール』はBlu-rayコレクションが発売中。

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『X-MEN:ファイナル ディシジョン』はAmazonなどで配信中。

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『デッドプール&ウルヴァリン』と『ロキ』の繋がりについての解説&考察はこちらの記事で。

『デッドプール&ウルヴァリン』ヴィラン予想と考察はこちらから。

『デッドプール&ウルヴァリン』のタイトル変更についての考察はこちらの記事で。

『デッドプール&ウルヴァリン』と「X-MEN」シリーズのつながりについての考察はこちらの記事で。

 

ウルヴァリンが登場した過去作品のおさらいはこちらの記事で。

ヒュー・ジャックマンが語った『デッドプール&ウルヴァリン』の時系列についてはこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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