ネタバレ解説『ソー:ラブ&サンダー』『ミズ・マーベル』の時系列は? MCUフェーズ4のタイムラインを解説 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『ソー:ラブ&サンダー』『ミズ・マーベル』の時系列は? MCUフェーズ4のタイムラインを解説

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映画『ソー:ラブ&サンダー』とドラマ『ミズ・マーベル』時系列は?

MCUフェーズ4は2022年7月8日(金) に映画『ソー:ラブ&サンダー』が公開。6月8日(水) にはDisney+でドラマ『ミズ・マーベル』の配信が始まり、7月6日(水) に最終話となる第6話が配信された。8月10日(水) には短編シリーズ『アイ・アム・グルート(原題)』、8月17日(水) にはドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』の配信も控える。

今回は、ここで一旦MCUフェーズ4の時系列(タイムライン)を整理しておきたい。先に『ソー:ラブ&サンダー』の舞台となった時期を確認し、次に『ミズ・マーベル』の舞台になった時期を解説する。最後に『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) 以降の出来事を時系列に紹介していく。以下の内容は、各作品のネタバレを含むので注意していただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ソー:ラブ&サンダー』の内容に関するネタバレを含みます。

映画『ソー:ラブ&サンダー』の時系列は?

ソーとジェーンの会話に注目

映画『ソー:ラブ&サンダー』の冒頭では、ソーが『エンドゲーム』でガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに加わった後の姿が描かれる。もちろん『エンドゲーム』後の物語ということは確定しているのだが、問題はソーが旅立ってからどれくらいの時間が経ったのか、ということだ。これは、ソーがどれくらいの時間をガーディアンズメンバーと過ごしたのかという問いに直結する。

まず、『ラブ&サンダー』を手掛けたタイカ・ワイティティ監督は、英TotalFilm誌で本作の舞台になった時期について「(エンドゲームから)何年かは過ぎていると思いますよ。多分4年。合ってます?」と発言している。『エンドゲーム』の出来事が2023年10月なので、4年後なら2027年ということになる。不明瞭な言い方ではあるが、それなりの時間が過ぎていることは確かなようだ。

そして、『ラブ&サンダー』の舞台になった時期を把握するための最大のヒントは劇中にある。それはジェーンとソーがニューアスガルドで再開を果たした時のこと。再会を「3、4年ぶり?」と聞くジェーンに、ソーは即座に「8年7ヶ月と6日だ」と訂正する。二人の認識に5年もの差がある理由は、ジェーンがサノスの指パッチンで消えていたからだろう(『エンドゲーム』では、指パッチンで消えた人のデータの中にジェーンのプロフィールが表示されていた)。

そして、二人が別れた時期は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015) と『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017) の間の出来事と考えられる。2015年が舞台の『エイジ・オブ・ウルトロン』では、ソーはジェーンについて「ノーベル賞級の研究で忙しい」と不在の理由を話している。

『ラブ&サンダー』ではジェーンの多忙さと、ソーがそれを支えられなかったことが別れの原因として描かれている。しかし、2015年の時点ではソーはペッパーの自慢をするトニーに対し「ジェーンの勝ち」と誇っており、二人はまだ良好な関係にあることが窺える。

2017年が舞台の『バトルロイヤル』では、ソーはニューヨークのファンから「ジェーンに振られてお気の毒に」と声をかけられており、二人が2015年から2017年の間に別れたということは明らか。ソーの言う通り、二人が別れてから8年と7ヶ月後が経過しているということならば、『ラブ&サンダー』の舞台はおおよそ2024年から2026年の間、少なくとも2027年よりも前ということになる。

タイカ・ワイティティ監督が示した2027年よりは前の時期になるが、同監督の2023年10月が舞台の『エンドゲーム』から「何年か(a number of years)は過ぎている」という発言から、2024年や2025年が舞台ということはないだろう(1、2年しか経っていないなら「a few years」と言うはずだ)。あくまで予想になってしまうが、以上の情報から『ソー:ラブ&サンダー』の舞台は大体2026年頃と考えられる。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」にも注目

それにしても、ソーとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは3〜4年も共に活動していたということになる。『ラブ&サンダー』ではその辺りの物語が一瞬で過ぎ去ってしまった。そこにはどんな冒険があったのか、描き直すスピンオフも観てみたい。

なお、ジェームズ・ガン監督は2023年5月5日米公開予定の映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3(原題)』は『ソー:ラブ&サンダー』の後の話になることを認めている。2021年5月に自身のInstagramのストーリーでファンからの質問に回答する形で発信した。するとこちらも2026年以降の物語ということになりそうだ。

ソーとの別れはチームに影響を与えたのか、また、ソーとの再会はあるのか、その展開に注目したい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ミズ・マーベル』の内容に関する若干のネタバレを含みます。

ドラマ『ミズ・マーベル』の時系列は?

イードの開催で分かること

『ソー:ラブ&サンダー』と同時期の公開になったドラマ『ミズ・マーベル』は、地球を舞台にしていたこともあり、時系列が比較的分かりやすい。まず、第1話でカマラ・カーンは『エンドゲーム』での出来事を紹介しているため、2023年以降であることは確実。また、Disney+では「MCU 時系列」と表記された時系列順に作品を並べるリストがあるが、『ミズ・マーベル』は2024年12月が舞台になったドラマ『ホークアイ』(2021) よりも後に置かれている。

『ミズ・マーベル』の舞台は『ホークアイ』の舞台だったニューヨークの隣州であるニュージャージーなので、気候は大きくは変わらない。『ミズ・マーベル』の登場人物の服装を見ても厚着はしておらず、春か秋の格好をしている。カマラはムスリムであるため露出が少ない格好をしているが、アベンジャー・コンに参加した人々の中には冬には厳しいであろう露出度の高いコスチュームの人も多い。

そして、季節が決定的になるのは、第2話でのこと。カマラがブルーノをイードに誘うのだ。イードの開催時期はヒジュラ暦(イスラム暦)で数えられるため毎年異なる月になる。また、イードは年に二回開催され、一度はラマダン(断食)明けを祝う「イード・アル・フェトル」で、もう一度はその約2ヶ月後に神様へ牛や羊を捧げる祭りとして開催される「イード・アル・アドハー」だ。『ミズ・マーベル』の舞台が『ホークアイ』の翌年にあたる2025年ならば、前者のイードは3月30日〜31日に開催され、後者のイードは6月6日〜7日にかけて開催される。

第2話でイードに誘われたブルーノの反応は、日本語では「イードのお祭り?」となっているが、英語では「またイードあるの? (Is it Eid again?)」となっており、ついこの間もイードに誘われたという口ぶりだ。また、第2話で描かれるイードの前にはカーン家の人々は断食しておらず、今回のイードがラマダン明けの「イード・アル・フェトル」の約2ヶ月後に開催される断食とは関係のない「イード・アル・アドハー」であることが示されている。

『ミズ・マーベル』の舞台が6月初旬ということであれば、人々の服装がバラバラであることにも説明がつく。ここまでの要素で『ミズ・マーベル』の舞台は2025年以降の6月であることがお分かりいただけただろう。

プロデューサーのコメントは?

加えて、本作のプロデューサーであり、原作コミックの編集者でもあるサナ・アマメトは、米The Directにこう語っている。

『エンドゲーム』から何年経ったか、今はまだ正式な数字は示していないんです。私がそれを言ってしまうと(全体を)ダメにしてしまうので、この場で教えることはできません。何となく、(『エンドゲーム』から)1〜2年たったかなという感じです。はっきりは覚えてませんけどね。私たちのタイムラインの中では決まっています。

2023年10月が舞台だった『エンドゲーム』から1〜2年が経過したことを示唆している。2025年6月であれば、1年8ヶ月が経過していることになるので、公式な発表はないとはいえ、『ミズ・マーベル』の舞台は2025年6月と見てほぼ間違いないだろう。

ネタバレ注意
以下の内容は、MCUフェーズ4全作品の内容に関するネタバレを含みます。

MCUフェーズ4の時系列をおさらい

最後にMCUフェーズ4の時系列をおさらいしていこう。ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) は、モニカが指パッチン復帰から3週間で職務復帰を果たしている描写があるため、2023年11月が舞台ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) はサムの職務復帰から半年が経過したことが示されており、2024年4月〜5月が舞台ということになる。両作のタイムラインはこちらの記事で解説している。

ドラマ『ロキ』(2021)『エンドゲーム』における2023年10月の“タイム泥棒作戦”をきっかけに、時間の流れが異なるTVAが舞台になっている。映画『ブラック・ウィドウ』(2021) は過去編にあたり、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) 中の出来事になっている。『ブラック・ウィドウ』のタイムライン解説はこちらの記事で。

映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021) は清明節の日(4月5日)にター・ローの村への道が開かれている。ミッドクレジットシーンに登場するハルクことブルース・バナーの怪我が癒えていないため2024年の出来事だと推測でき、2024年3月〜4月が舞台だと考えられる。

映画『エターナルズ』(2021) については、プロデューサーのネイト・ムーアがフェーズ3の『スパイダーマン :ファー・フロム・ホーム』(2019) と同じ時期と発言している。『ファー・フロム・ホーム』では人口復活の翌年、夏休みに入ったばかりの時期の修学旅行が描かれており、『エターナルズ』の舞台は2024年6月であることが分かる。

ドラマ『ホークアイ』はリース・トーマス監督が自身のTwitterで「2024年です」と明言。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) は『ファー・フロム・ホーム』の直後からピーターらの受験が描かれ、その冬のピーターの姿が描かれるため、両作のラストは同じ2024年12月が舞台ということになる。

『シャン・チー』から『ホークアイ』にかけてのタイムラインはこちらで詳しく解説している。

各作品でのピーター・パーカーの学年とタイムラインの解説はこちらの記事に詳しい。アメリカの高校は4年制なので要注意だ。

難しいのは『MoM』と『ムーンナイト』

問題は、映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)ドラマ『ムーンナイト』(2022) について。両作は時期についてのヒントが極端に少なく、今のところ製作陣もその時期について明らかにしていない。頼れるのはDisney+の時系列順の表記のみだ。

まず、『マルチバース・オブ・マッドネス』については、Disney+の時系列順の表記では『ホークアイ』よりも前に置かれている。つまり2024年12月よりも前の出来事ということである。確かに、『マルチバース・オブ・マッドネス』ではニューヨークの街路樹が紅葉していたり、ラストでストレンジがマフラーをしていたりと、秋っぽい雰囲気はある。

Disney+では配信されていない『ノー・ウェイ・ホーム』との接続が気になるが、『ノー・ウェイ・ホーム』のメインの事件は7〜10月頃に起きていて、最後にピーターが街に繰り出す描写だけが12月なのだとすれば、『マルチバース・オブ・マッドネス』がマルチバースの扉解放の後、『ホークアイ』の前という時系列であることにも説明が付く。

そして、ドラマ『ムーンナイト』は、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に登場したGRCの看板が見られた以外のヒントはなかった。しかし、Disney+の時系列順では『ホークアイ』の後、『ミズ・マーベル』の前に設定されているため、2025年1月〜6月の間の出来事であることが分かる。また、登場人物の服装的には春頃であることが窺える。

以上のデータを並べると、時系列順に並べると以下のようになる。

MCUフェーズ4のタイムライン

2023年10月 『アベンジャーズ/エンドゲーム』で人口復活
2023年10月 『ロキ』で神聖時間軸が崩壊
2023年11月 『ワンダヴィジョン』のワンダ事変
2024年4月 『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』でサムがキャプテン・アメリカに
2024年4月 『シャン・チー/テン・リングスの伝説』でテン・リングス復活
2024年6月 『エターナルズ』でティアマット《出現》未遂
2024年6月 『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でスパイダーマンの正体暴露
2024年7-11月 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でマルチバースの扉を開閉
2024年秋  『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』でワンダ封印
2024年12月 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ラストでピーターが街に繰り出す
2024年12月 『ホークアイ』で二代目ホークアイ誕生
2025年春  『ムーンナイト』でアメミット復活&封印
2025年6月 『ミズ・マーベル』でミズ・マーベル誕生
2026年?  『ソー:ラブ&サンダー』でソーとジェーンが再会

『ラブ&サンダー』と『ミズ・マーベル』以降のMCUは、8月17日(水)配信のドラマ『シー・ハルク』11月11日(金)米公開の映画『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』と続く。『シー・ハルク』の予告では腕が完治した様子のハルクの姿も見られた。2023年2月17日(金)米公開の『アントマン&ワスプ:クアントゥマニア(原題)』では『ロキ』で紹介された征服者カーンがヴィランとして登場する。

『ラブ&サンダー』のその後が描かれる『ガーディアンズ・オブ・ギャクシー Vol.3』は2023年5月5日(金)米公開。その後に控える2023年7月28日(金)米公開の『ザ・マーベルズ(原題)』は、『ミズ・マーベル』から繋がる作品になる。

多くの物語が同時進行しているフェーズ4にあっては、あえて各作品の時期をぼかしている部分もあるのだろう。それでも、プロデューサーのサナ・アマメトが「私たちのタイムラインの中では決まっています」と言う通り、製作陣の中ではカレンダーはある程度定まっていると見られる。正式な時期がどこかのタイミングで発表されることにも期待しよう。

ドラマ『ミズ・マーベル』は全6話がDisney+で独占配信中。

『ミズ・マーベル』(Disney+)

映画『ソー:ラブ&サンダー』は全国の劇場で公開中。

『ソー:ラブ&サンダー』公式サイト

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『ソー:ラブ&サンダー』ラストからポストクレジットにかけての解説はこちらから。

タイカ・ワイティティ監督が語るミッドクレジットシーンの意図はこちらから。

『ミズ・マーベル』最終話の解説はこちらの記事で。

『ミズ・マーベル』最終話で発覚した衝撃の展開についての解説&考察はこちらの記事で。

8月10日(水)配信開始の短編シリーズ『アイ・アム・グルート』についてはこちらから。

8月17日(水) から配信開始のドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』の予告解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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