『ソー:ラブ&サンダー』ミッドクレジットに注目
映画『ソー:ラブ&サンダー』が2022年7月8日(金) より劇場公開された。2022年公開MCU映画としては『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に続く2作目(『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は2021年12月米公開)で、ドラマ作品も合わせると『ムーンナイト』『ミズ・マーベル』に続く4作目になる。
その中でも特にポップでカラフルな作品に仕上がった『ソー:ラブ&サンダー』。その作風はもちろんタイカ・ワイティティ監督の手腕によるところが大きい。前作『マイティ・ソー:バトルロイヤル』(2017) 以降、「ソー」シリーズのイメージをすっかり変えてしまったタイカ・ワイティティ監督だが、実は『ラブ&サンダー』のミッドクレジットシーンでは、ある人の意向を取り入れていたという。
以下の内容は、映画『ソー:ラブ&サンダー』の内容に関するネタバレを含みます。
タイカ・ワイティティ監督が語る
タイカ・ワイティティ監督が米Uproxxのインタビューで語ったのは、『ソー:ラブ&サンダー』のミッドクレジットシーンについて。死んだかに思われていたラッセル・クロウ演じるゼウスが生きていたことが分かり、人間が神ではなくスーパーヒーローを敬うようになったことにゼウスが怒っている様子が映し出される。そして、ゼウスは自分の息子にソー討伐の指示を出すのだ。
この命を受けて立ち上がるのはブレット・ゴールドスタイン演じるヘラクレス。日本では「ハーキュリーズ」と訳されてきたが、MCU版では「ヘラクレス」で統一するようだ。原作コミックでは1965年に登場したヘラクレスが57年の時を経て実写化され、『ソー:ラブ&サンダー』のミッドクレジットシーンは幕を閉じる。
新たな神をMCUに紹介すたこのミッドクレジットにについて、タイカ・ワイティティ監督は、背後にマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギの意向があったことを明かしている。
ケヴィンは本当に彼に演じてほしかったようです。ブレットは素晴らしいですよ。見事でした。
一方で、今後ヘラクレスが「ソー」のシリーズで再登場するかどうかについては、タイカ・ワイティティ監督には分かっていないという。
(ヘラクレスが)ソーと何かをやるのかどうか、やるとしてどんな風になるのかは私には分かりません。なぜならヘラクレスは様々なコミックに登場しているキャラですから。ケヴィンは明白にこの一件の首謀者であり、今後どのような結びつきと出会いが待っているのか、混ざり合っていくのか、興味深いところですね。私自身も知りたいと思っています。
あのミッドクレジットシーンについては、完全に主導権を手放していたかのようなコメントである。『ソー:ラブ&サンダー』のミッドクレジットは「明白」にケヴィン・ファイギの意向が取り入れられていたようだ。
ケヴィン・ファイギの考え方
実は、クロエ・ジャオ監督が指揮をとった映画『エターナルズ』も、その結末はケヴィン・ファイギの提案で変更されている。クロエ・ジャオ監督は当初「世界が救われてハッピーエンド」という終わり方を構想していたが、「行動には結果が伴う」というケヴィン・ファイギの考えを取り入れたことを明かしている。
『ソー:ラブ&サンダー』においては、通常のエンディングはソーとその娘が幸せそうに暮らすハッピーエンドが用意されていた。さらにエンドロール後のポストクレジットシーンでは死んだジェーン・フォスターでさえ“ヴァルハラ”へ行くハッピーエンドだった。
唯一ミッドクレジットシーンのみが、ソーがサンダーボルトを奪ったゼウスが息子を送り込むという不穏な展開に。娘と共に暮らすことになったソーが、攻撃した相手の息子から狙われるという何とも言えない構図だ。ミッドクレジットシーンがエンディング&ポストクレジットシーンと方向性が違う理由は、ハッピーエンドを求めるタイカ・ワイティティ監督と、「行動には結果が伴う」という信念を持つケヴィン・ファイギの意向の違いが現れていると考えることもできるだろう。
ヘラクレスの今後は?
それでも、タイカ・ワイティティ監督はヘラクレスの登場は上々の評価を得ていることも明かしている。ヘラクレスを演じたブレット・ゴールドスタインは、Apple TV+のコメディドラマ『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』(2020-) で演じたロイ・ケント役で高い人気を集めていたのだ。
(ミッドクレジットが)流れた時、人々は熱狂していて最高にクールな瞬間でした。とても興奮していました。
さすがはケヴィン・ファイギの肝煎でヘラクレスを演じただけのことはある。上々の滑り出しでファンに受け入れられたブレット・ゴールドスタイン演じるヘラクレスは、今後のMCUで活躍するキャラクターの一人になりそうだ。
ヘラクレスは、タイカ・ワイティティ監督が触れたようにコミック版では様々なキャラクターと親交を持つ人物。デッドプールやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーらとの関係も深く、様々な作品で登場する可能性がある。
とりわけ、韓国系アメリカ人でハルクの力を引き継ぐアマデウス・チョウとの関係は深い。チョウは『アメイジング・ヘラクレス(原題)』などでヘラクレスのサイドキックとして活躍する。
2023年7月米公開の映画『ザ・マーベルズ(原題)』には韓国のスター俳優パク・ソジュンの出演が決定しており、アマデウス・チョウを演じるのではという予想もある。
そうなれば、原作コミックと同じくヘラクレスとアマデウス・チョウのコンビがMCUでも見られるかもしれない。また、原作コミックではゼウスの妻はヘラである。ヘラクレスはヘラの子どもではないのだが、もし「ゼウスの妻=ヘラ」の設定だけがMCUに引き継がれるなら、ヘラクレスはソーの甥っ子だったという展開もあり得る。→ゼウスの妻ヘラ (Hera) とソーの姉のヘラ (Hela) は別人物とのご指摘をいただきました。訂正してお詫びいたします。
タイカ・ワイティティ監督も「分からない」と話すヘラクレスの今後。原作ではソーとは親友であり、アベンジャーズにも参戦するため、最後には味方になる可能性は高い。次はどんな作品でその姿を見ることができるのか、再登場を楽しみに待とう。
映画『ソー:ラブ&サンダー』は2022年7月8日(金)劇場公開。
ジェーン・フォスターのソーの活躍が描かれる『ソー:ゴッデス・オブ・サンダー』は和訳が発売中。
『ソー:ラブ&サンダー』オリジナルサウンドトラックは発売中。
Source
Uproxx
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