“超人法”って?『シー・ハルク:ザ・アトーニー』考察 デアデビルとスパイダーマンにも注目 | VG+ (バゴプラ)

“超人法”って?『シー・ハルク:ザ・アトーニー』考察 デアデビルとスパイダーマンにも注目

© 2022 Marvel

『シー・ハルク』“超人法に”注目

MCUドラマ第7作目『シー・ハルク:ザ・アトーニー』が2022年8月17日(水)より配信を開始することが明らかになった。ドラマ『シー・ハルク』は、MCUでは『インクレディブル・ハルク』(2008) 以来、実に14年ぶりにタイトルに「ハルク」を冠した作品。カナダ出身でSFドラマ『オーファン・ブラック 暴走遺伝子』(2013-2017) でプライムタイム・エミー賞俳優賞主演女優賞ドラマ部門を受賞したタチアナ・マスラニーが主演を務める。

日本時間の2022年5月18日(水) には公式予告が公開され、既に出演が明かされていたハルク役のマーク・ラファロ以外に、ティム・ロスがアボミネーション/エミル・ブロンスキー役、ベネディクト・ウォンがウォン役で出演することも明かされた。

加えて、気になったのはこの予告編の中で「超人法 (Superhuman Law)」という言葉が使われたことだ。主人公のジェニファー・ウォルターズはロサンゼルスを拠点にする弁護士で、交通事故をきっかけにハルクに似た力に目覚める。「普通の弁護士でいたい」と話すジェニファーだが、予告編では「超人法専門の部署を新設した。君にはその顔になってほしい」と頼まれている。

“超人法”は、マーベルのコミックファンならピンとくるワードだろう。原作コミックでは「超人登録法 (Superhuman Registration Act)」が登場する。スーパーパワーを持つ人々を登録制にしてヒーロー活動を国家が管理しようという法律だ。

原作コミックでは超人登録法はスーパーヒーロー達を二分するシビル・ウォーの原因になるのだが、MCUではアベンジャーズを国連の管理下に置く“ソコヴィア協定”がその役割を果たした。権力者が認める正義に従い被害を抑えるのか、自分の責任で自分が信じる正義に従うのかで、アイアンマンチームとキャプテン・アメリカチームが衝突したのが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) だった。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ムーンナイト』までのMCUフェーズ4作品の内容に関するネタバレを含みます。

『シー・ハルク』の舞台はいつ?

今回、『シー・ハルク:ザ・アトーニー』で言及されたのは“超人登録法”のことではなく、法律事務所のGLK&H内に、超人弁護を扱う法律部門 (Superhuman Law Division) が設置されるという話のようである。原作コミックのシー・ハルクもこの部署でスーパーパワーを持つ人々のケースを担当しており、2004年から2005年に刊行されたシリーズのサブタイトルも「Superhuman Law」になっている。

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ただし、予告編の映像の日本語字幕は「超人法専門の部署」となっているため、MCUの世界で“超人法”が成立した可能性もあるだろう。そうであれば、気になるのはなぜソコヴィア協定から数年経ち、超人法の制定(あるいは超人弁護専門の部署の設立)が進められたのかということだ。

初めてソコヴィア協定について触れられた『シビル・ウォー』は2016年を舞台にしていたが、『シー・ハルク:ザ・アトーニー』の舞台は少なくとも『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) の2018年以降だと考えられる。ハルクが地球におり、自分で感情をコントロールできているからだ。

ただし、ハルクの右腕は負傷しておらず、大怪我を負った『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) の舞台である2023年以前なのか、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021) の舞台だった2024年4月以降で怪我が完治したのかは判断はつかない。なお、『シャン・チー』ではブルース・バナーの姿で右腕にギブスをしていたが、腕はただれている様子もなく、回復に向かっているようだった。

ドラマ『シー・ハルク』の舞台は2019年から2025年頃になるのだろうが、サノスの指パッチンでヒーロー達も消えて大変だった時期に超人をなんとかしようという動きが生まれるのはピンとこない。やはり、2023年以降のヒーロー達が戻ってきた後が舞台と考えるのが理にかなっている気がする。

あり過ぎる心当たり

ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』の時期が2023年以降=フェーズ4以降だとすれば、スーパーパワーを持つ人々の規制や弁護が必要になるケースがいくつか思い浮かぶ。2021年に公開されたMCUの映画とドラマ作品では、スーパーパワーを持った人々が大暴れしているからだ。

ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) では“ワンダ事変”が発生。S.W.O.R.D.(知覚兵器観察対応局)が対応にあたっているが、指パッチンから人々が復活した翌月(2023年11月)の出来事であり、旧アベンジャーズの出動も含めて対応し切れていない様子が窺える。

ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) では超人血清が流出。超人血清を打ったU.S.エージェントが公衆の面前で敵を惨殺してしまった。U.S.エージェントが超人血清を打っていたことを政府が知っているかどうかは不明だが、少なくともリーダーのカーリを含むフラッグ・スマッシャーズの面々が超人血清を打ってスーパーパワーを手に入れたことは、政府と社会にとって脅威になったはずだ。

ドラマ『ホークアイ』ではスーパーパワーは登場しなかったものの、世間的にはローニン復活が報じられている。ローニンがスーパーパワーを持っているかどうかは世に知られていないため、容赦しないヴィジランテ(自警団)の登場は不安材料ではあるだろう。

そしてなんと言っても『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019) から『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) の流れは無視できない。世間的にはスパイダーマンは“殺人者”に。『ノー・ウェイ・ホーム』では、デアデビルことマット・マードックがピーター・パーカーを弁護した。

ピーターに関する記憶は人々から消えてしまったが、スーパーヒーローを弁護する仕事とヒーロー活動の規制に“需要”が生まれたことは確かだ。マット・マードックの言葉を借りれば「腕の良い弁護士が必要」ということである。

“超人法”の制度または概念は、国連主導で締結されたソコヴィア協定とは違い、アメリカ国内に限定されるものだろう。アメリカ国外では、映画『エターナルズ』(2021) でインド洋とロンドン上空にセレスティアルズが出現。ドラマ『ムーンナイト』(2022) ではカイロで巨大エジプト神がバトルを繰り広げるなど、“超人”を超えた問題が多発している。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』を観ても国際社会は混乱が続いていることが分かる。

とりあえずアメリカ国内だけでもと、スーパーパワーを持つ人物を対象とした法整備が進められていても不思議ではない。

デアデビルとスパイダーマンに再び注目

となれば期待がかかるのは、ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』でのデアデビルことマット・マードックの登場だ。2024年を舞台にした『ノー・ウェイ・ホーム』でマット・マードックがスパイダーマンの弁護を担当していたことから、彼もまた超人法を専門に扱っている可能性もある。

マット・マードックは今でも東海岸のニューヨークを拠点にしているようだが、『シー・ハルク』の舞台は西海岸のロサンゼルス。ただし、ジェニファー・ウォルターズが働くGLK&Hは、予告編に映るオフィス(0:22頃、スクリーンに社名のロゴが見える)の規模を見ても大手の法律事務所であることが分かる。マット・マードックがGLK&Hのニューヨーク支社で働いている可能性もなきにしもあらずだろう。なお、原作のGLK&Hはデアデビルと同じくマンハッタンを拠点にしている。

なお、原作コミックと同じく“超人登録法”が登場すれば、スパイダーマンは政府への身元登録を求められることになり、これに応じれば再び世間に顔を知られることになる。原作ではスパイダーマンは記者会見でマスクを外し、現実世界でも大きな話題を読んだ。

これまでは、超人登録法もスパイダーマンの身バレも、MCUではソコヴィア協定とミステリオによるリークで代替されたかに思われていた。しかし、思い返してみれば、『シビル・ウォー』の時に高校1年生でトニー・スタークに徴集されたピーターはソコヴィア協定について、自分の意思で立場を選んだわけではない。『シー・ハルク』で超人登録法の流れが登場するならば、他のヒーローと同様、今度こそピーターは選択を迫られることになるだろう……(そろそろ幸せになってほしいが)。

ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』は、MCUでは初めての“法定モノ”。スーパーパワーと法律をめぐり、どんな物語が繰り広げられるのだろうか。配信を楽しみに待とう。

ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』は2022年8月17日(水) より、Disney+で独占配信。

Disney+

『シー・ハルク:ザ・アトーニー』予告編はこちらから。

マーベルからはドラマ『エコー』の初画像とあらすじも公開された。詳しくはこちらから。

デアデビルはドラマ『エコー』にも登場が噂されている。詳しくはこちらから。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』までのMCUフェーズ4の時系列はこちらの記事で。

ドラマ『ミズ・マーベル』でも“法廷推し”の新映像が公開された。詳しくはこちらから。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のプロデューサーが語ったマルチバースのルールはこちらから。

ドラマ『ムーンナイト』で回収されなかった謎のまとめはこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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