ネタバレ解説『エターナルズ』ポストクレジットシーンを徹底考察 エンディングの〇〇の意味は? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『エターナルズ』ポストクレジットシーンを徹底考察 エンディングの〇〇の意味は?

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2021年11月5日(金) より公開された映画『エターナルズ』は、第93回アカデミー賞で作品賞を含む6部門を受賞した『ノマドランド』(2021) のクロエ・ジャオ監督の最新作。MCUとしても『エターナルズ』はフェーズ4で新たなヒーローの存在を紹介する重要な作品になる。

エターナルズは宇宙から地球に到来し、7,000年間もの間、陰ながら人類を守ってきた10人のヒーローたち。宇宙の上位存在であるセレスティアルズによって創造され、野蛮なデヴィアンツから人類を守る任務を担っている。アベンジャーズが戦っている間も、密かにその様子を見ていたエターナルズ。本作では新たに地球に迫る危機に立ち向かうエターナルズの姿が描かれる。

そして、MCU作品ではお馴染みとなっている本編後のミッドクレジットシーンとポストクレジットシーンでは、いつも通り新たな展開を示唆するエンディングを残してくれた。一方で、気になるポイントも多かった。今回は、映画『エターナルズ』のミッドクレジットシーンとポストクレジットシーンを解説&考察していこう。

なお、以下の内容は映画『エターナルズ』の結末に関するネタバレを含むため、必ず作品を鑑賞した上で読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『エターナルズ』の結末に関するネタバレを含みます。

映画『エターナルズ』エンディング&ポストクレジットシーン解説

エンディングを解説

映画『エターナルズ』は意外な展開の連続。エターナルズは7,000年にわたって人類を守っていたが、それを指示したセレスティアルズの一人であるアリシェムの目的は、地球の人々のエネルギーを利用して新たなセレスティアルズを生み出すこと=《出現》を起こすことだった。エターナルズのリーダーであるエイジャックはそれを知っており、イカリスだけにこの事実を告げていた。

しかし、エイジャックはエターナルズが解散してから500年の間地球を旅して人々と触れ合い、また、サノスのデシメーション(指パッチン)から人々を連れ戻したアベンジャーズの戦いを見て、人類を愛するようになった。人口復活によって《出現》が7日後に迫る中、エイジャックの心がわりに納得できないイカリスは、エイジャックを殺して計画通りに《出現》を発生させようとする。

セルシを中心としたエターナルズのメンバーはこれを阻止。セルシは新たなセレスティアルズになるはずだあったティアマトと一体になることでティアマットを眠らせることに成功する。

セルシは恋人のデイン・ウィットマンとの日常に戻ろうとするが、アリシェムによって呼び戻されたエターナルズは、その記憶をチェックした後に審判を受けることになる。何かを明かそうとしていたデインは、セルシが連れ去られ呆然と立ち尽くすのだった。

これがエンディングの流れである。問題は、この後に描かれたミッドクレジットシーンとポストクレジットシーンだ。

ミッドクレジットシーンで登場したのは?

ミッドクレジットシーンで映し出されるのは、地球に残らず、他の惑星に派遣されているエターナルズに真実を伝えることを選んだエターナルズの三人。地球に未練のないマッカリとドルイグ、そしてセナだ。

宇宙船の中でセルシらの異変を感知した三人は地球に引き返そうとするが、そこにテレポートで現れたのはひどく酔ったトロル。このキャラクターは原作コミックに登場するピップ・ザ・トロールだ。

ピップはアダム・ウォーロックというヒーローの友人として知られる。『エターナルズ』のミッドクレジットでMCU初登場を果たしたピップは、「タイタン星の王子」「サノスの弟」「ハートのジャック」「ブラック・ロジャーを倒した」「偉大なる冒険家」と矢継ぎ早に二つ名を並べて、ある人物を呼び出す。

それは、タイタン星のスターフォックスだった。エターナルズの面々に友好的な態度で話しかけるスターフォックスは、「エロス」を名乗る。スターフォックスは続けて、セルシらが危機にあり、その居場所を知っていると告げ、ミッドクレジットシーンは幕を閉じる。

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スターフォックスとは誰か

スターフォックスとピップ・ザ・トロールは共にコミック作家のジム・スターリンが1970年代に創造したキャラクター。スターフォックスはタイタン星の出身で、サノスとは兄弟という設定になっている。コミック版では、サノスはディヴィアンツの遺伝子を持つエターナルズの突然変異である。そして、サノスもスターフォックスも、父がエターナルズのメンターという人物なのだ。

つまり、MCUの『エターナルズ』に登場したスターフォックスは、地球以外の惑星に派遣されたエターナルズの一人である可能性もある。セレスティアルズの狙いを知っているのか、エターナルズに心強い味方が現れたと考えて良いだろう。

なお、スターフォックスの元の名前は、ギリシャ神話の神の名前でもあるエロスだ。その能力は、相手に幸福感を与えること。ドルイグとは違った形で人心を操ることに長けている。原作コミックではアベンジャーズに加わる展開や、シー・ハルクと恋人関係になる展開もある。

シー・ハルクが主人公のドラマはDisney+で2022年の配信を予定しており、こちらにスターフォックスが登場する展開もあり得るかもしれない。あるいは、スターフォックスが登場する可能性が高い『エターナルズ』続編にシー・ハルクが合流することもあり得るだろう。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に繋がる?

また、ピップが「ブラック・ロジャーを倒した」と紹介しているが、ブラック・ロジャーとは原作コミックに登場した合う惑星の君主。ダーク・ロジャーとも呼ばれる。コミック版でもスターフォックスと敵対しているが、MCUでは既に倒したという設定になっているようだ。

ピップの登場も、今後のMCUにとって重要なヒントとなっている。ピップの相棒であるアダム・ウォーロックは、2023年に公開を予定しているジェームズ・ガン監督の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3(原題)』に登場する。ウォーロックは実力派若手俳優のウィル・ポールターが演じる。映画『エターナルズ』の続きの物語が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』で描かれる可能性もあるだろう。

そして、MCUでスターフォックス/エロスを演じるのは、歌手で俳優としても活動するハリー・スタイルズだ。世界的な人気バンドであるワン・ダイレクションのメンバーとして知られる。2017年にはクリストファー・ノーラン監督の映画『ダンケルク』でアレックス役を演じた。そして今回、遂にスターフォックス/エロス役でMCUに参戦することになった。

今後、ハリー・スタイルズのスターフォックス/エロスがどのような活躍を見せるのか、セルシ達は無事なのか、今後の展開に注目しよう。

追記:クロエ・ジャオ監督はスターフォックスが11人目のエターナルズであることを認めた。詳細はこちらから。

ポストクレジットシーンの意味は?

そして、エンドロールの後、残されていたもう一つのポストクレジットシーンは、原作コミックを知らない人にとっては更に謎を呼ぶ展開だった。ポストクレジットシーンで映し出されたのは、勤務先であるロンドン自然史博物館の一室で、大きな木の箱の前に立つセルシの恋人のデイン・ウィットマンだ。

熟考した後、デインが木の箱を開くと、そこにあったのは大きな剣だった。包帯のようなものが巻かれ、封印されているようにも見えるが、デインが手を伸ばすと刃が光る。デインが剣を持ち上げようとしたその時、画面の外から声が聞こえる。

「いいのか? ウィットマン」と告げられたこの声で、キット・ハリントンが演じていたキャラクターのフルネームが“デイン・ウィットマン”であることが明らかになる。デイン・ウィットマンは、原作コミックでブラック・ナイトと呼ばれるヒーローになるキャラクターだ。

ブラック・ナイトとは誰か

『エターナルズ』の中盤では、世界に終わりが近づいているため、セルシがデインに叔父と仲直りをするように電話で告げるシーンが挿入されていた。叔父との関係に問題を抱えているとデインはセルシに伝えていたのだろう。そして、セルシがアリシェムに連れて行かれる直前には、デインはセルシに特殊な家系であることを伝え、それ以上の秘密を明かそうとしていた。

そして、ポストクレジットシーンで描かれたこの場面が、デインが抱える秘密を示すものとなっている。コミック版のブラック・ナイトは、エボニーブレイドと呼ばれる魔法の剣の使い手だ。映画でデインが向き合っていた剣は、まさにこのエボニーブレイドだろう。デインは剣を手に取ってブラック・ナイトになるかどうかを逡巡しているのだ。

そして、原作コミックではデイン・ウィットマンの叔父はヴィラン(悪役)として登場する。かつてアーサー王に仕えていたサー・パーシーに与えられたブラック・ナイトの称号を、デインの叔父であるネイサン・ギャレットはエボニー・ブレイドと共に引き継いだ。二代目ブラック・ナイトになったネイサンを雇ったのは、外でもないドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) に登場したバロン・ジモである。

コミック版では、ネイサン・ギャレットは死の直前に自分の行いを反省し、甥のデイン・ウィットマンにブラック・ナイトの称号とエボニー・ブレイドを継がせている。つまりデインはサー・パーシー、ネイサン・ギャレットに次ぐ三代目のブラック・ナイトなのだ。

「魔術師」と「叔父」の意味

三代目ブラック・ナイトは、征服者カーンとの戦いでアベンジャーズに加勢する一方で、エボニー・ブレイドの力に飲み込まれそうになったときにドクター・ストレンジから助けられるなど、アベンジャーズとの関係は深い。コミック版でもセルシと恋人の関係になる設定は同じだ。

エボニー・ブレイドは呪いのアイテムとしても描写されているため、MCUでデインがこの剣に手を出すことが必ずしも良いことだとは限らない。故に「いいのか」という何者かの声がかかったのだろう。また、デインがセルシにしつこく「ドクター・ストレンジのような魔術師」かどうかを聞いていたのは、エボニー・ブレイドを制御する力を求めていたのかもしれない。

問題は、ポストクレジットシーンの最後にデインに声をかけて全てをかっさらったこの人物が何者かということだ。まず、セルシが電話で話していた口ぶりからして、デインの叔父は生きている可能性が高い。だが、関係に問題があると描写されていたことから、デインと叔父は対立していると考えられる。一方でエボニー・ブレイドはデインの手元にあるため、叔父が現時点でブラック・ナイトではないことは明らかだ。

最後にデインに声をかけた人物が叔父=ネイサン・ギャレットである可能性もあるが、叔父なのにラストネーム(苗字)でデインのことを呼ぶだろうか。英語では丁寧にも「Mr.」がついており「ミスター・ウィットマン」と呼びかけている。であれば、デインを仲間にしようとするリクルーターが声をかけたのだろうか。

いきなりだが、アベンジャーズへの勧誘という可能性もある。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の描写から、現在はニック・フューリーが直接リクルートを行っていないことが明らかになっている。使いの者がデインに声をかけた可能性はあるだろう。悪の勧誘ならばバロン・ジモ、あるいはヴァルの使いとして送られたUSエージェントことジョン・ウォーカーか。

追記:クロエ・ジャオ監督はこのポストクレジットシーンの声の主がブレイドであることを明らかにした。詳細はこちらの記事で。

なお、映画『ブラック・ウィドウ』(2021) では、アベンジャーズの能力をコピーしているはずのタスクマスターが、剣技を使う姿が描かれた。アベンジャーズに剣の使い手はいないため、ブラック・ナイトの存在が既に『ブラック・ウィドウ』で示唆されている可能性がある。詳しくはこちらの記事で。

スターフォックス/エロスとブラック・ナイト/デイン・ウィットマン——宇宙と地球に新たな新星をもたらし、映画『エターナルズ』は幕を閉じた。拡大し続けるMCUの今後に、引き続き期待しよう。

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映画『エターナルズ』は2021年11月5日(金) より劇場公開。

『エターナルズ』公式サイト

キンゴの選択とアリシェムの謎についてのネタバレ考察はこちらの記事で。

なお、『エターナルズ』のエンディングはマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギによるアイデアだという。エンディングが当初の案から変更された理由はこちらから。

 

映画『ブラック・ウィドウ』のポストクレジットシーンの解説はこちらから。

映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のポストクレジットシーンの解説はこちらから。

 

エターナルズのリーダーであるエイジャックについての解説はこちらから。

セルシについての紹介はこちらから。

ギルガメッシュについての解説はこちらから。

セナについての解説はこちらから。

キンゴについての紹介はこちらから。

マッカリについての紹介はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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