ネタバレ考察『エターナルズ』キンゴはなぜ重要か アリシェムの謎、ラストと続編を考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『エターナルズ』キンゴはなぜ重要か アリシェムの謎、ラストと続編を考察

© 2021 Marvel

『エターナルズ』公開

MCU映画最新作となる『エターナルズ』は2021年11月5日(金) 公開。7月に公開された『ブラック・ウィドウ』、9月に公開された『シャン・チー/テン・リングスの伝説』に続き、2021年3本目のMCU映画となる。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の日本公開が2022年1月7日(金) に決定したため、日本では『エターナルズ』が2021年最後のMCU映画に。多くのファンが『ノマドランド』(2021) のクロエ・ジャオ監督と豪華キャストの化学反応を楽しんでいる。

『エターナルズ』は、7,000年にわたって人知れず人類を見守っていた不死の宇宙種族エターナルズを主人公に据えた物語。デシメーション(サノスの指パッチンによる人口半減)からの復活をきっかけに地球に危機が迫り、バラバラになっていたエターナルズが再び集結する。

今回は、『エターナルズ』を既に見たという人のために、ネタバレありで本作と続編の考察をお届けする。『エターナルズ』で描かれた物語を受けて、今後エターナルズはどうなっていくのだろうか。

ここから先の内容は、『エターナルズ』の結末に関するネタバレを含むため、必ず映画を観てから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『エターナルズ』の結末に関するネタバレを含みます。

『エターナルズ』ネタバレ考察

エターナルズが戦っていたもの

エターナルズが7,000年にわたって戦っていた理由は、新たなセレスティアルズの《出現》を起こすためだった。セレスティアルズの目的は地球の人口を増やし、そのエネルギーを活用して新たなセレスティアルズであるティアマトを生み出すこと。ティアマトは地球の“殻”を破って生まれるため、《出現》が起きれば地球は滅んでしまう。

セレスティアルズはまずディヴィアンツを地球に解き放ち、人類を脅かしていた恐竜などの頂点捕食生物を淘汰。そのデヴィアンツを退治できるエターナルズを地球に送り込んでディヴィアンツを退治させた。デヴィアンツは上位捕食生物を捕食するために作られた存在だが、エターナルズには知性があり、人間の進化を手助けする。だが、全ては地球の人口を増加させ、それを犠牲にして《出現》を発生させるための手段に過ぎなかった。

リーダーのエイジャックとエイジャックをサポートしていたイカリス以外のエターナルズメンバーはこの真の目的を知らず、純粋にディヴィアンツから人類を守るために戦っていた。人間を愛するようになったエイジャックは《出現》を止めようとしたが、イカリスはセレスティアルズに忠を尽くすことを選び、エターナルズのメンバーと対立するのだった。

エターナルズの分断

そうしてエターナルズは二つのグループに分かれることになる。セルシを中心とした《出現》を止めようとするグループと、そうではないグループだ。そして重要になるのが“そうではないグループ”に分類されるキンゴの存在だ。

人知れずイカリスを好きになっていたスプライトとは違い、キンゴは積極的にイカリスに加勢することはしなかった。イカリスを「ボス」と呼んできたキンゴは、家父長的な男性指導者の配下にいることを心地よく思っていたのだろう。少し強い言葉を使うならば、権威主義者ということである。

このキンゴの性格は、キンゴを演じたクメイル・ナンジアニの口からも説明されている。こちらの記事で紹介したが、「多くのスーパーヒーローは力と大きな責任を背負っています。この人物はそれが好きなんです。スーパーヒーローであることや、力を持つことが、ボリウッドのスターであることが大好きなんです」と、キンゴが“力”に執着していることに触れている。

だが、キンゴはイカリスを支持して古い友人たちと拳を交えるほど愚かではない。どちらにも加勢せずその場を離れることを選んだため、最後の決戦では生き残ったエターナルズの中でキンゴだけが登場しなかった。そしてこのキンゴの選択が、『エターナルズ』の続編や将来のMCU作品で重要な意味を持つかも知れない。

アリシェムの審判、キンゴが鍵か

《出現》を阻止したセルシたちは、各々の道を選ぶ。自戒したイカリスは太陽に突っ込み、スプライトはユニマインドの力を使って成長できる人間になることを選んだ。地球人とのつながりを持たないセナ、マッカリ、ドルイグは宇宙船で他の惑星のエターナルズに真実を伝えることに。

だが、地球人とのつながりを持つが故に地球で普通の生活に戻ろうとしたセルシ、ファストス、キンゴの三人は、突如現れた創造主のアリシェムに連れ去られてしまう。ティアマトの《出現》を阻止したことに激怒している様子のアリシェムは、人類を救うに値するかどうか、三人の記憶を精査して審判を下すと告げると、三人と共に姿を消してしまった。

ここで重要になるのがキンゴの存在だ。積極的に《出現》を止めようとしたセルシとファストスとは違い、キンゴは最後の戦いに参加しなかった。アリシェムは記憶をチェックして審判を下すと話しており、イカリスを支持したキンゴの記憶を見ればキンゴはアリシェムに赦される可能性が大いにある。

プロット上、キンゴを最後の戦いから退場させた理由はここにあるのではないだろうか。つまり、キンゴがアリシェムに赦され、自由の身になることでセルシとファストスを助けるキーキャラクターになる伏線だったのではないだろうか。

少なくとも、生き残ったエターナルズメンバーの中で立場の違いを作ることで今後の物語の組み方に幅を持たせたと見ることはできるだろう。

アリシェムにも限界が?

『エターナルズ』で一つ明らかな謎として残されているのは、宇宙に旅立ったセナ、マッカリ、ドルイグの三人がアリシェムからの招集を受けていないということだ。ミッドクレジットシーンではスターフォックスが現れ、セルシらを助けに行く流れになっていたが、なぜスターフォックスを含むこの4人はアリシェムの支配から自由なのだろうか。

考えられるのは、アリシェムの管轄が地球に限定されているという可能性だ。複数いるセレスティアルズの中で、地球に派遣されたエターナルズが交信していたのはアリシェムだけ。地球の外に出れば管轄外であり、例えその居場所が分かっていても手出しをしてはいけないというルールがあるのかも知れない。

少なくとも、セレスティアルズ間でも政治が存在してるのは当然だろう。宇宙の上位存在(コズミック・ビーイング)であるセレスティアルズ同士は無用な衝突を避けなければいけないはずだ。

または、アリシェムはそれほど観測の範囲が広くないのかもしれない。アリシェムが全知全能であれば、ティアマトの《出現》を阻止しようとするセルシの戦いに介入できたはずだからだ。セルシらを招集した際にはまだ、広大な宇宙にいるセナらの居場所を掴めていなかった可能性も考えられる。

続編はどうなる?

キンゴに残された可能性と、アリシェムの限界をヒントに、『エターナルズ』のその後について考えてみよう。実は『エターナルズ』は続編を想定して製作された作品ではない。マーベル・スタジオのプロデューサーであるネイト・ムーアがカナダのToronto Sun「必ずしも続編が必要というわけではない」と発言しているのだ。

ただし、「物語の方向性はしっかりとある」とも発言しているため、『エターナルズ』で描かれた設定や人物は、その他のMCU作品で続きの物語が描かれることになりそうだ。直近では宇宙が舞台になりそうな作品として、2022年公開予定の『ソー:ラブ&サンダー』や、2023年公開予定の『ザ・マーベルズ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』(いずれも原題)が挙げられる。

これらの作品の中で、セナらは、その居場所を知っていると話していたスターフォックスと共にセルシらを助けに行くのだろう。仮にキンゴだけがアリシェムに赦されて解放されるなら、キンゴが加わった5人がアリシェムに挑む胸熱の展開も期待できる。今度は“力”よりも仲間を優先するキンゴの成長の物語も観てみたい。

なお、スターフォックスと共に登場したピップ・ザ・トロールの存在は、『エターナルズ』が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』に続く可能性が高いということを示している。詳細は、ミッドクレジットシーンおよびポストクレジットシーンを解説しているこちらの記事をチェックしていただきたい。

また、クロエ・ジャオ監督はスターフォックスが11人目のエターナルズであることを認めた。詳細はこちらから。

7,000年の時を経て、様々な物語をスタートさせた『エターナルズ』。これはまだ序章に過ぎないのだろう。引き続き、MCUフェーズ4の今後の展開を注視しよう。

映画『エターナルズ』は2021年11月5日(金) より劇場公開。

『エターナルズ』公式サイト

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クロエ・ジャオ監督が明かしたポストクレジットシーンの声の主についてはこちらから。

なお、『エターナルズ』のエンディングはマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギによるアイデアだという。エンディングが当初の案から変更された理由はこちらから。

セルシとイカリスが惹かれ合った理由について両俳優が語った内容はこちらから。

 

エイジャックについての紹介はこちらから。

セルシについての解説はこちらから。

ギルガメッシュについての解説はこちらから。

セナについての解説はこちらから。

キンゴについての解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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