『エターナルズ』公開
2021年11月5日に劇場公開された映画『エターナルズ』は、MCU映画26作目。14年にわたって続くMCUに不死の種族であるエターナルズを初めて紹介する作品になった。映画『エターナルズ』では、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) でサノスのデシメーション(指パッチンによる人口半減)から人々を復活させたことがきっかけになり、地球にかつてない危機が訪れる。この危機に立ち向かうため、バラバラになっていた10人のエターナルズは再集結を目指す。
MCUフェーズ4の映画第3弾として公開された『エターナルズ』は、いつにも増してMCUの世界を更に拡張する様々なアイデアを投入してくれた。中でも、エンディング・ミッドクレジットシーン・ポストクレジットシーンでは整理が追いつかないほどに、要素が盛りだくさんに詰め込まれていた。
ポストクレジットシーンとその前のミッドクレジットシーンの詳細な解説は、こちらの記事を参照して頂きたい。
今回は更に一歩踏み込んで、指揮をとったクロエ・ジャオ監督と出演俳優の話を元に、最後のポストクレジットシーンから今後のMCU作品への繋がりを考察していく。実はクロエ・ジャオ監督はポストクレジットシーンについて意外な事実を明かしている。
以下の内容は、『エターナルズ』の結末に関するネタバレを含むため、必ず本編を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『エターナルズ』の結末に関するネタバレを含みます。
ポストクレジットシーンの意味は?
上記の記事でも解説したとおり、ポストクレジットシーンで描かれたのは、セルシの恋人であったデイン・ウィットマンがブラック・ナイトの家系であったということだ。原作コミックではブラック・ナイトは二世がヴィランだったが、その甥にあたるデインが三世としてヒーロー活動を行い、汚名を返上している。
魔法の剣であり、呪いの剣でもあるエボニー・ブレイドと思われる剣を前に、デインはその剣を手に取るかどうかを逡巡している。そして、「いいのか、ウィットマンさん」と声をかけられたところでポストクレジットシーンは幕を閉じ、「エターナルズは帰ってくる」という一文が表示される。
このポストクレジットシーンの掴みきれないところは、今後のMCUでのブラック・ナイトの登場が確定した一方で、ブラック・ナイトの名前を冠した作品の製作予定が現時点で存在しないということである。今後の作品に繋げるのがMCUのポストクレジットシーンの醍醐味だが、製作が決まっていない3年以上先の作品へのクリフハンガーを仕込むとは思えないのだ。
声の主が明らかに
この疑問に対する答えを提示しているのが、ほかでもないクロエ・ジャオ監督だ。米Fandomによると、クロエ・ジャオ監督は『エターナルズ』のポストクレジットシーンで最後にデインに語りかけた声について、以下のように話したという。
あれは私の大好きなスーパーヒーローの一人、ミスター・ブレイドの声です。ブレイド、ブレイド、ブレイド、イェーイ!
なんと、最後の声の主は、MCU映画として製作されることが決定している『ブレイド(原題:Blade)』の主人公であるブレイドことエリック・ブルックスだったのだという。
『ブレイド』はMCUが計画される前の1998年にスティーヴン・ノリントン監督、ウェズリー・スナイプ主演で映画化され、同作は3作目まで製作された。
2019年のサンディエゴ・コミコンでは、MCU作品としてリブートされることが発表され、マハーシャラ・アリが主演を務めることになっていた。つまり、『エターナルズ』のポストクレジットシーンでデインに語りかけたのはマハーシャラ・アリの声だったのだ。
マハーシャラ・アリは、映画『ムーンライト』(2016) と『グリーンブック』(2018) でアカデミー助演男優賞を二度受賞した実力者。声だけの出演となったが、『エターナルズ』にはまさかの大物も参加していたということになる。
クロエ・ジャオ監督は映画『ブレイド』について、「待つことしかできませんね。その作品で何をするのかは分かりませんが、マハーシャラは宝です。大作になるでしょうね」と、期待のコメントを残している。
デイン役俳優は「知らなかった」
一方、ポストクレジットシーンで「声をかけられる側」だったデイン・ウィットマンを演じたキット・ハリントンは、Fandomに意外な事実を語っている。デインが映画『ブレイド』の導入役を務めることについて、以下のように話したという。
最高にクールですね。(クロエ・ジャオ監督から)数週間前にメールで聞いて、頭が真っ白になりました。そうだとは知らなかったので、とてもワクワクしています。
なんと、ポストクレジットシーンの声がブレイドのものだということは、映画公開直前まで聞かされていなかったのだという。確かに声が聞こえた瞬間に映像は終わる上、デイン自身は何者の声か分かっていないので、演技上も不要な情報ではある。
そうとは知らされずに『ブレイド』をMCUファンに紹介することになったキット・ハリントンは、「将来的に素晴らしい可能性があることを知っていて参加しました」と喜んでいる。MCU版『ブレイド』は2022年7月から撮影を開始する予定で、順調にいけば2023年に劇場公開される可能性が高い。監督はリズ・アーメッド主演の『Mogul Mowgli(原題)』(2020) で指揮をとったバッサム・ターリク監督が務めると報じられている。
ブラック・ナイトとブレイドはどうなる?
問題は、映画『ブレイド』でブラック・ナイトがどのような役割を果たすのかということだ。原作コミックでは、ブレイドとブラック・ナイトはMI13というチームで共闘している。MI13は、その名の通りイギリスの諜報機関で、超常現象に対処するためのスーパーヒーローチームだ。
ブレイドはもともと吸血鬼と人間の血が流れているキャラクターで、吸血鬼に噛まれた母への復讐のためにヴァンパイアハンターとして戦う。他のヴァンパイアと同じく“吸血衝動”を抱えながらも、日光やニンニクといったヴァンパイアの弱点が通用しない強みと、ヴァンパイア特有の身体能力を活かして活動する。
1996年に発表された『Captain Britain and MI13』では、ブラック・ナイトのエボニー・ブレイドがドラキュラによって造られた偽物であることが明らかになる。『エターナルズ』のポストクレジットシーンでデインが向き合っていたのがエボニー・ブレイドであるとすれば、ブレイドはデインにそれが偽物であることを伝えに来たのかもしれない。
いずれにせよ、コミック版と同じく、ブラック・ナイトとブレイドの共通の敵としてヴァンパイアの存在が重要になりそうだ。
MCU世界にはヴァンパイアがいる
なお、『エターナルズ』の本編でもヴァンパイアの名前は登場している。セルシ、スプライト、イカリスがキンゴを迎えにいく場面だ。キンゴはマネージャーのカルーンが歳をとらないキンゴをヴァンパイアと思い込んで殺しかけたと話していた。
更に、映画『ブレイド』への伏線はドラマ『ロキ』でも登場している。第4話でメビウスが「クリー人もタイタン人もヴァンパイアも尋問した」と話したことで、MCU世界にヴァンパイアが存在していることが確定したのである。詳しくはこちらの記事で。
また、2022年1月21日(金)全米公開を予定してるSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)映画『モービウス』の主人公は後天的にヴァンパイアになる。フェーズ4に入ってからは“魔術”の要素が強くなっているMCUだが、マーベル映画にヴァンパイアの要素が入る流れは加速していきそうだ。
映画『エターナルズ』は2021年11月5日(金) より劇場公開。
Source
Fandom
『エターナルズ』のミッドクレジットシーンとポストクレジットシーンの解説はこちらから。
クロエ・ジャオ監督はスターフォックスが11人目のエターナルズであることを認めた。詳細はこちらから。
キンゴの選択とアリシェムの謎についてのネタバレ考察はこちらの記事で。
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