『ソー:ラブ&サンダー』公開
MCU映画『ソー:ラブ&サンダー』が2022年7月8日(金) より日米で同時公開された。クリス・ヘムズワース演じるソーの物語としては第4作目で、前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017) に続いてタイカ・ワイティティ監督が指揮をとる。
MCU作品らしい様々なサプライズが用意されていた本作だが、特にラストの展開に唸った人は多かったはず。今回はあのラストの展開が実現した理由について、キャストが明かす意外な経緯を見てみよう。
なお、以下の内容は結末に関する重大なネタバレを含むので、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『ソー:ラブ&サンダー』の結末に関するネタバレを含みます。
『ソー:ラブ&サンダー』ラストのサプライズ
映画『ソー:ラブ&サンダー』のラストでは、ソーがゴアの娘を養子にしてシングルファザーになることに。ムジョルニアとストームブレイカーを操る二人は、宇宙で「ラブ&サンダー」と呼ばれるようになったと伝承風に語られ、『ソー:ラブ&サンダー』は幕を閉じる。タイトルの意味を回収するエンディングが用意されていたが、このラストには意外な経緯が存在していた。
まず、ゴアの娘として登場し、ソーの娘となる人物を演じたのはインディア・ヘムズワース。クリス・ヘムズワースの実の娘だ。インディア・ヘムズワースが演じたキャラクターは、米メディアやファンの間では「ラブ」と呼ばれ始めているが、米マーベル公式によると明確な名前は付けられていないようだ。単に「ゴアの娘」と表記されている。
インディア・ヘムズワースが演じたキャラクターに名前がつけられていない理由とも関係するエピソードが、米マーベル公式で明かされている。実は、ゴアの娘には、それほど大きな役割を担わせる予定はなかったのだという。マーベル公式は、「インディアがゴアの娘を演じることは最初から全体の計画に含まれていたわけではなく、ストーリーが発展するにつれて、その役割は拡張していった」と記している。
また、主演俳優のクリス・ヘムズワースの娘であるインディアだが、きちんとビデオ映像によるオーディションを受けた上で出演を果たしたという。タイカ・ワイティティ監督はインディアについてこう語っている。
彼女は本当によかったんです。本当に元気な子で、賢く、自身に満ちていて……ほら、「クリスの子ども」って聞いたら想像できるでしょ?
ワイティティ監督は、「クリスとその娘が“ラブ&サンダー”になり、この映画を締めくくるというのが非常に良いアイデアだと思ったんです」とも語っている。あのエンディングはクリスとインディアの関係をベースに後から作り上げられたものだったのだ。
クリス・ヘムズワースが語る裏側
自身の娘が養子の役で出演することになったクリス・ヘムズワース。実はラストシーンをもう一つ挿入することを提案したのはクリスだったという。今後どんな風に展開していくか分からない彼女と共に、一つのシーンを撮ることは面白いかもしれないと監督に提案したのだとか。
『ソー:ラブ&サンダー』のラストシーンは、ソーが新たな娘と共に新生活を送る場面が描かれる。亡き母の本を読みながら、好き嫌いをしてわがままを言う娘を相手に、ソーは甘やかしすぎるでもなく、厳しすぎるでもなく、良い距離感で接している。このシーンの演技について、クリス・ヘムズワースはこう語っている。
家にいる時と似たようなものです。私が娘に何かするように言うと、彼女は「へっ、やだ。私のやり方でやる」って感じなんです。力があるんです。良かったですよ。彼女は素晴らしい仕事をやってのけてくれましたから。
「やらない」ではなく、「私のやり方でやる」というのがチャーミングなポイントだ。こうした普段のやりとりが『ラブ&サンダー』のあのシーンにも反映され、ナチュラルな演技を生み出していたようである。
なお、マーベル公式によると、二人のシーンの撮影でナーバスになっていたのはクリスの方で、インディアは楽しんで演じており、クリスはナーバスになっているのが表に出ないよう抑えていたという。
父を演じたクリスチャン・ベイルが語る裏側
そんなインディア・ヘムズワースが演じたキャラクターの実の父を演じたのは、「ダークナイト」シリーズのバットマン役で知られるクリスチャン・ベール。俳優として30年以上のキャリアを持つベテラン俳優は、“新人”のインディアの演技を「素晴らしかった」と称賛している。
二人は、冒頭のゴアが砂漠で娘を失うシーンと、ゴアが“エタニティ(永遠)”で娘を蘇らせて息を引き取るシーンで共演。その際の撮影秘話を以下のように明かしている。
とても悲しいシーンを撮らなければなりませんでした。かわいそうな場面もありましたよ。私が彼女を抱いて涙をこぼすシーンがあり、その涙が彼女の顔に落ちたんです。そしたら彼女は「オーノー」って。私が見ると、彼女は(顔に落ちた)涙と拭おうとしていましたが、責めはしませんでしたよ、かわいそうでしたから。でも、彼女は本当に堂々としていました。
クリス・ヘムズワースも、インディア演じる娘がゴアの頭にキスをするシーンで、「ベタベタしてる」と嫌がったことを明かしている。インディアは頭から2センチほど離れたところにキスをして、クリスは「そんなの使えないでしょ!」と思ったというが、これにはクリスチャン・ベールは笑っていたという。ナチュラルに現場を和ませるインディアの存在によって、楽しい撮影現場になっていたことが明かされている。
気配りの父
だが、そのユーモアは父親譲り。クリスチャン・ベールはインディアの出演シーンの撮影現場には常にクリスがいて気を配っていたと話している。
クリスは非常に気配りのできる父親でした。カメラの外でずっと彼女が大丈夫かどうかチェックしていて、私に親指を立てて確認してくるので、私も親指を立てて返答していました。そんな二人の姿はとても愛おしかったですよ。彼は彼女を好きにやらせてあげて、彼女は自分のやりたいようにやっていました。
クリスチャン・ベールの言葉を読む限り、クリス・ヘムズワースは娘のインディアに指示を出すのではなく、彼女がやることが迷惑をかけていないかと周囲を気にしていたように思える。そこには、クリスなりの子どもに対する考えがあるようだ。クリスは最後にこう語っている。
私は、そんな風に子ども達が主体性を持っている瞬間が大好きなんです。それは、私たち皆に、自分が何者であるかということに忠実になること、自分が正しいと思い込みすぎないことを思い出させてくれます。(子ども達は)私たちを現実に引き戻し、全ての経験を地に足のついたものにしてくれます。
今後はどうなる?
原作コミックには登場しない“ラブ”というキャラを中心に置いて幕を閉じた『ソー:ラブ&サンダー』。その背景には、クリスとインディアの関係性をベースに新しいシーンが付け足されたという経緯があったのだ。
一方、今後については、クリス・ヘムズワースはインディアが演技を続けるかどうかは分からず、今回だけの出演になるかもしれないとしている。本作が最初で最後の出演になる可能性もあるが、マーベル公式は「未来は開かれている」とする。
あるいは、成長した姿を別の俳優が演じ、キャラクター自体は継続してMCU作品に登場する可能性もあるだろう。トニー・スタークの娘のモーガンはカットされたものの、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) に登場する予定があった。初代アベンジャーズの娘たちが、数年後のMCUを支えていくことになるかもしれない。
映画『ソー:ラブ&サンダー』は2022年7月8日(金)劇場公開。
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ジェーン・フォスターのソーの活躍が描かれる『ソー:ゴッデス・オブ・サンダー』は和訳が発売中。
『ソー:ラブ&サンダー』オリジナルサウンドトラックは発売中。
Source
Marvel.com
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