ネタバレ解説&感想『グーニーズ』ラストの意味は? 80年代アメリカン・カルチャーについて考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説&感想『グーニーズ』ラストの意味は? 80年代アメリカン・カルチャーについて考察

©1984 Warner Bros., Inc.

スティーヴン・スピルバーグ監督が贈る冒険映画

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016-2026)にも大きな影響を与えたスティーヴン・スピルバーグ原案の冒険映画『グーニーズ』(1985)。80年代ポップカルチャーの象徴ともなっている『グーニーズ』は、子どもの夢を詰め込んだ傑作映画だ。

後に大成する俳優たちが子役として出演するなど、現代になって観返すことで様々なことに想いを馳せることができる本作。『グーニーズ』は単純な冒険映画ではなく、アメリカ映画史を語る上で外せない一作と言えるだろう。

本記事は80年代アメリカン・カルチャーを代表する映画『グーニーズ』について、解説と考察、感想を述べていく。なお、以下の内容は『グーニーズ』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『グーニーズ』の内容に関するネタバレを含みます。

映画『グーニーズ』ネタバレ解説&考察

悪ガキ集団・グーニーズ

アメリカ合衆国オレゴン州アストリアの海辺の町・クーンドック――いつもと変わらない平和な日常。その平穏を破るように群刑務所からギャング集団フラッテリー一家の長男・ジェイクが脱獄した。しかし、フラッテリー一家のことなど、住人たちが知ることはない。

町の住人は資産家のパーキンスによる土地の買収話で持ち切りだ。パーキンスによるゴルフ場の拡張のために高台一帯の再開発が迫り、町の住人たちは立ち退きを迫られていたのだ。その町に住む悪ガキ集団こそ、グーニーズだ。

グーニーズのメンバーを演じる俳優たちは80年代を象徴するスターたちである。主人公のマイキーを演じるのはショーン・アスティ。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでホビットのサムを演じた俳優で、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』ではボブ・ニュービーを演じている。

マウスを演じるのは『スタンド・バイ・ミー』(1986)でテディを演じたコリー・フェルドマン、データを演じるのは『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)に出演し、30年ぶりに『ロキ』(2021-2023)のウロボロスなどで俳優に復帰したキー・ホイ・クァンだ。

また、チャンク役のジェフ・コーエンは弁護士になっており、キー・ホイ・クァンの『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2002)の出演交渉などを担当している。他にも、マイキーの兄のブランドはMCUでサノスを演じたジョシュ・ブローリンと、当時を代表するスターかつ、後のハリウッドを背負って立つ人材が集まっている。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のモデル?

屋根裏で見つけた海賊・片目のウィリーの地図の情報をもとに冒険をするグーニーズたちだが、彼らと一緒に冒険するティーエイジャーたちを見ていると『グーニーズ』が『ストレンジャー・シングス 未知の世界』に与えた影響がよくわかる。

喘息持ちの弟・マイキーが冒険に出ることを心配するも、クラスの人気者のトロイから小馬鹿にされるブランドにはジョナサン・バイヤーズの要素が見て取れる。また、ブランドが好きなアンディには初期のナンシー・ウィラーの面影が、彼女の親友で眼鏡をかけたステフにはバーバラ・ホランドの面影がある。

『グーニーズ』は冒険映画として、明るい作風となっている。そこにスティーヴン・キング作『IT』(1986)や大友克洋作『AKIRA』(1982-1990)、岡本倫作『エルフェンリート』(2002-2005)のエッセンスを混ぜ合わせたことで『ストレンジャー・シングス 未知の世界』は誕生したと考察できる。

事実、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の制作陣は『グーニーズ』の影響が強いことを認めており、ショーン・アスティ演じるボブが残した宝の地図を巡って冒険するというアメコミ『ストレンジャー・シングス イブウェンの忘れられし墓』(2022)を刊行している。その表紙や設定は『グーニーズ』のパロディになっているという手の込みようだ。

ここからはじまる

廃レストランの地下室で偽札印刷機を見つけてしまい、さらにはスラッテリー一家が廃レストランに帰ってきたことで、グーニーズたちは片目のウィリーの宝の地図に隠されていたトンネルへと逃げ込むしかなくなる。

もう終わりだと言う他の子どもたちに対して、マイキーが「ここからはじまる」と返すのが印象的だ。事実、映画『グーニーズ』の冒険はここから本格的にはじまる。プロの探検家のチェスター・コパーポット卿の死体を見つけ、片目のウィリーの罠を発見するのはここからだ。

また、捕まってしまったチャンクはフラッテリー一家の末っ子のスロースと一緒になる。スロースは巨体と怪力の持ち主だが、言葉を上手く話すことができないキャラクターだ。フラッテリー一家の中では唯一心優しい性格の持ち主で、ここからチャンクとスロースの友情がはじまるとも言える。

映画『グーニーズ』ラストネタバレ解説&考察

本物志向の骸骨オルガン

マイキーの演説により奮起したグーニーズたちは脱出ではなく、片目のウィリーの宝の地図を探すことを選ぶ。宝を見つけることで、買収計画を阻止し、友情を引き裂こうとする大人たちの策略を破ろうとしたのだ。

フラッテリー一家に追われるグーニーズたちは仕掛け罠を解除するために骸骨で出来たオルガンを弾くことになるが、このオルガンの制作には実際に骨が使用されている。その他にも、片目のウィリーの骨は実際の頭蓋骨を使うなど、『グーニーズ』は本物志向なのが特徴的だ。

また、撮影も映画のストーリーの順番通りに進められており、子役たちのリアルな表情を引き出すことに注力している。『グーニーズ』は子どもたちが本当の冒険をしているかのように演技できるように力を入れた、本物志向なのだ。

片目のウィリーの海賊船

『グーニーズ』が本物志向だということを象徴する最大の演出が、ラストに登場する片目のウィリーの海賊船だ。この海賊船は実物大のレプリカを制作し、なおかつ最後まで秘密にしておくことで子どもたちが本当に驚いている表情が出るようにしたという。

しかし、マイキー役のショーン・アスティは、後のインタビューで本当は、こっそり最後の撮影前に片目のウィリーの海賊船のセットを見ていたことを明かしている。それでも、リチャード・ドナー監督をはじめとする大人たちの努力を無駄にしないため、子どもたちは“初めて見たような素の反応”の演技をしたとのことだ。

大人を騙し、長年子どもたちが素で驚いていると世間を欺き続けたという『グーニーズ』での演技。これは、ある意味で、この子どもたちが後のハリウッドを引っ張っていく逸材であったことを象徴するエピソードとも言える。

スロースはスーパーマン?

ラスト、チャンクがスロースを連れて颯爽と助けに来る場面で、スロースが服を破いてスーパーマンのTシャツを見せると、『スーパーマン』(1978)のテーマソングが流れる。このスロースがスーパーマンとして助けに来る演出は、監督のリチャード・ドナーが『スーパーマン』の監督もしていたというメタネタである。

また、スロースはスーパーマンのTシャツ以外にヒューストン・オイラーズというアメリカンフットボールのTシャツを着ている。これはスロースを演じたジョン・マトゥザックがもともとヒューストン・オイラーズのディフェンシブエンドというポジションを務めていたことによる俳優ネタである。

スロースに関しては、監督ネタや俳優ネタなど、メタフィクションが詰め込まれた展開になっている。特に最後の『スーパーマン』に関しては1986年の子どもたちからしたらスクリーンで実際に観ていたヒーローだ。それらをメタフィクションとして取り込んだ上手い演出だと言えるだろう。

映画『グーニーズ』ラストネタバレ感想

名探偵コナンも影響を受けた?

『グーニーズ』のラストでは、片目のウィリーの海賊船が洞窟から浮上し、海へと帰っていくところで終わる。この最後の演出は様々な作品に影響を与えたが、日本のアニメにも影響があると感じられる。それが「名探偵コナン」シリーズだ。

劇場版『名探偵コナン 紺碧の棺』(2007)でも、海底に眠っていた海賊船が急浮上して海に帰っていくという演出が存在し、江戸川コナンはマイキーと同じく、海賊船そのものが財宝の正体だと考察している。

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劇場版『名探偵コナン 紺碧の棺』の制作陣のインタビューなどで、『グーニーズ』から明確に影響を受けたといったものはないものの、東西問わず『グーニーズ』が多くの作品に影響を与えたことを感じさせる演出だ。

80年代リバイバルブームの入門に最適な一本

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』に端を発する80年代リバイバルブーム。そこでは、スティーヴン・キング作『IT』やスティーヴン・スピルバーグ監督作『E.T』(1982)などがおすすめされることが多いが、『グーニーズ』以上に最適な作品はないだろう。

当時を代表するスターたちをはじめ、最後まで明るい作風の冒険活劇に、印象的なラスト、そしてシンディ・ローパーによるテーマソング「グーニーズはグッド・イナフ」など、80年代アメリカン・カルチャーの入門にピッタリだ。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が完結したからこそ、『グーニーズ』などの作品を通して、1980年代がどのような時代だったかを今から見直してみるのも面白いかもしれない。

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スティーヴン・スピルバーグ監督作『E.T.』のネタバレ解説&感想はこちらから。

『ストレンジャー・シングス』シーズン5フィナーレのネタバレ解説&感想はこちらから。

『ストレンジャー・シングス:1985年の冒険』のネタバレ解説&感想はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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