ポストクレジット ネタバレ解説『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』最後の意味は? エンディングを考察 | VG+ (バゴプラ)

ポストクレジット ネタバレ解説『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』最後の意味は? エンディングを考察

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映画『ヴェノム2』ラストの意味は?

遂に映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が日本で公開された。米国では2021年10月1日(金)に公開された本作は、約2ヶ月を経て、2021年12月3日(金)より日本でも劇場で公開。前作『ヴェノム』(2018) 以来となるエディ・ブロックとヴェノムのコンビの姿が描かれる。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の監督を務めるのは、『ブラックパンサー』(2018) をはじめとするMCU作品でユリシーズ・クロウを演じたアンディ・サーキス。前作のルーペン・フライシャー監督から引き継ぎ、人気バディの新たな物語を届けている。

今回は、早速『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』を見た人のために、本作の最後に挿入されたポストクレジットシーンのネタバレ解説をお届けする。この記事には『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の結末部分に関するネタバレを含むため、これより以下の内容は、必ず本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の内容に関するネタバレを含みます。

カーネイジ/クレタス・キャサディとシュリーク/フランシス・バリソンを退けたヴェノムとエディ・ブロック。しかし、今回の事件で警察にヴェノムの存在が知れてしまったため、エディは追われる身になったしまう。ヴェノムはエディを守るために自分から離れることを提案するが、エディはこれを拒否してヴェノム と共に温暖な外国へと逃亡するのだった。

なお、スティーヴン・グレアム演じるニューヨーク市警のパトリック・マリガン刑事はシュリークの攻撃から一命を取り止めたが、その目には青い光が宿っていた。このシーンの詳細は、こちらの記事で解説している。

今回は、この後のポストクレジットシーン(ミッドクレジットシーン)に注目しよう。

浜辺でその友情を確かめたヴェノムとエディは、滞在先のホテルでテレビに映るドラマを見ている。画面に映る男には秘密があるという話から、ヴェノムは「俺たちには皆、過去がある」と言い出す。だが、800億光年の宇宙の集合意識は、人類の個体であるエディには荷が重いらしく、ヴェノムは、それを見せると「脳が爆発する」と脅すのだった。

あの人が登場

それでも、ヴェノムは「味見」として、「シンビオートが経験していることの最小のカケラ(the smallest fractions of the things we symbioites have experienced.)」をエディに見せる。するとその時、エディが滞在していた暗い寝室が一瞬にしてリゾート風に変わってしまう。部屋だけでなく、エディのバックパックも小さめのリュックに変わっている。

そして決定打は、今までドラマを放送していたテレビの画面がニュースに変わっていたことだ。そこに映し出されていた人物は、MCUの『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019) に登場し、2022年1月7日(金)日本公開の映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にも登場するJ・K・シモンズ演じるJ・ジョナ・ジェイムソンだった。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のエンディングと同様、スパイダーマンの正体はピーター・パーカーだと報じている。J・ジョナ・ジェイムソンは、「スパイダーマン改めスパイダーメナス」と言っているが、「メナス (menace)」とは「危険人物・脅威」という意味である。そして、自身が出演するメディアである「デイリー・ビューグル」がスパイダーマンの嘘を暴くとしてこのニュースを締めくくる。

最後にテレビ画面にトム・ホランド演じるピーター・パーカーの姿が映し出されると、ヴェノムはエディの体を乗っ取り、画面に映るピーターの顔を「こいつだ (That guy…)」と言って舐めるのだった。この部屋の主と思われる人物が「私の部屋で何してる?」と尋ね、エディが呆然とした表情を見せたところで『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は幕を閉じる。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は、厳密には“ポスト”クレジットシーンはなく、ミッドクレジットシーンのみだった。だが、とんでもないことが起きているのは間違いない。このエンディングはどのような意味を持っているのだろうか。一つずつ、丁寧に見ていこう。

『ヴェノム LTBC』ポストクレジットシーン徹底解説

ポストクレジットで何が起きた?

まず、ポストクレジットシーンで何が起きたのかということを整理しよう。ヴェノムがシンビオートの世界をエディの脳内で見せた/見せようとした時、世界の様子が瞬時にして移り変わった。最後に部屋の主が現れたことはダメ押しで、ただ部屋の内装が変わったわけではなく、エディが元の世界とは全く異なる世界に来ていることを示している。

そしてテレビに映し出されていたのはMCU世界の人物たちであり、ディズニー傘下のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)と、ソニーが展開するSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)とが合流したことを示している。裏を返せば、「ヴェノム」シリーズの世界はMCUとは異なる世界で進んでいたということである。「ヴェノム」シリーズにはサノスの指パッチンの余波に関する描写がないので、さすがに同一の世界として合流させるのは無理があると判断したのだろう。

ソニーは、スパイダーマン関連の900のマーベルキャラクターの権利を持っているとされており、SSUとMCUの合流は大きな意味を持つ。何より、原作コミックではヴェノム(シンビオート)にとってスパイダーマンはそのオリジンでもあり、ライバルでもある。それは、サム・ライミ監督の『スパイダーマン3』(2007) でも描かれた通りだ。

ヴェノムとMCUのスパイダーマンが遂に共演するということは、MCUの世界にヴェノムが登場するということでもある。MCUへの登場が叶っていないキャラクター達のMCU合流も期待できる。

ドクター・ストレンジの影響?

注目したいのは、世界に異変が起きた時のヴェノムのセリフだ。ヴェノムははっきり「俺じゃない」と言っているのだ。ヴェノムがシンビオートの世界をエディに見せようとした時に異変が起きたことは確かだが、これはただの言い訳なのだろうか。

仮にここで起きたことがヴェノムの力だとすれば、ヴェノムにあまりにも大きな力を付与してしまうことになる。ヴェノムがユニバース間を移動する力を持つ“ネクサス・ビーイング”になってしまえば、他のシンビオートにもそれは可能だということになる。マルチバースを移動できるキャラが一気に増えることになるため、ヴェノムだけの力でユニバースを移動したとは考えにくいのだ。

となれば、その真犯人候補として浮上するのはドクター・ストレンジだ。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の予告編では、ドクター・ストレンジがマルチバースの扉を開いてしまうことが明かされている。『ノー・ウェイ・ホーム』最新予告のラストには、「他のユニバースが侵食し始めてる。止められない」と声を震わせるドクター・ストレンジの姿が映し出された。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンで起きたことがヴェノムのせいでないとすれば、同じタイミングでドクター・ストレンジがエディとヴェノムをMCU世界に呼び寄せたのではないだろうか。

ドクター・ストレンジがマルチバースの扉を開くのはピーターから「自分がスパイダーマンだという皆の記憶を消してほしい」と懇願された後のこと。テレビの映像がライブ映像であれば時系列に齟齬が生じるが、このニュースは第一報ではなく、何度目かの報道であると考えられる。なぜなら、ニュースの最後にはスパイダーマンのコスチュームに身を包んで、マスクだけ外しているピーター・パーカーの姿が映し出されているからだ。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のミッドクレジットシーンでは、ニュース映像にピーターの顔写真は映し出されるが、高校のプロフィール写真のようなものになっている。『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンで、ピーターがコスチュームを着て顔だけを晒している写真が使われている理由は、既に世間がスパイダーマン=ピーター・パーカーということを知っているからだろう。なお、『ノー・ウェイ・ホーム』の第一弾予告編では、市民の前でマスクだけ外しているスパイダーマンの姿が映っている。

なぜヴェノムが?

では、ドクター・ストレンジがマルチバースの扉を開いたことでヴェノムとエディ・ブロックがユニバース間を移動したのだとすれば、なぜこの二人が選ばれたのだろうか。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』には、ソニーが権利を持つ過去の映画「スパイダーマン」シリーズから5人のヴィランが登場することが判明している。5人のヴィランがユニバースを移動した理由は不明だが、何らかの特殊能力を持つ人物だけがMCU世界に呼び寄せられた可能性もある。

この場合、ヴェノムが一時的にエディにシンビオートの世界を見せようとしたことが、MCU世界への移動をアシストした可能性もある。そして、ドクター・ストレンジが『ノー・ウェイ・ホーム』の予告編で口にした「あらゆるユニバースからお客さんを呼び寄せてしまった」というセリフには、ヴェノムも含まれているのかもしれない。

だとすれば、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にヴェノムが登場する可能性もあるだろう。ヴェノムがピーターを指して「こいつだ」と言った理由も気になる。ただ悪人だということで「食べてもよい」と判断しただけなのだろうか。もしヴェノムとエディがピーターの側に付き、別ユニバースから登場するヴィラン達に挑むのが3人のスパイダーマンとヴェノムなのだとすれば、分は悪くなさそうだ。

SSU内の繋がりにも注目

もう一つ言及しておきたいのは、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンで登場したニュース番組「デイリー・ビューグル (The Daily Bugle Net)」についてだ。当然この番組は『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に登場した時と同じロゴと名前だが、実はSSUの世界に登場する新聞紙のデイリー・ビューグルとはロゴが違っている。

もちろんテレビと新聞でロゴが異なると考えることもできる。しかし、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』でパトリック・マリガン刑事が読んでいたデイリー・ビューグル紙と、2022年1月21日(金) 米公開(日本は2022年公開)を予定しているSSUの最新作『モービウス』の予告編に登場するデイリー・ビューグル紙は、ロゴのデザインが同じなのだ。

映画『モービウス』には、MCU映画『スパイダーマン:ホームカミング』(2017) に登場したヴィランのヴァルチャーことエイドリアン・トゥームスが登場し、「人殺し」と落書きされたスパイダーマンの絵も登場する。映画『モービウス』はMCUと同じユニバース内の出来事として描かれると予想されていたが、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』では、「ヴェノム」シリーズはMCUとは異なる世界であることが示された。

一方、『モービウス』の予告編では「俺はヴェノムだ」と冗談を飛ばす主人公マイケル・モービウスの姿も描かれている。『モービウス』の世界はMCUの世界であり、同作はMCU世界でヴェノムが世間に知られるようにあった後の物語と考えることもできる。その場合、デイリー・ビューグル紙はユニバースを越えても同じデザインで刊行されているということだろうか。

今後、SSUはSSUの世界線で進んでいき、ヴェノムだけが二つの世界を行き来するという可能性も考えられる。あるいは、今後のSSUの物語はすべてMCUのユニバース上でスタートし、ヴェノムだけが違うユニバースから合流したということにするのだろうか。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンは、あまりにも多くの可能性と謎を残した。まずは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でマルチバース合流の結末を、そして『モービウス』で新たな物語の始まりを確認しよう。

映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は2021年12月3日(金) より日本全国の劇場で公開中。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』公式サイト

ラストシーンで示唆された新たなシンビオート、“トキシン”登場の可能性については、こちらの記事で。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』最新予告の解説はこちらから。

MCU「スパイダーマン」は『ノー・ウェイ・ホーム』後に新三部作を製作するとされている。詳細はこちらから。

映画『エターナルズ』のポストクレジット解説はこちらの記事で。

映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のポストクレジット解説はこちらから。

Disney+で配信中のドラマ『ホークアイ』にスパイダーマンが登場する可能性についてはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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