『マッドマックス:フュリオサ』公開
映画『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015) 以来、9年ぶりの「マッドマックス」シリーズ最新作となった『マッドマックス:フュリオサ』が2024年5月31日(金) より日本の劇場で公開された。本作の主人公は『怒りのデスロード』で注目を集めたフュリオサで、前作の前日譚としてフュリオサのオリジンが描かれる。
映画『マッドマックス:フュリオサ』は「マッドマックス」フランチャイズのスピンオフという位置付けになる。気になるのは『フュリオサ』の続編があるのかということと、『怒りのデスロード』に続く正当続編、『マッドマックス4』があるのかということだ。本記事では、更なるスピンオフの可能性と続編の可能性について、『フュリオサ』の内容とジョージ・ミラー監督のコメントを通して考察していこう。
なお、以下の内容は『マッドマックス:フュリオサ』の結末についての重大なネタバレを含むため、必ず本編を劇場で鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『マッドマックス:フュリオサ』の結末に関するネタバレを含みます。
『マッドマックス:フュリオサ』続編はある?
映画『マッドマックス:フュリオサ』のラストは、直接的に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』につながる内容となっていた。ディメンタスを倒して荒れ野の40日戦争を終結に導いたフュリオサは『怒りのデス・ロード』での地位と同じ大隊長の地位に上り詰めた。そして、ウォータンクにイモータン・ジョーの妻たちを乗せて、『怒りのデス・ロード』での脱走劇の準備を整えている。
つまり、『フュリオサ』の直接の続編は『怒りのデス・ロード』ということだ。映画『フュリオサ』では、幼少期から大隊長になるまでのフュリオサの姿が描かれたため、今後フュリオサの物語を作るとすれば、『怒りのデス・ロード』で首長となったフュリオサのその後しか描く余地は残されていなさそうだ。
しかし、米国での『フュリオサ』公開時に放送された米Good Morning Americaのインタビューでは、新たにフュリオサを演じたアニャ・テイラー=ジョイは「続編にカムバックしたいですか?」との質問に「Yes」と即答している。もう少し時間が経過すれば、歳を重ねたアニャ・テイラー=ジョイが『怒りのデス・ロード』後のフュリオサを演じるということはあるかもしれない。
『フュリオサ』では、マックス役のトム・ハーディやフュリオサ役のシャーリーズ・セロンといった前作のメインキャストが出演することはなかった。前作における砂漠での撮影は過酷を極め、撮影時に主演二人と監督が険悪な関係になっていたことは広く知られている(もちろん役作りも込みであり、宣伝キャンペーンの時には仲の良い姿を見せている)。
アニャ・テイラー=ジョイが今後もジョージ・ミラー作品への出演に前向きであるならば、この先の「マッドマックス」作品ではアニャ・テイラー=ジョイがフュリオサ役を演じ続ける可能性は高いと言える。『フュリオサ』でもAI技術を用いて少女時代のフュリオサを造形を作り出す演出が取り入れられていたが、メイクやCGで加齢の処理を加えることもできるだろう。
ジョージ・ミラー監督の構想は?
一方、「マッドマックス」シリーズを45年にわたって撮り続けてきたジョージ・ミラー監督には、すでに続編の構想があるようだ。ジョージ・ミラー監督とワーナー・ブラザースは『フュリオサ』とは異なる「マッドマックス」の新作制作に意欲を示している。前作が公開された2015年の時点で、続編のタイトルが『マッドマックス:フュリオサ』と『マッドマックス:ウェイストランド(原題:Mad Max: The Wasteland)』になることを明かしてすらいる。
「ウェイストランド」は、『怒りのデス・ロード』と『フュリオサ』の舞台となった「荒れはてた地」の英語名だ。つまり、続編でもシタデルやガスタウン、バレット・ファームがあるあの場所が舞台となり、イモータン・ジョーやワイブズ、ニュークスといったキャラクター達の過去、または『怒りのデス・ロード』後のフュリオサの統治に焦点が当てられる可能性が考えられる。
しかし、初言及から9年が経過し、『ウェイストランド』のプロジェクトはどうなったのだろうか。映画『フュリオサ』の公開に合わせて米Colliderのインタビューを受けたジョージ・ミラー監督は、「マッドマックス」の世界でまだ伝えたい物語はあるかという質問に、やはり「Yes」と即答している。
ジョージ・ミラー監督によると、『怒りのデス・ロード』で描かれた物語はたった3日間の出来事に過ぎず、そこで描かれてなかったバックストーリーを描く必要があるという。『フュリオサ』で描かれたのは、同作の18年前の物語であり、同監督は『怒りのデス・ロード』に至るまでのマックスの1年間についても描かなければならないと話している。
その“マックスの1年間”についてのストーリーは、共同脚本家のニコ・ラサウリスと共に既にノヴェラ(中編小説)の形で執筆したという。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の前日譚はコミックでも刊行されており、劇中で明かされなかったマックスのフラッシュバックの背景が描かれている。
映画の続編でも、『マッドマックス:ウェイストランド』の内容はマックスが荒れはてた地でどのような経験をしたのかということに焦点が当てられることになりそうだ。
なお、『フュリオサ』にはウェイストランドで力尽きたフュリオサをマックスが助けるシーンが挿入されている。つまりマックスは長らくウェイストランドに身を置いていたか、ウェイストランドを通りかかって後に戻ってきたということが示唆されている。マックスのバックストーリーはまだまだ描かれる余地がありそうだ。
続編製作のハードルは?
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で新たにマックスを演じたトム・ハーディは、同作に続く3作品分の契約を結んでいると報道されており、2018年7月の時点で米Varietyの取材に応えて次回作への出演に意欲を見せている。この時点でトム・ハーディは「ゴーサインが出るのを待っているんです」と語っているのだ。
また、トム・ハーディにとっては、2024年10月米公開予定の主演作『ヴェノム:ザ・ラスト・ダンス(原題)』が「ヴェノム」シリーズの最終作となることから、新たなプロジェクトに取り組む機会が巡ってきたとも考えられる。
一方でジョージ・ミラー監督の盟友で『怒りのデス・ロード』でセカンドユニット監督とスタントコーディネーターを務めたガイ・ノリスは、米メンズ・ヘルスのインタビューでこう語っている。
マッドマックスの世界はまだ生き生きしていて、それはジョージの想像力の中にあります。すでに『ウェイストランド』と呼ばれる、とてもともてよく出来た別のプロジェクトが存在しています。今は、皆さんに受け入れてもらえるかどうか、それにかかっています。全てがうまくいけば、近いうちにオーストラリアのどこかの砂漠に戻り、マッドマックス・サーガを続けることができると期待しています。
「マッドマックス」シリーズの更なる続編が動き出すかどうかは、『フュリオサ』の興行成績次第ということになりそうだ。ちなみに映画『フュリオサ』は、2024年6月7日(金)より「マッドマックス」シリーズとして初めて中国でも公開されることが決定している。世界第二位の映画市場での反応にも注目しつつ、『マッドマックス』続編についての続報を待とう。
映画『マッドマックス:フュリオサ』は2024年5月31日(金)より全国の劇場で公開。
「マッドマックス」は過去4作を収録した「マッドマックス」アンソロジー4K Ultra HD BOXが発売中。
『マッドマックス:フュリオサ』のサントラは配信中。
Source
Good Morning America / Collider YouTube / Variety X / The Men’s Health
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