ネタバレ解説 ヴェノム続編にヒント『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』ポストクレジット前のラストシーンの意味は? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説 ヴェノム続編にヒント『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』ポストクレジット前のラストシーンの意味は?

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『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』ラストを解説

2021年12月3日(金) より、映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が日本の劇場で公開された。『ヴェノム』(2018) の続編にあたる本作は、監督を新たにアンディ・サーキスが務める。主演は前作に引き続きトム・ハーディで、ヴィランのカーネイジ/クレタス・キャサディをウディ・ハレルソンが、シュリーク/フランシス・バリソンをナオミ・ハリスが演じている。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』では、赤い見た目のシンビオート、カーネイジが登場。“シンビオート”と呼ばれる生命体のヴェノムと共生する主人公エディ・ブロックは、収監されている連続殺人鬼のクレタス・キャサディへの取材を行うが、事態は思わぬ展開を迎える。

今回は、映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のラストシーンに注目したい。ポストクレジットシーンの解説はこちらの記事に詳しい。だが、注目すべき点はその前にもあった。以下の内容は『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の結末に関するネタバレを含むため、必ず本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の結末に関するネタバレを含みます。

ラストシーンの意味は?

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンに入る前のラストシーンというのは、スティーヴン・グレアム演じるパトリック・マリガン刑事にまつわるものだ。最後にはとんでもないポストクレジットシーンが待っていたが、その前にこのマリガン刑事が次作へのクリフハンガーになると勘付いた方は多いだろう。

パトリック・マリガンはニューヨーク市警の刑事。前作『ヴェノム』ではサンフランシスコが舞台だったが、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』ではニューヨークが舞台になっており、マリガン刑事はクレタス・キャサディの担当刑事として、本作で初登場を果たした。

そのマリガン刑事は若い頃、フランシス・バリソンの護送中に襲われた経験がある。反撃したマリガンはバリソンの頭を撃ち、バリソンは死んだものだと思っていた。だが、バリソンは左目を負傷したものの生きており、声を武器にできる特殊な力を持っていることから、極秘に施設に収容されていた。

カーネイジ/クレタス・キャサディの援助によって脱獄したシュリーク/フランシス・バリソンは、左目を奪った仇としてパトリック・マリガン刑事に復讐しようとする。クライマックスの大聖堂のシーンではシュリークに襲われたマリガンが首を吊るされそうになるが、間一髪、足場に救われて生き延びる。

ヴェノムがカーネイジとシュリークを倒して一件落着したが、ラストシーンで映し出されたマリガン刑事は倒れたまま身動きが取れないようだった。だが、「モンスターめ (monsters…)」と呟くマリガンのその目は青く光っていた。明らかに次回以降の「ヴェノム」シリーズまたはスピンオフの展開を示唆しているが、具体的にはこのシーンには一体どのような意味があるのだろうか。

トキシン登場か

このラストシーンの描写から、パトリック・マリガン刑事は“トキシン”というシンビオートをその身体に宿したと考えられる。原作コミックではパトリック・マリガンはヴェノムとエディ・ブロックのようにトキシンと共生する。マリガンはトキシンのことを「モンスター」と呼んでおり、映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の最後には、そのモンスターを自分の身体に宿していることを知らずに「モンスターめ」というセリフを吐いているという構図になっている。

なお、「トキシン (toxin)」とは「毒素」という意味で、「毒」という意味を持つ「ヴェノム (venom)」に似たものになっている。「暴動」を意味する「ライオット (riot)」や「大虐殺」を意味する「カーネイジ (carnage)」といったシンビオートとは一線を画す名前になっているのだ。

そう、原作コミックではトキシン/パトリック・マリガンは善玉であろうと努力するのである。映画版でも、野心的なCEOであったカールトン・ドレイクがライオットを宿し、連続殺人犯のクレタス・キャサディにカーネイジが宿ったのに対し、トキシンが宿ったのは刑事であるパトリック・マリガンだ。ジャーナリストであるエディ・ブロックと同じく、正義感の強いパトリック・マリガン刑事は、おそらく原作コミックと同じくその力を正義のために使おうとするだろう。

原作コミックではパトリック・マリガンはニューヨーク市警の刑事であるため、同じくニューヨークを拠点にしているスパイダーマンとの共闘も描かれる。見た目もスパイダーマンに近いデザインになっている。映画版でもトキシンを通したSSUとMCUのクロスオーバーに期待したい。

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トキシンはどこから来た?

一つ考察しておきたいのは、トキシンがどこから来たのかという問題だ。トキシンは、原作コミックでは2004年刊行の『Venom vs. Carnage #2』(日本では『スパイダーマン:ヴェノム VS. カーネイジ』の題で2018年刊行)で初めて登場したキャラクター。この作品では、カーネイジがパトリック・マリガンの体内に子どもを産みつけてトキシンが誕生する。

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つまり、映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』では、ヴェノムの一部が分裂してカーネイジが誕生したが、最後にはカーネイジの一部がトキシンに分裂したと考えられる。前述の通り、原作コミックではパトリック・マリガンは強い精神力と正義感でシンビオートをコントロールしようと葛藤する姿が描かれるが、映画版では果たして……。

演じた俳優が口を開く

さて、「ヴェノム」シリーズ、またはSSUへのトキシン登場は確定的となったが、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の日本公開の一週間前に、パトリック・マリガンを演じたスティーヴン・グレアムがこの役のオファーを受けたときの経緯を明かしている。米Coliderに語ったものである。

このキャラクターが登場するとなった時に、まずどんなキャラクターかの説明を受けました。私は電話で「おぉ、いいですね。少し考えさせてください。まず脚本を読んでみます」と返答しました。そして、電話を切って2階に上がり、息子のアルフィーに「『ヴェノム』でこの役を演じるように頼まれたよ」と話したんです。すると息子は「えっ!」と驚きました。私が「この警察の役だよ」と言うと、息子は「マリガン? 父さん、マリガンって言った?」と聞いてきたので、私は「あぁ、マリガンだよ」と答えました。

すると息子は「父さん、分かってる? 彼はトキシンになるんだよ?」と言ってきたんです。私は「どういうこと?」という感じだったんですが、息子はすべて説明してくれました。トキシンがどうやってカーネイジとヴェノムから生まれてきたのかをね。私は「あぁ、そうなのか」と思いました。将来的に深く描かれる可能性はありますし、そうなれば素晴らしいことだと思います。

撮影はとても楽しくて充実した時間を過ごせました。トム(・ハーディ)は一緒に仕事をするのが楽しかったし、アンディ(・サーキス)は監督としても素晴らしかったですよ。トムは良き友人であり、俳優としても大好きです。素敵な俳優だと思いますよ。良い経験をさせてもらえました。仲間の一人と一緒に仕事ができるなんて、そうそうあることではないですから。

まず、スティーヴン・グレアムはパトリック・マリガン役のオファーを受けた時点では、トキシンになるキャラクターだとは知らなかったということが明かされている。息子からその事実を聞かされたといい、マリガンに寄生したトキシンが描かれるかについては、「将来的に可能性がある」と述べるにとどめている。

一方で、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の撮影は良い経験になったと話している。スティーヴン・グレアムは、トム・ハーディが主演兼製作総指揮を務めたドラマ『Taboo』(2017) にも出演している。「ヴェノム」シリーズでも、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』からはトム・ハーディがプロデューサーも務めている。

なお、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』では、スティーヴン・グレアムが演じるパトリック・マリガンの未公開シーンも存在していると発言している。それが次回作につながるものなのか、トキシンが登場するとして、それは『ヴェノム3』になるのか、続報を注視したい。

追記:12月6日、プロデューサーのエイミー・パスカルは、「ヴェノム」映画第三弾が計画段階にあるとのコメントを発表した。詳細はこちらから。

映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は2021年12月3日(金)より全国の劇場で公開中。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』公式サイト

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンについての解説と考察はこちらから。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』最新予告の解説はこちらから。

MCU「スパイダーマン」は『ノー・ウェイ・ホーム』後に新三部作を製作するとされている。詳細はこちらから。

映画『エターナルズ』のポストクレジット解説はこちらの記事で。

映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のポストクレジット解説はこちらから。

Disney+で配信中のドラマ『ホークアイ』にスパイダーマンが登場する可能性についてはこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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