ネッド・リーズってどんな人? 原作コミックと『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』までの設定をチェック | VG+ (バゴプラ)

ネッド・リーズってどんな人? 原作コミックと『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』までの設定をチェック

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『ノー・ウェイ・ホーム』までのネッドをおさらい

MCU映画最新作にしてMCU版「スパイダーマン」第3作目『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が日本でも2021年1月7日(金)より公開。すでに2021年の最高興行収入を叩き出した作品とあって注目度は桁違いだ。ドクター・ストレンジの登場に、MCU以前の「スパイダーマン」シリーズからのヴィラン登場と、『ノー・ウェイ・ホーム』は話題に事欠かない。

一方で、これまでトム・ホランド演じるピーター・パーカーのことを支えてきたキャラクターにも注目したい。MCUの「スパイダーマン」は今後も新たな三部作の製作が予定されているが、トム・ホランド主演の最初の三部作としては、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が一旦最終作となる。今回は、そのMCUスパイダーマンと共に歩んできた“裏MVP”とも言えるネッド・リーズについて振り返ると共に、原作コミックではどのようなキャラクターだったのかもチェックしてみよう。

演じるのはジェイコブ・バタロン

スパイダーマンことトム・ホランドの親友であるネッド・リーズを演じるのはジェイコブ・バタロン。1996年生まれ、ハワイ出身でフィリピン人の両親を持ち、2016年に映画『North Woods』で俳優デビューを果たした後、翌年公開の『スパイダーマン:ホームカミング』(2017) でのネッド・リーズ役で一躍有名俳優に仲間入りしている。

後述するが、ネッド・リーズとは原作コミックでヴィランになる存在であり、MCUでのネッドの描かれ方は意外性のあるものだった。それに、過去の映画版「スパイダーマン」シリーズでは、ハリー・オズボーンのように親友でありながら敵となっていく存在はいたものの、サイドキックのような形でピーター・パーカーの支えになってくれる存在が置かれることはなかった。「恋愛・家族・孤独」というお決まりのシチュエーションからピーターを解放したのがMCU版ネッドだったのである。

ピーター・MJ・ネッドという三人組は今ではお馴染みとなっているが、『スパイダーマン:ホームカミング』の公開当初は、様々な憶測を呼ぶキャラクター配置になっていた。「スパイダーマン」シリーズのメインヒロインであるはずのMJはナードな脇役になっており、ピーターにはリズ・トゥームスというガールフレンドになる存在がいたし、原作によるとネッドはヴィランになるはずだった。これは他のMCU作品にも言えることだが、豊富な映像化の歴史を持つ「スパイダーマン」シリーズにおいてはとりわけ、これまでのファンの想定が通用しない設定がなされていたのだ。

『スパイダーマン:ホームカミング』のネッド・リーズ

ピーターのギーク仲間

MCUにおけるネッド・リーズの初登場は『スパイダーマン:ホームカミング』。ピーター・パーカーは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) でスーパーヒーロー達と戦い、トニー・スタークからスパイダーマンのスーツをもらったにもかかわらず、その後の2ヶ月の間、何の変哲もない高校生活を送っていた。そんなピーターに「父子2人でレゴ デス・スターを作るのだ」と、「スター・ウォーズ」シリーズのセリフを引用しながら、遊びに誘うのがネッドだ。初登場のセリフからしてギークなネッドに対し、ピーターも「3,803ピース」というレゴ デス・スターに興奮しており、かねてからオタク仲間だったことがうかがえる。

MCUにおけるネッドとピーターの出会いはまだ描かれていない。しかし、Disney+での配信が決定しているMCUアニメシリーズ『スパイダーマン:フレッシュマン・イヤー(原題:Spider-Man: Freshman Year)』では「ピーター・パーカーがMCUのスパイダーマンになるまでの道のり」が描かれる。ネッドとピーターの出会いが描かれることにも期待しよう。

スターク・インダストリーズでの研修=アベンジャーズの任務で頭がいっぱいのピーターに対し、ネッドは3,803ピースもあるレゴ デス・スターの土台を作ってから持っていってあげるとまで言っている。「土台以外は簡単だから」と。優しいオタクである。

なお、この後、食堂の端に座っていた二人はMJに「Loosers=負け犬」と言われるが、ネッドは同じテーブルに座っているMJも同類であることを見抜いている。また、後のリズのパーティーシーンでも、「よっぽど暇なんだね」と嫌味を言うMJに対し、ネッドは「君も来てるじゃん」と言い返している。

“イスの男”に

そして『スパイダーマン:ホームカミング』における有名なシーンが、ヒーロー活動を終えて部屋に戻ったピーターがネッドに出会す場面だ。高校で話してた通り作りかけのレゴ デス・スターを持ってピーターの部屋で待っていたネッドは、スパイダーマンのスーツを着て窓から帰ってきたピーターと鉢合わせしてしまう。

高校でネッドがレゴ デス・スターの話をしていた時、ピーターはリズ・トゥームスに見とれてしまい、途中からネッドの話を聞いていなかった。ピーターは心ここにあらずの状態のまま「それはいいね(That’d be great.)」と返事してしまっており、この時ネッドと会う約束を取り付けてしまったものと考えられる。

唯一の親友がYouTubeで見ていたスパイダーマンだったという事実に大はしゃぎで「絶対ばらしちゃう」と興奮するネッドだったが、ピーターが「これ以上メイおばさんに心配をかけたくない」と真剣に話すと、ネッドも真顔になり、この事実を誰にも話さないと誓う。やはり「純粋で良いやつ」というのが、MCU版ネッドの当初からの描かれ方だった。

なお、スパイダーマン姿のピーターを見たショックでネッドはレゴ デス・スターを床に落としてしまい、せっかく作ったデス・スターはバラバラになっている。また、ネッドは追い出される形でピーターの部屋を出たため、持って帰ってもいない。

次の日からピーターに質問をしまくるネッドだったが、MCU版ピーターもまたクモに噛まれてスパイダーマンになったという重要な事実を引き出してくれている。そして体育の授業では「イスの男」になっていいかと、スパイダーマンのサポートを担うバディになることをオファー。ここでは断ったピーターだったが、結局ネッドはスパイダーマンの良き相棒になっていく。

『ホームカミング』では大活躍

ネッドはリズの気をピーターに向かせるためにピーターがスパイダーマンの友達だと言い出すなど、お節介な一面も見せる。パーティー当日、結局ピーターは悪党退治に向かったため、スパイダーマン姿でパーティー会場に現れることはできず。会場に取り残されたネッドだったが、次の日からも後腐れなくピーターのヒーロー活動に敬意と憧れを持って接している。

ネッドはメカニックやプログラミングの知識に優れており、ピーターが回収したバルチャーの兵器を分解する際にピーターに助言を送っている。ワンシントンD.C.のホテルではスターク製のスーツのコードを読み、「補助輪モード」になっていることを発見。解除を求めるピーターに「何か理由がある」「(解除することが)違法だったらどうする?」と最低限のITリテラシーを見せるが、ピーターから「イスの男」と認められる形で制限を解除している。

武器を取り返しにきたバルチャーの部下を追跡装置で見張る際には、二人は夜通し見張り番をしていた他、ネッドは確実にMCUスパイダーマンの初期の活動を支えていた。スパイダーマンが一躍時の人となった後は、ピーターが高校を離れたことで出番が減少。しかし、ピーターがトニーにスーツを取り上げられて高校に戻ると、改めて一緒にレゴ デス・スターを完成させ、最後のピースであるパルパティーンを置く役をピーターに譲るなど、ネッドらしい優しさを見せている。

『ホームカミング』のクライマックスでは、ショッカーに襲われたピーターをネッドがウェブ・シューターを使って救出。その後は「イスの男」として電話システムに侵入し、携帯電話を追跡してバルチャーの位置をピーターに知らせるなど大活躍を見せた。教員に見つかった際には、「ポルノを見てました」と、自分のプライドよりも友人の秘密を優先する場面も。後にピーターはネッドを「命の恩人」として感謝を述べている。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』までのMCU作品で、ネッドが最も活躍を見せたのは『スパイダーマン:ホームカミング』だった。同作はピーター・パーカーとネッド・リーズの物語だったと言っても過言ではない。ネッドの存在によって、孤高のヒーローではなく、良き友と歩もうとする等身大の新しいスパイダーマン像が提示されることになったのだ。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネッド・リーズ

次にネッド・リーズが登場したのは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)。サノスの部下であるエボニー・マウが乗ってきた宇宙船Qシップがニューヨークの上空に出現した際に、バスに乗っていたピーターが前席のネッドに「大声で騒いで」と頼み。ネッドはその通りに大騒ぎしてバスの乗客を誘導している。ピーターはその隙にシューターを使ってスパイダーマンとして出動することに成功した。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネッド・リーズ

『インフィニティ・ウォー』では描かれなかったが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) では、サノスの指パッチンで消えていたことが明らかに。不安気な表情で登校したピーターの前に変わらぬ姿を見せると、二人はいつものハンドシェイクをゆっくり交わす。ピーターもネッドも共に指パッチンで5年の間消えており、同級生としてまた共に高校生活を送ることになる。

『インフィニティ・ウォー』でも『エンドゲーム』でも、ネッドは数秒ほどの出演だが、いずれもピーターの支えであることが分かる描写になっている。また、初登場からこれほど続けてMCU作品に登場するキャラクターも珍しい。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のネッド・リーズ

ベティと接近

そして、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019) では、再び高校生活に戻ったピーター・パーカーがネッド・リーズにMJへの恋心を明かしており、変わらぬ関係が続いている。しかし、『ファー・フロム・ホーム』では二人の関係に大きな変化が訪れる。学校でのヨーロッパ旅行の飛行機で、ネッドはベティ・ブラントと隣の席になり、「共通点が多かった」と恋人関係になることに。

ヨーロッパに着いてからはネッドはベティと行動し、ピーターもMJとの関係とミステリオとの共闘がメインに描かれるため、『ホームカミング』ほどはネッドの活躍は見られない。それでも、エレメンタルズ襲来の際にピーターがバレずにヒーロー活動ができるよう民衆を誘導したり、黒いスーツのスパイダーマンを「ナイト・モンキー」と名付けてピーターに疑惑が向かないようにしたりと、相変わらずピーターのことを支えている。

失敗はしたが、飛行機でもMJの隣に座りたいピーターをアシストする姿も。戦いに備え、生徒たちを避難させるために、イーディスがオペラ鑑賞を手配した際には、嫌がる生徒たちを他所に、意図を察して唯一賛成の意思を示している。

一方で、ピーターの前に現れたニック・フューリーによって麻酔銃で眠らされる場面も。また、ベティに引っ張られて街に出てしまい、観覧車に取り残されたところを“ナイト・モンキー”に助けられるなど、これまでのシリーズとは逆にピーターがネッドを助ける場面も描かれている。

MJの”先輩”

そして、『ファー・フロム・ホーム』で最もネッドが輝くシーンは中盤に訪れる。MJの前でピーターがステルス・スーツを着る場面に出会すと、いつも通り空気を読んで「仮装パーティの衣装でしょ?」とごまかそうとするが、MJは既にピーターがスパイダーマンだということを知った後だった。

ミステリオが詐欺師だとわかったと話す二人に「二人で真相を解明してたの?」と聞くが、MJは「ほとんど私が」と答える。MJはマウントを取ったつもりなのだが、ネッドにとってはピーターと協力して作業をしているということに価値があるので、ネッドは微妙な顔をしている。ネッドはメイおばさんに連絡を入れる役割を担うと、ピーターが去った後にはMJに「君も知ったのか。僕の方が先だけど、競争じゃないから」とマウントを取っている。

この後ネッドはMJらと共にミステリオに命を狙われ、ハッピーとロンドン塔に逃げるなど、大きな活躍が描かれることはない。ラストではMJとくっついたピーターに対し、帰国した後にネッドとベティは別れたと伝える。しかもあっさりと明るく別れており、サバサバしている。

『ファー・フロム・ホーム』では、ネッドの活躍こそ描かれなかったが、オタク=非モテというようなステレオタイプを払拭するような描かれ方ではあった。また、ピーターも常にネッドと一緒というわけではなく、(当然ながら)お互いの意思で行動する姿が描かれたことは、今後のシリーズにおいて重要なピースになるだろう。

原作コミックのネッドは?

ベティが重要キャラ

以上が、MCUにおけるネッド・リーズの描かれ方だ。では、原作コミックではどのような描かれ方をしていたのだろうか。ネッド・リーズがコミックに登場したのは1964年。「アメイジング・スパイダーマン」シリーズが最初になる。

当初は「スパイダーマン」シリーズでお馴染みの新聞会社デイリー・ビューグルの記者として登場。編集長J・ジョナ・ジェイムソンの秘書であるベティ・ブラントをめぐるピーター・パーカーの恋敵として描かれた。そう、『ファー・フロム・ホーム』でネッドが付き合ったベティ・ブラントである。原作コミックではネッドは後にベティ・ブラントと結婚している。

なお、サム・ライミ監督版の「スパイダーマン」シリーズでは、ベティは原作コミックと同じくJ・ジョナ・ジェイムソンの秘書として登場している。MCU版のベティもミッドタウン高校のニュースチャンネルで司会を勤めており、今後ジャーナリズムに関わる職を選ぶ可能性はあるだろう。

ヴィランのホブゴブリンに

その後、原作コミックのネッドは、ヴィランのホブゴブリンになってしまう。ホブゴブリンとは、映画版でもお馴染みのグリーン・ゴブリンの装備を改造して生まれたヴィランだ。グリーン・ゴブリンとの違いは、多くの場合、ホブゴブリンは正気を保ったままヴィランになっていることである。

ホブゴブリンになるキャラクターは数名存在しているが、ネッドについては同情できる設定になっている。初代ホブゴブリンのロデリック・キングスリーに捕らえられたネッドは、初代ホブゴブリンに洗脳されて、三代目ホブゴブリンになる。ネッドの前にもアーノルド・サミュエル・ドノヴァンという人物が洗脳され、二代目ホブゴブリンとなっている。

“三代目”といっても、二代目と同じく初代の操り人形であり、スケープゴートに過ぎない。三代目ホブゴブリンとしてのネッドはキングピンを排除してその息子を出世させるという仕事を果たすが、一方で洗脳によって結婚生活や記者としての人生は台無しになってしまう。

最終的には初代ホブゴブリンが送りこんだ刺客に暗殺されると同時に、世間にはネッド・リーズが初代ホブゴブリンだと誤認されてしまう。後に、ピーター・パーカーとベティの活躍によってネそれが濡れ衣だったことが公表される。これが1990年代までの設定だ。

2016年から2017年にかけて刊行された『Dead No More: The Clone Conspiracy』では、ネッド・リーズが復活。ピーター・パーカーのクローンであるスカーレット・スパイダーことベン・ライリーによって、ネッド・リーズのクローンが誕生。記憶を引き継いでいるクローンのネッドは、ベティを見守る。

ここまで見てきて分かる通り、MCU版のジェイコブ・バタロン演じるネッドは、コミック版のネッド・リーズとは全く違うキャラクターになっている。MCUではピーターの良き相棒として活躍を続けているネッドだが、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、どのような展開が待っているのだろうか。

なお、ネッドを演じるジェイコブ・バタロンは『ノー・ウェイ・ホーム』公開時点で25歳。同じく25歳になったトム・ホランドは、スパイダーマン引退、マイルス・モラレスへの引き継ぎについても噂が絶えない。ネッドは今後どのような活躍を見せてくれるのか、引き続き注目しよう。

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は2022年1月7日(金) 日本全国の劇場で公開。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』公式サイト

【ネタバレ注意!】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のエンディング&ポストクレジットシーンの解説はこちらの記事で。

グリーン・ゴブリン、ドクター・オクトパス、エレクトロの三大ヴィランの俳優によるコメントはこちらの記事で。

ネッドとの関係を見ても分かるが、トム・ホランドは、MCU版ピーター・パーカーの“弱点”を「他者を優先すること」と語っている。詳しくはこちらから。

トム・ホランドの実の弟の姿も確認できるメイキング映像はこちらから。

予告の解説&考察はこちらの記事で。

ソニーが展開するスSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)最新作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンの解説はこちらから(ネタバレ注意!)。

『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース (パート1)』の初映像の解説&考察はこちらから。

MCU版「スパイダーマン」シリーズのプロデューサーが『ノー・ウェイ・ホーム』後の新三部作について語った内容はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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