解説&考察『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース 』 初映像からスパイダーバース続編を読み解く | VG+ (バゴプラ)

解説&考察『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース 』 初映像からスパイダーバース続編を読み解く

Sony Pictures Entertainment

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』初映像公開

2018年に公開されたアニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(原題:Spider-Man: Across the Spider-Verse)』の初映像が解禁された。

そして、「スパイダーバース」続編は二部作で構成されることも発表されている。マーベル関連の複数部構成といえば、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) と『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) が思い浮かぶが、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』も壮大な物語になるということだろうか。

そして、「アクロス・ザ・スパイダーバース」というタイトルは「スパイダーバースを渡って」という意味である。スパイダーバースを「横切る/渡る/交差する」というニュアンスがあり、マイルスのユニバースに各人が集まった前作に対し、本作ではマイルスが複数のバースを横断していく展開が予想できる。

今回は、「スパイダーマン」シリーズ最新作のファーストルック映像の各シーンを解説していこう。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』ファーストルック映像の解説&考察

前作ラストからの続きに

まずは冒頭に「ユニバースは数多く存在する」という一文が表示された後、前作『スパイダーマン:スパイダーバース』のラストシーンが映し出される。流れている曲はポスト・マローン&スワエ・リーの「Sunflower」だ。

このシーンは、前作で主人公のマイルス・モラレスが「僕はスパイダーマン。でも一人じゃない。仲間がいる」と言った後の場面の続き。前作では他のユニバースへの扉が開き、スパイダーグウェンことグウェン・ステイシーがマイルスの名前を呼び、「今、ヒマ?」と尋ねたところでエンドクレジットを迎える。

元のバースに帰ってお別れしたはずのグウェンがマイルスに会いに来るという展開で、マイルスは微笑みを見せて前作は終了した。これはハッピーエンドのように演出されていたが、今回の『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース (パート1)』ファーストルック映像では、グウェンがマイルスを訪ねてきた理由が明らかになる。

今回のグウェン・ステイシーは髪先をピンク色に染めており、前回よりも少し時間が経過したことを表している。グウェンの声優を務めているのは、前作に引き続きヘイリー・スタインフェルド。2021年11月から配信中のMCUドラマ『ホークアイ』では二代目ホークアイになると見られるケイト・ビショップを演じている。

グウェンの左手に注目

グウェンは、マイルスのバースに戻ってこられた理由について、「話せば長くなる」と言いつつ、マイルスの部屋をいじっていく。注目はグウェンの左手首についている赤い腕輪のような装置だ。これは『スパイダーマン:スパイダーバース』のポストクレジットシーンで、スパイダーマン2099が「狙った次元に跳ぶ第1号」として受け取っていたガジェットの類だろうか。

デザインは異なるが、前回は「試作品」として紹介されており、グウェンが身につけているのは“狙った次元に跳ぶガジェット”の完成品なのかもしれない。それなら、マイルスの手を借りるためにマイルスのバースに訪ねてきたことも、マイルスを別のバースに連れ出そうとしていることにも説明がつく。

『スパイダーマン:スパイダーバース』のラストシーンでは、グウェンが訪ねてきたことに余裕の笑みを見せていたマイルスだが、今回の映像では大慌てで室内のぬいぐるみやおもちゃを隠している。グウェンの絵を描いていたノートも見られて落ち込むマイルスに、グウェンは「ちょっと出かけない?」と提案する。

寮生活のため「外出禁止」と返答するマイルスに対し、グウェンはスパイダーグウェンのマスクをつけると「スパイダーマンが外出禁止?」と、マイルスの中にあるスパイダーマンとしての自覚を呼び覚ます。そしてマイルスはマルチバースを移動する異次元空間のリングを通って別の次元へ。

“アース50101”から“アース928”へ

アニメーションの雰囲気が変わり、インド風の音楽の中でマイルスは街の中を飛び回るが、街中の看板やマイルスの声はヒンディー語で表示されている。インドを舞台にしたユニバースなのだろう。そして、マルチバースのゲートを通って現れたのは前作のポストクレジットシーンで登場したスパイダーマン2099。刊行時の約100年後にあたる2099年を舞台にした“未来のスパイダーマン”だ。

スパイダーマン2099ことミゲル・オハラは未来人であるため、現代に生きるスパイダーマン達よりも高度な技術を持っているのだろう。前作のポストクレジットシーンでも、ライラという名のAIと会話を交わし、前述のマルチバースを自由に行き来できる装置を受け取っている。今回の事件の発端はミゲル・オハラなのだろうか。

マイルスをさらったスパイダーマン2099は、左手の装置を使ってまた別の次元へと跳ぶ。この時、装置には「50101」という数字が表示されている。

Sony Pictures Entertainment

アース50101は、インドを舞台にした『Spider-Man: India』(2004) の世界線だ。同作の主人公であるパヴィトル・プラバカールが『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に登場する展開も考えられる。

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前作では、1967年〜1970年に放送されたアニメ『スパイダーマン』のアース67に跳び、コミカルな展開を見せたスパイダーマン2099。だが、今回はあっという間にマイルスを捕まえると、装置の画面に「928」と表示させて未来空間へと移動する、アース928は『スパイダーマン2099』の世界線である。つまり、自分のホームにマイルスを連れ去ったのだ。

スピードとパワーでマイルスを圧倒するスパイダーマン2099。マイルスを敵対視しているようだが、自分のユニバースに連れてきているところを見ると、マイルスによるアース50101への干渉を防ごうとしただけのようにも見える。

そもそもなぜユニバース間を移動する装置を開発したのかという点も疑問であり、グウェンがなぜそれを手に入れられたのかという点も、グウェンの言葉を借りれば「話せば長くなる」のだろう。

スパイダーマン2099はマイルスとグウェンの敵なのか、だとすればその目的は何なのか。そして、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は、なぜ二部構成になっているのだろうか。続報を待とう。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(原題:Spider-Man: Across the Spider-Verse)』は2023年6月2日(金) 全米公開、日本では2023年に公開。

2023年12月に公開されたスパイダーウーマンも登場する公式予告の解説はこちらから。

2023年4月4日に公開された予告第3弾の解説&考察はこちらの記事で。

 

前作『スパイダーマン:スパイダーバース』で流れた音楽の解説はこちらから。

ソニーとマーベル・スタジオがタッグを組むMCU版「スパイダーマン」は新三部作製作の意向が明らかになっている。詳しくはこちらの記事で。

ソニーが展開するスSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)最新作『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジットシーンの解説はこちらから(ネタバレ注意!)。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のポストクレジット前のラストシーンについての解説はこちらから。

日本では2022年1月7日(金) 公開予定の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の考察はこちらから。

『スパイダーバース』でグウェン役の声優を務めるヘイリー・スタインフェルドが出演するドラマ『ホークアイ』の解説はこちらから。

Disney+ではスパイダーマンを主人公に据えたオリジナルアニメシリーズの製作が発表されている。詳細はこちらから。

 

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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