スパイダーマンの“運命”を問う『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』第3弾予告 解説&考察 | VG+ (バゴプラ)

スパイダーマンの“運命”を問う『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』第3弾予告 解説&考察

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『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』予告第3弾公開

映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018) の続編、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の予告編第3弾が、2023年4月4日(火) に公開された。予告編の公開と同時に、日本での劇場公開日は2023年6月16日(金) となることも発表されている。

6月16日は、DC映画『ザ・フラッシュ』の日本公開日でもある。『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の米公開日は6月2日(金) だったが、日本ではマーベルヒーローのスパイダーマンとDCヒーローのフラッシュの映画が同日公開されることになった。

6月9日(金) には実写映画版『リトル・マーメイド』の公開も控えており、ディズニー、ソニー、ワーナーの対策が一挙に集結することになる。今から6月が楽しみだが、今回はMCUにつながる要素も見られた映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の予告第3弾の内容を解説&考察していこう。

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』予告第3弾 解説&考察

4人目のスパイダーマン

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の冒頭から流れるメインBGMは、前作でも使用されたBlackway & Black Caviar「What’s Up Danger」(2018)。「ワサップ、デンジャー」と、「危険」に対して臆することなく「たまには連絡しろよ」と語りかけるようなスワッグな曲である。

「危険」が一つのテーマになることを暗示しつつ、今回の予告編の冒頭は「時には大事なものを諦めることもある」という言葉と共に、代償を払ってきた実写版スパイダーマンたちのスーツが映し出されていく。

最初に地面に仰向けになった状態で映るのは、サム・ライミ監督版のスパイダーマン。次にマーク・ウェブ監督版のアメイジン・スパイダーマンの背中が映り、最後にトニー・スタークが作ったメカニカルなMCU版/ジョン・ワッツ監督版スパイダーマンのスーツの胸部が映し出される。マイルス・モラレスもスパイダーマンの系譜の中に位置付けられることが強調されているが、同時にそれは犠牲を払ってきたスパイダーマンたちと同じ運命を辿ることをも示唆している。

「アース199999」の存在が認められる

前回までの予告編で公開されていた通り、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のマイルス・モラレスは、スパイダーグウェンことグウェン・ステイシーに連れられ、様々なユニバースの“スパイダーピープル”が集う“ロビー”に行く。インドを舞台にしたコミック『スパイダーマン:インディア(原題)』(2004) の主人公パヴィトル・プラバカールと思われるスパイダーマンの姿も見られるが、その腕にはミズ・マーベルを思わせるバングルが光っている。

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そして、前作のラストにも登場したスパイダーマン2099ことミゲル・オハラがこの空間を仕切っていることが明かされる。ミゲル・オハラは前作のラストでマルチバースを自由に行き来できる装置を手に入れている。なお、ミゲル・オハラの声優はドラマ『ムーンナイト』(2022) で主演を務めたオスカー・アイザックが担当している。

しかし、そのミゲル・オハラはマイルス・モラレスを拒絶する。その理由は、「アース199999のドクター・ストレンジとあいつのように未熟」というものだった。「アース199999」とは、これまでMCUの実写映画の世界を指す名称だった。コミックないのメインユニバースは「アース616」とされてきたが、映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) では、ドクター・ストレンジらがいたユニバースが「アース616」であると紹介された。

このため、コミックと映画を分け隔てなく捉えるとすれば、「アース616」が二つ存在することになり、ファンの間には混乱が広がっていた。一方で、「アース616」という呼称は、ドクター・ストレンジが訪れた「アース838」の人々が勝手に呼んでいた名前であるという説も存在していた。

今回、コミックでも実写でもないアニメの『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』で、「アース199999」の存在が認められることになった。おそらく「ドクター・ストレンジとあいつ」というのは、マルチバースの扉を開いてしまったスティーブン・ストレンジとトム・ホランド版ピーター・パーカーを指していると思われる。そうだとすれば、MCU版ドクター・ストレンジとスパイダーマンの“やらかし”は、マルチバースを跨って知られているようである。

そこに割って入ったのは、前作で登場したピーター・B・パーカー。前回、赤ちゃんの存在が示唆されていたが、今回ついにその赤ん坊が「メイデイ」という名前の娘であることが明かされている。メイデイ・パーカーは原作コミックにも登場するピーター・パーカーとMJの娘で、後にスパイダーガールになるキャラクターだ。父親からスパイダーマンの力を受け継いでいるからこの“ロビー”に入れるのだろう。この予告編でも糸を出してスイングし、壁を登るスキルを披露している。

“犠牲”という装置

そして、今回の予告編で打ち出されるメインテーマ、「スパイダーマンの哀しき定め」が語られる。それは、大事な人を救うか、世界を救うかの二択を迫られるというものだ。映像ではピーター・パーカーを失ったグウェンの姿や、『アメイジング・スパイダーマン』でグウェンが落下するシーンのオマージュのように父ジェファーソンが落下していくシーンが映し出される。

これまでの「スパイダーマン」の活躍は、常に犠牲と隣り合わせだった。スパイダーマン自身が取捨選択をするわけではないが、結果的に大事な人を失いながらも「大いなる責任」を果たそうとするのがスパイダーマンだった。

そして、その流れは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) でも、ある意味では踏襲された。ピーター・パーカーは最終的に自分の存在に関する記憶を世界から消し去ることを選び、全ての大事な人を守りつつ、ある意味では全ての大事な人を失う結果を選んだ。

だが、マイルス・モラレスはトム・ホランドのピーター・パーカーとメイおばさんがヴィランに対してそうしたように、「全員救える」と主張する。しかし、ピーター・B・パーカーは、どのユニバースでも殺されがちなベンおじさんのような人の犠牲の上に自分たちは成り立っていると語る。それは、「スパイダーマン」という物語自体が、誰かの犠牲を原動力にして駆動していることへの真摯な告発でもある。

だが、マイルス・モラレスは諦めない。「誰がなんと言おうと」自分の物語を進めようとする。「運命は自分で決める」と言い、ついにミゲル・オハラに追われることになるのだった。映像の途中には、マイルスと似たツーブロックの髪型に変えたグウェンの姿も見られる。

ミゲル・オハラの「スパイダーマンを止めろ」という指示では、全てのスパイダーマンが「お前か? 私?」と混乱するコミカルな場面も。前作のラストシーンでも引用されたスパイダーマン同士で指を差し合うミームが今回は大規模な形でオマージュされている。

ラストシーンは、やはりおじさんを亡くしたスパイダーマンを別のスパイダーマンがカウンセリングする場面。スパイダーマンの共通項となっているその一件は、カウンセラーもよく分かっている様子だ。“ベンおじさんの犠牲”の話は擦られ過ぎていることをメタ的に表現するものだ。

前作では、「大いなる力には大いなる責任が伴う」というお決まりのフレーズに冷たい視線を投げかけたことが印象的だった。今回は、数十年にわたって様々な物語が描かれてきた「スパイダーマン」シリーズの根幹にある“犠牲”という装置についての問いかけが行われることになりそうだ。

果たして、マイルス・モラレスはスパイダーマンの運命から逃れることはできるのだろうか。

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は2023年6月16日(金) より全国の映画館で公開。

「スパイバース」公式サイト

なお、日本語予告にはなかった重要なポイントについてはこちらの記事で解説している。

前回の予告の解説&考察はこちらの記事で。

ファーストルック映像とスパイダーマン2099と前作ラストの繋がりについての解説はこちらから。

 

『スパイダーマン:スパイダーバース』はBlu-rayセットとサントラが発売中。

 

『スパイダーマン:スパイダーバース』で流れた音楽の紹介と解説はこちらから。

『スパイダーマン:スパイダーバース』のレビューはこちらの記事で。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ラスト後のネタバレ考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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