映画『モービウス』公開
ソニーが贈るSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)より最新作『モービウス』が、2022年4月1日(金)より日米同時公開された。本作は、DCEUのジョーカー役で知られるジャレッド・レトが主演を務め、『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2015)、『ライフ』(2017) のダニエル・エスピノーサ監督が指揮をとった。
二作品が公開された「ヴェノム」シリーズ以外のSSU作品が公開されるのは『モービウス』が初めて。14年以上の歴史を重ねるMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のように、SSUも人気フランチャイズへと成長することはできるのだろうか。今回は、映画『モービウス』の続編に関する情報とSSUシリーズの今後の予定をチェックしていこう。
なお、映画『モービウス』ラストの解説と考察はこちらの記事に詳しい。
以下の内容は『モービウス』『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の結末に関する重大なネタバレを含むため、必ずこれらの作品を鑑賞した上で読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『モービウス』『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『モービウス』続編はある?
映画『モービウス』のラストは、明らかに続編へと続く終わり方だった。マイケルの血を飲んだ影響か死から目醒めたマルティーヌ・バンクロフトの存在と、ミッドクレジットシーンで登場したヴァルチャーことエイドリアン・トゥームスのぶち上げたチームアップ構想から、その後の物語が作られることは確実だと言える。
実は、本作に登場したキャラクターを演じた俳優で、『モービウス』の続編製作に触れている人物がいる。それは、本作のメインヴィランであるマイロを演じたマット・スミスだ。米Digital Spyで、マット・スミスは以下のように話している。
彼は(シリーズに)食い込んでいくマーベルの新キャラです。マイケル・モービウスは繰り返し見ることになるキャラクターであることは確かです。本作の後も複数の映画で新しい世界を切り開いてくれることでしょう。
マイロ自身はマイケルとの戦いで命を落としたためカムバックはないだろう。それでも、ジャレッド・レト演じるモービウスが今後のSSUで繰り返し登場することには確信を持っている様子だ。
一方、マイケル・モービウスを演じたジェレッド・レト自身は、米Extraに『モービウス』後もこのフランチャイズに留まるかと聞かれて「いいえ」と即答するが、これはジャレッド・レトなりのジョーク。その上で、以下のように続けている。
皆さんが楽しんでくれて、私が引退してなければ、ですね。もし皆さんがこのキャラクターを気に入ってくれれば、もちろん“次”について話すことになるでしょう。非常にクリエイティブな人たちがプロットとプランを作ってくれていることは確かです。しかし、皆さんがキャラクターを好いてくれて、ストーリーを楽しんでくれるかどうかが大事です。招かれていないのに出席することはできませんからね。
ジャレッド・レトは、複数作にまたがって契約を結んでいるわけではないということを示唆している。続編のプランはあるが、それが実現するかどうかは『モービウス』の評判と興行次第というところだろう。
今後のSSUはどうなる?
直近は『クレイヴン・ザ・ハンター』
「モービウス」シリーズの続編は決定していないが、SSUは既に二作品の公開が決定している。2023年1月13日(金) に米公開を予定している『クレイヴン・ザ・ハンター』と、公開日は未定となっている『マダム・ウェブ』だ。
『クレイヴン・ザ・ハンター』は、『モービウス』に続くSSUの第4作目となることが決定済み。ヴェノムやモービウスと同じくコミック「アメイジング・スパイダーマン」シリーズで初登場を果たしたクレイヴン・ザ・ハンターは、その名の通り狩猟をする偉大なハンター。兄弟のカメレオンに助けを求められてスパイダーマンと対決するが敗れ去り、それからスパイダーマンに執着することになる。
映画版の『クレイヴン・ザ・ハンター』では、MCUでワンダの兄のクイックシルバー役を演じたアーロン・テイラー=ジョンソンが主人公のクレイヴン・ザ・ハンターことセルゲイ・クラヴィノフを演じる。また、ラッセル・クロウの出演も報じられている。フレッド・ヘッキンジャーがカメレオンことドミトリ役を演じることも明かされており、原作の展開を考えればスパイダーマンとのコネクションも見えてくる。
シニスター・シックスに突き進むSSU
なお、クレイヴン・ザ・ハンターは原作コミックでスパイダーマンの前に立ち塞がるヴィランチームのシニスター・シックスの初代メンバーでもある。シニスター・シックスの初代メンバーは、クレイヴン・ザ・ハンターに、ドクター・オクトパス、ミステリオ、ヴァルチャー、サンドマン、エレクトロを加えた6人。クレイヴン・ザ・ハンター以外は既に実写化されている面々だ。
今回、『モービウス』でヴァルチャーがチーム結成を呼びかけたことで、原作では加入していないモービウスを含めたシニスター・シックス結成の可能性が出てきた。ヴェノムは原作コミックでもシニスター・シックスのメンバーやリーダーだったことがあり、モービウスはスパイダーマンの敵が集結したシニスター・シックスティには加わっている。
シニスター・シックスの結成が期待された『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、当初はクレイヴン・ザ・ハンターが登場する案もあったという。どこかのタイミングでSSUがシニスター・シックスをやることはほぼ間違いない。
ただし、シニスター・シックスをやるならば、その敵になるスパイダーマンがいないと始まらない。『モービウス』のミッドクレジットシーンではヴァルチャーが「この件にはスパイダーマンが関わっている」「チームを組めば面白いことになる」と続け様に言い放ったが、そこには「対スパイダーマン」の「チームを組む」=「シニスター・シックスが生まれる」という示唆が含まれていたことは確かだろう。
追記:『モービウス』のダニエル・エスピノーサ監督はシニスター・シックスの結成について口を開いた。詳しくはこちらから。
『マダム・ウェブ』はどうなる?
そして、2020年5月に映画化が発表された『マダム・ウェブ』は、映画『ソーシャル・ネットワーク』(2020) などで知られるダコタ・ファニングが出演交渉中と2022年2月に米Deadlineが報じている。ただし、マダム・ウェブは原作では目が見えず、重症筋無力症であるため車椅子で活動しているという設定の人物であるため、そうではないダコタ・ファニングの起用は当事者の雇用機会を奪うことになるとの批判も起きている。
マダム・ウェブは自分で戦うことはできないが、テレパシーや予知といった超能力を使って他のキャラクターをサポートする。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でピーターがやったように、アストラル体として動くことはできる。コミックではスパイダーマンことピーター・パーカーとは仲間だったが、その後記憶を失い、ドクター・オクトパスと組むことになる。
スパイダーウーマン達との関係も深いため、スパイダーウーマンの実写化に一役買う可能性もあるだろう。『マダム・ウェブ』は実写化された「スパイダーマン」シリーズの中では、初めて女性が主人公になる作品でもある。キャスティングと公開時期はまだ不透明だが、2022年3月には公式Twitterアカウントが始動している。
まだまだいるSSUキャラ
マルティーヌは再登場か
以上が、製作と公開が決定している『モービウス』後のSSU映画だ。パンデミックの影響もあり、当面は年に一作という公開ペースが見込まれる。しかし、SSUには主人公とメインヴィラン以外にも既にこのユニバースに紹介されているキャラクターが存在する。
マダム・ウェブより早く登場した女性キャラクターでは、冒頭で触れたマルティーヌ・バンクロフトには注目だ。死んだかと思いきや目を覚ますという、再登場が約束された演出で『モービウス』の出番を終えたマルティーヌ。原作コミックではマイケル・モービウスの婚約者であり、モービウスと同じ力を手に入れる。マルティーヌはその後、真のヴァンパイアになることを目指し始める。
モービウスは、コミック作品におけるヴァンパイアの登場が規制されていた時代に網の目をくぐるようにして創作された“ヴァンパイアのような”キャラクターであり、ヴァンパイアではない。『モービウス』でもFBI捜査官が聖水を用意するシーンがあるが、モービウスには効いていない。
マルティーヌは永遠に生きられるヴァンパイアになり、マイケルも同じようにヴァンパイアにして共に永遠に暮らすことを求めるようになる。結果、マルティーヌとマイケルは対立することになるのだが、『モービウス2』があるなら映画版でもこうした展開が待っているかもしれない。
すでにSSUに登場したもうひとりの女性キャラクターは、「ヴェノム」シリーズでアン・ウェイングが変身したシーヴェノムだ。原作コミックではシンビオートと共に過去に自分を苦しめた男性たちに復讐を果たしていくシーヴェノム。映画版ではエディと共生するシンビオートが、アンと相性が良かったことが明らかになっている。マダム・ウェブ、マルティーヌと共にSSUに再登場することに期待したい。
トキシン登場も提示されていた
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』では、ミッドクレジットシーンでMCU「スパイダーマン」シリーズとのクロスオーバーが宣言された。これは『モービウス』と同じ流れである。一方で、マルティーヌのように別のキャラクターの登場も示唆されている。それは、原作コミックにも登場するトキシンだ。
『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』で事件を担当したマリガン刑事は、一件落着となった後、最後に目が光り、何者かが宿っていることが示唆された。パトリック・マリガン刑事は、原作コミックでトキシンというシンビオートに寄生される。原作ではトキシンの見た目はスパイダーマンに似ており、強い正義感を持つマリガン刑事はトキシンと共生して正義を遂行しようとする。
『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』でトキシン登場を示唆したシーンはこちらの記事に詳しい。
そして、マリガン刑事はニューヨーク市警で働いているため、トキシンもまたニューヨークに現れることになるだろう。モービウスとヴァルチャーがいて、通常はスパイダーマンが拠点にしているニューヨークだ。サンフランシスコが拠点だったエディとヴェノムを第二作目でわざわざニューヨークまで連れてきたのは、SSUキャラクター達ののクロスオーバーが目的だったのかもしれない。
ただし、トキシンもスピンオフや続編への登場は決まっておらず、演じたスティーヴン・グレアムは「将来的に深く描かれる可能性はあるし、そうなれば素晴らしい」と述べるにとどめている。『モービウス』と同じく多くのキャラクターは興行や評判の結果によって製作の判断が下されるということだ。それがほぼ全作の大ヒットが約束されているMCUとは一味違うところでもある。
そして、正式発表されていないが、SSUのプロデューサーであるエイミー・パスカルは、「ヴェノム」シリーズについては第3作目の計画が進んでいると発言している。MCUスパイダーマンにも影響を与えるSSU。今後さらに発展していくことに期待しよう。
映画『モービウス』は2022年4月1日(金)より全国の劇場で公開。
Source
Digital Spy / Extra / Deadline /
『モービウス』のエンディング&ミッドクレジットの解説はこちらから。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のエンディングからポストクレジットシーンについての解説はこちらから。
『ノー・ウェイ・ホーム』のヴェノム登場について監督が語った内容はこちらから。
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のエンディング&ミッドクレジットシーン解説はこちらから。
『レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のトキシンを示唆したシーンについての解説はこちらから。
「ヴェノム」第3作目とシリーズの今後についてはこちらの記事で。
エディがヴェノムを愛しているかどうかの答えはこちらの記事で。