映画『デッドプール&ウルヴァリン』公開中
MCU映画『デッドプール&ウルヴァリン』が2024年7月24日(水) より劇場で公開され、大ヒットスタートを記録している。2024年のMCU映画としては唯一劇場で公開作品となり、ウルヴァリンとデッドプールの共演に対する注目度も高い。
気になるのは、『デッドプール2』(2018) の続編であり、「デッドプール3」に当たる『デッドプール&ウルヴァリン』に続編があるのかどうかということ。加えて、『デッドプール&ウルヴァリン』のラストを踏まえて、今後のMCUがどれだけ本作の影響を受けるのか、ということだ。
今回は『デッドプール&ウルヴァリン』の続編と、デッドプールが今後のMCUでどんな役割を果たすのかという点を考察していこう。以下の内容は『デッドプール&ウルヴァリン』の内容と結末に関する重大なネタバレを含むので、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『デッドプール&ウルヴァリン』の内容および結末に関する重大なネタバレを含みます。
Contents
『デッドプール&ウルヴァリン』続編はある?
『デッドプール&ウルヴァリン』ラストはどうなった?
映画『デッドプール&ウルヴァリン』のクライマックスでは、デッドプールとウルヴァリンが虚無で出会ったローラ、ブレイド、エレクトラ、ガンビットと共闘して虚無を脱出。約100人のデッドプールとの戦いを経て、最後にはデッドプールとウルヴァリンが文字通り手を組んで、虚無以外の時間軸を破壊しようとするカサンドラから世界の危機を救った。
『デッドプール&ウルヴァリン』のウルヴァリンは、他の多くのユニバースのウルヴァリンとは違い、X-MENに加わらず世界を救えなかった世界線のウルヴァリンだった。帰る場所のないウルヴァリンは、デッドプールがいたアース10005(映画『LOGAN/ローガン』(2018) と同じユニバースで、このユニバースのウルヴァリンは既に死んでいる)に残ることにしたようだ。
ラストではデッドプールの仲間たちとの食事会で、虚無から戻ってきたX-23ことローラと笑顔を見せていた。デッドプールが虚無で出会ったローラ、ブレイド、エレクトラ、ガンビットの4人のヒーローは、デッドプールがTVAに依頼して元のユニバースに戻されたと考えられる。
ブレイドは、ニュー・ラインシネマ製作のウェズリー・スナイプス版「ブレイド」シリーズから、エレクトラは旧20世紀フォックス製作のジェニファー・ガーナー版『エレクトラ』(2005) から登場。ガンビットは旧20世紀フォックスで計画が中止になったチャニング・テイタム版ガンビット単独映画から、ローラは映画『LOGAN/ローガン』のスピンオフとして計画されていたが中止となったローラ単独映画からの登場となっている。
それぞれが“墓場行き”となったヒーローたちだったが、デッドプールがヒーローとしての見せ場を与え、元のユニバースへ戻してあげたのだった。では、このラストは『デッドプール&ウルヴァリン』の続編へと続いていくのだろうか。
MCU版「デッドプール」はシリーズ化?
『デッドプール&ウルヴァリン』は特にウルヴァリンの物語に焦点が当てられていたが、MCUで「デッドプール」がシリーズ化されることはあるのだろうか。『デッドプール&ウルヴァリン』公開までに続編が公開されたMCUのシリーズは意外と少なく、「アイアンマン」「マイティ・ソー」「キャプテン・アメリカ」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「アントマン」「ドクター・ストレンジ」「スパイダーマン」「ブラックパンサー」「キャプテン・マーベル」の9シリーズのみとなっている。
いずれもアベンジャーズクラスのビッグネームだが、デッドプールがここに加わることはできるのだろうか。その答えのヒントは『デッドプール&ウルヴァリン』の劇中にある。冒頭でスクリーンに戻ってきたデッドプールは、ディズニーによる20世紀フォックス買収を経て映画への出演依頼を受けたことを明かす。そして、「映画の主演でもヤバいのにシリーズ化だって? マーベルって本当にバカだよね」と言うのだ。
デッドプール/ライアン・レイノルズは、デッドプールとしての復帰が「シリーズ化」を前提としたものだと発言したということになるが、もちろんこれはデッドプールのいつもの軽口だと捉えることもできる。単に自分で言ってしまうことで既成事実化を図っているのかもしれないが、本作がこの調子で大ヒットを記録すれば「デッドプール」のシリーズ化は間違いないだろう。
「デッドプール&〇〇」も?
次に気になるのは、「デッドプール&ウルヴァリン」というコンビの作品がシリーズ化されるのかどうかということだ。ライアン・レイノルズとヒュー・ジャックマンによる名コンビぶりを見せたデッドプール&ウルヴァリン。あの微笑ましいラストからは、ウェイドとローガンがアルと一緒に同居する未来も想像できる。『アントマン』(2015) が2作目から「アントマン&ワスプ」としてシリーズ化したように、「デッドプール&ウルヴァリン」がシリーズ化するのもありだろう。
しかし、『デッドプール&ウルヴァリン』で主演・プロデューサー・共同脚本を担当したライアン・レイノルズは、米Colliderに「本当の本当に一度限りのつもりでした」と語っている。観客に「人生最高の2時間を過ごしたような気持ち」になってほしいという想いを語っており、「デッドプール&ウルヴァリン」でのシリーズ化を前提とした作品ではないということを示唆している。
ちなみに『デッドプール&ウルヴァリン』本編でのデッドプールの「シリーズ化」という発言は、英語では「フランチャイズ化」という表現になっている。そして、原作コミックでは、デッドプールはケーブルやスパイダーマン、キャプテン・アメリカら様々なキャラクターとタッグを組んでいる。また、毎号デッドプールが様々なキャラクターとコラボする『Deadpool Team-Up』というシリーズも人気を博している。
もしかすると、MCU映画では「デッドプール&◯◯」のタイトルでのフランチャイズ化もあり得るかもしれない。または、毎回ゲストが変わる「デッドプール チームアップ」のオムニバスドラマシリーズ化も考えられる。可能性は無限大だ。
今後のMCUをネタバレ考察
『デッドプール&ウルヴァリン』は『シークレット・ウォーズ』に繋がる?
次に考察したいのは、『デッドプール&ウルヴァリン』のストーリーが、今後のMCUにどんな影響を与えるのかということだ。本作では、MCU映画では初めてメインユニバースのアース616ではない世界が主な舞台になった。そして、2025年公開予定のMCU版『ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップ(原題)』も別のユニバースが舞台となることが、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギによって示唆されている。
2024年3月にシーズン1が配信されたアニメ『X-MEN 97’』は、MCUのメインユニバースを舞台にした作品ではないが、MCU作品として数えられている。2024年11月に配信されるとされているアニメ『ユア・フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン(原題)』で描かれるのは、MCUのマルチバース設定を取り入れた別の時間軸を舞台としたストーリーとされている。
また、米時間7月27日(土) に開催されたサンディエゴ・コミコンのマーベル・スタジオパネルでは、これまでアイアンマンことトニー・スタークを演じてきたロバート・ダウニー・Jr.がMCUに復帰することを発表。「アベンジャーズ」第5作目『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』でヴィランのドクター・ドゥームを演じるということで、別の時間軸のトニー・スターク(変異体)が敵としてアース616にやってくる展開が予想できる。
このように、MCUではアース616以外のユニバースの物語を目下拡張中であるように思われる。これらの作品は、2027年5月の全米公開を予定している『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ(原題)』への布石だろう。原作コミックの〈シークレット・ウォーズ〉では、アース616のヒーロー達と別のアースのヒーロー達同士の戦いが描かれる。ユニバース同士が衝突して侵食し合う“インカージョン”が起きるのだが、そのインカージョンはMCUでも映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) で描かれている。
『シークレット・ウォーズ』で様々なユニバースのヒーローたちがメインユニバースのアース616に集結するとすれば、『デッドプール&ウルヴァリン』でデッドプールによって元のユニバースに帰してもらったブレイドやエレクトラもアース616にやってくることになるだろう。デッドプールには今回の恩があるので、ブレイドらはデッドプールチームとして戦うことになりそうだが、それがアベンジャーズの脅威となるのかどうかが問題か。
デッドプールの「崇高な任務」
『シークレット・ウォーズ』でデッドプールが果たす役割については、やはり『デッドプール&ウルヴァリン』の劇中にヒントがある。そもそも本作で物語が動き始めたのは、デッドプールがTVAに連れてこられたからだ。TVAのミスター・パラドックスはデッドプールを「選ばれし者」と呼び、「崇高な任務のため」に連れてきたと話していた。
パラドックスはその詳細こそ知らないと言っていたが、アベンジャーズがいる神聖時間軸(アース616)でデッドプールがヒーローになるということは断言している。さらに、TVAで他の時間軸での出来事を映した映像の中には、ソーが涙を流しながらデッドプールを抱き抱えている映像も。パラドックスはこれを「遠い未来に起きること」と話している。
もし、ここで示された内容が『シークレット・ウォーズ』で起きることを指しているのであれば、次回のデッドプールの登場は同作が公開される2027年5月ということになりそう。デッドプールが果たす「崇高な任務」とは、おそらくアース616を救うということなのだろう。そこで晴れてデッドプールはアベンジャーズと共に戦うスーパーヒーローになれるのかもしれない。
『ソー2』の再現に?
ソーが傷ついたデッドプールを抱き抱えて泣いていた映像についてはどうだろうか。『デッドプール&ウルヴァリン』の製作総指揮のウェンディ・ジェイコブソンは米CBR.comに、元々のアイデアとしてデッドプールで『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013) をリメイクする計画もあったと語っている。同作にはソーが死にゆくロキを抱いて涙を流すシーンがある(結局生きていたが)。
「デッドプール」シリーズの続編として没になったこのアイデアが、『シークレット・ウォーズ』で再現されるとすれば、デッドプールは「崇高な使命」を果たしながらも、悲劇的なラストを迎える可能性もある。もっとも、『デッドプール2』ラストや『ソー2』のロキのように結局死なないというパターンも大いにあり得るが。
『シークレット・ウォーズ』が公開されるのは2027年。その頃にはデッドプール役のライアン・レイノルズはちょうど50歳になっている。デッドプールはウルヴァリンに「90歳までこき使われる」と言っていたが、ライアン・レイノルズのデッドプールは何歳まで見られることになるのだろうか。
『デッドプール&ウルヴァリン』は2024年7月24日(水) より全国の劇場で公開中。
原作コミックでデッドプールが歩んできた道をまとめて紹介! デッドプール30周年の歴史を振り返るムック本『デッドプール 30th Anniversary Book』は発売中。
『デッドプール&ウルヴァリン』のオリジナル・サウンドトラックは発売中。
『デッドプール』『デッドプール2』は2枚組のBlu-rayコレクションが発売中。
ダニエル・ウェイ&スティーブ・ディロンによるコミック『デッドプール VS. ウルヴァリン』は、吉川悠による邦訳版が発売中。
映画『デッドプール&ウルヴァリン』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。
ポストクレジットシーンは『シー・ハルク』に繋がる? ラストの更なる考察はこちらの記事で。
『ロキ』と『デッドプール&ウルヴァリン』の繋がりについての解説はこちらから。
ライアン・レイノルズは本作でデッドプールとウルヴァリンが抱える問題を「恥」と語った。詳しくはこちらから。
マルチバースで登場したウルヴァリンの変異体についての解説はこちらから。
デッドプールとソーの関係についての解説と考察はこちらの記事で。
サンディエゴ・コミコン2024では、ロバート・ダウニー・Jr.がMCUに復帰し、『アベンジャーズ5』でドクター・ドゥームを演じることが明かされた。詳細はこちらから。
ローラの『LOGAN/ローガン』と原作における設定と演じたダフネ・キーンについてのまとめはこちらから。
これまでの映画作品におけるウルヴァリンの活躍はこちらの記事にまとめている。
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