ラスト&ポストクレジット ネタバレ解説『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』最後のアレは誰? 流れた曲は? 考察&感想 | VG+ (バゴプラ)

ラスト&ポストクレジット ネタバレ解説『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』最後のアレは誰? 流れた曲は? 考察&感想

©2023 MARVEL

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』公開

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』が2023年5月3日(水・祝) より日本で公開。5月5日(金) の北米での公開に先駆けてゴールデンウィークにガーディアンズがやってきた。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』はジェームズ・ガン監督が手がける「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズの第3弾。本作で現行メンバーでの物語は最後になることが明言されている。

各キャラクターの死も予想されていた中、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』は意外な結末を迎えることになった。今回はそのラストの展開とミッドクレジットシーン、そしてポストクレジットシーンについて解説及び考察していこう。

なお、以下の内容は本編の結末に関する重大なネタバレを含むので、必ず劇場で映画を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の結末に関するネタバレを含みます。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ラストはどうなった?

ロケット不在の旅

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』はロケットの物語になることは予告されていたが、意外にもロケット本人は劇中のほとんどの時間を意識不明の状態で過ごすことになる。ハイ・エボリューショナリーが生み出したソヴリン人の女王アイーシャの息子であるアダム・ウォーロックの襲撃を受け、一同はロケットを助けるために旅に出るというのが本作の本筋だ。

アダム・ウォーロックを送り出したハイ・エボリューショナリーは進化させた種族を生み出して社会を作らせるなど、神の真似事をしている人物だ。アライグマだったロケットは幼い頃に改造を受けて天才的な頭脳を得たが、ハイ・エボリューショナリーは脱走したロケットの頭脳だけを取り戻そうとアダム・ウォーロックを送り込んだのだった。

ロケットには、外部から身体に干渉しようとするとロケット自身を殺してしまう機能が備えられていた。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは、そのロックを解除するためのコードを手にいれるため、ハイ・エボリューショナリーが作り出したカウンター・アースへと乗り込んで行った。

このように、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』の特徴は、これまで現場でメンバーたちを助けていたロケットが不在という状況下で欠点のある一同が力を合わせて戦うという点だ。リーダーシップを発揮し、テックにも精通していたロケットが不在の中、クイルやネビュラたちはぶつかり合いながらもロケットを救うために戦う。

ロケットとライラの会話

ハイ・エボリューショナリーの部下からコードを手に入れたクイルとグルートは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) で2014年からやってきてラヴェジャーズ入りしたガモーラと共に、ロケットの蘇生を試みる。「死なせない」と心臓マッサージを諦めないクイルの姿は涙なしで見ることはできない。

この時、死の境を彷徨っているロケットはライラ、ティーフ、フロアと再会を果たす。この場所は、MCUの世界に様々な形で存在すると言われている“アフターライフ”の一つだろう。「ブラックパンサー」シリーズに登場する「祖先の平原」は、ドラマ『ムーンナイト』(2021) 第5話 で同作に登場した冥府ドゥアトと同じく「様々なアフターライフの形の一つ」と説明されている。

このシーンでは、三人を救えなかったことを涙ながらに謝罪するロケットの姿が胸に刺さる。初めての友達と再会できたロケットは、三人のもとに行こうとする=死を受け入れようとするのだが、それを止めたのはライラだった。

「まだなすべきことがある」と説得するライラにロケットは「意味もなく作られて捨てられた」と反論するが、ライラは「創る手もあれば、導く手もある」と言い聞かせる。確かに、生まれてきたことそのものには意味はないかもしれない。意味がないならまだマシで、身勝手な目的のためにロケットたちを作りだし、用が済めば廃棄するのがハイ・エボリューショナリーのやり方だ。

だが、ライラはすでに生まれてきた存在を導いてあげることはできると言うのだ。生まれてきたこと自体は頼んでもないわけで、不本意な出来事だったかもしれないが、それは皆同じ。だからこそ何のために生きればいいのか分からない者を導いてあげる存在が必要なのだ。そしてライラは、ロケットこそがその役目を担うべきだと考えていた。

ライラは「アライグマ、これはあなたの物語」と告げるとロケットは蘇生。クイルとグルートがロケットを抱きしめるシーンと、ロケットの復活を聞いたネビュラが涙を流すシーンは非常に感動的だ。特にネビュラはガーディアンズメンバーのほとんどがサノスの指パッチンで消えた後の5年間、ロケットと共に時間を過ごしていた。既に一度姉を失っているネビュラは、心の中ではロケットのことが心配で仕方がなかったのだろう。

「死んだ神」と「偽りの神」

一方で、ネビュラ、ドラックス、マンティスはクイルとグルートを助けるためにハイ・エボリューショナリーの船に乗り込んでおり、一行は三人を助けることに。ハイ・エボリューショナリーは地球のような治安に育ってしまったカウンター・アースを爆破して廃棄し、次の実験に取り掛かろうとしていた。

ここでクイルはノーウェアにいるクラグリンに応援を要請するのだが、なんとクラグリンはノーウェアごと登場。ハイ・エボリューショナリーが作りだした子ども達もノーウェアに避難させることになる。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) でサノスに破壊されたノーウェアをガーディアンズが『エンドゲーム』後に買い取り、復興させたという話はドラマスペシャルの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』(2022) で描かれている。

また、ハイ・エボリューショナリーの船にノーウェアが対峙するという展開は示唆的だ。ノーウェアは映画『エターナルズ』(2021) にも登場したセレスティアルの死体の頭部を利用した人口の惑星。セレスティアルズは宇宙の神のような存在であり、ノーウェアとハイ・エボリューショナリー、つまり「死んだ神」と「偽りの神」が衝突して命の行方を決めるという展開になっているのだ。

なお、ノーウェアが到着して戦いを始める時にクイルが流す曲はザ・ザの「This Is the Day」(1983)。「今日がその日、人生が変わる。今日がその日、全てがうまくいく」と歌われている。

ネビュラ、ドラックス、マンティスはアビリスクの巣に落とされるが、マンティスはこれを手なづけて脱出に成功。アビリスクは前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017) にも登場した宇宙怪獣。前作の冒頭ではバッテリーを守るために戦ったが、マンティスはアビリスクがバッテリーしか食べないこと、この状況に怯えていることを見抜いたのだった。

嬉しいカメオも

一方、ノーウェアのクラグリンはヨンドゥから引き継いだヤカの矢を使って迫り来る敵に応戦。この時、街の中に前作で命を落としたヨンドゥの姿が見え、「心を使え」という助言でクラグリンはヤカの矢を操れるようになる。わずかではあったが、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのファンにとっては嬉しいサプライズカメオとなった。ヨンドゥは『ホリデー・スペシャル』でもアニメ映像として登場しており、これでシリーズ全作に登場したことになる。

ガーディアンズメンバーが勢揃いで戦いに挑む場面で流れる曲はビースティ・ボーイズの「No Sleep ’Til Brooklyn」(1987)。「ブルックリンまで眠れないぞ」と歌われている。このシーンはガモーラの最大の見せ場で、剣の使い手としての能力の高さを久しぶりに披露している。

なお、ネビュラは子どもを全員逃すことにこだわるのだが、それは父サノスが子どもであろうと容赦無く殺していたことへの反感から来るものだったのかもしれない。サノスが恣意的に子どもを救ったのはガモーラを養子にした一度だけだったとされている。

子ども達を逃す時にはグルートが手負いのアダム・ウォーロックを救助。親友のロケットを殺しかけた相手を救ったグルートに対し、アダム・ウォーロックがその理由を尋ねると、グルートは「誰もがセカンドチャンスを与えられるべき」と返すのだった。

ジェームズ・ガン監督をめぐっては、性暴力や幼児虐待に関するジョークをSNSで発信していた過去が指摘され、前作『リミックス』の後にディズニーとの契約が打ち切られた。その後、ファンから多くの請願署名が集まり、9ヶ月後にマーベルへの復帰が決定。そうして作られたのが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』なのだ。

これは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) でも描かれたテーマで、ヴィランであってもセカンドチャンスは与えられてよいというのがMCUに通底する考えだといえる。それは人を傷つけた本人が声高に求めるものではなく、時が来たときに誰かから与えられるものだ。そして、セカンドチャンスを与えられた個人は、その過ちに向き合いながら、その期待に応えなくてはならない。

ロケットが差し伸べた手

一同がノーウェアへと逃げ出す中、ロケットはかつての自分のように檻に入れられた幼いアライグマ達を見つける。そのケージには、北米のアライグマという表記があり、ロケットは初めて自分がアライグマという種族だったことを知る。

この場面は、ロケットが自分と同じ存在に出会うシーンであり、これまでアライグマを知らなかったことからそう呼ばれても「アライグマじゃない」と否定してきた過去に終止符が打たれるシーンである。自分がアライグマだということを知り、それを受け入れたロケットは、ついにハイ・エボリューショナリーと対峙する。

ハイ・エボリューショナリーは変わらず「89P13」と呼んでいるが、これは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014) でもノバ軍が呼んでいた名前だ。この時、ロケットは「自称ロケット」と紹介されている。しかし、この場面でロケットは「俺はロケット・ラクーンだ」と改めて自分の名前を宣言する。

ロケット・ラクーンというのは原作コミックにおけるロケットの正式名称。MCU版では単に“ロケット”と名乗っていたが、本作では自分が何者なのかということを受け入れ、ついにコミックでの名称を名乗ることになった。

この時にロケットが起動した重力ブーツは、序盤のノーウェアでテストを行ない、天井を歩いてた時のものだ。重力を操るテクノロジーを持つハイ・エボリューショナリーに対し、ロケットは一枚上手を行く技術で優位に立っている。そして、助けに来たガーディアンズメンバーがハイ・エボリューショナリーをフルボッコに。顔面のマスクを剥ぐと、ライラを殺された時にロケットに剥がれたハイ・エボリューショナリーの顔が現れたのだった。

そして、予告編でも流れたロケットの名言が飛び出す。「お前は完璧を求めたのではなく、ありのままを否定しただけだ」。“ありのままを受け入れる”というのは本作のテーマの一つだろう。自分のありのままを受け入れることは、他者のありのままを受け入れることでもある。誰にも生き方を強制しない、多様性を受け入れるというメッセージが確かに感じられる。

ロケットはハイ・エボリューショナリーを殺すよう言われるが、それを拒否。理由は、自分がガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだからだという。あくまでガーディアン(守護者)でいたいということなのだろう。

この時点でロケットは、“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのロケット・ラクーン”に成っている。それは、アライグマとして生まれた自分の存在、初めてできた友達と一緒につけた名前、そして初めてできた所属・家族の名前を順番に繋いでいくものだ。

ノアの方舟とアダムの創造

ロケットの意見で、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは動物達もノーウェアへ逃すことに。以前からロケットはずっと動物に優しくしてきた。動物達がノーウェアへと逃げていく様は、聖書のノアの方舟を想起させる。神が大洪水を起こして堕落した人間を滅ぼすとき、「正しい人」と認められたノアは方舟の建設を命じられ、家族と全ての種類の動物をつがいで方舟に乗せて生き延びさせた。ここからは宗教的な展開が続く。

ピーター・クイルはヨンドゥの形見である音楽プレイヤーのZune(ズーン)を落としてしまい、ノーウェアへと逃げ遅れてしまう。さすがの「脱出の天才」も宇宙空間にとどまってしまい万事休す。まさかロケットではなくクイルが……? と息を飲んだ方も多いだろう。しかし、これを助けたのはセカンドチャンスを与えられたアダム・ウォーロックだった。

宇宙を自在に飛べるアダム・ウォーロックが背後からクイルに手を差し伸べると、振り返って手を出しているクイルと向き合い、その画はミケランジェロ『アダムの創造』と同じ構図になる。『アダムの創造』は、向かって右側に神がいて、左側にアダムがいるのだが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』のクライマックスでは、右にアダム、左にクイルとなっている。

クイルは、自称セレスティアルのエゴの息子であり、半分は神の血が流れていると言ってもよい。赤ん坊として生まれたのではなく、人工的に大人の姿で生まれたアダム・ウォーロックは、原作コミックでは強大な力を持つコズミック・ビーイングである。

『アダムの創造』は神が最初の人間であるアダムに生命を吹き込む場面を描いたとされている。ウォーロックとクイルの二人は共に半神半人だが、ここでは前作で“神”になろうとしたクイルが“人間”の側に置かれることで、クイルが人間としての故郷に帰るこの後の展開に繋がっていく。

なお、皆が笑顔になったであろうアダム・ウォーロックの“あのハグ”について、演じたウィル・ポールターが語った裏側はこちらの記事で紹介している。

新しいキャプテン

それぞれの諦めない気持ちを原動力に、誰一人失わないラストを迎えた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』。助かったクイルは、ようやくこのガモーラが自分の知っているガモーラではないことを認めてラヴェジャーズのもとへ送り出す。これもまた「ありのまま」を認めることだ。

そして、クイルは背を向けてきた地球人としての故郷へ帰ることをメンバーに報告。クイルがそう決めたのは、ガモーラから家族写真を渡されたことと、ロケットが過去/出自と向き合ったことに背中を押されたのだろう。また、クイルの妹であるマンティスもエゴとガーディアンズの保護から離れた人生を一度送ってみたいと、アビリスクを連れて旅に出ることに。

『ホリデー・スペシャル』でも共に旅に出たドラックスも同行したがるが、ネビュラはノーウェアの新しい社会がドラックスを必要としていると説得。原作コミックでは「ドラックス・ザ・デストロイヤー」と名乗ることから、「根っからの破壊者(デストロイヤー)ではなく、根っからの父親」だと称賛して、助け出した子ども達の面倒を見るよう頼むのだった。ドラックスもまた、ロナンやサノスに復讐を誓う前の父だった過去の自分に向き合うことになる。

ロケットはこの展開を寂しがるが、クイルは直々にロケットをガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの次の「キャプテン(船長)」に任命。船長の座を争って喧嘩していたクイルとロケットがバトンを繋いで、メンバー全員が胸を叩いて敬意を示すのだった。グルートはここで「みんな愛してる(I love you, guys)」と喋っている。予告で出ていた「We are Groot.」はフェイントだったようだ。グルートも死ななくてよかった……。

このシーンについて、ジェームズ・ガン監督は北米での本作公開後にその意図を明らかにした。曰く、グルートは本当に英語を喋ったわけではなく、観客である私たちに“そう聞こえた”ということだったのだという。詳しくはこちらの記事にまとめている。

クイルはロケットにズーンを譲っていた。「これを取りに行った」というメモは、命をかけて守ったくらい大事なものだよ、というメッセージを照れ隠しした表現だろう。ロケットは、クイルがいつも聴いていた80年代ではなく、2000年代の曲をチョイス。フローレンス・アンド・ザ・マシーン「Dog Days Are Over」(2008) をノーウェアの街中に流す。

「真夏のような日々(字幕では「失意の日々」)が終わる」「母の元に、父の元に、子ども達の元に、姉妹と兄弟の元に走っていって」と歌われるこの曲は、三部作の終わりをむしろポジティブな方向へ彩ってくれる。思えばガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々はずっと戦ってばかりだった。最も苦しい時代が終わり、今、ようやくそれぞれがやりたいことに向き合うことができる。

クイルは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』にも登場した祖父のジェイソンのもとへ。クイルの故郷のミズーリ州はジェームズ・ガン監督の出身地でもある。ガン監督自身も、ここで一度一息つきたいという思いがあったのかもしれない。

なお、クイルは見知らぬ黒人の女性が出迎えられたことで、初めは祖父がもうそこにはいないのではないかと考えているが、クレジットを見るとこの女性の役名は「Grandma Quill(お祖母さんクイル)」となっている。おそらく祖父ジェイソンの再婚相手だと思われる。

ガモーラもラヴェジャーズに戻り、案外そこがホームになっていたことが示される。ノーウェアの人々は踊り、これまで踊ってこなかったドラックスやロケットもぎこちないながら一緒に踊っている。クイルは去ったが、クイルがもたらした音楽は鳴り止まないまま、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は幕をとじる。

ミッドクレジットシーンの意味は?

ファイラって誰?

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のミッドクレジットシーンで描かれたのは、ロケット率いる新生ガーディンズ・オブ・ギャラクシーの姿だ。新キャプテンのロケットはクイルから引き継いだズーンでメンバーに音楽を聴かせている。

ここに登場する“ファイラ”は、ハイ・エボリューショナリーの施設から救出された子どもの一人のようだが、原作コミックにはファイラ=ヴェルというキャラクターが登場する。ファイラ=ヴェルは初代キャプテン・マーベルであるマー=ヴェルの娘で、キャプテン・マーベルやクエーサーといったヒーローネームを名乗ることになる。

原作コミックではマー=ヴェルは男性だったが、映画『キャプテン・マーベル』(2019) で女性のクリー人科学者として登場した。このファイラがファイラ=ヴェルであるなら、ファイラ周辺のオリジンはMCUオリジナルのものになるだろう。

原作コミックにおけるファイラとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの繋がりは強い。ファイラはレズビアンであり、ドラックスの娘のムーンドラゴンがパートナーになる。また、原作コミックでもファイラはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに加入するので、MCU版では早くもガーディアンズメンバーとして活動を始めた姿が描かれているものと思われる。

ちなみに、ファイラ(Phyla)とロケットの初めての友達であるライラ(Lylla)は韻を踏んでいる。ファイラという名前にロケットが目を留めたのか、あるいはその名前はロケットがつけたものかもしれない。

そして、ロケット率いる新生ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーは以下のようになっている。

  • ロケット
  • グルート
  • アダム・ウォーロック
  • ブラープ
  • ファイラ
  • コスモ
  • クラグリン

ネビュラとドラックスはチームから抜けており、新たな故郷であるノーウェアの街を守っているものと思われる。アダム・ウォーロックはまだ子どものような精神年齢だが故郷も身寄りもなくしており、自らが殺されかけたのにチームに入れてあげるロケットの優しさが眩しい(それに戦力としてはありがたい)。

残ったグルートはまた一回り大きくなった姿を見せている。念力が使えるコスモと、ヤカの矢を操れるクラグリンのコンビがいてくれるのも心強い。ロケットにとっては、チームに動物が自分だけだったが、アダムについてきているブラープも含めるとこれでメンバーの7分の3が動物、グルートを入れると過半数が非人間ということになる。これがロケットのチームだ。

流れる曲は?

ロケットはまずファイラに好きな歌手を聴くと、ファイラはブリトニー・スピアーズとコーンと答えている。共に2000年代も活躍した歌手とバンドであり、クイルとは違い2000年代の曲をチョイスしていたロケットの“英才教育”が行き届いている。その後もメンバーからはカーペンターズやエイドリアン・ブリュー、キング・クリムゾンといった名前が挙げられるが、キャプテン・ロケットのお気に入りは違っていた。

ロケットが流した曲はRedbone「Come And Get Your Love」(1973)。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の冒頭でクイルがオーブを手に入れる時に聴いて踊っていた曲だ。その歌詞は「ここに来て愛を手に入れなよ」と歌われており、仲間を手に入れたロケットの過去と現在が表現されている。そして、ロケット達はその星の住人たちを守るために猛獣達に立ち向かい、『GotG3』のミッドクレジットシーンは幕を閉じる。

新たなチームやヒーローの紹介で幕を閉じる展開は、フェーズ4以降のMCUの一つのパターンになっている。例えば、映画『ソー ラブ&サンダー』(2022) では、ソーと養子の娘のコンビが紹介され、映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022) ではティ・チャラの息子が紹介された。

両作の新顔と今回のファイラについては、すぐにというよりは十数年後に主役を張るような存在だ。MCU全体でかなり先の方までヒーローを紹介していくプランがあるのだろう。ファイラを含む新生ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが今後どこで再登場するのか注目していこう。

なお、エンドロールでRedbone「Come And Get Your Love」の後に流れるのは、ブルース・スプリングスティーン「Badlands」(1978) だ。「荒れた土地で生きていかないと」「壊れた心を立て直して、代償を支払って」「理解できるまでやってみて」「この荒れた土地が良くなるまでは」と歌われている。

また、曲の後半では「君がくれた愛を信じてみる」とも歌われている。「Come And Get Your Love」の「ここに来て愛を手に入れなよ」というピーター・クイルからの言葉を受け取ったロケットが、「君がくれた愛を信じてみる」と応答しているようにも聴こえないだろうか。

ポストクレジットシーンの意味は?

ポストクレジットシーンは、ピーター・クイルと祖父が小さなテーブルを囲むシーン。クイルは祖父と近所の芝刈りについて愚痴をこぼしながら朝食をとっている。なんの変哲もない米国の田舎町の見慣れた景色であり、けれどそれがクイルにとってはこれまで得られなかった経験なのだ。

だが、このシーンにもちょっとしたイースターエッグが仕掛けられている。クイルの祖父が読んでいる新聞には、「ケヴィン・ベーコン宇宙人誘拐の真相」という見出しが。これはディズニープラスで配信されているドラマスペシャルの『ホリデー・スペシャル』の一件を示している。

ドラックスとマンティスがピーター・クイルへのクリスマスプレゼントとしてケヴィン・ベーコンを拐ってきたのだ。けれどそれも過去のこと。3人が散り散りになったことには一抹の寂しさを感じながら、クイルのスプーンの音と共にポストクレジットシーンは幕を閉じる。

だが、ファンにとって嬉しいポイントは、「伝説のスター・ロードは帰ってくる」という予告が最後になされたことだろう。スター・ロードの存在は、正真正銘「Legendary」になり、誰も「スター・ロード」という名前を知らなかった第一作目の時から状況は大きく変わった。現役で銀河を駆け巡るのはロケット達だろう。しかし、きっとアベンジャーズのピンチにスター・ロードは現れるはずだ。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ネタバレ感想

見事な完成度

現行メンバーの最終章という触れ込み通り、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ではオリジナルチームはロケットとグルートを残してチームを離れた。そして、その中でそれぞれの卒業回に相応しい展開が用意されており、いつの間にか大所帯となったチームをジェームズ・ガン監督が非常に巧みに動かしていた印象を受けた。

キャラクターが多いことは全くストレスにならず、むしろそれぞれのキャラクターに応じたメッセージを組み込んでいくことで、ジェームズ・ガン監督が届けたかったメッセージをふんだんに内包した作品になっている。ガン作品に通底する、見下されたり見過ごされたりしがちな存在に居場所を与えていくスタイルは最後まで貫かれていた。

特にロケットが動物達を逃すときに言った「Rest of them(残りのやつら)」を助けるという宣言は、大人、子ども、動物と命が序列化される中で、誰も失わせないという強いメッセージを感じた。それは、自己責任論や弱者切り捨て、優生思想が台頭する昨今の社会へのメッセージでもあるのだろう。

ジェームズ・ガンの今後

ジェームズ・ガン監督は一旦これで「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を卒業する。しかし、クイルのように地元のミズーリでのんびりできるわけではないだろう。ジェームズ・ガンにはDCスタジオの共同会長兼CEOという重責が待っているのだ。

自身の問題投稿の帰結によってマーベルの契約が切られた後、ジェームズ・ガンはマーベルのライバル会社であるDCコミックスの映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021) とドラマ『ピースメイカー』(2022-) を監督。2022年10月には、今後4年間はDCスタジオのクリエイティブ部門を統括することが発表された。

DCと親会社のワーナーを巡っては、人種差別問題に相次ぐ俳優の不祥事など、問題の枚挙にいとまがない。MCUに対抗するユニバース構想としてDCEUの製作が進められてきたが、『ザ・フラッシュ』(2023) をもってこれをリセットすることが予定されており、先行きは不透明だ。

だが、ジェームズ・ガンは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』で、小さな存在や社会から「価値がない」と烙印を押されるような存在に手を差し伸べる作品を作り出した。「ありのままを受け入れる」精神があれば、人種差別も性差別もない社会を作り出していけるはずだ。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』を観て、やはりジェームズ・ガン監督の映画制作の手腕は流石と唸らされた。ジェームズ・ガンはDCを変えることができるのか、そちらの動向にも注目したい。

MCUの先行きも不透明に

なお、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は本編もミッドクレジットもポストクレジットも最後までガーディアンズ・オブ・ギャラクシーメンバーで統一されていた。そのため、今後のMCUについてのヒントもなかったと言っていい。

予定としては、6月28日(水) より、ディズニープラスでドラマ『シークレット・インベージョン』の配信が始まる。こちらはニック・フューリーを主人公にした作品で、11月10日(金) 公開予定の映画『マーベルズ』につながる作品になると思われる。

ドラマ『ロキ』シーズン2も2023年中の配信を予定しているが、同作に登場する征服者カーン役のジョナサン・メジャースが女性への暴行疑惑(訴えが取り下げられた直近の出来事ではなく過去の疑惑)をきっかけに所属事務所から契約を解除されており、こちらも先行きが不透明になっている。征服者カーンはフェーズ6までのMCUにおけるサノス以来の大ヴィランであり、マーベル・スタジオの判断にも注目が集まっている。

外の世界のノイズによって作品の行方が影響を受けるのは哀しいことだ。しかし、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』で語られたようなメッセージを自分のこととして真剣に受け取るならば、現実の問題を無視することはできない。まさに本作は、逃げずに向き合うことを教えてくれたのだから。

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は2023年5月3日(水・祝) より劇場公開。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のオリジナル・サウンドトラックは5月4日(木) 発売&配信中。

ジェームズ・ガン監督は前二作のテーマを「母」と「父」、本作のテーマを「自己」と話した。それを踏まえたロケットの変化についての考察はこちらの記事で。

これまでの作品におけるロケットの音楽への向き合い方と、『GotG3』での変化についてはこちらの記事で解説している。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー4』についての情報と考察はこちらから。

これまでのロケットの描写についての総解説はこちらから。

『GotG3』のカメオ出演者の紹介はこちらから。

ウィル・ポールターが語ったアダム・ウォーロックの人物像はこちらから。

ウィル・ポールターがアダム・ウォーロックの今後について語った内容はこちらから。

ブラープについての解説はこちらの記事で。

ジェームズ・ガン監督が明かしたブラープのお気に入りの曲はこちらから。

ハイ・エボリューショナリーのその後についてはこちらから。

 

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』のネタバレ解説はこちらから。

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』ラストとポストクレジットの解説はこちらから。

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ラストの解説はこちらから。

映画『ソー:ラブ&サンダー』ラストとポストクレジットの解説はこちらから。

 

ドラマ『シークレット・インベージョン』予告の解説はこちらの記事で。

映画『マーベルズ』予告の解説はこちらから。

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』最新予告の解説はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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