第5話ネタバレ解説『ムーンナイト』原作コミックのあの人が! 『ブラックパンサー』との繋がりも 考察&あらすじ | VG+ (バゴプラ)

第5話ネタバレ解説『ムーンナイト』原作コミックのあの人が! 『ブラックパンサー』との繋がりも 考察&あらすじ

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『ムーンナイト』第5話はどうなった?

MCUドラマ『ムーンナイト』が佳境を迎えている。本作はオスカー・アイザックが主演を務めるマーベルドラマの最新作。一つの身体に複数の人格を宿す異色のダークヒーロー、ムーンナイトを主人公に据えた作品だ。

『ムーンナイト』は第1話から多くの情報が伏せられた状態で走り出したが、状況も掴めてきた矢先、第4話では衝撃の展開が待っていた。あのラストから第6話のフィナーレに向けて、物語はどう繋がっていくのか。今回も第5話の各シーンをネタバレ有りで解説していく。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ムーンナイト』第5話の内容に関するネタバレを含みます。

 

『ムーンナイト』第5話には児童に対する虐待の描写が含まれ、本記事でもその内容を扱っています。

 

第5話「蘇る過去」のネタバレあらすじ&解説

タウエレト登場

『ムーンナイト』第4話では、マーク/スティーヴンとレイラはアメミットの墓に潜入。ヘカの司祭の攻撃をすり抜けると、そこはアレキサンダー大王の墓であったことが発覚した。スティーヴンはアメミットのウシャブティ(神像)を手に入れるが、そこに現れたのはアーサー・ハロウだった。

レイラの父が死んだ時にマークがその場にいたことも明かされ、その責任も追求される中、マークはアーサー・ハロウによって射殺され、怒涛のラスト15分が始まる。パトナム精神病院で目を覚ましたマークは、これまでに出会った人々やアイテムが並ぶ姿を目にするが、アーサー・ハロウに撃たれたことを思い出したのだった。

そして、この病院から逃げようとしたマークがもう一人の自分であるスティーヴンと物理的に出会い、廊下の向こう側からカバの姿をしたタウエレトが登場したところで第4話は幕を閉じた。あまりに多くの謎が提示された前話から、ハードルを上げまくった状態で第5話は幕を開ける。

何だか久しぶりな感じがする“いつもの”マーベル・スタジオのロゴタイトルと音楽からスタートした第5話は、「助けて」という子どもの声と、「何もかもあなたのせい」と叱責される過去のトラウマらしきシーンが挿入される。しかし次の瞬間にはタウエレト、マーク、スティーヴンの三人が叫び声をあげているシーンに戻る。共同監督のジャスティン・ベンソン監督は、タウエレトを演じたアントニア・サリブが叫ぶシーンも含めて20数テイクを撮影したと語っていた。

「隠れ家」

だが次の瞬間にはマークは「私は撃っていない」「虚実の間を激しく揺れ動いている」と言うアーサー・ハロウ風の医者の言葉を聞いている。現実にはマークはシカゴのパトナム病院に入院している患者で、スーパーヒーローとして活躍する世界は、現実を否定するための幻だというのだ。

この言葉を反転させると、この病院の世界は現実ではなく、厳しい現実を否定するために作られた幻だと考えることができる。一方でマークはシカゴ出身であり、英語もシカゴアクセントで話している。シカゴの精神病院にいるという設定には説得力があるのだ。

喋るカバと出会ったことが現実的かと聞かれたマークは、それを否定せざるを得ない。ハロウ医師は、トラウマから自身の別の側面を逃すために苦しむ心が「隠れ家」を作り出すと説明する。この時挙げられている例えが「城」「迷路」「図書館」なのだが、これらはドラマ『ロキ』(2021-) で“在り続ける者”が居座っていた城やTVAの施設を想起させる。

そしてこの精神科病棟もその「隠れ家」たりうる。ハロウ医師はカバがマークとスティーヴンの間の壁を取り除くヒントになると説明すると、マークが以前から話していた“ある少年”についても触れる。マークは暴れようとしたところで注射を打たれ、またスティーヴンと共にタウエレトの前に立っている。夢を見ているかのように場面が移り変わっていくのだ。

『ブラックパンサー』からあの場所が

冷静に話すことになった三人。タウエレトは二人が死んだことを告げ、魂を迎える演説を始める。ここは“冥府ドゥアト”。ドゥアトとは、エジプト神話に登場する冥界のこと。こちらの考察記事で予想した通り、この病院は冥界だったのだ。スティーヴンはタウエレトが母と子を司る女神と来世へと導く存在だと説明。ここで言う「来世」とは英語で「afterlife」であり、「生まれ変わり」ではなく「あの世」の意味である。

タウエレトは、この病院は、数多くあるアフターライフの形の一つだと説明する。その形の一つとして「祖先の平原」を挙げているが、これは映画『ブラックパンサー』(2018) に登場する平原を指している。ハート型のハーブを摂取したティ・チャラは祖先の平原へ行き、亡き父ティ・チャカから助言を受ける。

『ブラックパンサー』では儀式を執り行うズリが「神秘のハーブがブラックパンサーの力を再び授け、魂を先祖の所へ送る」と解説している。日本語では「先祖の所」となっている箇所は、英語では「Ancestral Plane」と固有名詞の扱いになっており、『ムーンナイト』でタウエレトが挙げた「祖先の平原」も英語では「Ancestral Plane」となっている。あの場所もまた冥界だったのだ。

ドゥアトは各自に理解しやすい形で目に見えると説明するタウエレトに対し、マークはハロウ医師が正しかったと言い始める。カバや死んだ鳥と話している……それはまぁ、確かに。ドアを開ければ「クローリーがビンゴ」と言っていると主張するマーク。クローリーとはスティーヴンが第1話と第2話で話しかけていた全身を金に塗ったストリートパフォーマーで、第4話では病院でビンゴの番号を発表していた。

正義の天秤

マークが扉を開けると、そこに広がっていたのは砂漠の上をいく巨大な船だった。第4話のラストで病院の廊下が傾いていたのは、ここが船の中だったからだ。この船が向かう先をスティーヴンは“アアル=葦の楽園”と言い当てる。スティーヴンは第1話で博物館にいた少女に「冥界の裁きで認められた人だけが葦の楽園で暮らせる」と説明していた。この時、少女は「葦の楽園で拒まれて嫌だった?」と聞き、スティーヴンは「僕はまだ死んでないよ」と答えている。

スティーヴンが話したように、善悪の均衡が取れていれば永遠に暮らせると言うタウエレトは二人の心臓をとり、真実の羽根と共に正義の天秤にかける。死者からは臓器を取り除くが、心臓は冥界で裁きを受けるために必要な残しておくという話も第1話でスティーヴンが少女に説明した通りである。

旅の終わりまでに天秤が釣り合わなければ、砂漠で永遠に凍りつくことになるというタウエレト。もはや地獄か天国かの選択肢しかない状態に。なお、『ムーンナイト』第5話の前にマーベル公式が投稿した今回のポスターは、真実の羽根と二つの心臓が乗せられた正義の天秤だった。

いざとなればカバを殺すというマークだったが、タウエレトは二人の心臓が不完全であると言い出し、二人に一生の記憶が眠っている船で真実を見せ合うことを提案する。言われた通り隠し事を見つけ出そうとするスティーヴンは、ある部屋では第1話ラストのムーンナイトの姿を、別の部屋ではコンスと空を回転させた記憶を見つけている。

スティーヴンは次の部屋を覗くのだが、この部屋の表札には「FLOOR MAP」と書かれた文字の上にQRコードが掲示されている。第1話と第2話でも博物館内とトランクルーム(倉庫)でQRコードが登場しており、共に1972年発売のコミック『Werewolf By Night #33へのリンクになっていた。これはムーンナイトが初登場した作品である。

そして第5話に登場したQRコードを読み込むと、1980年発売のコミック『Moon Knight #1』がのリンクであることが分かる。この表紙にはマーク・スペクター、スティーヴン・グラント、そして第三の人格であるジェイク・ロックリーの姿が見られる。

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三人はそれぞれ傭兵、ハリウッドスター、タクシー運転手の格好をしており、「彼らは一つになる……目的を果たすために!」という煽り文句がつけられている。

蘇る過去

その部屋の中では、路上に立つマークの姿が。しかしスティーヴンは別の部屋で聞こえた子どもの声の方へと向かう。死者で埋め尽くされた部屋は傭兵としてのマークが殺してきた人々で、マークはドバイ、ガボン、ニューヨークと一人ひとりを殺した場所を覚えており、夜の旅人を守るためとコンスが制裁を求めたとしている。ニューヨークでは初代ホークアイことクリント・バートンもローニンとして悪人に制裁を加えていた。そんな中で力を手にしたキングピンはやはり恐ろしい存在である。

マークが「何度も殺されたいと思ったが、ムーンナイトの治癒能力が仇になった」と話すと、正義の天秤が動き出す。隠し事を正直に話すと前進できるようだ。そして、現れたのは一人の少年。そして少年が逃げ込んだ部屋には、スティーヴンの母がいたのだった。第1話から第2話にかけて、スティーヴンは電話で母親に話しかけていたが、向こうからの声はなく、本当に存在しているかどうかは不明だった。母親はランドールという少年のことをロロというあだ名で呼んでいる。

そのランドールはヒレが一つの魚の絵を描いている。第1話でスティーヴンが水槽に飼っていた金魚と同じだ。それをイジる兄はマーク。父はDIYで古屋を作っている。幸せそうな風景だ。弟を洞窟に連れていくマークは「Laters, gators.」と言い、母は「In a while, crocodile.」と答えているが、これはワニの種類で韻を踏んだアメリカの言葉遊びである。これにより、イギリス出身のスティーヴンではなくマークの過去であることが示唆されている。

弟のランドールは「僕がロッサーね」と、第4話で登場した劇中劇『トゥーム・バスター』の助手の名前を挙げる。「聞こえる? グラント博士」と聞かれたマークはスティーヴン・グラント博士になりきっている。マークは幼い頃からスティーヴン・グラント博士が好きだったようだ。

この展開は、ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) 第8話でワンダの幼少期が再生された展開と被る。『ワンダヴィジョン』でも最終話目前での過去回だった。雨が降り、ランドールは「雨だから戻ろう」(吹き替えと英語では「ママが雨の日は入るなって」)と嫌がるが、マークは強行。ついていくスティーヴンは足元に骨だけになった鳥の姿を見つけている。豪雨は洞窟に流れ込み、次第に水かさを増していく。

これらのシーンは、第5話冒頭の流れ込む水と「助けて!」という声、「あなたのせいよ」という母からの叱責とつながる。マークは幼少期に自らの無謀な行いがきっかけで、弟を死なせてしまっていたのだ。

ブッシュマンの名前が

スティーヴンに部屋から締め出されたマークは、別の部屋でスティーヴンと合流する。しかしその部屋は、ランドールの葬式前か後の家族の集まりで、母はマークを罵倒する。胸が締め付けられるようなシーンだ。せめて周りの大人がもっと二人のケアをしてあげてほしい。

以来、母は精神を病んだようで、アルコール依存症になっているようにも見える。マークに対する当たりの強さは虐待の域に達しており、父は優しそうではあるが、こんな状態で共に生活させてはいけない。マークは母との問題を抱えていたというよりも、ファミリープロブレムを抱えていたと言うべきだろう。

スティーヴンは母に電話で様々なことを報告していたが、あれはマークが求めていた親子の在り方だったのだろうか。青年になり家を出ようとするマークが追いすがる父を批判したところで、マークはスティーヴンに「見るな」と飛びかかる。マークにとっては隠したい過去のようだ。

次の場面は傭兵時代のマークの記憶。一度正規の軍隊に入ったというマークは、徘徊によってAWOL=脱走兵/無断離隊者の扱いになってしまい、傭兵になったという。原作コミックでは、精神病院に入れられていたマークは父の葬式に出席する際に脱走し、米海軍に入隊している。そこでもやはり精神疾患を理由に除隊となり、相棒のフレンチーと共に傭兵になるのだ。

MCUでは、元上官を頼って傭兵になったというマーク。字幕ではカットされてしまっているのだが、この元上官の名前は英語と吹き替えでは「ブッシュマン」となっている。ブッシュマンは原作コミックに登場するヴィランのラウル・ブッシュマンのことだろう。コミックでのブッシュマンは黄金を手に入れるために砂漠でマークを嵌め、死にかけたマークは月の神コンスと契約して復活する。

ドラマ版でも、墓の盗掘という仕事の中で、ブッシュマンが目撃者を皆殺しにしろと指示したとマークは話している。これは字幕にも吹き替えにも反映されていないが、英語では「But Bushman changed the plan, called for no witnesses, and I couldn’t live with that.(しかし、ブッシュマンは計画を変更した。目撃者を残すなと言われたが、私にはできなかった)」と主語がブッシュマンになっている。

つまり、第4話で明らかになったレイラの父を殺した「欲張った相棒」というのは、原作ではムーンナイトの宿敵のヴィランであるラウル・ブッシュマンだったのだ。

ムーンナイトのオリジン

そこで出てくる疑問は、目撃者の一人であるマークの身には何が起きたのか、ということ。マークはそれを教えるためにスティーヴンを案内するのだが、ここで登場する神殿はコンスの神殿だ。コンスの神殿は現実のエジプトにも存在しており、ここで映る神殿に似た形になっている。

神殿の中で血塗れになりながらコンスの像の下までたどり着いたマーク。原作コミックを再現したようなビジュアルだ。コンスはマークに語りかけると、コンスの目となり手となる戦士になる=アバターになる契約を持ちかける。マークの壊れた心がアバターにふさわしいと考えたコンスは、命を救う代わりに夜の旅人の守護者となることをマークに求め、二人はついに契約を交わす。

スティーヴンは「弱みにつけ込まれた」と非難するが、マークは本来の自分が求めたのかもしれないと話す。そうして契約を交わしたマークはムーンナイトに変身する。回想シーンの中ではあるが、第3話以来となるムーンナイトの登場だ。この過去を共有し、マークがムーンナイトになったことを自分の選択としたことで、ついに正義の天秤は調和し始める。

虐待描写に注意

とここで、冥界に異変が起きる。タウエレトは現世を恐怖が覆っていると言うが、現実の脅威が冥界にも影響を与えているようだ。タウエレトは二人を蘇らせてもコンスが封印されている今、身体の治癒能力は失われていると話す。そこで二人はタウエレトの力を借りてレイラにメッセージを送り、コンスを蘇らせることに。

タウエレトはエネアドの一人であるオシリスの門に向かう一方、二人に天秤を調和させるよう指示する。マークは追体験を拒もうとし、スティーヴンの「大勢の人が死ぬ、君のせいで」という母の言葉と重なる言葉によってパニックに陥る。するとマークはまたもハロウ医師のオフィスに戻ってしまう。ハロウ医師がスティーヴンに心を開くしかないと助言すると、再び幼少の頃のマークの姿が映し出される。

母が執拗にドアを叩く中、マークはスティーヴンというもう一人の人格を作り出す。その口調はすっかりイギリス英語になっている。壁の『トゥームス・バスター』のポスターには、「危険も何のその、スティーヴン・グラントは怯まず——」と書かれており、マークは母へのから恐怖から逃れるためにスティーヴンの人格を作り出したことが分かるハロウ医師の言った「現実を否定するための幻」とは、マークのことだったのだろうか。

この後、スティーヴンは母から虐待を受けるのだが、冒頭に虐待の描写があることを明示しておくべきだろう。当事者にとってはフラッシュバックが起こる恐れがあるためだ。今回注意書きがあったのは「若干の暴力描写」と光の明滅に関するものだけだった。

近年のハリウッドでは、“ネタバレ”の回避よりも暴力描写やトラウマを呼び起こし得る表現を不本意に視聴させない、心の準備をしてから視聴してもらう工夫が優先されている。マーベル・スタジオ/ディズニーがこの工夫を怠ったのは意外である。配信コンテンツなので、後から注意書きが追加されることを願う。

スティーヴンのカウンセリング

スティーヴンはマークが虐待の恐怖から逃れるために作り出された人格であったことを知り、ショックを受ける。スティーヴンの人格は「幸せな普通の人生」という設定になっており、ゆえに大人になったスティーヴンは博物館で働き、電話で母に話し、弟が好んでいた片ヒレの小さい金魚を飼っていたのだろう。スティーヴンはマークの願望から生まれたのだ。

そして、マークは母がすでに死んだことも明かす。追悼のことを「シヴァ」と言っているが、これはユダヤ教の葬儀のこと。マーク・スペクターはシカゴ出身のユダヤ人という設定だ。

これを聞いたスティーヴンはパニックに陥り、今度はスティーヴンがハロウ医師との面会シーンに飛んでしまう。口ひげを生やしたハロウ医師を「ネッド・フランダースみたい」と言っているが、これはアニメ『シンプソンズ』(1989-) に登場する隣人のことだ。なお、アーサー・ハロウを演じたイーサン・ホークは心理学者のフロイトをモデルにこの医師のキャラクターを作り上げている。

今度はスティーヴンのカウンセリングの番だ。母の死後に一度ここに来たと言われたスティーヴンは、そもそも母の死を認めたがらない。そこでハロウ医師はスティーヴンの母親に電話をかけ、スティーヴンと話をさせる。だが、その電話は誰にも繋がっておらず、スティーヴンはようやく母の死を認めたのだった。

スティーヴンは母の恐怖から逃れるために作り出され、故にその母の死に適応できていなかったのだろう。ハロウ医師、意外とマークとスティーヴンを助けてくれている。

ラストの場所は?

最初に街頭に立っていたマークは、母のシヴァを訪れた時の様子だった。父に会釈はしたものの、酒を煽り、会場に入れない。頭にはユダヤ教の民族衣装であるキッパをかぶっている。虐待サバイバーとして苦しむマークは、スティーヴンにその身を委ねると、スティーヴンは架空の母に電話をかけて正気を保つ。マークはこうしてスティーヴンと入れ替わる生活を始めたのだ。

スティーヴンはロンドンの人間という設定なので、ここで見覚えのない街を見て「メイフェアに似てる」とロンドンの地区の名前を挙げている。また、イギリスは日本と同じ左車線だがアメリカは右車線なので、車の方が反対車線を走ってきたと言っている。第1話から第2話にかけてのスティーヴンのとぼけた性格と母に甘える姿が、マークのトラウマから生まれていたものだったと知ると途端に切なくなる。

母の死をきっかけにマークとスティーヴンの人格が混在し始めたと話すマーク。配信開始時点の字幕では「母の死から2ヶ月後、俺たちが混在し始めた」となっているが、英語では「2ヶ月前の母の死と葬儀 (Mom’s death and shiva two months ago.)」となっている。吹き替えも「2ヶ月前に母さんが死んだ。それから俺たちの生活は混ざり合い始めた」であり、この字幕は誤りと考えられる。

マークは自分のせいで弟が死んだことを責めるが、スティーヴンは不当なのは母の方だと言葉をかける。スティーヴンが子どもだったマークに責任はないと告げたところで、船が現世へのドアにたどり着く。

天秤はまだ安定せず、冥界の亡者たちが乗り込んでくる中、スティーヴンがマークを助ける。スティーヴンはバットを振り切って「6点!」と言っているが、これはクリケットで野球で言うホームランが出たときに入る得点の数だ。クリケットはスティーヴンの出身国という設定になっているイギリスの国技である。

マークを助けたスティーヴンだったが、船から落下してしまい、砂の彫像と化してしまう。冒頭で「永遠に凍りつく」と言われていたのはこのことだろう。マークはスティーヴンの名を叫ぶが、その瞬間に天秤が釣り合い、砂漠はあっという間に草原に。その足元に生えているのは“葦”だ。そう、天秤が釣り合ったことで、マークは葦の楽園に相応しいと認められ、葦の楽園=あの世へ行ってしまったのだ。

ラストで流れている歌はManuel Bonilla「Mas Allá Del Sol」(2000)。「キリストは聖なるザイオンへの準備をする」と歌われており、マークのユダヤ教のルーツを想起させる歌詞になっている。

続いてエンドクレジットで流れているのはSabahの「Saat Saat」(1977) をRayess Bekがリミックスした曲。Sabahはレバノン出身の歌手で第4話でも「Saat Satt」はクレジットされている。Rayess Bekもレバノンのアーティストだ。

ドラマ『ムーンナイト』第5話考察

ドラマ『ムーンナイト』第5話は、これまで伏せられてきたマーク・スペクターのオリジンが明かされ、同時にオリジナルの人格はマークであり、スティーヴンが後から生まれた人格であることも判明した。

ムーンナイトのオリジンについては、わりと原作コミックに寄せた内容になっていた。その上にMCUオリジナルの要素として、幼い弟の死と母からの虐待という二つのトラウマを絡め、マークとスティーヴンの二人のオリジンを作り上げている。

かなり精神的にくるエピソードだったが、一方で、レイラとの出会いや第三の人格については触れられることはなかった。また、レイラの父を殺したマークの元上官のブッシュマンは逃げ遂せたようで、今後MCUに登場するかどうかにも注目したい。

残されている要素としては、第三の人格の他に、ミッドナイトマンの存在がある。第3話に登場したアントン・モガートが変身するヴィランだが、最終話で登場することになるのだろうか。また、アレキサンダー大王とアメミットの関係アーサー・ハロウとコンスの過去も気になる。

しかし残された要素を挙げ続けてもしょうがない気もする。多くの人が持つ感想になるだろうが、「残り1話で終わるのか?」というのが正直なところ。なんならこのシーズンは「続く」で終わってほしいくらいに風呂敷が広げられているので、時間をかけてでもゆっくり紐解いて欲しいところだ。

そして、第5話ラストではスティーヴンは冥界に取り残され、マークは葦の楽園へ行ってしまった。母の虐待によってスティーヴンは生まれたが、スティーヴンの死によってマークは楽園へ行く、という残酷な展開だ。スティーヴンは第1話の時点で博物館にいた少女から「葦の楽園で拒まれて嫌だった?」と声をかけられている。スティーヴンが楽園に行けないということは始めから決まっていたのだろうか。

マーク、スティーヴン、そしてムーンナイトのオリジンは明かされたが、二人がバラバラになるという衝撃の展開が再び待っていた。よく考えればコンスも第3話で封印されたため、トリオが一人ずつ離脱してオリジナルのマークだけが楽園に行ったという状況である。

おそらくレイラが自主的にコンスを復活させるのではないかと考えられるが、だとしてもマークとスティーヴンを連れ戻せるとは限らない。タウエレトは力を貸してくれるのか、オシリスはどう動くのか、最終話の展開に注目しよう。

『ムーンナイト』第5話の展開について監督らが話した内容はこちらから。

こちらの記事では、3人目の人格が第5話に登場していた可能性について考察している。

なお、ドラマ『ムーンナイト』最終話となる第6話は2022年5月4日(水・祝)の午後4時から配信されるが、その日は映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の日本公開日でもある。『マルチバース・オブ・マッドネス』は世界最速公開となるため、一日に二度、MCUの重要なストーリーを摂取することになる。私たちはこれに耐え得るのだろうか……。

ドラマ『ムーンナイト』はDisney+で独占配信中。

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『ムーンナイト』最終回第6話のネタバレ解説はこちらから。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

第4話のラスト15分についての製作陣による解説はこちらから。

第4話で登場したアレキサンダー大王と映画『ソー:ラブ&サンダー』の繋がりはこちらから。

こちらの記事では、タウエレトがエネアドの一人である可能性を考察している。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

第三の人格については、原作コミックの設定も踏まえてこちらの記事で考察している。

『ムーンナイト』に征服者カーンが絡んでいる可能性についての考察はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のMr.ナイト登場シーンの裏側はこちらの記事で。

『ムーンナイト』第1話のネタバレ解説はこちらから。

アーサー・ハロウを演じたイーサン・ホークのこだわりはこちらの記事で。

アーサー・ハロウの設定変更について製作陣が語ったエピソードはこちらから。

『ムーンナイト』シーズン2の可能性についての情報はこちらから。

 

遂に公開された映画『ソー:ラブ&サンダー』特報映像の解説&考察はこちらから。

イルミナティ登場が確定した『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』最新予告の解説はこちらから。

6月8日配信開始のドラマ『ミズ・マーベル』の予告解説&考察はこちらの記事で。

ネタバレ注意! 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ラストのネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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