MCUドラマ最新作『ムーンナイト』
MCUドラマ最新作となる『ムーンナイト』が2022年3月30日(水)よりDisney+で独占配信されている。フェーズ4では初めて新キャラが主人公に据えられたドラマ作品であり、2022年第1弾のMCU作品でもある。複数の人格を持つダークヒーロー、ムーンナイトを演じるのは俳優のオスカー・アイザック。舞台となるエジプトで生まれたモハメド・ディアブが本作のショーランナーを務める。
評価の高かった第1話に続き、4月6日(水) に配信された第2話「スーツ召喚」も面白い展開に。そして、『ムーンナイト』第2話のある展開に、ジャスティン・ベンソンと共にエピソード監督を務めたアーロン・ムーアヘッドが解説している。興味深いその内容を紹介しよう。
以下の内容は、ドラマ『ムーンナイト』第2話の内容に関するネタバレを含みます。
Mr.ナイト登場
米Marvel公式がスポットライトを当てたのは、『ムーンナイト』第2話で登場したMr.ナイトについて。原作コミックでも人気キャラであるMr.ナイトは、ドラマ版ではスティーヴン・グラントが変身する姿として描写された。
物語の後半、アメミットの力を司るアーサー・ハロウが召喚したジャッカルに追われるスティーヴンだったが、もう一人の人格であるマーク・スペクター=ムーンナイトに身体の制御権を渡そうとしない。しかしジャッカルに窓から突き落とされて身体に危険が及ぶと、月の神コンスは「スーツを呼べ(summon the suit)」と指示し、ついにスティーヴンは「スーツ!」と“呼ぶ”。
するとスティーヴンは第1話で登場したミイラ男のような姿のムーンナイトではなく、スリーピースの白の“スーツ”を着たMr.ナイトへと変身したのだった。コスチュームとパワーのおかげか、原作コミックのMr.ナイトに近い陽気さを見せてはいるが、中身はスティーヴンのままである。
なぜMr.ナイトに?
そして、第2話の共同監督を務めたアーロン・ムーアヘッドが語ったのは、スティーヴンがムーンナイトではなくMr.ナイトの姿へと変身した理由だ。米Marvel公式で以下のように語っている。
Mr.ナイトは、スティーヴン・グラントが思い描くクールな人物です。すらりとした男性ですね。スーツを与えられるということは、必ずしも戦闘能力が与えられるということを意味しません。そしてスキルがなければこの戦いには敗れてしまいます。この戦いに負けることを恐ろしいと思わせることを中心に構成していきました。
スティーヴンがスローピースのスーツを着たMr.ナイトの容姿に変身した理由について、スティーヴンが頭の中で思い描いた姿だったということが明かされている。スティーヴンの中ではスーツ=戦闘服という発想にはならなかったのだろう。確かに、スーツ=戦闘服というのはスーパーヒーローの世界では当たり前だが、正装と考えるのが一般的ではある。
Marvel公式も、この時のスティーヴンの心情を「スーツって何? スティーヴンはスーツを持っていない。そこで、彼はこの瞬間に自分に最も似合うと思うスーツを召喚するのです」と解説している。窓から落下する中、パニックになりながらもとっさに頭に思い浮かんだのがあの姿だったのだ。
それにしてもスティーヴンが思い描くクールな人物がMr.ナイトのようなファッションだったとは、意外な一面を知ることができた。変身後の姿が変身者のイマジネーションから生まれるのだとすれば、ミイラ男のような戦闘服に身を包むマークと、スリーピースのスーツに身を包むスティーヴンはやはり同一の体を共有しながらも、真逆の性格であるということだろう。
着地シーンの秘密
『ムーンナイト』第2話におけるMr.ナイトへの変身シーンには、もう一つの秘話があった。見事Mr.ナイトに変身したスティーヴンは、地面に着地。映画『ブラック・ウィドウ』(2021) でもネタにされた“着地ポーズ”を決めようとするが、バランスを保てず、直後に右側へゴロンとこけてしまう。
実はこのシーン、主演のオスカー・アイザックによる提案だったのだという。アーロン・ムーアヘッド監督は以下のように話している。
この瞬間については、オスカーと話し合いました。彼は「こけたいな」と言ったんです。スーパーヒーローのように着地して、そしてこける。その案でシーンの全体がまとまりましたね。
第2話の共同監督を務めたジャスティン・ベンソンはこう付け加える。
こける案はオスカーがその場で見つけた数多くのとても良いジョークの一つだということは、言っておくべきでしょうね。オスカーは多くのことに長けていますが、おそらく知らない人が多いと思うは、彼が本当に本当に面白い人だということです。彼はジョークを言いながら自分で笑うので、その笑いが伝染していくんです。
ドラマ『ムーンナイト』では、主演のオスカー・アイザックが製作総指揮としてもクレジットされている。ホラー&ミステリーの色が強い本作だが、どこかユーモアが滲み出すその作風は、オスカー・アイザックの力によるものだったのかもしれない。
頑強な傭兵であるマーク・スペクターとムーンナイトよりもコミカルなMr.ナイトの登場で、ドラマ『ムーンナイト』は一層魅力を増していくことだろう。今後の展開にも要注目だ。
ドラマ『ムーンナイト』は2022年3月30日(水)よりDisney+で独占配信。
『ムーンナイト』の原作コミックは堺三保による日本語訳全2巻が発売中。
Source
Marvel
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