『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』カメオ解説
MCU映画最新作にして三部作の完結編にあたる『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』が2023年5月3日(水・祝) より日本で劇場公開を開始した。第一作目の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)、第二作目の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』(2017) に続いてジェームズ・ガン監督が指揮をとっている。
公開直後から既に高い評価を受けている『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』。ジェームズ・ガン監督のMCUにおける集大成に相応しいゲストが数々登場している。今回は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3』のカメオをまとめて紹介していこう。なお、以下の内容には本編のネタバレを含むので、必ず劇場で本作を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
ジェニファー・ホランド登場
演じたのはあの役
『GotG3』には、MCU他作品のキャラクターのカメオはなかったように思えるが、ジェームズ・ガン監督と縁の深いゲストが複数登場している。中でも分かりやすいサプライズとなったのは、クウォル(Kwol)役を演じたジェニファー・ホランドだろう。
ハイ・エボリューショナリーが経営するオルゴ・コープの衛星オルゴ・スコープで働くクウォルは、ガーディアンズメンバーの侵入に勘づく役回りを演じている。ジェニファー・ホランドは特殊メイクのないほぼそのままの姿で登場したので気付いた方も多かっただろう。
ジェニファー・ホランドは、ジェームズ・ガン監督が性暴力や児童虐待を含むジョークツイートが理由でマーベルから契約を打ち切られた後に指揮をとった『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021) で共演。政府側のメンバーであるエミリア・ハーコート役を演じた。
DCEUでは4作連続出演
ジェームズ・ガンとジェニファー・ホランドは2015年から交際しており、2022年2月に婚約。ジェームズ・ガン監督が指揮したドラマ『ピースメイカー』(2022-) ではもう一人の主役キャラとしてエミリア役を続演した。その後のDC映画でも『ブラックアダム』(2022) と『シャザム!〜神々の怒り〜』(2022) に出演。DCEU映画は4作連続での登場となっている。
DC映画ではリキャストや降板が相次ぐ中でジェニファー・ホランドが『ブラックアダム』と『シャザム!〜神々の怒り〜』にも出演したことから、DCスタジオの共同会長兼CEOによる身内贔屓だとする声もあがった。
しかし、『ブラックアダム』と『シャザム!〜神々の怒り〜』はそれぞれ違う監督がキャスティングを行なっており、後者については本来は『ブラックアダム』に登場したジャスティス・ソサエティのメンバーが出演する予定だった。
『シャザム!〜神々の怒り〜』のデヴィッド・F・サンドバーグ監督は、ポストクレジットシーンの撮影の3日前に予定が崩れたことを米The Hollywood Reporterに明かしている。同作と『ピースメイカー』の両方を手がけたプロデューサーのピーター・サフランが、ジェニファー・ホランドとジョン・エコノモス役のスティーヴ・エイジーに連絡したところ、直前のオファーにもかかわらず出演してくれることになったというのが実際のところのようだ。
ハイ・エボリューショナリーとの関係に注目
今回の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』では正真正銘、夫のジェームズ・ガン監督によるキャスティングとなったようだが、流石の演技力を発揮している。ジェニファー・ホランドはこれで初めてのMCU出演を果たした。
ちなみに本作のメインヴィランに設定されたハイ・エボリューショナリーを演じたチュクウディ・イウジもドラマ『ピースメイカー』に出演している。『ピースメイカー』ではチュクウディ・イウジがチームを指揮するクレムゾン・マーン役を演じ、ジェニファー・ホランドはチームの現場責任者であるエミリア・ハーコートを演じている。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』では、二人は、オルゴ・コープ創設者のハイ・エボリューショナリーと、オルゴ・コープが所有する衛星オルゴ・スコープで働くクウォルを演じ、再び“上司と部下”という立ち位置の役で共演を果たしている。
また、衛星オルゴ・スコープの警備部門のマスター・カージャ役でネイサン・フィリオンも出演している。ネイサン・フィリオンはジェームズ・ガン監督と交友があり、『新スースク』にはT.D.K.役で出演。『GotG』でも囚人の声を演じたが、『リミックス』ではカメオシーンがカットされている。『VOLUME 3』ではガッツリ本編に出演することになった。
ダニエラ・メルシオールもMCU初出演
DC組からの“出向”はこの二人だけではない。同じくオルゴ・スコープで受付として働くウラを演じたのはダニエラ・メルシオール。ダニエラ・メルシオールはジェームズ・ガン監督の『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』でラットキャッチャー2ことクレオ・カゾ役を演じて一躍注目を集めた俳優だ。
ダニエラ・メルシオールは元々ポルトガルで活躍していた俳優で、アニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018) のポルトガル語版でスパイダーグウェンことグウェン・ステイシーの声も演じている。ダニエラ・メルシオールのキャリアについてはこちらの記事に詳しい。
『新スースク』では数百人のオーディションを勝ち抜いての出演となり、今後も同役を演じていくことを希望している。2023年5月19日(金) 公開予定の映画『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』にはブラジルのレーサー役で出演している。
ダニエラ・メルシオールが『GotG3』で演じたウラは赤色の肌をしている。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でコレクターの奴隷として登場したカリーナと同じクリロリア人なのかもしれない。ウラにはしっかり見せ場もあり、クイルの説得を受けて善意からガーディアンズの脱出を助けてみせた。
カムバック勢は?
ヨンドゥは全作出演達成
DCの“ガン組”にばかり大きい顔をさせていられない。『GotG3』には過去の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」からの登場人物も複数カメオ出演している。まずはマイケル・ルーカー演じるクイルの養父ヨンドゥ・ウドンタ。『リミックス』で命を落としたが、本作ではヤカの矢を受け継いだクラグリンを勇気づけるシーンで終盤に登場している。
ヨンドゥはこれまで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』(2022) に登場。『ホリデー・スペシャル』はアニメの場面のみだが、マイケル・ルーカーが声を当てているため、マイケル・ルーカーはガン監督の本シリーズに全作出演したことになる。
なお、マイケル・ルーカーは映画『新スースク』にはサーバントことブライアン・ダーリン役で出演している。映画『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』にはバディー役で前作に続きカムバックするため、『GotG3』を経て、ダニエラ・メルシオールとは三度目の共演を果たすことになる。
ハワード・ザ・ダック、ビゼミキトコロクと…
終盤のノーウェアでクラグリンとコスモが喧嘩する場面で、二人と共にテーブルを囲んでカードゲームに興じるのは、ハワード・ザ・ダックとビゼミキトコロク、そしてブローカーだ。
ハワード・ザ・ダックは言わずと知れたコミックの人気キャラで、MCUでは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でコレクターのコレクションとして初登場を果たした。パワーストーンの力でコレクターの拠点が爆発した後は自由になったようで、『リミックス』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) にもカメオ出演している。
アニメシリーズの『ホワット・イフ…?』(2021-) シーズン1では複数話に登場し、ダーシー・ルイスと結婚する展開も描かれている。ハワード・ザ・ダックの声を演じるのはセス・グリーンで、「スター・ウォーズ」シリーズのキャド・ベインのドロイド・トド360の声などで知られている。
ビゼミキトコロクは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデースペシャル』に登場したバンドマンだ。冒頭でクイルにクリスマスの曲を作ったので聴いてほしいとお願いする人物で、オリジナル曲の「I Don’t Know What Christmas is (But Christmastime is Here)」を披露している。
ビゼミキトコロクを演じたのは人気バンドのオールド97’sのボーカルであるレット・ミラーで、この度スクリーンデビューも果たすことになった。
ブローカーは第1作目『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に登場した商人。クイルが惑星ザンダーでオーブを売り払おうとした時に訪れた店の店主で、引き続き クリストファー・フェアバンクが演じている。惑星ザンダーではその後、ノバ軍がパワーストーンを内包したオーブを保管していたが、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) でサノスがパワーストーンを奪うためにザンダーを滅ぼしたことが明かされた。
難民になったブローカーは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが買い取った後のノーウェアで暮らすことにしたのだろうか。ブローカーはクイルやラヴェジャーズとも交友があったため、身を寄せることができたのだろう。ノーウェアの民だけでなく、他の星の難民も受け入れるクイルたちの優しさが表れている。
「アントマン」シリーズからの意外な出演者
最後に紹介したいのは最も意外な出演者。近年は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でアリータを演じて『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021) でイン・ナンを演じたミシェル・ヨーや、『キャプテン・マーベル』(2019) でミン・エルヴァを演じ『エターナルズ』(2021) でセルシを演じたジェンマ・チャンのように、複数の作品で異なる役を演じるパターンは増えてきた。
実は『GotG3』にもそのパターンが取り入れられている。それは、ウォー・ピッグの声を担当したジュディ・グリアである。ウォー・ピッグはカウンター・アースでハイ・エボリューショナリーの船の護衛をしている豚の頭を持ったサイボーグで、ガモーラを追い詰めるがアダム・ウォーロックに頭をもぎ取られてしまう。
そして、そのウォー・ピッグの声を演じたジュディ・グリアは『アントマン』(2015) と『アントマン&ワスプ』(2018) にマギー役で出演している。マギーはスコット・ラングの元妻で、キャシーの母親だが、そのキャシーが活躍を見せる『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(2022) には登場しなかった。
「アントマン」三部作のラストにあたる『クアントマニア』への出演は見送られる格好となったが、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」三部作のラストにあたる『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』には意外な形で出演を果たした。ジュディ・グリアは「猿の惑星」新三部作では『猿の惑星:新世紀』(2014) からコーネリア役を演じており、この時はモーションキャプチャーと声優を担当している。
皆さんは、これらのカメオ出演者たちに気づくことができただろうか。上記で紹介されていないカメオ出演者を見つけられたら、ぜひ教えていただきたい。
追記:ブラープの声が意外な人物だったことも明らかになっている。詳しくはこちらの記事で。
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は2023年5月3日(水・祝) より劇場公開。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のオリジナル・サウンドトラックは発売中&配信中。
ラストからポストクレジットシーンまでの解説&考察はこちらの記事で。
ジェームズ・ガン監督は前二作のテーマを「母」と「父」、本作のテーマを「自己」と話した。それを踏まえたロケットの変化についての考察はこちらの記事で。
過去作からのロケットの音楽への向き合い方の変化についてはこちらの記事で。
アダム・ウォーロック役のウィル・ポールターが語った“ハグシーン”の裏側はこちらの記事で。
グルートの“あの発言”についてジェームズ・ガン監督が明かした事実はこちらから。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー4』についての情報と考察はこちらから。
これまでのロケットの描写についての総解説はこちらから。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』のネタバレ解説はこちらから。
映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』ラストとポストクレジットの解説はこちらから。
映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ラストの解説はこちらから。
映画『ソー:ラブ&サンダー』ラストとポストクレジットの解説はこちらから。
ドラマ『シークレット・インベージョン』予告の解説はこちらの記事で。
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映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』最新予告の解説はこちらの記事で。