ドラマ『クロエマ』第1話&第2話配信開始
『逃げるは恥だが役に立つ』(2012-2020) などで知られる海野つなみの人気漫画『クロエマ』を、Amazonのプライムビデオが実写ドラマ化。2026年6月12日(金) より240以上の国や地域での独占配信を開始した。
ドラマ『クロエマ』の監督を務めたのは、映画およびドラマ『からかい上手の高木さん』(2024) などを手掛けてきた今泉力哉。同じくプライムビデオのドラマ『1122 いいふうふ』(2024) に続き、妻でもある今泉かおりが脚本を手がけ、タッグを組んでいる。
性格も生活も異なる30歳のエマと32歳のクロエが奇妙な同居暮らしを始め、占いを通してゆるやかだが時にハードなミステリーに挑む本作。どのように実写化されたのだろうか。今回は初週に同時配信されたドラマ『クロエマ』第1話と第2話を合わせて解説し、感想を記していこう。以下の内容はネタバレを含むので、必ずプライムビデオで本編を視聴してから読んでいただきたい。
以下の内容は、ドラマ『クロエマ』第1話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
ドラマ『クロエマ』第1話ネタバレ解説
クロエとエマの出会い
ドラマ『クロエマ』第1話は、原作漫画と同じように、主人公のエマこと江間宵(えま・しょう)が、もう一人の主人公であるクロエこと黒江神名(くろえ・かな)の玄関前で野宿しようとする場面から幕をあける。その場に居合わせたのが、クロエに“夜パフェ”を作りに来ていたシモンこと下門賢志郎(しもん・けんしろう)だ。
ドラマ版でエマ役を演じるのは杉咲花。明るく能天気っぽいが、どこか影があり、繊細を併せ持つエマを見事に演じている。クロエ役を演じる多部未華子も、ダークでクールだがお人よしな内面が隠しきれないクロエにぴったりのハマり役だ。そして注目はシモン役の岩瀬洋志。正反対の二人に調和をもたらす第三の主人公とも言えるキャラクターで、出過ぎない存在感で作品にバランスをもたらしている。
ドラマ『クロエマ』自体は、ほぼ忠実に原作漫画のストーリーを再現した内容になっているが、第1話では時系列に工夫が見られる。エマがクロエ邸に居候することになった過程をそのまま描くのではなく、エマがハローワークの前で出会った由希子という女性に説明する形で、回想シーンとして描かれるのだ。
30歳のエマはかつて母と暮らしていたが27歳の時に死に別れ、その後、同棲した彼氏が別の人とデキ婚、務めていた会社も倒産し、恋人も住む場所も仕事も同時に失ってしまった。エマは由希子に「ハロワ女子」と言って明るく連帯を示しているが、住所不定で野宿できる場所を探していたエマは、誰でも陥りうる貧困の中にあった。『クロエマ』は“ゆるふわ”な感じもするとっつきやすい作品だが、同時に格差や家庭の問題を扱うリアルな作品でもあるのだ。
それまでのエマは彼氏の家に住ませてもらっていたので、彼氏の顔色を伺いながら暮らしていたのだが、それでも全てを失うことになった。なんとも不憫なエマだが、自分にも思い当たる節があって、共感できる人は少なくないだろう。後にエマも触れるように、譲れば譲るほど権利が蔑ろにされていくということは、確かにある(奪い合いになっては元も子もないのだが……)。
占いと生活保護と回想と
頼れるものが占いしかないというエマを、クロエは趣味の占いで診てあげることに。「過去や現在は当てられるが、未来はこれからの行動次第で変わる」というのが、『クロエマ』における占いの重要なコンセプトだ。
エマは未来について、事故が起きるが良い方向に向かうと占ってもらうと、占い代の千円で、その晩はクロエの家の離れに泊めてもらうことに。エマと2歳しか変わらない32歳のクロエだが、豪邸に住むお金持ちだったのだ。
ここでクロエがエマを泊める理由の一つとして挙げるのが、奥多摩で女性が殺されたという物騒な事件の話だ。これはドラマ版で追加されたセリフで、第2話でもこの事件に言及されることになる。
親切だが突き放すような態度を見せるクロエ。それでも、調べた上でエマに生活保護を申請するよう助言する優しさも見せる。『クロエマ』第1話で語られる「住所不定でも申請することができ、健康で働けたとしても生活に困窮していれば、生活を立て直すために保護を受けることができる」という内容は、生活保護の基本知識なので覚えておこう。こういう人生を救うお役立ち知識が得られるのも『クロエマ』の良いところ。
さらにクロエは、市役所の窓口で行われる水際作戦(生活保護の申請をさせないようにしようとする職員による違法な対応)への対応マニュアルと、不動産屋への紹介状もエマに渡す。この場面では、マニュアルはクリップで留められていて、紹介状にはエマの名前と住所が書き入れられていることが分かる。これがクロエの優しさだ。
その夜、クロエが寝ている母屋でボヤが起き、占い結果で「延焼」を示唆する内容が出たことから火があがる夢を見たエマが目を覚ましてそれに気づき、クロエを助けることに成功。結果、クロエは母屋のリフォームが終わるまで離れに住むことになり、助けてくれたエマをリフォームが終わるまでという条件で、離れに住ませてあげることにしたのだった。
そして、「延焼」の占いが当たったことで、エマの勧めで二人は日曜日だけの占いのお店を開くことになったというのが、『クロエマ』のスタート地点までの物語だ。これをエマの回想という形で描くことでテンポ感が上がり、かつ漫画では序盤から登場していた大庵&真秀の登場を後回しにすることで第1話の登場人物を増やしすぎないという工夫にも一役買っている。
ワーキングプアと丁寧な暮らし
同居を始めたのもの、クロエとの生活レベルの違いに戸惑うエマ。料理ひとつとっても、エマは味玉やカット野菜を買った方が早いと主張するが、それは彼氏と同棲していても残業が終わるとクタクタで、半額惣菜を買って帰る日々だったからと内情を明かす。
ここで扱われているのは“ワーキングプア”の問題だ。仕事がないのではなく、働いても働いても豊かになれない貧困層のことで、時間や体力にも余裕がないため自炊もできず、結果的に節約や精神的な豊かさに辿り着くにも困難になってしまう。
余裕がある人は「〜すればいいのに」と言うが、必死に日々を生きていると、そうできない現実がある。例えば、「資格勉強の本を買うお金がない」と言うと、「図書館に行けばいいのに」と言われるが、図書館の営業時間に仕事が終わらず、休日もクタクタで動けない、といった調子だ。“丁寧な暮らし”は日々に追われている人には非現実的な話になってしまう。
たが、『クロエマ』がそうした格差を扱っていながら、悲壮感がないのは、「生活環境が違ったんだから価値観が違うよね」と、二人が互いの違いを受け入れることができているからだ。助けてもらったエマも、「役に立ちたい」と努力しようとする。
結果、エマはクロエのロングの髪を乾かす役を担うことに。ここで初めてクロエは、カットされたキャベツを買うのと同じで、髪を乾かしてもらうことは、自分でできる手間と時間を買うということだと気づく。生活にゆとりがあると見えてこない“節約術”を、エマから学ぶのだ。
由希子の場合
そうしてエマが身の上話をした小長谷由希子(こながや・ゆきこ)が占いに興味を持ち、クロエの占い屋の最初の客にになることに。由希子を演じるのは臼田あさ美だ。
クロエが部屋着から占い用の仕事着に切り替える様子も、ドラマ『クロエマ』の見どころの一つ。こうした切り替えがエマにはほとんど存在しないのだが、“持てる”クロエの七変化が実写で描かれる。
由希子の悩みは、夫と子どもとタワマンに住んでいるが、家族の間で世間を見下す感覚に距離と格差を感じるというものだった。「家族といると疲れる。でも、一人は寂しい」という、『クロエマ』のテーマの一つでもあるお悩みが語られるのだ。
『クロエマ』で用いられる「クロニクルカード」はオリジナルの占い方法で、原作漫画でもお馴染みのクロエの「オー・モン・デュー!」が披露される。目を閉じながらカードを拾っていくドラマ版オリジナル演出も愉快だ。
由希子の占い結果は、濃い関係性に疲弊しているが、未来はいい縁が巡ってきそうというポジティブなものだった。ところが、由希子が帰った後、エマは由希子がセレブという話を聞いて、ハローワークで会ったこととの矛盾に気づくことになる。
ここで披露されるのが、クロエのネットストーカーなみの調査力だ。占いのために書かせた氏名や生年月日からSNSを辿り、クロエは由希子がライフスタイル系インフルエンサーのカミーユこと上居由希子であったことを発見。半年前に更新が途絶え、夫が破産して一家離散になったことを知ったのだった。由希子は占いに旧姓を使い、過去の自分として占いを受けていたのである。
役割を降りること、適度に戻ること
助けを求められていないのに気になってしまうクロエは、お節介なのか、親切なのか……。クロエとエマは、ティッシュ配りをしている由希子を発見すると、純喫茶パリで話を聞くことに。ここで再登場する純喫茶パリの2代目マスター・シモンは、冒頭でクロエの家に来ていたシモンだ。
由希子は、クロエのハイファッションを見て今の自分が恥ずかしくなり、タワマンに住んでいた頃の自分について話したという。一方で、夫と子どもと離れてアパートに住む現在は、もう素敵に着飾らなくてもいいのだと心地良さを感じているという。
由希子が占いの時にクロエに聞いた「私はどうしたらいいですか?」という問いは、今も昔も同じだったという。エマもそうで、占ってもらいたい時は「私はどうしたらいいですか?」という状況に置かれているものだと思い至るのだった。
ここでシモンが出す「チョコバナナクランチパフェ」には、エマのラッキーカラーの黄色と、由希子のラッキーカラーの茶色が含まれていた。各エピソードの解決と時を同じくして提供されるシモンのオリジナルパフェと、ラッキーカラーの在処は『クロエマ』の特徴なのだが、実写化されたオリジナルパフェを見られるのは嬉しいポイントだ。
由希子は、すでに就職先が見つかって繋ぎでバイトをしているといい、いずれも子どもを引き取りたいと話す。インフルエンサー、母、妻といった役割を降りたことで楽になった部分もあるが、一人の家に帰るのも寂しい。それが今の本当の気持ちだと吐露する。完全に振り切ることは難しから、どこかに矛盾を抱えながらも、適度な居場所を見つけていくのだ。
そんな由希子にクロエは、寂しくなったら純喫茶パリに来るよう言ってやる。家庭でも職場でもない第三の居場所というやつだ。さらにクロエはエマにパリで働くよう提案したことで、クロエがパリのオーナーであったことが明らかになる。
だが、クロエはただのお人よしではなく、家で作れるようにたまごサンドの作り方を教わるよう釘を刺すのも忘れていない。これもまたクロエらしさだが、相手が罪悪感を抱かずに前を向ける優しい言葉でもある。そして、エマは占いで学んだ「未来はこれからの行動で変わっていく」という考えを持って新しい生活をスタートさせるのだ。
ドラマ『クロエマ』第2話ネタバレ解説
持てる者と持たざる者
ドラマ『クロエマ』第2話の冒頭では、第1話でも触れられた奥多摩女性連れ去り連続殺人事件のニュースが流れている。有名占い師の寧山新月は「見た目は好青年、30代後半」と、犯人像を予言している。ここでは写真のみの登場となっているが、寧山新月は光石研が演じている。
クロエの家を訪ねてきたのは、個人情報を話してしまう営業の真秀(マシュウ)と、母屋の修復を手がける建築士の大庵(ダイアン)。真秀を井之脇海、大庵を河井青葉が演じている。そもそもクロエの家の離れは大庵が、母屋の設計は大庵の父が手がけており、こちらも“持てる”側の人間だ。少しずれている真秀はエマ側の人間だと言える。
会話の中で、エマはいつもシンプルな服10着を着回しているという話になる。職探し中のエマは他人に不快に思われないように無難な服を着ていて、寝る時だけは浮かれたピンクの水玉を着ているというのだ。こうして少しずつ、“持たざる者”として生きるエマの抑圧された部分が明かされていく。
そして、ドラマ『クロエマ』第2話で占いに訪れたのは、彼氏が元カノと接近しているという大学生の馬場律子、そしてカフェで働く好きな人にアプローチするも相手にされないというモデルの反田正彦だ。馬場を演じたのは雫瀬永紡、反田役は倉須洸が演じている。この二人の未来は「木曜日の逆位置」で、恋愛の修羅場がやってくると予想されている。
シモンの過去とルッキズム
いわゆる“見た目が良い”とされる二人の悩みについて、エマはバイト先のパリで想いを馳せる。ここで登場する純喫茶パリの常連「じいさんズ」も完全実写化。長州役を野添義弘、半田役を諏訪太朗が演じている。
『クロエマ』第2話はルッキズムがテーマの一つとなっていて、シモンもまた“見た目の良さ”で苦労した過去を明かす。シモンは働いていた会社とファミレスでシモンをめぐる女性同士の揉め事が起きてしまい、両方を辞めてしまっていた。ちなみにドラマ化にあたっては、ファミレスの揉め事について、漫画では描かれていなかった詳細が少しだけ描かれている。
シモンは、シモンパフェが好きだったクロエに声をかけられ、クロエがオーナーだった純喫茶パリで働くことになったのだった。クロエは恋愛を仕掛けてこないし、そういう人が来ない場に置いてくれるという。後者は、シモンを“売り物”にしないということだ。
色目を使われない、それが本当に安心できること——このセリフが男性のキャラから発されることで、いつも性的な目を向けられる女性の辛さに気が付く男性視聴者もいることだろう。ルッキズムは見た目で人を蔑む価値観だけでなく、見た目を理由に対等な人間として扱わないこと、色恋以外の相手が望む関係の中で相手を見ないことも含まれるのである。
クロエがシモンのことも助けていたと知り、エマは「良い人すぎないか」と疑問を抱く。助けてと言って頼ってくる人は嫌いだが、他人のせいで困ってるのに自分でなんとかしようと頑張っている人には助け舟を出してしまう。そんな「お人よし」というのがシモンのクロエ評だ。
一方のエマは「立場は平等じゃない」ということを自覚し、「相手を見つつ嫌われないギリギリの悪意のない図々しさ」を「エマ式ライフハック」としているが、これは明らかに生き延びるためのサバイブ方法だ。これを笑顔で語れてしまっているのもまた、無自覚で実践しているサバイブ術なのだろう。それに対して「なかなか高難度ですね」と笑顔で返せるシモンもまた、経験値たかし……。
4人の修羅場
『クロエマ』の登場人物は全体的に大人っぽく、適切な距離感を保って、ドロドロした状況にならないのが良いところだ。しかし、次の占い客として現れたのは、元カレとバイト先のお客さんから迫られてモヤモヤしている大学生の美作遥で、美作の登場によって『クロエマ』第2話は泥沼の修羅場へと突き進むことになる。美作遥を演じたのは未菜だ。
美作の占いでも恋の修羅場を示唆する木曜日の逆位置が出たことで、クロエは大学生の馬場律子、彼女と付き合っているモラハラクソ男、その元カノの美作遥、彼女に好意を抱くモデルの反田正彦の四角関係なのではないかと予想する。クロエは持ち前のリサーチ力でモラハラクソ男の九十九賢を特定。この四人を一堂に会させる作戦を考えつく。クロエの根っこには「お人よし」という性格もあるが、「好奇心の強さ」も特徴の一つである。
クロエが撮った作戦は、美作がつけていた元カレからのプレゼントである黒焦げトーストのイヤリングを九十九の前で落とし、カフェ イスニキャクで働く店員に教えてもらったと話すことで、九十九を美作のもとへ誘導、その前にエマが美作に純喫茶パリのたまごサンドがオススメと紹介することで、二人の話し合いの場がパリになるよう誘導するというものだった。なお、漫画でエマが占い屋の受付だと美作に普通にバレる展開はドラマではカットされている。
そして、モラハラクソ男こと、九十九賢を演じたのは林裕太。映画『HAPPYEND』(2024) などで印象的な演技を見せていた林裕太だが、ドラマ『クロエマ』第2話では、おそらく一番難しい役どころである悪役を見事に演じている。相手をコントロールしようと、低俗な仲間意識と思い出話で畳み掛ける九十九。相手の自尊心を削ってコントロールするモラハラがリアルだ。
美作と九十九がパリに来たあとは、クロエは二人が写っている写真を投稿してパリのインスタをフォローしている馬場をおびき寄せる。一方、たまごサンドの写真を店舗情報と共にインスタにアップしている美作の投稿を反田が見て、パリの投稿に辿り着いた反田はモラハラ元カレと会っている美作の元に現れるはずだとクロエは踏んでいる。
全ての狙いはうまくハマり、4人はパリに集結。馬場にも畳み掛ける九十九、美作の馬場に対する「なんでこんな奴と付き合ってるの?」という問い、ブスだからわきまえろという九十九と、ブスでも気にしないという反田への、どっちも見た目にこだわってるという美作の指摘……。見た目が良い女性が苦手だと言う反田は確かに、見た目が良くない美作が良いというルッキズムをベースにしていることに違いはない……。泥沼である。
そして、最後に爆発したのは馬場だ。自尊心を削られて九十九の言いなりになっていると指摘されると、初めてを捧げて大学も合わせるためにランクを落とした17から19の人生で一番美しいはずの時間を無駄にしたことになってしまうから、絶対に九十九とは別れないと宣言する。
馬場は本当に九十九が好きというよりも、九十九を好きだった自分を否定することを恐れているのだ。「私はクソ男に身を捧げて人生を棒に振ってない」「こんな性格でも見た目でも彼が好き」という強烈な“自白”を受けて、九十九が涙を流すのはドラマオリジナルの演出だ。
自分の幸せに気づける人
結局4人の修羅場は収拾がつかず、クロエは「他人に何かできるかもなんておこがましかった」と反省する。他の漫画やドラマのようにスカッと解決するわけではないのが、『クロエマ』の良いところでもある。
『クロエマ』第2話のシモンの夜パフェは「大人のかりんとうパフェ」だ。シモンには小学生の頃、シモンが好きだった子からリコーダーを盗まれたが、先生から許してあげるように言われたという過去があった。被害者であるにもかかわらず我慢するよう求められたシモンは、家に帰るとおやつにかりんとうがあって号泣。エマは、もっと優しいおやつが良かったのかもと考察する。
だがシモンは、その時かりんとうをヨーグルトと組み合わせると元気が出たという。それが自分のパフェの原点だと明かす。クロエは、シモンの自分の力で幸せになる道を探したと分析。エマとクロエは、人は誰かが自分を幸せにしてくれることに期待するが、自分の幸せは自分にしか分からないと結論づける。
確かに、今回の四角関係は他者との関係が拗れに拗れた結果の修羅場のように見えるが、実際のところは、反田も美作も九十九も馬場も自分のコンプレックスに囚われていた。自分に何ができるか、相手のために何ができるかよりも、自分が抱える問題を相手が解消してくれるかどうかが焦点になっていたように思える。
そう考えると、学生たちと比べればエマやクロエらは少し大人で、だからうまくやれているのでは、とも思うが、エマは、それに気づけるのも恵まれているからだと指摘する。ここでも、余裕があるかどうかが問題になるのだ。
ピリつきそうな展開だが、『クロエマ』ではやっぱりここでも決定的な喧嘩にはならない。エマは、お金、美しさ、才能がなくてもこんなパフェが食べられるようになれればいいのにと、今目の前の幸せを噛み締め、クロエは自分のお金でシモンのパフェを食べに行けるようになりなと背中を押す。
卑屈になりすぎないエマと、未来志向のクロエはやはり正反対だが相性は良くて、いつまでも見ていたいという気にさせられる。そんな二人の姿と共に、ドラマ『クロエマ』第2話は幕を閉じている。
ドラマ『クロエマ』第1話&第2話ネタバレ感想&考察
見事な再現度と改変度
ドラマ『クロエマ』第1話と第2話は、見事に原作漫画を実写化した作品になっており、その再現度と適切な改変によって、驚くほど“良い”作品になっていた。占いを交えたミステリー作品でありながら派手なラストを迎えるわけではない第1話と第2話の展開が、格差や家族の問題を扱いながらギスギスした感じにならないエマとクロエの関係ともマッチしていて、刺激はあるが幸福感と共に幕を下ろす“スイーツ感”が見事に再現されていた。
特に、実際の社会問題やルッキズムの問題を扱うにあたって、実際の人間が演じる実写版は、ともすれば生々しくもなり得るが、キャスト陣の演技と、漫画版からは微妙に改変されているセリフや演出などでバランスがとられていた印象だ(第2話のパリで九十九が泣くところや、ラストでクロエが漫画版にあった「居候は依存」というセリフを言わないところなど)。
特にメインキャストの三人からは滲み出る“人の良さ”のようなものも感じられ、同時にクロエ、エマ、シモンが漫画から現実世界に飛び出してきたような再現度の高さも魅力的だった。その他にも、家の家具や喫茶店の造りなどの目で楽しめる要素に加えて音楽も良く、世界観自体が非常に良くできているため、全5話で終わってしまうのがもったいなく感じてしまう。
原作漫画はドラマ配信開始時点でも連載が続いているが、2026年6月25日発売の「Kiss」8月号で最終回を迎える(最終巻となる第5巻は8月13日発売)。ドラマ『クロエマ』は全5話の配信が予定されており、6月19日(金) に第3話と第4話、6月25日(金) に最終回の第5話が配信され、漫画と同じタイミングで最終回を迎える。
ドラマ『クロエマ』第1話と第2話では、漫画第1巻の「私はどうしたらいいですか」と「もてるひと」が実写化されており、このペースだと全5巻のうちの第2巻か第3巻までが実写化されることになるだろうか。シーズン2があるのかどうかという点にも注目したい。
ドラマ『クロエマ』はAmazonのプライムビデオで世界独占配信中。
海野つなみによる原作漫画『クロエマ』は講談社より最新刊の第4巻まで発売中。ドラマ第2話の続きは第1巻の途中から描かれる。
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