ドラマ『クロエマ』第3話&第4話配信開始
海野つなみの同名人気漫画を実写ドラマ化した『クロエマ』が、2026年6月12日(金) より240以上の国や地域でAmazonのプライムビデオにて独占配信されている。杉咲花演じるエマと多部未華子演じるクロエによって展開される占いミステリーは、配信初週から高評価を得ている。
全5話で構成される『クロエマ』は、2026年6月19日(金) より第3話と第4話が同時配信された。早くも最終回目前の週を迎えているが、第3話&第4話ではどんな物語が描かれたのだろうか。今回はドラマ『クロマエ』第3話と第4話を合わせてネタバレありで解説し、感想を記していこう。なお、以下の内容は第4話の結末までのネタバレを含むため、必ず本編をプライムビデオで視聴してから読んでいただきたい。また、以下の内容は性犯罪に関する内容を含むのでご注意を。
以下の内容は、ドラマ『クロエマ』第3話の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
ドラマ『クロエマ』第3話ネタバレ解説
vs モーリー
ドラマ『クロエマ』第3話は、原作漫画の「パルフェ・オ・スュクル・ペティアン〜ショボい幸せ〜」を実写化した内容になっている。クロエとエマがひっそり運営していた占い屋ソールに、ネット上でレビューがついたところから事件が起きる。
第3話の冒頭では、原作でもエマが作るオムハムエッグが登場。ハムを卵で巻いただけの料理だが、第2話冒頭のニュース番組に登場した寧山新月がテレビで食べていたおつまみがオムハムエッグにそっくりだったという指摘もされている。
オムハムエッグはエマにとって“我が家の味”だったが、クロエが家で食べていたのは家政婦と母が行っていた料理サロンの味で、“我が家の味”がないとこぼす。クロエは確かに裕福な育ちだが、エマはクロエにないものを持っているという側面も描かれている。
イッチーチャンネルの市川という迷惑系配信者が占い屋を訪れて警察沙汰になった後、二人はおそらくGoogleマップをモデルにしていると思われる地図サイトで勝手に店舗情報が登録されているのを発見。モーリーという人物がクロエのルックスに触れた上で「トンチキ占い」と書き込んでおり、男性客や興味本位で来る客が増えていたのだ。
投稿に対処したい二人だったが、レビュー投稿サービスによくある「不快な体験を敬意を持って表現しているコンテンツ」は削除できないという規約が立ちはだかる。しかしそこはリサーチの鬼であるクロエさん。レビューの投稿日と顧客名簿を照らし合わせて特定すると、嫌味っぽい丁寧な返答を書き込む。「不快な体験を敬意を持って表現しているコンテンツ」をやり返したというわけである。
「占いとは、真剣な問いには真剣な答え」「真剣な問いは真剣に生きる人からしか生まれない」とするクロエの挑発に乗ったモーリーは翌日来店。最初はマスクをしているので分かりづらいが、モーリーを演じるのはお笑いコンビのザ・マミィの林田洋平だ。嫌味を言う時の目元の演技が絶妙である。
モーリーは雪尾虎盛(ゆきお・こもり)と名乗るが、「もり」が入っているのですぐにモーリーだとバレてしまう(本名は「こもり・ゆきお」だった)。その上で、「不安」について占ってほしいと依頼すると、占いの結果は、孤独が悪い方へ作用している、過去に不公平だと感じることがあった、正義感が悪い方へ働いている、未来は事故りそうだが良い方向へ転ぶというものだった。
ラッキーカラーは「黄緑」と出るのだが、エマがサービス向上のために買ってきていたクリームソーダキャンディーの色と合致。クロエは対決姿勢でモーリーに備えていたが、悪い口コミを書かれないようにサービス向上を目指すというバランスの取り方は、なんともエマっぽい(クロエから「ショボアメ」と言われてしまうくだりも含めて)。
モーリーの幸せ
どちらかと言うとモーリー寄りであることを自覚したクロエはシモンに相談。シモンを腐したりしないが、エマにそう言う態度をとってしまうのは、エマに居座られても困るので、敢えて距離を置いているのだと自己分析する。
結局のところ、クロエがシモンを腐さないのもシモンと近づき過ぎて嫌われたくないという気持ちがあるからなのかもしれない。だとすれば、それはエマと距離が近くなり過ぎることを嫌がる感覚と表裏で、いずれにせよクロエは人との間に距離を作って生きているとも言える。
二週間後、モーリーは生産終了していたショボアメの販売情報を投稿したことでバズるが、いわゆるクソリプもついており、結局アカウントを消してしまう。だが、クロエはモーリーの個人ブログを特定しており、エマたちはモーリーがアカウントを削除した理由を知ることになる。
モーリーの投稿には「感傷に浸ってる」「ステマ臭がする」「甘いもの好きアピール」といった、よくあるクソリプがついていたが、モーリーが喰らったのはそれらの投稿を見て「あ、これ俺だわ」と気づいてしまったことだった。他人が好きでやっていることを腐すような振る舞いを、クロエの店にレビューを投稿した時のように、自分もやってしまっていたのだ。
モーリーはモーリーで、30歳過ぎで非正規雇用で独身だが家族を背負うことになり世帯主、浮かない人生で自意識を保つために斜に構えて相手を茶化すという行動に出ていた。現実には珍しくはないパターンだが、そんな人物で1話を描き切ってしまうのだから『クロエマ』は面白い。
素直に楽しんでいる時に、過去の自分のような奴らがたかってくる状況。モーリーはバズったことで有名人にも認知されることになったが、純粋に店とキャンディーを探す方が楽しかったと綴る。「幸せってショボいもので良かった」という言葉が印象的だ。
そしてそこには、ネット上ではなく公園で子ども達と遊び、一緒にアメを舐めるモーリーの姿が。身の丈を超えたバズや絡みよりも、目の前の小さな喜びの方がありがたい時もあるのだ。
「自分のもの」
ドラマ『クロエマ』第3話でシモンが作ってくれたのは、パチパチキャンディーパフェ。パチパチの刺激は最初だけ。刺激は楽しいけどそんなにはいらない、という今回の教訓を象徴するパフェになっている。
そして人生で大事なことがないというクロエは、「なんでもあるのは何一つ自分のものじゃないのかも」と、“我が家の味”がないと言っていた冒頭の展開と結びつく。持っているものが少ないからこそ、自分なりのものを作り出せるのであり、最初から揃っていれば自分自身のものは存在しない、ということである。
翌朝、クロエはエマのオムハムエッグを改良。マヨネーズを入れることでふわふわ感が増し、逆に江間家の味にそっくりなオムハムエッグを完成させる。エマは、クロエがこの味を継いでくれと告げる。第1話ではエマは27歳の時に母と死に別れたと明かされている。
「自分のものがない」と思っていたクロエは、エマと出会ったことで、エマから“我が家の味”をもらうことになった。エマも“我が家の味”は母からもらったものだ。クロエは「自分のもの」という発想でいたが、案外「自分のもの」というのは、誰かからもたらされるものなのだろう。
ドラマ『クロエマ』第3話のラストでは、オムハムエッグにそっくりな卵料理を食べる寧山新月の姿が。クロエとエマが有名占い師の寧山と接近することを示唆して、第3話は幕を閉じている。
以下の内容は、ドラマ『クロエマ』第4話の内容に関するネタバレを含みます。
ドラマ『クロエマ』第4話ネタバレ解説
大庵さん失踪事件
ドラマ『クロエマ』第4話の冒頭は、原作漫画の1話で完結する「パルフェ・プール・ヴーメム〜おいしくないお菓子〜」と、その次に続く「パルフェ・モノクロム〜プリンとフラン〜」が一つになっている。前者はエマがクロエから「美味しくなかった」という外国のお菓子をもらった話で、後者では大庵が車に引き込まれて連れ去られる姿を真秀が目撃するのだが、ドラマ第4話ではそのエピソードがまとめて展開されている。
今回のエマは結構クロエに怒っており、「余裕のある人だから余裕のない人のことが見えていない」とまで言っている。一方の長さんと半田も喧嘩中。そんな喫茶パリに真秀が大庵の件について相談しに来るのだが、真秀がクロエの家を訪れるという原作漫画の展開が改変されている。
この改変によって、長さんと半田も大庵の行方についての推理に加わることになり、ちょっと推理ドラマっぽさが増している。長州役の野添義弘、半田役の諏訪太朗はともに刑事役も演じてきた名バイプレイヤーであり、ある意味、視聴者へのサービスシーンになっている。
大庵を乗せた車が向かったのは奥多摩の方角だといい、バンで連れ去られた女性が死体で発見された女性連れ去り連続殺人の現場の方面だということに一同は気が付く。この事件については、第1話でクロエがエマを家に泊めることにした理由の一つとして触れられており、第2話ではニュースで触れられていた。
大庵からは「大丈夫です」というメールが返ってきたが、最悪の状況も考えてクロエの占いに頼ってみることに。「よくない状況に反省している」と出るが、方角は奥多摩の方向とは異なる「東」と出ていた。
埒が開かず、一同は念のため警察へ行くことに。大人達が最終的に常識的な行動を選んでくれるから『クロエマ』は安心して観ていられる。
一緒にいてくれたらいいのに
だが、警察署が近づくと、エマは電気屋さんに寄りたいと言って離脱しようとする。この状況で首掛け扇風機が買いたいと言うのだ。エマは居候の身でオンラインショッピングをすることに引け目を感じており、大庵とも親しくないので一緒にいても役に立てないと言う。
シモンは、エマが以前、立場が弱いと嫌われないように気を遣う、とはいえ自己主張もしないといけないと言っていたことを思い出している。一方の真秀は、どこかエマに同情している感じがする。以前から大庵はクロエに、真秀はエマに近い感覚を持っていることが示唆されている。
クロエは、エマに怒っている理由として、「役には立たなくても一緒にいてくれたらいいのに」とこぼす。クロエは、エマにそばについていてほしかっただけなのだ。それを聞いたシモンが笑顔を見せている様子は印象的。やっとクロエにもそういう存在ができたということが、シモンにとっては嬉しいのかもしれない。
『クロエマ』のテーマの一つである、「家族といると疲れる。でも、一人は寂しい」を当てはめるなら、クロエは徐々にエマを家族のように感じ始めているということだ。
そんな中、エマが電気屋で大相撲の生中継に映り込んでいる大庵の姿を発見。安全の確認が取れて一件落着を迎える。占い結果の「東」は、墨田区にある両国国技館を指していたのだ。
事件が解決し、シモンと真秀が公園のベンチでコーヒーを飲みながら話をするシーンはドラマオリジナル。シモンが喧嘩回で一人で逡巡する内容を土台にした会話が繰り広げられる。
クロエはやはり「エマさんも大変ですね」とエマに同情的だ。真秀には仕事はあるものの、第4話で分かったように休日出勤しているし、自転車通勤だし、やっぱり「持たざる側」なのだ。
一方で、自分は険悪そうになると自分が引こうとしてしまうが、それは相手からすると寂しいのかもしれないと、クロエの気持ちも理解している。確かに、エマが嫌われないように気を遣う根本の理由は“自衛”であり、その気遣いは壁を作られているように感じるのだろう。
なお、「強いものも弱いものもぶつからないように組み合わせを工夫して、生きる場所を作る」というシモンの発想は、原作漫画の「パルフェ・プール・ヴーメム〜おいしくないお菓子〜」で自分のためのパフェを作るシモンが行き着いた答えをベースにしている。
クロエの新たな出会い
そして、ドラマ『クロエマ』第4話の終盤は、意外にも原作漫画の「パルフェ・エピセ〜鬼が潜んでいます〜」にも入っていく。買い物をしてから一人で帰るクロエの乗っていた電車が止まり、隣に座っていた田中とクロエとの出会いが描かれるのだ。
田中を演じたのは桐山漣。『仮面ライダーW』(2009-2010) の左翔太郎役で、菅田将暉とW主演を務めたことで知られる。原作漫画での田中以上に妖艶な雰囲気を放っている。
痴漢が逃げて線路に立ち入ったことで電車が止まったという情報が流れると、田中は隣のカップルに性犯罪よりも窃盗の方が再犯率は高いというデータがあると教える。クロエは得意のリサーチで、数字によってその情報を捕捉する。
これは原作漫画と同じ演出だが、田中はアメリカでは「性犯罪者」の情報がネットで公開されているとした上で、「前歴者」への中傷やデマ拡散が広がっていると説明する。前歴者は不起訴などになっていても逮捕や取調べを受けたことがある人物で、前科者は有罪判決が下った人物を指す。
そして隣のカップルの男性が「前科者」という言葉を使い、また議論の対象が入れ替わるのだ。痴漢冤罪にこだわる男性と、性犯罪者は許せないとする女性の会話もどこかずれている。田中は、「誰にとって正しいか」ということと切り離せないし、正解はないのでは、と語る。
「自分はこう思う」で決めていくしかないとする田中の意見は、かなり相対主義に寄っていて、性犯罪者すら擁護されかねない危うさもある。しかし、クロエは「占いもそうかもしれない」と、相手や状況に応じて意味を選んでいるに過ぎないとこぼす。大庵の件が占いではなくエマの“電気屋”で解決したことも影響しているのかもしれない。
一方の田中は、占いは言葉によって縛られる呪いのようなものだと言い、クロエは親や教師の言葉もそうではないかと返すと、田中はそれに同意する。そして、「言葉って魔法みたい」と微笑む田中にクロエの目は完全に持っていかれてしまっている。
エマにイラついていたせいもあるのだろうか。エマとは正反対の、自分と感覚の近い人と出会ってしまって、ちょっとやばい感じになっている。
ラストの意味は?
ドラマ『クロエマ』第4話のラストでは、大庵がお詫びに国技館やきとりを買ってきて、事情を説明。元夫の悪ノリだったと明かす。エマが早速首掛け扇風機を使っているのがキュートだ。
そして、指紋の今回のパフェはモノクロームパフェ。占いで出たラッキーカラーの灰色が入っている。幸せな時間も束の間、クロエとエマは美味しくないお菓子と電気屋論争が再燃するが、シモンはその様子を見て、関係はそれぞれがその都度構築していくものであり、仲良くして欲しいと思うのは自分の安心のためなのだと思い至る。どこまでもよく出来たカフェのマスターである。
真秀の「一緒にいて欲しかったんですよね」という言葉にキレるクロエと、嬉しそうにするエマ。エマの笑顔が100点満点。いつまでも見ていたくなる食卓の光景だが、『クロエマ』第4話のラストシーンには寧山新月が登場する。
布団で眠る暁(きょう)という人物に語りかける寧山だが、「宵(しょう)を探せ」と部下に指示を出す。そして、飾られていた古い写真に写っていたのは、エマそっくりな少女。その顔が現在のエマと重なり、ドラマ『クロエマ』第4話は幕を閉じている。
ドラマ『クロエマ』第3話&第4話ネタバレ感想&考察
田中とクロエとエマと寧山
ドラマ『クロエマ』第3話と第4話では、原作漫画の第2巻の半分くらいまでのストーリーが描かれた。次回の第5話がドラマ最終回なので、このペースだと第2巻のラストまでで終わるか、第3巻の途中までで一旦終了することになりそうだ。原作漫画は全5巻を予定しているので、残りはシーズン2に続くという形が現実的だろうか。
第3話ではネット社会のあるあるが題材となったが、その言語化のされ具合が非常に高度で、SNSの文字列だけでは分からない、人の心情や背景を想像するきっかけをくれるものになった。もちろんモーリー本人がちゃんと反省する点も良い。
第4話では、大庵さんの失踪事件はやや簡略化され、クロエとエマの関係と、それを見守るシモンの分析が中心になっていたように思う。クロエの新たな出会いも描かれた上、ラストでは寧山の「宵(しょう)を探せ」発言が待っていた。エマの本名は江間宵(エマショー)だ。
第3話で寧山がオムハムエッグを食べていたのも、あれが“我が家の味”だったということだろう。エマが寧山との繋がりを知っているのかどうかという点も問題である。
電車で出会った田中に惹かれるクロエと、エマを探している様子の寧山。クロエとエマは離れ離れになってしまうのか、最終回となる第5話でこの点がどのようにまとめられるのかに注目したい。
ドラマ『クロエマ』はAmazonのプライムビデオで世界独占配信中。
海野つなみによる原作漫画『クロエマ』は講談社より最新刊の第4巻まで発売中。ドラマ第4話の続きは第2巻の途中から描かれる。
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