ネタバレ解説&考察 映画『口に関するアンケート』ラストの意味は? 呪いの正体、原作との違いと繋がりは | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説&考察 映画『口に関するアンケート』ラストの意味は? 呪いの正体、原作との違いと繋がりは

© 2026 映画「口に関するアンケート」製作委員会

映画『口に関するアンケート』公開

人気作家・背筋のホラー小説を実写映画化した『口に関するアンケート』が2026年7月3日(金) より全国の劇場で公開された。背筋原作の映画としては2025年に公開された『近畿地方のある場所について』に続く映画作品で、今回は松竹配給の作品となっている。

映画『口に関するアンケート』の監督を務めたのは「呪怨」シリーズで知られ、7月には『だぁれかさんとアソぼ?』、9月には『八つ墓村』の公開も控えている清水崇監督。『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023)、『爆弾』(2025) の共同脚本などで知られる山浦雅大が脚本を手がけた。

今回は、映画『口に関するアンケート』について、ラストの展開を中心に、原作を踏まえて解説&考察していこう。以下の内容はネタバレを含むため、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『口に関するアンケート』の結末に関するネタバレを含みます。

映画『口に関するアンケート』ネタバレ解説&考察

二つの肝試しと映画オリジナルの展開

映画『口に関するアンケート』では、二つの肝試しにまつわる証言が語られ、その背景を刑事が追い、週刊誌記者にネタとして売ろうとするという展開が描かれる。後者、つまり刑事と週刊誌記者のパートは映画オリジナルの要素で、原作小説では証言のみが書籍に収録されている。

一つ目の肝試しは板垣李光人演じる翔太、綱啓永演じる竜也、吉川愛演じる、MOMONA(ME:I)演じる美玲の4人の大学生による肝試し。“呪いの木”を見るために車で墓地を訪れ、一人ずつ木の前を通って車に戻るというチャレンジを実行。その過程で杏が呪われ、翌日から失踪してしまうという事件が起きる。

もう一つの肝試しは、森愁斗(BUDDiiS)演じる堀田と西山智樹(TAGRIGHT)演じる川瀬の肝試し。同じく呪いの木を見に行くが、そこで首の長い女性が素手で穴を掘っているのを目撃する。そして、その女性の姿は杏であった。

これらの証言の音声データを聞いているのが中村獅童演じる刑事の草壁だ。映画オリジナルキャラクターである草壁は、観客の私たちと同じように、二つの肝試しで何が起きたのか、その後の大学生たちの身に降りかかった出来事を、証言を通して追っていく。

一方、草壁もギャンブル依存で金に困っており、柄本時生演じる週刊誌記者の西に今回の事件のネタを売りつけようとしている。西から事件の裏取りを求められた草壁は、大学生たちの足取りを実際に追うことになる。

このように、映画『口に関するアンケート』では、証言のみで構成された原作に後日談を付け加えることで、物語を拡張するという手法をとっている。このパターンは、同じく背筋原作の『近畿地方のある場所について』でも採用されており、原作小説でも紹介された資料を雑誌編集者とライターが追っていくという展開が描かれていた。

「呪いの木」と「口」

映画『口に関するアンケート』では、肝試し後に大学生たちの身に降りかかった怪奇現象も描かれる。美玲が図書館で呪いの木について調べ、背後に首を吊った人物の足が映り込むという描写は、本人が知覚できていない現象を視聴者が目撃するという映像ならではの表現となっている。

美玲はそこで、かつて墓場の木は人々に大事にされていたが、ある時、一人の女性がそこで首吊り自殺をして以来、「呪いの木」と呼ばれるようになったことを知る。人々は“呪いの木”に他人の不幸を願うようになり、その呪いは現実になっていった。呪いを生み出したのは人間の方だったのだ。

人が意味を付け加えていくというコンセプトは『近畿地方のある場所について』に通じるものがある。『口に関するアンケート』では、「口は災いの元」ということわざの通り、人々がこの木について“語る”ことで呪いが生まれた背景が描かれていく。

怪談というのは元来、口承で伝わり、語り手によって内容が変化していくものだ。語り手の都合で言わなかったこと、付け加えたことが物語を変化させていく。映画『口に関するアンケート』でも、証言の中で“言われていなかったこと”が明かされていく。

二つの急展開

中盤で明かされるタネ明かしの一つは、翔太と付き合っていた杏が竜也に乗り換えていたというもの。原作小説では割と早い段階で明かされることだが、映画では中盤の転換点として利用することで、この後に続く意外な展開のフェイントとして機能することになる。

杏と付き合った竜也は、大学卒業後に結婚することを翔太に報告。あるルートから呪いの木について知った翔太は、肝試しで呪いの木を訪ねて竜也を呪い殺すことを画策。自分が最初に呪いの木に辿り着き、次に来た人物を呪い殺して欲しいと依頼したのだ。

だが、竜也は別れたのに杏に言い寄っている翔太と話し合いをするため、呪いの木を通らずに車まで来てしまった。だから次に呪いの木に辿り着いた杏が呪われてしまった、というタネ明かしが行われる。冒頭で竜也が木を通っていないと知った翔太が異様な様子を見せていたのは、このままでは杏が呪われると思ったからだったのだが、これは原作通りのストーリーだ。映画版ではまだ仕掛けが待っている。

もう一つの急展開は、翔太ら4人の肝試しが川瀬ら2人の肝試しの後に行われていたことが発覚するというものだ。先に呪いの木に肝試しに行っていたのは川瀬と堀田で、川瀬はバイト仲間の翔太にその話をして、それがきっかけで翔太は竜也らを誘って呪いの木に肝試しに行くことにした、という背景が、草壁が聞く証言の録音によって明かされるのだ。

振り返ると、川瀬と堀田の肝試しでは、呪いの木に通じる古びた門の施錠を川瀬が開ける場面があった。翔太たちの肝試しでは、この門はすでに開いており、時系列的には川瀬の後に翔太が肝試しをしたということが、実は示されていたのだ。

これにより、川瀬と堀田が墓地で目撃した穴を掘る女性が、翔太らとの肝試しを経た杏ではなかったことが明らかになる。この時系列のトリックは映画オリジナルの展開だ。さらに、草壁がコンビニの防犯カメラを確認すると、竜也と口論になったと証言されていた杏の姿はなく、代わりに竜也と口論になっていたのは美玲であった。

その直前の竜也の証言では、杏の名前を美玲と言い間違えそうになっており、ここに来て杏の存在が揺らぎ始める。極め付けは、翔太が作った杏の捜索を求めるビラの写真が、杏ではなく呪いの木になっていたことが明かされるのだった。これも全て映画オリジナルの展開で、原作読者にも衝撃のサプライズとなっている。

映画『口に関するアンケート』ラストをネタバレ解説&考察

杏の正体は?

映画『口に関するアンケート』のラストでは、こうして肝試しに向かったのは翔太、竜也、美玲の3人組であったこと、彼氏を乗り換えるムーブを見せたのは杏ではなく美玲であったことが明かされる。霊感に近いものはあるが割と常識人な感じであった美玲は、実は遊び人だったのだ。この辺りは美玲役のMOMONAによる豹変する演技が見事である。

思えば図書館のシーンでは、美玲はチャラそうな学生のグループに声をかけられており、都市伝説のサイトを見ていることを意外がられていた。真面目そうな美玲が普段付き合わなさそうなタイプの学生たちだったが、素の美玲がよく遊んでいた友人たちだったのだろう。

一方、証言の中の大学生たちは、杏の存在を疑っていない。翔太は、呪いの木で羽化しそうになっているところをアリたちに食われるセミを見て、あんな風に竜也を殺してほしいと呪いの木に願いをかけたと証言する。

川瀬もまた、土を掘る女性を見つけた時に、いつもイキっている堀田に「何やってんすか?」と声をかけさせ、呪いが発生するように仕向けていた。二つの肝試しにおいて、翔太と川瀬は同行者への呪いを求めた存在であり、そして杏と出会うことになったのだ。

ここまで観てきて分かる通り、杏の正体は、かつてありがたがられていた墓地の木で首吊り自殺をして、その木が「呪いの木」と呼ばれるようになったきっかけとなった女性だったと考えられる。首が長かったのは、首吊りをして首が伸びてしまったからだ。木が人々に呪いをかけたのではなく、杏の怨念が呪いを求めてやって来る者たちを呪っていったのだろう。

時系列で解説すると、堀田を呪おうとした川瀬が杏を見て二人は呪われ、竜也を呪おうとした翔太が杏を見て美玲を含む3人が呪われたということだ。普通の大学生だった杏がまず呪われ、それを目撃した4人が続いて呪われた原作とは大きく改変されている点だ。

誰への証言だったのか

そして次第に、これらの証言が警察の事情聴取で録音されたものだという思い込みも覆されていく。証言はスマホで録音されたもので、しかも5人の大学生による呪いの木での集団首吊り自殺の現場に残されたものだった。翔太の後悔の声で終わる断末魔の最後には大きなセミの声が入っている。

ちなみに原作小説の刊行時には、スマホの音声録音機能ではセミの鳴き声の周波数を拾うことができないという考察があった。つまり、スマホの録音にセミの声が入っているのはおかしい、ということだ。この考察の真偽は不明だが、いずれにせよそうして「口」による災いは広がっていくのだろう。

呪いの木で呪いをかけることを試み、杏を目撃した大学生たちは、再び杏か木に引き寄せられたのだろう。翔太が木の写真を使って杏を探し続けていたのが何よりの証拠だ。そして、翔太たちは呪いの木の下で、一人ずつ証言を行った。自分が杏と呪いの木に関わった経緯を全て正直に話し終えた後に、首を吊ることを“許された”かのようだった。

証言が警察に対するものではなく、杏か呪いの木に対する“弁明”であったことが大オチの一つだ。これを踏まえて映画を観直すと、証言者の表情が恐怖に染まっていく点や気がつけば証言の背景が墓地になっている点など、綿密な仕掛けが施されていることが分かってくる。この辺りも映像作品であることの利点を活かした演出となっている。

ラストの意味は?

そして、映画『口に関するアンケート』オリジナルの要素も決着が付けられる。刑事の草壁が集団自殺の現場にたどり着くと、週刊誌記者の西が現れ、やっぱりネタは買い取れないと告げる。集団自殺の事件に行方不明の女性(=杏)がいるというネタだったが、結局その女性の存在は確認できなかったからだという。

立ち去る西に、草壁は「死ねや」と呪詛の言葉を吐く。心で思うだけなら自由だ。しかし、口に出してしまった時に、その言葉は呪いとなる。その言葉を承認するかのように大音量のセミの声が鳴り響き、呪いの木が写っていたビラに杏の写真が現れたのだった。

結局、竜也を呪った翔太、堀田を呪った川瀬と同じように証言の録音を聞いて呪いの木まで導かれた草壁は、西のことを呪ってしまった。二人は、大学生たちと同じ運命を辿ることになるのだろう。

最後に、映画『口に関するアンケート』では、原作小説と同じようにアンケートが提示される。その内容は作品の考察のヒントとなるものになっていて、パンフレットの最後にも収録されている。そして、そのアンケートの答えを考えていくと、私たち観客もこの“呪い”に巻き込まれていることが分かってくる。

中でも、死んだ5人の証言がスマートフォンに録音されていた理由を考えさせる問いはゾッとする。結果として、草壁と西はその録音の存在によって呪いの木に辿り着いてしまったからだ。この映画自体が呪いを拡散する一手段なのかもしれない。あなたの次の行動を問うて、映画『口に関するアンケート』は幕を閉じている。

映画『口に関するアンケート』ネタバレ感想&考察

映画ならではの面白さと小説との違い

映画『口に関するアンケート』は、原作小説の面白みを活かしながら、映像表現でしかできない要素も取り入れた傑作だった。独白シーンが多くなる中で、若手俳優陣の演技が凄まじく、特に吉川愛が演じた杏は、シリーズものなら新たなホラークイーンを目指せるくらいのインパクトがあった。

登場人物がみんなそれぞれにクズだという点も面白い。友人を呪おうとした翔太と川瀬はもちろん、翔太と竜也を弄んだ美玲、川瀬をいじめていた様子の堀田、ギャンブル依存で人の不幸を金にしようとする草壁、それをあっさり切り捨てる西。一周して、卒業後に美玲と結婚する決意を固め、翔太にも筋を通した上で、それでもふらふらしている美玲に注意する竜也が実は一番まともだったのかもしれない。

背筋原作映画としては、『近畿地方のある場所について』と同様、考察要素が多い作品で、原作との比較や複数回鑑賞することで長く楽しめる作品にもなっている。この濃厚さで上映時間が90分を切るというのも驚きだ。

原作小説からの大きな改変は、①杏が本来は翔太らのグループにはおらず、3人で肝試しを行なっていたこと、そして、②川瀬と堀田の肝試しは翔太らの肝試しの前に行われていたことだ。

小説版はよりシンプルだ。翔太が杏を奪った竜也を呪いの木で呪い殺そうとしたが、竜也が木の前を通らなかったため、杏が呪われてしまった。後日、川瀬と堀田が呪われて地面を掘る杏の姿を呪いの木の下で目撃。警察に相談して現地を再訪すると、杏の首吊り遺体が発見された、という物語だった。

さらに書籍では、その証言がどのように、何の目的で行われていたかというオチの部分が最後のアンケートで示されている。未読の方はぜひ原作もチェックしてみよう(60頁くらいですぐに読める)。

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杏・セミ・呪い・木の関係は?

映画版『口に関するアンケート』では、杏が大学生グループの一員ではなく、幽霊のような存在として登場したことから、新たな考察要素も誕生した。そもそも原作小説で杏が木の上で「食べられる」と、地面を掘りながら「地獄は下にある」「高くしないと」と、言っていたのは、翔太が羽化しかけて死んだセミのように竜也に死んでほしいと願ったからだ。杏は数年地中で過ごした後に木に登って羽化するセミのようになってしまったのだ。

だが、映画版では、翔太が墓地に行く前に、川瀬と堀田が穴を掘る杏の姿を目撃している。仮に翔太の呪いが杏にかかったのだとすれば、杏が穴を掘っていたのはセミとは関係のない理由だということになる。ただし、この時も大きなセミの鳴き声は聞こえているので、セミは呪いの木か杏そのものと関係のある存在なのだろう。

また、原作小説では、杏は普通の大学生であったため、呪いは明確に“呪いの木”によって生まれたものだと判断できた。無論、それは過去に人間が積み重ねてきたものではあるのだが。映画版では、杏が元々幽霊のような存在として描かれているため、呪いの根源は二通り考えられるようになった。

杏が呪いを生み出しているのだとすれば、呪いの木はフィールドに過ぎない。しかし、呪いの木が“願いを叶える木”で、杏は呪怨として木の下にとどまっているとしたら、どうだろうか。

願い事をしていない川瀬と堀田は単に杏に取り憑かれ、願い事をした翔太は杏を巻き込みながら願いが叶えられた、とも考えられる。ただし、草壁が「死ねや」という“願い事”をした後に、ビラの中に杏が見えるようになったことから、やはり願い、もとい呪いは杏と関連づいていると考えるのが自然だろう。

あるいは、呪いの木のフィールド内で呪いをかけようとした瞬間に、その人物は杏と同じ呪いのフィールドに入る、という合わせ技とも考えられる。「木」に「口」と書いて「杏」という名前になっているのは、木と呪いと杏が一体となっていることを示しているのかもしれない。

呪いの根源がどこにあるのかということは、5人の大学生たちが誰に証言をしていたのかということにも繋がってくる。5人は呪いに足を踏み入れたことを杏に懺悔していたのか、木に懺悔していたのか、それとも、単に次の標的を呪いに引き摺り込むために証言していたのか……。やはり災いの元は口なのか……。あなたはどう見ただろうか。

SNSの口コミ文化と考察カルチャー、ホラーブームとともに、夏の風物詩となりつつある背筋原作映画の盛り上がり。背筋作品としては、『口に関するアンケート』と同じポプラ社より2026年6月25日に『目が』が刊行されたばかり。引き続き、小説と映像化作品を追っていきたい。

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映画『口に関するアンケート』は2026年7月3日(金) より公開中。

映画『口に関するアンケート』公式サイト

背筋の原作小説『口に関するアンケート』はポプラ社より発売中。

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押見修造がコミカライズした漫画版『口に関するアンケート』は集英社より発売中。

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映画『近畿地方のある場所について』ラストの解説&考察はこちらから。

【ネタバレ注意】映画『爆弾』の解説&感想はこちらから。

【ネタバレ注意】映画『ドールハウス』の解説&感想はこちらから。

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齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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