アニメ『ダンジョン飯』第20話 感想&考察 パーティーとは家族? ネタバレ解説 | VG+ (バゴプラ)

アニメ『ダンジョン飯』第20話 感想&考察 パーティーとは家族? ネタバレ解説

©九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会

イヅツミによって再認識されるパーティーの形

アニメ『ダンジョン飯』では第19話「山姥/夢魔」で、ライオスのパーティーにイヅツミという新メンバーが加入することになった。偏食で、食事のマナーがなっておらず、チームプレーを嫌うイヅツミの存在によってライオスたちはパーティーの形について再認識することになる。ライオスたちのパーティーとはどのような形なのだろうか。

本記事ではアニメ『ダンジョン飯』第20話「アイスゴーレム/バロメッツ」で描かれるパーティーの形について解説と考察、感想を述べていこう。なお、本記事はネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『ダンジョン飯』の内容に関するネタバレを含みます。

イヅツミにも『ダンジョン飯』の通過儀礼

実力者集団、ライオスのパーティー

炎竜〈レッドドラゴン〉と戦った第6階層を冒険するライオス一行。ここではじめてライオスたちが当初、ダンジョンに潜っていた目的が明かされる。実はすべてはダンジョンの存在している島の領主である“島主”の依頼であり、最深層だと思われていた第6階層に魔術で動くと思われる扉が発見されたためだった。島主はライオスたちにその魔術の根源だと思われる文様を写すように依頼していた。

つまり、ライオスたちはダンジョンの最深層に潜れるほどの実力の持ち主であった。そのことからライオスのパーティーは実力だけではなく、島主など領主からも信頼されていたパーティーだったことが考察できる。事実、ライオスは元兵士、チルチャックはハーフフットの労働組合〈ギルド〉の創設者兼顔役であり、マルシルとファリンは魔術学校出身の学歴のある魔法使いだ。

父親が氏族の金銭を持ち逃げしたということでナマリの経歴に泥はついており、その一件で島主からのドワーフの心証を悪くしたが、ナマリ自身の実力は申し分ない。ナマリはドワーフと関わりのないパーティーを探してライオスのパーティーに所属しており、ドワーフの氏族と関わりのないライオスのパーティーは島主からの心証が良かったことが考察できる。

更にシュローは一太刀で竜種を仕留められる実力の持ち主である。家柄も東方の群島のワ島の名家である半本家の嫡男だ。半本家は諜報活動を得意とする一族で、東方のワ島の領主に仕えている。このようにライオスのパーティーは冒険者の中の上澄み中の上澄みであり、なおかつ信頼に値するような学歴や経歴、家柄に身分の持ち主で構成されたパーティーだったと考察できる。

イヅツミとチルチャックの対立

ライオスたちは雪の中から荷物を探していたが、ここでイヅツミがマルシルの金貨をくすねるのをチルチャックが目撃する。イヅツミはシュローの父親が酔った勢いで見世物小屋からマイヅルへの土産として買ってきた奴隷であり、生き延びるために様々なことをしてきた人物として描写されている。奴隷主である半本家から脱走を試みては折檻を受けていたという描写もあり、その精神性が生き抜くためなら金品をくすねる癖に繋がったと考察できる。

チルチャックはイヅツミを躾のなっていない獣人と謗るが、イヅツミもハーフフットにまつわる蔑称を持ち出し言い返す。ハーフフットが窃盗罪でよく片足を切り落とされたというのはデマであることが、後にチルチャックの口から解説されている。

実際はハーフフットがJ・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』(1937)や『指輪物語』(1954-1955)に登場したホビットがモデルの種族であることに起因している。伝承上の存在ではなく、J・R・R・トールキンが創造した種族がモデルであるため発生する版権上の問題を「共通語では発音が憚られる単語だったらしく、結果それを回避するための呼称の乱立」にするというメタネタになっている。

獣人に興味津々なライオス

2人が種族絡みで対立していた頃、センシは氷漬けになった魚を見つける。それは第4階層でよく釣れる魚であり、様々なものが水路を通して最深層だと思われていた第6階層に流れ着いていたことを意味していた。マルシルはそれを取り出すのを魔術の勉強として、ライオスに任せる。

魔法陣を起動させようとすると、雪山が動き出す。それはセンシが浅層で水路に流してしまったゴーレムの核によって生まれたアイスゴーレムだった。ゴーレムは核を壊さないと倒せないが、アイスゴーレムの中には魚など不純物が凍っているため視覚に優れたチルチャックでも探すのが難しい。ここでイヅツミがチルチャックに対して不信感を引きづっていることが考察できる。

チルチャックが核を見つけ、それをイヅツミが砕くことでアイスゴーレムを倒したが、イヅツミのライオス一行への不信感は拭えていなかった。冷えた体を温めるためイヅツミは火を前に服を脱ぐが、そこで「獣が裸になったところで喜ぶ奴なんていない」と言っているがそれは大きな間違いだ。

ライオスは魔物への強い執着があり、魔物になりたいとまで思っている。そのため、魔物と魂ごと混ざったイヅツミの体に興味津々であり、乳首の数が魔物寄りなのかどうかや尻尾が人体からどのように生えているか確かめようとしていた。ライオスはイヅツミに対して魔物と同じように接することがあり、猫のように撫でまわすなど、年頃の女性との異様に近い距離感をチルチャックなどから叱責されている。

パーティーとは家族

センシは氷漬けの魚で調理を始める。そこで生じた湯気を利用し、マルシルはサウナを行なうことを提案する。料理をしながらサウナの湯気を浴びるライオス一行だったが、イヅツミは料理を待てない。完成した途端にそのまま食べようとするイヅツミをセンシが叱る。

センシは全員が食卓を囲むまで料理に手を付けてはいけないと語るなど、パーティーメンバーを家族と認識していることが考察できる。以前も若く見えるマルシルやチルチャックに食事を与えねばと親心のようなものを見せていた上、実際は29歳で成人した3人の娘がいるチルチャックに性教育まで施そうとしていた。

これはセンシが過去に所属していたパーティーで家族のように扱われたことや、氏族単位で暮らすドワーフ出身であり、同じく氏族単位で暮らすオークのもとに長くいたことが要因だと考察できる。それに対して、イヅツミは家族という関係性の認識が薄い。

イヅツミは長らく見世物小屋で猫女として監禁されており、それを酔った勢いでシュローの父親が半本家に連れてきた。そのため家族観が育まれにくい環境で育ったと考察できる。親代わりといえばマイヅルがそれに近いが、マイヅルは諜報活動に使えるようにイヅツミに戦闘術を教え込んでいた。

だが、マイヅルの教育方法は言う通りにしなければ折檻をするというものだった。その点では親意識の強いセンシと子持ちのチルチャックがいるパーティーに属することができたのは、イヅツミにとって家族観を育む良い機会になったと考察できる。

シュローの父親という問題児

イヅツミは魔物を食べると魔物になるという穢れ信仰を持っていた。ライオスは魔物を食べたら魔物になるということに関して、それが出来たら苦労はしないと羨ましがっている。実際、私たちは牛を食べたら牛になり、豚を食べたら豚になるようなことはない。それでもマルシルの言う通り、人間に近い猿や生活に身近な鼠などが病気の原因になることもあるので穢れ信仰も侮れないと考察できる。

イヅツミは半本家にいた頃、苦手な食べ物が出ていたらオーガのイヌタデに押し付けていたことが明かされる。イヌタデはそれを譲ってもらったと喜んでいた。イヌタデとイヅツミは境遇こそ似ているが、その性格は正反対だ。イヌタデはもともと賭け相撲の力士で最初の取組で前歯が欠けるなど、過酷な状況で生活していた。それがあまりにも過酷だったため、イヌタデを奴隷として買い上げ、自分の息子の部下にしたシュローの父親を崇めている。

不道徳な父親を崇めていることについて、シュロー自身は不憫に思っているが、シュローは“察してほしい”精神の持ち主なので、口に出さないことが解説されている。その出自と主人との関係性はカブルーのパーティーのハーフフットのミックベルとコボルトのクロに近いと考察できる。

クロはもともと奴隷商人の商品だったが、その奴隷商人に無下に扱われたミックベルが仕返しに自由にすると奴隷商人を噛み殺し、ミックベルに雇われるようになったという経緯が似ている。しかし、ミックベルとクロは薄給とは言え雇用関係にあり、奴隷主と奴隷の関係性に近いシュローの父親とイヌタデとは決定的な差があると考察できる。

羊が草木に生えるバロメッツ

ライオスが苦労してイヅツミに魔物食の安全性を説いているときに、目の前に羊が植物に生えているという奇妙な光景を目撃する。最悪のタイミングでの遭遇だが、これはバロメッツという植物に属する魔物だ。

バロメッツは現実世界では『東洋旅行記』(1314)にコーカサス山脈には一頭の仔羊大の獣が生まれるメロンがあるとして紹介された。バロメッツの金の羊毛は価値が高く、味は蟹に似ていると伝承上では解説されている。バロメッツの伝承は日本にも江戸時代後期の書物で奇妙な植物として解説されるようになった。

そのようなバロメッツだが、実は現実に存在している。それは木綿だ。綿の取れる植物があることを知らなかったヨーロッパの人々が、木綿のことをウール、つまり羊毛の取れる植物だと解釈し、それが流布されていく中で羊が生える植物になったと考察されている。

通過儀礼

バロメッツを収穫しようとしたところに、その成羊の肉を求めてダイアウルフが現われる。ライオスがイヅツミを庇い、剣を抜くがイヅツミはそれを無視して立ち去ってしまう。イヅツミはパーティーに属するという感覚が無いのだ。

もともと奴隷として扱われていたこともあり、シュローのパーティーに所属していた頃や、半本家にいた頃から忠誠心のようなものは無かった。それに加え、奴隷にもかかわらず拾われた恩を要求されるのも嫌だったと容易に考察できる。

そのようなイヅツミが窮地に陥るが、その窮地を救ったのは捨て置いたはずのマルシルだった。マルシルは嫌なことをするのも、本当に好きなことをするために必要な近道だと解説する。そしてイヅツミも他のパーティーメンバーと同じく回復魔法による回復痛という回復の近道の通過儀礼を経験するのだった。

バロメッツの未成熟の実を収穫することに成功したライオスたちだったが、未成熟の実の中には羊の胎児が入っていた。これは伝承と同じであり、マルシルは嫌がっていたが伝承の中には成羊になるとバロメッツは周囲の畑などを荒らすようになるため、未成熟の実の段階で収穫するべきだと解説する伝承もある。そしてバロメッツの料理を食べ、イヅツミは魔物食という通過儀礼も経験するのだった。

本日のメニュー

アイスゴーレム茶碗蒸し

1. 魚を捌いて頭と骨を分ける。
2. 魚の頭と骨から出汁を取る。
3. 茸、夢魔〈ナイトメア〉を細かく切る。
4. シェイプシフターの肉を軽く茹で、灰汁を取る。
5. ハーピーの卵を溶き、出汁と具材と合わせる。
6. コップにそれを注ぎ、アイスゴーレムの欠片と一緒に鍋で蒸す。

アイスゴーレムに入ってた魚に熱を通したやつ

1. 魚を捌いて頭と骨を分ける。
2. バターで焼き、塩胡椒で味を調える。

バロメッツのバロット(あるいはバロメッツチョップ)

1. バロメッツの未成熟の実から羊の胎児を取り出す。
2. バロメッツの肋骨を適当な大きさに切り、味をつけて火を通す。
3. 肋骨の両面に綺麗な焼き色が付いたら、ワインを入れて蓋をして蒸し焼きにする。
4. 果皮部分を湯通しする。
5. 果皮部分の皮を剥き、ざく切りにする。
6. 果皮部分をニンニクと一緒に煮込んでソースをつくる。
7. 肋骨にソースを絡める。

第20話の感想と新しいキャラクターが登場する第21話

アニメ『ダンジョン飯』第20話「アイスゴーレム/バロメッツ」では、イヅツミを通してパーティーが家族であることが再認識させられる物語となった。また、ライオスたちが当初ダンジョンに潜っていたことが明らかになり、それによってライオスたちの実力の高さを再認識するエピソードでもあった。一族代々仕えている部下がいる、奴隷商人から買った部下で構成されたシュローのパーティーでは味わえなかった家族のような感覚をイヅツミが知ったことで、今後はどのような変化が現われるのか楽しみだ。

第21話では、おそらく西方のエルフたちが登場することが考察できる。西方のエルフは以前より言及されており、ダンジョンの所有権を要求するなど高圧的で、古代魔術を管理している存在だ。西方のエルフたちによってダンジョンがもたらす利益などが深掘りされることになり、ダンジョンの持つ後ろ暗いところが明らかになると考察できる。次回もアニメ『ダンジョン飯』から目が離せない。

アニメ『ダンジョン飯』第20話「アイスゴーレム/バロメッツ」は2024年5月16日(木)22:30より放送と配信が開始。

『ダンジョン飯』公式サイト

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『ダンジョン飯』の海外の評価と海外ファンの考察はこちらから。

アニメ『ダンジョン飯』第1話「水炊き/タルト」のネタバレ感想と考察はこちらから。

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鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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