第10話ネタバレ感想!『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』あらすじ・考察・登場怪獣 | VG+ (バゴプラ)

第10話ネタバレ感想!『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』あらすじ・考察・登場怪獣

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『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』第10話配信開始

芥川賞作家の円城塔がシリーズ構成・SF考証・脚本を担当する『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』。これまでに散りばめられた謎がようやく明かされつつある第10話を早速振り返っていきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』第10話の内容に関するネタバレを含みます。

第10話「りきがくのげんり」あらすじ/注目ポイントはココ!

黒いラドン?

紅塵の煙の中を闊歩するゴジラ。そこに迫る巨大な黒い飛翔体。これはラドンなのだろうか? 今までとは比にならない大きさの黒いラドンは全身に黒い霧を纏っているために全体の輪郭がはっきりとは分からない。紅塵の中で個体がゴジラ同様の”進化”を遂げて巨大化したのだろうか。あるいは身体から剥がれる黒い霧は小型ラドンに見えなくもなく、ラドンの群れが集まって巨大な個体を形成しているとも考えられる。

口を黄色く発光させてゴジラと同じく何らかのビームを発射しようとしたところで、前回見ることの叶わなかったゴジラのサークル状の放射熱線を受けて墜落してしまう。この黒いラドンのイメージは最早ラドンというよりも完全に平成ガメラシリーズにおけるギャオスのそれであるし、改めてゴジラからサークル状の熱線が吐かれる様子を見ると一見斬新なようでその実不思議な既視感に襲われる。以前にも輪っかのような放射熱線を吐いた怪獣が居たのだ。まさかそんなところまで拾うとは、『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』恐るべしと言う外ない……

葦原の残した数列

第1話と同じく侍のバイクの背に乗って”幽霊屋敷”へと向かうユン。そこで葦原の残した資料にある数列を発見する。それはかつて屋敷で受信した曲の中に隠された日付と一致した。発信ではなく受信しかできない鉱石ラジオを用いていたことから葦原も何かを研究していたようだと見当を付けるユン。どうやら数列が刻まれたのは五十年以上前のことらしい。

“カミムシ”アイコンの相手とのメッセージのやり取りで、アーキタイプ研究者として葦原の名を知ったユンは遂に幽霊屋敷の前の所有者も葦原だったと気付く。侍との会話で、ユンも侍もカミムシの正体が銘であるとは知らないことが明らかとなった。最初にユンがカミムシとのやり取りを始めたのは第3話でペロ2が作業用ロボットを操ってユンたちの窮地を救った後だ。この時、いきなり「困ってることあるでしょ」とユンは銘に持ちかけて二人のやり取りは始まった訳だが、まさか互いの自己紹介もせぬままにここまで話が進んできたのだとは思わなかった。

描かれていない部分で互いの素性は明らかとなっていたのかと思っていたが、しかし互いが相手が誰かを知るシーンはドラマ的にも重要な意味を持つので省略する意味は感じられない。よって自己紹介が描かれていないということはつまり自己紹介は劇中の事実として「起きていないこと」だったと明らかになった訳だが、これは筆者には衝撃である。一体、正体不明の相手から送られてきた謎の暗号や”破局”といった情報をどうやって信じることができるのだろうか?

そして前回、洋上から目撃したまさに「世界の終わり」を暗示するかの如く空へと立ち上る巨大な赤い積乱雲はどうなったのだろうか。ここではむしろ何事もなかったかのような日常シーンこそ唐突に感じられる。「世界の終わり」を目撃した洋上から”幽霊屋敷”への移動に至るまでには大分距離がある。そこには割愛してはならないきっかけが描かれねばならなかった筈だ。それが描かれることなくいきなり幽霊屋敷に向かってしまえば、それは物語を進める上でのご都合主義的な展開という印象を免れない。

何かが起こりそうなラストで幕を閉じたなら、視聴者は当然その続きを期待する。その期待を裏切るというのも勿論作劇上許されているが、しかし余りにも裏切られ過ぎると視聴者としては消化不良な気持ちにさせられる。期待はむしろ作り手によってそう仕向けられた結果であるのだから、ここぞという時に大きく裏切るという禁じ手以外は愚直に展開させた方が物語の快楽は伝わり易いのではないだろうか。

もう残り話数も少ない。漁船の下から迫り恐怖を煽られたマンダも結局のところゴジラの餌程度の噛ませ犬の役割で終わりそうな気配だ。そのゴジラも主人公たちとは特に接点を持たぬまま勝手に暴れているだけだ。登場人物も怪獣も組織も、物語を構成する素材は多様なのだがそれらが有機的に絡み合い全体としての物語を構成しているかというと疑問を抱かざるを得ない。いくら高級な肉や野菜を準備したところで、それらをただ水に入れて煮込むだけではカレーにはならない。すべてに火が通ってしまった後で、固形のカレールウを鍋に放り込むようなラストにならないことを期待している。

予め過去へと送られる情報

李博士、マキタとともに会食する銘。前回ラドンに襲われて安否が気掛かりだった李博士もどうやら無事だったようだ。しかしそれならそれで、一体どうやってラドンから身を守ったのか、如何に窮地を脱したのかが描かれなければ前回わざわざ李博士を窮地へと追いやった作劇上の意味が薄く感じられてしまう。まさかこの描写さえもが今後の展開における何かしらの伏線な訳でもあるまい、と思いつつも最早何が伏線で何が伏線でないのかの区別は筆者には完全に手に負えないので、大人しく最後まで見届けたい。

情報を過去に送るということは「計算の前に結果が出る」ということかと矛盾を指摘する銘に李博士は「過去に信号が送られても情報だと気付かれなければ問題ない」と語る。銘に数字を思い浮かべさせてはそれに見合うものを指差していく李博士。予めそこにはその数字に相応しい何かが設定されていたのだけれど、誰もそれには気付かなかったということだろうか。それなら、と銘は「-1」と答える。そして李博士が指差した先には……

リーナとの出会い

インドの空港でBBと待ち合わせる銘にBBの代理を名乗る少女が現れる。BBの娘のリーナだ。リーナはペロ2が盗人に奪われるのを防ぎ、マキタにスーツケースを渡す。果たして中身は何なのだろうか。

マキタと別れてBBの元へ向かう銘とリーナ。ティルダは”シヴァ”を目指すサルンガの足取りを追う。

“カミムシ”の正体

葦原の数列をジェットジャガー(ユング)に解析させるユン。するとそこにはユンが”カミムシ”とメッセージのやり取りをしていた時刻がランダムに表示された。どうやらユンと銘とのチャットのやり取りは葦原によって予言されていたらしい。

第1話で銘から電話が掛かってきた際、ユンは独りよがりな早合点をして意味不明な返答をしていた。決して人付き合いに長けているタイプではないだろうが、かと言って他人や怪獣に物怖じする様子も見せないユンのキャラクターがいまいち掴めない。凡庸な”セカイ系”作品であれば、擦れ違う二人が遂に出会うことによって世界の危機が救われるというようなラストにもなるかも知れない。しかし勿論『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』という作品はそのような着地点を目指す物語ではないだろう。

このような疑問を抱きつつ観ていたが、遂にその謎が解き明かされた。通話とチャットの記録を照らし合わせ、電話の主とチャットの相手は同一人物ではないかと推論するユンの言葉から、侍はチャットの相手の”カメムシ”が銘であることに気付く。直接の自己紹介がないままにチャットのやり取りが繰り返されていたのは如何にも不自然に思えたが、「チャット自体が葦原によって予言されていた」ことと「そのチャットの相手と電話の相手を結び付けることによって相手の正体が分かる」というギミックのための展開だったのだと腑に落ちた。とは言えMD5ハッシュによる暗号化のくだりなどはやはり門外漢には魔法のようにしか聞こえないが、少なくとも意味不明としか思えなかった展開が物語上の伏線として用意されていたということだけは確認できたので、それだけでも随分安心感が増した。

そして、四日後にユンが何らかの形で銘と連絡を取ることで予言は完成するとのことだった。

余談だが、銘がBBを待つ空港で取り出したスマホの画面にはメッセージ相手として「ユン」の名が表示されていた。ということは銘の方ではチャットの相手がユンだということに気付いていたのだろうか? そう思って第3話を確認してみたところ、ペロ2が作業用ロボットに乗り移った際にカメラが捉えたジェットジャガーの映像から、銘はそこが侍の会社であることには気付いていた。そして実際にバイクで逃げる侍とユンをロボットのカメラで捉えており、その後にロボットの所有者からメッセージがきたということで相手がユンであることは銘には知られていたと分かった。ならばなおのこと電話の相手が自分だったこと、あの意味不明な返答は何だったのかということを銘の側から問い質しても良かった気はするが……

再び発信された警報

一人晩酌をする山本の下に佐藤が現れる。佐藤は山本に”地下の骨”の謎についての持論を述べる。かつてミサキオクにあった漁村で育った男が怪物を発見する。村は滅びるが怪物も倒される。男はその怪物の骨から電波が発信されていることを突き止め、骨を買い取って研究施設を作る。しかし戦後の混乱の中で次第に背景が忘れ去られ、骨とマニュアルだけが現代に残ったというのが佐藤の持論だった。それを聞いた山本は「君、仕事増やすタイプだって言ったでしょ?」と言う。世の中には忘れられるという仕事もあるというのが山本の考えだった。

一理あると思わせられはするものの、では何故山本は敢えて佐藤に骨の存在を明かしたのだろうか? その口振りからして、山本はやはり食えない狸であるらしい。何も考えず単なる好奇心で佐藤を焚き付けた訳ではないだろう。しかし紅塵を政治的に利用しようと考えているきらいのあるシヴァ一派とはまた思惑が違うようだ。果たして、山本の目的とは何なのだろうか?

その時、山本に着信が入り、再び警報が鳴ったことが知らされる。

対サルンガ戦

リーナの運転する車でBBの元へと向かう銘とペロ2。右手に紅塵の爆発を捉え、BBの居る方角だということで車を飛ばす。

一方、BBらは車でサルンガを追い、オーソゴナル・ダイアゴナライザーを仕込んだ弾頭を手持ちのバズーカから発射する。二発目で完全に沈黙させられてしまったサルンガ。今度こそ絶命したのだろうか? しかしウパラの研究所で最初にオーソゴナル・ダイアゴナライザーを食らった際には絶命せず、それどころか物理的にシェルターを破壊してというよりテレポーテーションのような超能力を使って脱出したらしかった。これで幕引きと考えるのは甘いのかも知れない。

それにしてもオーソゴナル・ダイアゴナライザーは炸裂すると予測不能な位置に紅塵の針が伸びるようだ。現にBBらの乗ってきた車も紅塵の針を避けようとして転倒している。むしろBBら自身が針に貫かれなかったことの方が奇跡的に思える。自分たちは針の伸びる射程外から狙撃銃のようなものを用いて撃つ方が安全なのではないか?

真打ち登場

自衛隊による激しい砲撃の中で遂に最終形態へと変態したゴジラ商標としては「ゴジラウルティマ」の名で記されているが、公式HPには「ゴジラ」とだけ書かれている。アクアティリスやアンフィビアも劇中では特にそのように呼称されることはなかったため、ここでは単に「ゴジラ」とだけ呼びたいと思う。

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しかしこの変態も過程が描かれることなく砲撃の爆炎の中で気付いたら姿が変わっていたという風に映されていたのがやはり残念だ。せっかく姿が変わる怪獣ならば姿を変えるその瞬間を見せて欲しい。そうでないなら、『シン・ゴジラ』のように一旦退場して再び登場するごとに姿が変わっていたという方が描写としては説得力を感じる。

とは言え、ようやく見慣れたゴジラらしい姿のゴジラが見られたことに否が応でも胸は高鳴る。そして、戦車隊の砲撃をものともしないゴジラは期待を裏切らずに背びれを青白く発光させると口の前面に連続した光の輪を形成し、それらを貫くように一条の光を吐き出す。その光は瞬時に戦車隊を蒸発させ、ビルを半分に折り、街を火の海と化した。まさに破壊神。果たして人類に為す術はあるのだろうか? 待て、次回。

登場怪獣

いよいよゴジラがゴジラらしい姿を現した。そして見せ付ける破壊神、怪獣王の名に相応しい圧倒的な力。ここへきてラドンも巨大化し、人間が生身で対処できるくらいの大きさの怪獣が目立った『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』においてようやく図体だけであればゴジラに対抗し得る怪獣が現れた。かと思いきや冒頭であっさり敗れ去ってしまったが、まさかあれだけで退場ということはないだろう。しかしゴジラが勝とうがラドンが勝とうが生き残った方が人類の敵であることには依然変わりない。

今のところ人類が対抗できそうな武器はと言えばオーソゴナル・ダイアゴナライザー、それからジェットジャガーのみだ。ジェットジャガーが仮に原典の『ゴジラ対メガロ』のような巨大化をしたところで、あの貧相な手足でゴジラに対抗できるとも思えない。せめてメカゴジラくらいは出して欲しいところだが、残念ながら作中世界の人類の科学力ではそれは期待できないだろう。特異点の作用で別次元から宇宙人がやってくるという展開を考えてみても、それは前劇場アニメ三部作でやってしまったし、話の流れを考えると如何にも唐突に思える。今持っている武器だけで、果たして人類はゴジラに対抗できるのだろうか?

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『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』は2021年4月1日(木) 22時30分よりTOKYO MX、KBS京都、BS11で、同日24時よりサンテレビで放送開始。

Netflixでは3月25日(木)より先行配信を開始しており、毎週木曜日に最新話が配信される。

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』公式サイト

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』Blu-rayは予約受付中。

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』第9話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第1話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第2話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第3話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第4話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第5話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第6話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第7話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第8話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』の声優キャストはこちらから。

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普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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