第8話ネタバレ感想!『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』あらすじ・考察・登場怪獣 | VG+ (バゴプラ)

第8話ネタバレ感想!『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』あらすじ・考察・登場怪獣

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『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』第8話配信開始

芥川賞作家の円城塔がシリーズ構成・SF考証・脚本を担当する『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』。Netflix先行配信ではいよいよ8話目。本編では遂に火を吐いたゴジラと、謎の怪獣の登場と盛り上がりを見せている。早速第8話を振り返っていきたい。

第8話「まぼろしのすがた」あらすじ/注目ポイントはココ!

ゴジラ駆除作戦

立ち込める紅塵の煙の中、その中心に向けて繰り返される戦車隊の砲撃。「ゴジラ駆除作戦」の開始だ。ビルから状況を見下ろす松原に「目標の放出するガス状物質の音頭はマイナス20度」との報告が上げられるや否や、垂直に首を傾けて地面を見下ろすゴジラの口から透明な気体が吐き出された。それがやがてオレンジ色へと変わった時、ゴジラの周囲は炎の渦に包まれる。松原の居たビルにも炎は及んでいたようだが、安否や如何に。

熱線前の段取りとして地面に向かってガス(?)を吐くゴジラの描写は2016年の実写映画『シン・ゴジラ』でゴジラ第4形態が初めて放射熱線を吐くシーンのオマージュだろう。視聴者にとってはお馴染みの、けれど作中人物にとっては未知のカタストロフの演出として映える。ゴジラの規格外の脅威を表すシーンだけに、やはり演出の段取りとしてもう少し手前にあって欲しかったとの思いは拭えない。例えばラドンに苦戦する人類を後目にマンダが一口でラドンを捕食する。そのマンダを新たな脅威と認めた途端に更にそれを一撃の下に屠るゴジラアクアティリスの登場、そのまま上陸するや熱線によって都市を壊滅させる。どうやらあれはこれまでの怪獣とは違うようだ、そう言えばこれまでの怪獣の出現は「古史羅図」に沿ったものではないのか、ではあれが「ゴジラ」なのだろうか……というような流れで描かれれば、ゴジラの熱線のインパクトや「ゴジラ」という命名のカタルシスもより大きなものとなったのではないかと思われる。

これまで作中に出てきた怪獣はそれぞれ丁寧に名付けられてきた。ラドンは放射性物質の「ラドン」を体内に蔵することから、アンギラスは原典と同じく「アンキロサウルス」の捩り、マンダは「マンモス級の蛇」からとそれぞれに「何故その名で呼ばれるのか」という理屈が付けられていたところで、ゴジラだけ唐突に「政府は怪獣をゴジラと命名した」との一言で済まされてしまっては余りに寂しい。

浜辺に打ち上げられたマンダ

ゴジラの死を伝えるニュース映像。その中でゴジラはアクアティリスともアンフィビアとも異なる、細長い尾を空へとなびかせた状態で固まっていた。

一方、ユン、侍の2人はゴジラ討伐の為にジェットジャガーを積んだトラックで移動中にそのニュースを聞いた。ジェットジャガー(ユング)が積乱雲を見て感傷に耽っていると、侍が異臭に気付く。先導するオープンカーから降りた大滝に従い、浜辺に打ち上げられたマンダの死骸を検分しに行くユンと侍。

ゴジラは死んだのか

特に何事もなく生きていた松原はオフィスで部下からゴジラの死骸についての報告を受ける。それによれば表皮の下は何かドロドロのもので満たされていて、謂わば”蛹”のような状態であるらしい。海のゴジラアクアティリス、陸のゴジラアンフィビアに続いて空に対応した変態を危惧する松原。勿論ゴジラは死んでいないだろうが、筆者としてはあれだけの炎に包まれたビルから松原が如何に生還したのかの方が気になってしまう…

葦原の居場所は?

ミサキオクからの報告書の行き先を辿ってある国際転送サービスのオフィスを訪ねた佐藤。事務員の女性によれば既に30年前には転送を止めており、オフィスに残っている郵便物は30年分のものらしい。その内の1つを手に取り宛名を確認する佐藤。葦原道幸宛ての其の郵便物の宛先はインド、ウパラ。シヴァ共同事業体の研究施設のある場所だ。果たして葦原はそこに居るのだろうか?

高次元に存在するアーキタイプの本体

ルービックキューブを手に取り、壁に出来た影の方だけが自分たちに認識できるアーキタイプなのだと娘のリーナに説明するBB。最初の影をフェーズ1とすれば、ルービックキューブの角度を少し変えて違う形になったものはフェーズ2。影だけを見ていれば全く異なる物質のようだが、高次元に存在する本体はただ角度を変えただけだ。しかし影の方を直接いじることはできない。高次元にある本体へのアクセスを可能にするものこそがオーソゴナル・ダイアゴナライザーなのだと説明したところで、部屋に訪れた不意の来訪者であるティルダの部下たちに半ば拉致同然に連れ去られてしまう。

葦原の見た”破局”

イギリスへと向かう洋上で李博士からアーキタイプが高次元の存在との見立ては当たっていたと告げられる銘。「何でもできる計算機があるなら、何でもできるんじゃないですか?」と銘は問うが、葦原は未来を計算しようとしたがそこで破局を見付けたのだと李博士は答える。と、銘と李博士の乗るボート上空に一羽のラドンが飛来する。続いてボートの下を潜り抜けるマンダの群れ。イギリスにもラドンとマンダが出現したのだ。

車に乗り換え、葦原の暮らした屋敷へと銘を案内する李博士。すごい計算機は確かに存在するが、それは破局を引き起こすので正しく動かないらしい。破局を回避する方法はないのかと問う銘に「あなた次第よ」と李博士は答える。結局、李博士たちには葦原の研究の内容は解読できなかったが、李博士によれば銘がそれを解き始めているとのことだ。「今、彼に一番近いところに居るのがあなた」と言われて困惑する銘。

活発化する”シヴァ”

地下室で椅子に座らされ、後ろ手に手錠を掛けられた状態でティルダに尋問されるBB。対サルンガ戦において発動させたオーソゴナル・ダイアゴナライザーがもしも”シヴァ”を傷付けていたらどうするつもりだったのかというティルダに詰問されるBBの窮地を救いに現れたのはスティーブンだ。葦原はアーキタイプが21世紀には世界を完全に作り替えると予言していたと言うスティーブンに対し、それは根拠のない戯言に過ぎないと切り捨てるティルダ。しかしスティーブンによれば実際に”シヴァ”は活発化しているとのことだ。スティーブンに手錠を外され、論文の一部が解読できたことでどうやら葦原は正気だったと分かったと言うBB。不信感を露わにするティルダに対して、スティーブンは「理事会は葦原実験の再会を承認したよ」と告げる。

果たして”シヴァ”とは何なのか。話の流れではどうやら怪獣ではないらしい。そして葦原は何を実験していたのか、今はどこで何をしているのか。謎は深まるばかりだ。

アンギラスの槍の切れ味や如何に!!

ジェットジャンボ! と3人の子供たちに声を掛けられて相手をするジェットジャガー。

一方、マンダの死骸を前にユンは共食いを疑うが、言下に否定する大滝。歯型から見てどうやらゴジラにやられたらしい。それにしても大滝が「やったのはゴジラだ」と断言して、しかもその言葉にそれなりの説得力を感じられるくらいには巨大な傷口を見せられながら「フナムシとかシャコに食い荒らされた?」と訊く侍、ちょっと人の話聞いてなさ過ぎじゃないか。いやしかし、初登場時に漁船を襲ってラドンとは規模の違う脅威を予感させながら、後は群れでゴジラから逃げては食い千切られるだけのマンダ。せっかくカッコ良くリファインされたのに、このまま見せ場なく終わってしまうのか? 既に噛ませ犬という印象を強く植え付けられてしまっただけに、ここからの巻き返しはかなり厳しいものがある。ラドンやアンギラスはあれだけ丁寧に初登場から対決までを描いたのにまさに出オチのマンダ。やはりこれは監督の怪獣ごとに向ける愛の違いと諦めるしかないのだろうか……

海沿いの倉庫らしき建物に巨大な繭や蜘蛛の巣のようなものが発生しているのを見て、ジェットジャガーを呼び出すユンと侍。ジェットジャガーは丁度子供たちと「いっせーの!」の掛け声とともに親指を立てるゲームをやっていた。10勝0敗でジェットジャガーの勝ち。歩きながら目線と腕の筋肉の動きからどの指が動くのかを予測していたのだと得意げに語るジェットジャガーに、ユンは「ホモ・ルーデンス」で検索してみろと言う。その結果、「人間は遊ぶことで文化を発展させてきた」事実を知るジェットジャガー。

と、その時ジェットジャガーのセンサーが何かを感知する。徐々に近付いてくる反応。漁船の帆柱のてっぺんに姿を現したのは蜘蛛型の怪獣だ。地上に降りて侍に迫る一匹をアンギラスの槍で一刀両断するジェットジャガー。流石の切れ味だ。

超計算機同士のネットワーク

葦原の残した資料を片っ端から読んでいく銘とペロ2。ノートに書かれたいくつもの円が超計算機なのだとしたら、その答えは競合してしまう可能性があるとペロ2は言う。犬と猫のどちらが理想のペットかという命題について、ペロ2は勿論犬と答えるがネットワーク上に存在するペロ2の兄弟の内には猫と答える個体も居る。個性が与えられているとはそういうことだ。それを聞いた銘は改めてノートを見返し、その円の一つ一つが特異点=宇宙なのではないかと推論する。

ヘドラ?登場

蜘蛛型怪獣を相手に大立ち回りを演じるジェットジャガー。その隙に走って逃げるユン一行。しかし前後を二匹の蜘蛛型怪獣に塞がれてしまう。転進して船の隙間から逃げ出す途中、ユンは躓いてしまう。追ってきた怪獣の爪で動きを封じられ、あわやというところでジェットジャガーがアンギラスの槍を投擲する。見事怪獣を仕留めたジェットジャガー。ユンは礼を言って立ち上がると、一緒に行動していた職員の一人が行方不明になっていた。逃げた一匹に連れ去られた可能性を告げるジェットジャガー。巨大な蜘蛛の巣に覆われた倉庫の前に行き、中を探ってくるようにジェットジャガーに命じるユン。その時、ユンのスマホには銘からのメッセージが。そこには「宇宙同士の競合が発生するってことで つまりそれは世界が壊れるってことで それが破局」と記されていた。侍が異変に気付いて後ろを振り返ると、さっき倒した筈の蜘蛛型怪獣たちが復活してぞろぞろと集まってきていた。血液のように見えた水色の半透明の液体は実は別種の生物だったようで、そのフォルムは”ヘドラ”にそっくりだ。果たしてこの怪獣はヘドラなのだろうか? 待て、次回。

登場怪獣

今回新たに登場した怪獣は2体。蜘蛛型怪獣は1967年公開ゴジラシリーズ第8作目に当たる『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』初出の“クモンガ”だろうか。ラドンと同じく大分小型化されているが、原典のタランチュラなど実在の蜘蛛をそのまま巨大化したようなデザインとは違い先端の爪がドリル状になっているなど見た目はかなり戦闘的にアレンジされている。

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そしてそのクモンガ(仮)の身体の中から出てきた水色のお化けのような怪獣。こちらは1971年公開ゴジラシリーズ第11作目に当たる『ゴジラ対ヘドラ』初出の“ヘドラ”ではないか。原典のヘドラは宇宙から飛来した生物が地球上のヘドロや公害による汚染物質と結合して生まれた怪獣だった。ヘドラと言えば公害の印象が強いが、元を辿れば地球外生命体なのである。ということは、クモンガ(仮)の体内から現れて公害のイメージを持たない『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』版のヘドラはこの「地球外生命体」という設定から新たなイメージとして構築されたものなのではないか。

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劇中でどう呼ばれるかは別にしても、これらの怪獣のイメージソースにクモンガやヘドラがあることは間違いない。アンギラスの槍一本では到底太刀打ちできそうにない窮地で幕を閉じた第8話だが、次話以降のジェットジャガーおよびヘドラの活躍を楽しみにしている。

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』は2021年4月1日(木) 22時30分よりTOKYO MX、KBS京都、BS11で、同日24時よりサンテレビで放送開始。

Netflixでは3月25日(木)より先行配信を開始しており、毎週木曜日に最新話が配信される。

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『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』第9話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第1話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第2話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第3話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第4話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第5話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第6話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

第7話のネタバレあらすじ&感想はこちらから。

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』の声優キャストまとめはこちらから。

腐ってもみかん

普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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