【ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第11話 士郎が流した涙の理由【あらすじ・レビュー・感想】VG+ (バゴプラ) | VG+ (バゴプラ)

【ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第11話 士郎が流した涙の理由【あらすじ・レビュー・感想】

©️2020 TRIGGER

最終話目前の『BNA ビー・エヌ・エー』

『リトルウィッチアカデミア』(2013)のTRIGGERが制作するアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』。2020年4月よりフジテレビ「+Ultra」枠で放送され、Netflixでも全12話が配信されている。獣因子を持つ獣人たちが集まる獣人社会を舞台に、差別や腐敗、歴史をテーマにしたストーリーが繰り広げられている。

全12話で構成された『BNA』もいよいよ最終話目前、第11話に突入する。第10話「Rabid Wolf」では、民族浄化がテーマになり、ニルヴァジールシンドロームの真実が明らかになった。指名手配された士郎の運命は——。今回は、『BNA』第11話「A Beastly Feast」のあらすじとネタバレ解説をお届けする。

第11話「A Beastly Feast」のあらすじ

ライブの準備が進む

第10話「Rabid Wolf」でメディセンを破壊して逃げ出した大神士郎。現在は「重要指名手配」の追われる身となっていた。その手配書を横目に、みちるは銀狼教団の拠点を訪れていた。パンの耳しか食べたことがないジャッキーは、“パンの耳の白いところ”に感動している。なずなは銀狼教団を通して貧しい人々に食料を分け与えており、人々は銀狼ことなずなへの感謝を述べる。

なずなは獣人たちの拠り所となっているようだが、みちるはライブで多くの獣人たちが一箇所に集まることに懸念を抱いていた。獣人たちが暴走するニルヴァジールシンドロームは、獣人が密集することで発生するとされているからだ。

ライブのセットリストを見たみちるは、予定表にある「告白」と書かれた文字に気づく。シルヴァスタ製薬の会長・アランは、「獣人たちのストレスを和らげるため」という名目で、なずなに人間であることを告白させようとしていた。

その頃、“内地”で政府に捕らえられていた市長のロゼは石崎の手を借りて脱出に成功していた。一方、ギャングと合流した士郎はフリップと共に獣人たちを船で逃すプランを練っていた。なずなとみちるの会話を盗み聞きしていたマリーは、士郎とフリップに銀狼教団の企みを伝える。なずなが人間であることを告白すると知った士郎は驚きの表情を見せる。その頃、メディセンでは大量の薬とロボットの生産が進められていた。

士郎が流した涙の理由

そしていよいよライブが始まる。一旦なずなと別れたみちるは、ライブ会場でジェム、メリッサらと出会う。メリッサは「この街ができるまで、獣人には思い出したくもないような辛くて苦しい心の傷が一つや二つあるものさ」と、皆が銀狼に感謝している話す。いつも笑顔のジェムとメリッサもまた、暗い過去を背負ってアニマシティで生活していたのだった。

巨大な銀狼のパペットは、1000年間獣人を守ってくれたことへの感謝の気持ち——それを聞いたみちるは本物の銀狼である士郎と出会った時のことを思い出していた。第1話「Runaway Raccoon」で祭りの場で士郎が見せていた涙の理由は、1000年もの間人知れず獣人のために戦い続け、遂に獣人の街アニマシティができ、そしてその獣民たちが銀狼への感謝を表していたことへの感動だった。

みちるが示した士郎への理解

士郎・フリップ・マリーは獣人たちを逃す作戦を実行に移していた。士郎はなずなの告白を止めるべく、一人でライブ会場に潜入する。士郎の後ろ姿を見かけたみちるは、遂に士郎の能力をコピーし、残留香を辿ることで士郎の位置を突き止める。銃を持つ士郎の姿を見たみちるは、士郎の元に急ぐ。そしていよいよ、なずなは銀狼教の教祖としてライブのステージに立つ。

日本政府の手から逃げ出した市長のロゼは、アニマシティに戻ろうとしていた。その道中、第7話「Easy Albatross」で登場したワタリアホウドリ獣人のピンガがロゼに声をかける。政府の通信を傍受していたピンガは、仲間の墓をアニマシティに作ると約束した市長のロゼを助けるため、そしてみちるの頑張りに報いるため、ロゼを上空からアニマシティに連れ戻す。と、そこで二人はアニマシティに向かう対獣人機動兵器の姿を目撃する。

みちるは士郎を見つけ出し、なずなを狙う理由を問い詰める。「邪魔をするな」と、あくまでたった一人で戦おうとする士郎にみちるが銃口を向けた時、なずなのライブが幕を開ける。みちるは、士郎が獣人にこだわる気持ちを自分が最も理解するべき人間だったと、士郎に謝罪する。人間から獣人になったみちるは、本来の自分から“変身”してしまうことの怖さを誰よりも理解していた。獣人の人間化を拒む士郎の気持ちを知っていたのだ。

孤独に戦い続けてきた士郎は、他者に、それも元・人間の他者にその怒りを理解され、謝罪を受ける。そしてようやく、このライブを止めようとする理由を話し始める。銀狼教団の教祖であるなずなが人間だということを告白すれば、それ自体が獣人たちのストレスとなり、ニルヴァジールシンドロームの引き金となってしまうのだという。アランはこのライブでニルヴァジールシンドロームを発生させることを目論んでいたのだ。

混乱に陥るライブ会場

みちるはなずなの告白を止めるため、銀狼の巨大パペットの中に入ってなずなに近づく。すんでの所でなずなの告白を食い止めたみちるだったが、対獣人機動兵器は既に動き出していた。そして、側近だったはずのボリスが、ライブの観客に向けてなずなが人間であったこと、銀狼であることを騙ったことを暴露してしまう。更に対獣人機動兵器がライブ会場に入り込み、ボリスは全て人間が仕組んだことだと獣人たちを煽る。

ストレスが極限状態に達した獣人たちはニルヴァジールシンドロームを発症、凶暴化する獣人を対獣人機動兵器が鎮圧するという混乱状態に陥る。ライブの様子はアニマシティ中に中継されていたため、街中で獣人たちが凶暴化していく。アランはその様子を見て「予定どおりだ」とほくそ笑んでいた。

士郎はフリップらと協力して兵器を壊していくが、凶暴化する獣人たちを止められない。その光景は、士郎にかつて虐殺が起きたニルヴァジールの姿を思い起こさせていた。「獣人の守護者」を名乗りながら、またも獣人たちを救うことができないのか——士郎はついにニルヴァジールシンドロームを発症し、凶暴化してしまう。士郎は暴走を止めようとしたみちるに食らいつき、『BNA』の物語はいよいよ最終回へと進んでいく。

第11話「A Beastly Feast」の解説

回収された第1話の伏線

第11話「A Beastly Feast」は、全12話で構成される『BNA』の最終話直前のお話。「A Beastly Feast」=「獣たちの宴」と題され、アニマシティ一周年を祝った第1話以来となる“祭り”の様子が描かれた。最大のハイライトは士郎が第1話で流していた涙の理由が明らかになるシーンだろう。『BNA』の序盤では、士郎は“やたらと泣いている狼のおじさん”という印象だった。

第2話以降この描写はなくなるが、士郎は祭りの様子を見て嬉し涙を流していたのだった。第1話のこのシーンを見返してみると、士郎は「良い香りだ……歓喜と幸福に満ちた獣たちの香りだ。楽しめ、1,000年待った獣人の祝祭だ」と喜びを噛み締めている。血に塗れた歴史を乗り越え、人々がようやく獣人の姿に戻り、解放された夜。故に、第1話の終盤では祭りを邪魔した爆破犯たちへ容赦ない攻撃を加えていたのだ。

気持ちを伝え理解しようとすること

差別にさらされ、苦汁をなめてきた1,000年の歴史。それを背負っているからこそ、士郎には生き延びるために薬を使って獣人を人間にするという行為が許せなかった。戦い守り抜いてきたそのアイデンティティは、簡単に捨てられるものではない。みちるは、そのことを理解した。同じく辛い過去を抱えながら、今安全に暮らせていることを銀狼に感謝する人々の声を聞いて。

初めて士郎と会った日に泣いている士郎を「怖い」と思ってしまったように、みちるには見えない歴史がそこにはあった。みちるは士郎に謝罪し、1,000年間一人で戦い、誰にも理解されないと考えていた士郎は、ようやく心を開いてみちると手を組む。元はと言えば、一市民のメリッサが銀狼への感謝と自分たちの抱える苦しみを口にしたからこそ。他者に気持ちを発信し、他者を理解しようとする気持ちが人と人とをつなげていく。

一方で、遂にアランの作戦が実行に移された。銀狼教団の修行長でなずなを教祖に仕立て上げたボラスは、アランの手先だった。ロゼはアニマシティに向かい、ワタリアホウドリ超人のピンガも再登場。いよいよ物語は最終話を迎える。

なお、第11話「A Beastly Feast」のエンディングはシリーズで唯一アニメーションが白黒になっている。果たして、みちるは無事なのか、そしてアランの目的は一体どこにあるのだろうか。

『BNA ビーエヌエー』(Netflix)

Netflixでは全12話を先行配信している。

『BNA ビーエヌエー』(Netflix)

齋藤 隼飛

1991年生まれ。
社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。
編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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