【最終話 ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第12話 何が美しいかは自分で決める【あらすじ・レビュー・感想】 | VG+ (バゴプラ)

【最終話 ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第12話 何が美しいかは自分で決める【あらすじ・レビュー・感想】

©️2020 TRIGGER

遂に最終話を迎える『BNA ビー・エヌ・エー』

2020年4月よりフジテレビ「+Ultra」で放送を開始したアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』。アニメスタジオ・TRIGGERの最新作で、差別や貧困をテーマにした社会的な作品として人気を集めている。

バゴプラでは『BNA』全話のネタバレ解説をお届けしてきた。好評をいただいてきたこのシリーズもいよいよ今回で最後。今回は最終回となる第12話「Anima-City」のあらすじとネタバレ解説をご紹介しよう。

第12話「Anima-City」のあらすじ

士郎に噛み付かれたみちる

第11話「A Beastly Feast」の最後に凶暴化し、みちるに喰らいついた士郎。みちるは血を流して倒れこみ、一同は言葉を失うが、士郎は落ち着きを取り戻し、みるみる内に元の姿に戻っていく。目の前の光景に衝撃を受けた士郎が遠吠えをあげると、みちるは意識を取り戻した。ゴリラ化した腕のおかげで一命を取り留めたのだ。

帰ってきた市長ロゼの号令で市庁舎へ向かった一同。ロゼは士郎がみちるに噛み付いた後に暴走を止めたことから、みちるとなずなの血液に暴走した獣因子を元に戻す力があることを見抜く。タヌキとキツネの獣人である二人は自分の意思で“変身”できる。その二人の血液を使えばニルヴァジールシンドロームの血清を作ることができるというのだ。

みちるは血清を作るためにメディセンに、なずなは自分が銀狼だと嘘をついていたことの報いを果たすためピンガと共に街に向かう。血清ができるまでの時間は8時間。みちるはアランを止めにいく士郎と行動を共にする。

なずながボリスと交戦する一方で、士郎とみちるは獣因子消滅薬を搭載したドローンを飛ばそうとするアランと対峙する。アランは獣人たちをわざと暴走させることでニルヴァジールシンドロームの恐ろしさを世間に知らせ、獣人たちの“人間化”を正当化しようとしていたのだ。みちると士郎は血清を作れば獣因子を消滅させる必要はないとアランに伝えるが、アランは耳を傾けようとしない。獣因子消滅薬を載せたドローンが街に放たれ、みちるはこれを追いかける。

アランの正体が明らかに

アランと対峙した士郎だったがアランは遂にその正体を明らかにする。人間界を支配してきたシルヴァスタ家は“純血種”の獣人であり、自由に獣人の気配を消すことができるという。黄金のケルベロスに姿を変えたアランは、他の獣性の獣人と交わらず、獣性を守り切った獣人が純血種だと話す。複数の獣性が交わった獣人をアランは「雑種」と呼ぶ。

士郎はアランを攻撃するが、アランもまた不死身の肉体を手に入れていた。1,000人のオオカミ獣人を生贄にし、その血を注ぎ込むことで不死の肉体を手に入れることができるのだという。士郎はニルヴァジールの虐殺で偶然同じ状況を経験し、不死身の身体を手に入れていたのだった。

そして、「雑種の獣人など獣人ではない」——これこそがアランの主張であり、獣因子消滅薬をばらまく作戦は、“雑種”をこの世から消し去り、“純血種”だけを残そうとする思惑のもとで進められていたのだ。

「何が美しいかは自分で決める」

アランの圧倒的な力に士郎が打ちのめされた頃、みちるはドローンの攻撃からアニマシティの獣人たちを守っていた。それでも暴走を続ける獣人たちだったが、偶然みちるのスマホから聞こえてきた士郎の遠吠えを聞いて動きを止める。

なずなはミンク獣人のマリーとジャッキー率いる貧民街の獣民たちと合流、共闘することに。ジャッキーはたとえなずなが銀狼がでなくとも、「おいらたちからしたら腹ペコの時に食べ物くれる人は誰だって神様だ」となずなを助ける。暴走獣人たちに囲まれたなずなたちだったが、助けに来たみちるが士郎の遠吠えを獣人たちに聞かせ、なずな、マリー、ジャッキーを助け出す。

ここで揃った4人の女性キャラクターたちはアニマシティ中の獣人たちに士郎の遠吠えを聞かせるために奔走する。一方、フリップ率いるギャングは立木率いる警察と協力してアランのマシーンを食い止めていた。

と、そこに登場したのはアラン。みちる達に諦めるよう促し、腕をゴリラ化したみちるに「女の子がそんな腕になるなんて美しくない」「人間は人間らしく」という言葉を投げかける。そしてみちるの口から、『BNA』を代表する名台詞が飛び出す。

女の子とか、獣人とか、人間とか、そういうのもうホントどうでもいい!何が普通かは自分で決めるし、どう生きるかも、何が美しいかも自分で決める!人間になりたい獣人がいるのなら人間になればいい、でも選ぶ権利を奪うあなたのやり方は、マジで!最高に!キモいから!

そしてそこに復活した士郎が加勢する。“雑種”たちの血に支えられた士郎はアランの技をコピーし、アランを圧倒する。「“純血種”はニルヴァジールシンドロームを発症しない」とうそぶいていたアランだったが、士郎に追い詰められ、遂にニルヴァジールシンドロームを発症する。特権階級にいたシルヴァスタの一族は過度のストレスにさらされたことがなかっただけだったのだ。

士郎はアランにとどめを刺すかに思われたが、わざと自分の腕を噛ませることでみちるの血が混ざった自分の血をアランに飲ませる。「俺はもう後悔したくない」と、憎しみの連鎖を断ち切ったのだ。

みちる達はようやく士郎の遠吠えをアニマシティ中に流し、獣人達の暴走を治めることに成功する。みちるは士郎の遠吠えに反応しない自分の身体を前に、獣人達との違いを感じる。だが、士郎の遠吠えの中に潜む悲しさ、やるせなさ、そして優しさを感じ取っていた。

変わるアニマシティ

獣人達は完成した血清を打ち、ニルヴァジールシンドロームを乗り越えた。なずなは混乱の中で子どもを助けた姿が注目を集め、改めてアイドルとしてありのままの姿でアイドルになる。アニマシティは自治権を認められ、アランはシルヴァスタ製薬の会長を辞任。ロゼはアニマシティに人間を呼び込み、人間と獣人が相互に理解を深めることを目指していた。

獣人病の治療薬も完成の目処が立っていたが、みちるはこのままの姿でいることを選ぶ。当分の間はアニマシティに残るという。人間と獣人の両方を経験した自分だからできることがある、今の自分が「結構好き」という理由からだ。

そして、祭りの際にだけ銀狼の姿になっていた士郎に対し、みちるは「好きな時に好きな姿になっていい」と語りかける。その言葉を聞いた士郎は「変われるかもな、この街も」と、なずなと飛び立っていくみちるの後ろ姿に希望を見出し、『BNA』の物語は幕を閉じる。

第12話「Anima-City」の解説

アランの優生思想

遂に完結した『BNA ビー・エヌ・エー』。アランの正体とその目的が明らかになり、これまでに登場したキャラクター達が総出でこの目論見を阻止、アニマシティを救った。

アランの考えは、優生思想=優れた遺伝的性質を持った者がそうでない者を支配するという考えに根付いている。この思想は、『BNA』各話の性差別、人種差別、ホロコースト、民族浄化といったテーマに通底するものだ。生まれながらにして力を持った貴族であるアランは、“純血”でない者を“雑種”と蔑んでいたが、民衆に力を与えられた士郎に敗れ去る。“純血種”とは無縁だと信じていたニルヴァジールシンドロームも発症し、“純血種”が優れているという考えは幻想だったということが明らかになる。

第9話でも、みちるは「心的エントロピー」という言葉を使うアランに対し、アニマシティの獣民たちは日常的にストレスにさらされているだけではないかと指摘していた。シルヴァスタの一族は上流階級にいたがゆえにストレスにさらされることが少なく、ニルヴァジールシンドロームが発症しなかっただけなのだ。

みちるが提示したメッセージ

そして、生まれた時にその運命/役割は決まっているというアランの思想を打ち砕くのが、みちるの「何が普通かは自分で決めるし、どう生きるかも、何が美しいかも自分で決める!」という言葉だ。みちるは『BNA』という作品を通して多くの獣人達と出会い、それぞれの物語とそれぞれの価値観に触れてきた。そして得た答えは、何を大切に思うかは「人それぞれ」ということだった。

『BNA』という作品全体のテーマは「変身」だが、みちるは続けて「選ぶ権利を奪うあなたのやり方は、マジで!最高に!キモいから!」と、そもそも変わるか変わらないかの選択も与えない、他者を支配 (コントロール) しようとするアランの優生思想を正面から否定する。人間であっても獣人であってもいい、でも、それを決めるのはその人自身でなければならない——それが、『BNA ビー・エヌ・エー』という作品が提示したメッセージだった。

日常に戻り、みちる自身も獣人でいつづけることを改めて選び取る。自ら選んで獣人になったわけではなかったが、人間に戻れるという選択肢を得た今、改めて “今は” 獣人でいつづけるということを選ぶのだ。

そして、みちる達の物語はこれで終わりではない。アニマシティとその獣民たちは変わり続ける。私たちは『BNA ビー・エヌ・エー』の物語から何を学び、変わること/変わらないことを選んで行けるだろうか。

アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』はNetflixで全12話を配信中。

『BNA ビーエヌエー』(Netflix)

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