ケン・リュウ原作アニメ『パンテオン』
「紙の動物園」などで知られるSF作家ケン・リュウの短編小説をアニメドラマ化する『パンテオン (邦題未定, 原題: Pantheon)』より、詳細が公開された。米時間2022年6月19日(日)までニューヨークで開催されたトライベッカ映画祭でプレミア上映され、同映画祭の公式ページで初のビジュアルも公開されている。
アニメ『パンテオン』は、日本では2019年に早川書房から発売されたケン・リュウの短編集『生まれ変わり』(翻訳:古沢嘉通、幹遙子、大谷真弓) に収録された3本の短編小説 (「神々は繋がれてはいない」「神々は殺されはしない」「神々は犬死にはしない」)=「神々」三部作を原作としたアニメ作品。
「神々」三部作は、2021年2月3日にハヤカワ文庫SFで発売された『生まれ変わり』からの傑作選集『神々は繋がれてはいない ケン・リュウ短篇傑作集6』にも三作品が収録されている。
なお、今回明らかになった情報によると、『パンテオン』の上映時間は41分、原作者で製作総指揮のケン・リュウの名前は「ケネス・リュウ (Kenneth Liu)」と表記されている。
また、『ブレイキング・バッド』『ウォーキング・デッド』などで知られる米ケーブルチャンネルのAMCが製作を手がけるとされていたが、配給は「AMC+」となっているため、AmazonプライムビデオやAppleTV+といったサービスでも配信される可能性がある。配信プラットフォームのAMC+では、AMC製作の作品をAMC+で先行配信した後、テレビや別の配信プラットフォームで視聴できる仕組みを採用している。
アニメーションを担当したのは、ディズニーの『モーターシティ』(2012) や、Netflix『ミッドナイト・ゴスペル』(2020-) を手掛けた米ティットマウス。
『パンテオン』の製作が発表されたのは2020年3月。全8話で1話あたり1時間ほどの作品になること、既に2シーズン分の製作が決定していることを米Deadlineが報じていた。その後、7月と8月に同じくDeadlineが同シリーズの声優陣について報じ、2021年2月に三度、追加キャストが発表された。
豪華声優陣は?
『パンテオン』に声優として出演するのは、『オレンジ・イズ・ニューブラック』のパイパー・チャップマン役で知られるテイラー・シリング、『ダークナイト』のハービー・デント役で知られるアーロン・エッカート、『グッバイ、リチャード!』でヴェロニカ役を演じたローズマリー・デウィット、そして、『ザ・バットマン』でリドラーを演じるポール・ダノ。
‘Pantheon’: Taylor Schilling, Rosemarie DeWitt, Aaron Eckhart & Paul Dano To Star In AMC’s Animated Drama Series https://t.co/s4srpKoAV8 pic.twitter.com/bnO6eEmEqH
— Deadline Hollywood (@DEADLINE) July 23, 2020
更にダニエル・デイ・キム、ケイティ・チャン、ポール・ダノ、ローズマリー・デウィット、ロン・リビングストン、クリス・ディアマントポロス、ラザ・ジェフリー、スクート・マクネイリー、アニカ・ノニ・ローズ、グレイ・グリフィン、ソンウォン・チョー、ケヴィン・デュランド、サミュエル・ルーキン、クリスティーナ・アラバドの出演も決定している。
そして2月に入って出演が発表されたのはウィリアム・ハート、モード・アパタウ、コリー・ストール、ララ・パルヴァーの4人。
非常に豪華な俳優陣が声優を担当することになっている。アニメーションのスタイルは「伝統的な2D」で、写実的な表現になるとアナウンスされていた。また、AMCがアニメシリーズをゴールデンタイムに放送するのは初めてのことになる。
『パンテオン』のシーズン1では、原作小説と同じく絵文字だけでコミュニケーションをとる謎の存在から助けを受ける少女マディーを中心にした物語を描くという。マディーを演じるのはケイティ・チャンで、ダニエル・デイ・キムはマディーの父を演じる。意識をクラウド上にアップロードするという同作のコンセプトは、Amazonドラマ『アップロード』でも話題になったものだが、ケン・リュウの独創性をどのように表現していくのだろうか。
なお、AMCの主要なドラマシリーズは、日本ではAmazonプライムビデオで配信されている。日本でもケン・リュウ原作のアニメシリーズをお目にかかれる可能性はある。
『パンテオン』の原作「神々」シリーズを収録したケン・リュウの短編集『生まれ変わり』(翻訳:古沢 嘉通、幹遙子、大谷真弓) は早川書房から発売中。
2021年2月3日にハヤカワ文庫SFで発売された『生まれ変わり』からの傑作選集『神々は繋がれてはいない ケン・リュウ短篇傑作集6』(翻訳:古沢嘉通、幹遙子、大谷真弓) にも「神々」三部作は収録されている。
Source
Tribeca Film / Deadline 1 / Deadline 2 / Deadline 3
ケン・リュウの短編小説では、『もののあはれ』収録の「円弧」が『Arc』として日本で実写映画化されている。