ケン・リュウ原作アニメ『パンテオン』
「紙の動物園」などで知られるSF作家ケン・リュウの短編小説をアニメドラマ化する『パンテオン (邦題未定, 原題: Pantheon)』より、米公式予告が公開された。ゴールデンタイムに放送されるアニメドラマに相応しいシリアスで重厚な予告編になっている。
予告編の最後には、2022年9月1日(木)から第1話と第2話を配信すると告知されている。配信先は、現時点では米ケーブルチャンネルのAMCが運営する配信プラットフォームのAMC+と、日本アニメを配信するプラットフォームの米HIDIVEとなっている。
アニメ『パンテオン』は、日本では2019年に早川書房から発売されたケン・リュウの短編集『生まれ変わり』(翻訳:古沢嘉通、幹遙子、大谷真弓) に収録された3本の短編小説 (「神々は繋がれてはいない」「神々は殺されはしない」「神々は犬死にはしない」)=「神々」三部作を原作としたアニメ作品。
「神々」三部作は、2021年2月3日にハヤカワ文庫SFで発売された『生まれ変わり』からの傑作選集『神々は繋がれてはいない ケン・リュウ短篇傑作集6』にも三作品が収録されている。
『パンテオン』の製作が発表されたのは2020年3月。全8話で1話あたり1時間ほどの作品になること、既に2シーズン分の製作が決定していることを米Deadlineが報じていた。今回の予告編のタイトルも「Official Season 1 Trailer」となっており、シーズン2の製作を前提としていることがうかがえる。
米時間2022年6月にニューヨークで開催されたトライベッカ映画祭では、プレミア上映と同映画祭の公式ページで初のビジュアルも公開されるなど、詳細な情報が発表されていた。この時明らかになった情報では、『パンテオン』1話あたりの上映時間は41分、原作者で製作総指揮のケン・リュウの名前は「ケネス・リュウ (Kenneth Liu)」と表記されている。
『パンテオン』は、ドラマ『ブレイキング・バッド』『ウォーキング・デッド』などで知られる米ケーブルチャンネルのAMCが製作を手がけるとされていたが、AMC+での配信となっているため、AmazonプライムビデオやAppleTV+といったサービスでも配信される可能性がある。配信プラットフォームのAMC+では、AMC製作の作品をAMC+で先行配信した後、テレビや別の配信プラットフォームで視聴できる仕組みを採用している。
アニメーションを担当したのは、ディズニーの『モーターシティ』(2012) や、Netflix『ミッドナイト・ゴスペル』(2020-) を手掛けた米ティットマウス。アニメーションのスタイルは「伝統的な2D」で、写実的な表現になるとアナウンスされていた。なお、『パンテオン』はAMCが初めてゴールデンタイムに放送するアニメシリーズと謳われている。
豪華声優陣は?
2020年の7月と8月にはDeadlineが同シリーズの声優陣について報じ、2021年2月には三度、追加キャストが発表された。『パンテオン』に声優として出演するのは、『オレンジ・イズ・ニューブラック』のパイパー・チャップマン役で知られるテイラー・シリング、『ダークナイト』のハービー・デント役で知られるアーロン・エッカート、『グッバイ、リチャード!』でヴェロニカ役を演じたローズマリー・デウィット、そして、『ザ・バットマン』でリドラーを演じるポール・ダノ。
‘Pantheon’: Taylor Schilling, Rosemarie DeWitt, Aaron Eckhart & Paul Dano To Star In AMC’s Animated Drama Series https://t.co/s4srpKoAV8 pic.twitter.com/bnO6eEmEqH
— Deadline Hollywood (@DEADLINE) July 23, 2020
更にダニエル・デイ・キム、ケイティ・チャン、ポール・ダノ、ローズマリー・デウィット、ロン・リビングストン、クリス・ディアマントポロス、ラザ・ジェフリー、スクート・マクネイリー、アニカ・ノニ・ローズ、グレイ・グリフィン、ソンウォン・チョー、ケヴィン・デュランド、サミュエル・ルーキン、クリスティーナ・アラバドの出演も決定している。そして2月に入って出演が発表されたのはウィリアム・ハート、モード・アパタウ、コリー・ストール、ララ・パルヴァーの4人だ。
『パンテオン』のシーズン1では、原作小説と同じく絵文字だけでコミュニケーションをとる謎の存在から助けを受ける少女マディーを中心にした物語を描くという。マディーを演じるのはケイティ・チャンで、ダニエル・デイ・キムはマディーの父を演じる。意識をクラウド上にアップロードするという同作のコンセプトは、Amazonドラマ『アップロード』でも話題になった。AMCの『パンテオン』では、ケン・リュウの独創性をどのように表現していくのだろうか。
なお、AMCの主要なドラマシリーズは、日本ではAmazonプライムビデオで配信されている。日本でもケン・リュウ原作のアニメシリーズをお目にかかれる可能性はある。
『パンテオン』の原作「神々」シリーズを収録したケン・リュウの短編集『生まれ変わり』(翻訳:古沢 嘉通、幹遙子、大谷真弓) は早川書房から発売中。
2021年2月3日にハヤカワ文庫SFで発売された『生まれ変わり』からの傑作選集『神々は繋がれてはいない ケン・リュウ短篇傑作集6』(翻訳:古沢嘉通、幹遙子、大谷真弓) にも「神々」三部作は収録されている。
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Tribeca Film / Deadline 1 / Deadline 2 / Deadline 3
ケン・リュウの短編小説では、『もののあはれ』収録の「円弧」が『Arc』として日本で実写映画化されている。