追加映像ネタバレ解説『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション』ポストクレジットシーンは? | VG+ (バゴプラ)

追加映像ネタバレ解説『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション』ポストクレジットシーンは?

©2022 CTMG. © & ™ 2022 MARVEL. All Rights Reserved.

初掲:2022年9月9日

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション』Netflixで配信開始

2021年12月に米国で、2022年1月に日本で公開されて大ヒットを記録した映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。MCU「スパイダーマン」三部作のラストを飾る作品で、過去の「スパイダーマン」シリーズからのサプライズゲストが大きな話題を呼んだ。2022年9月には、異例となる公開から9ヶ月後の映像追加バージョンが公開された。2023年12月27日(水) からはNetflixでも配信を開始している。

劇場公開時には「もっと楽しいバージョン」を意味する『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム THE MORE FUN STUFF VERSION』というタイトルが付けられた新バージョンは、オリジナル版からカットされた約11分の映像が追加されていた。

今回は、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション』のどこにどのような映像が追加されていたのか、計6つのシーンを一つずつ解説していこう。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション』の内容に関するネタバレを含みます。
¥2,970 (2024/03/19 16:48:24時点 Amazon調べ-詳細)

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』追加映像ネタバレ解説

トム・ホランド&トビー・マグワイア&アンドリュー・ガーフィールドからのメッセージ

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション』の本編前に流れるのは、トム・ホランド&トビー・マグワイア&アンドリュー・ガーフィールドによるファンへのメッセージ動画。更にサプライズでトム・ホランドとトビー・マグワイアが撮影時にアンドリュー・ガーフィールドに伝えられなかったこととして、「We love you.(僕たちも愛してる)」というメッセージを伝える。

これは本編の自由の女神像でのシーンで、アンドリュー・ガーフィールドがアドリブで「愛してる (I love you guys.)」と二人に語りかけたことへの応答になっている。撮影時には、アンドリュー・ガーフィールドの突然のアドリブにトム・ホランドとトビー・マグワイアは戸惑いながら声を揃えて「ありがとう」と答えただけだった。今回、「エクステンデッド・エディション」用のメッセージで、二人は改めて「愛してる」と応答したのだった。

アンドリュー・ガーフィールドがこのアドリブについて語った内容はこちらの記事で。

クレイアリー捜査官の尋問

最初の追加シーンは、ドラマ『ミズ・マーベル』(2022) にも登場したダメージ・コントロール局のクレイアリー捜査官によるピーターの尋問シーン。オリジナルバージョンでは、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2018) における対ミステリオのドローン使用についての尋問だけだったが、追加映像では『スパイダーマン:ホームカミング』(2017) におけるワシントン記念塔での爆発についても尋問されている。

ピーターは警察の不備を指摘しているが、この爆発はバルチャーの部下が落とした紫の結晶をネッドがリュックに入れており、それが持ち物検査でX線を浴びたことによって起きたもの。結晶自体は『アベンジャーズ』(2012) での戦いの残骸からバルチャーらが見つけ出して悪用していたものだが、この爆発はネッドとピーターの不注意による事故でもある。

クレイアリーは「歴史的建築物が狙いか?」とも。この後ピーターは自由の女神像を破壊することになる……。また、『ファー・フロム・ホーム』でピーターが一時的に黒のコスチュームを着てナイト・モンキーとして戦ったことについても、クレイアリーは嗅ぎつけている。

メイへの尋問も少し長めのバージョンになっている。メイは徹底抗戦の構えを見せ、クレイアリーはメイが逮捕されたのが初めてではないと指摘。メイはデモで抗議をした時に逮捕された経験があることを明かす。オリジナルバージョンでは、クレイアリーはメイにピーターへの虐待となる可能性を挙げて脅すだけだ。しかし、追加映像では不当な扱いを受けてきたメイの背景が示唆されることにより、メイが捜査に対して強い態度を取る理由と強い信念を持って生きてきたことがより明確に分かるようになっている。

ハリー・ホランド登場シーン

『エクステンデッド・エディション』では、スパイダーマンがひったくりを捕まえるシーンも追加されている。このひったくり役を演じているのは、ピーター・パーカー役のトム・ホランドの実の弟であるハリー・ホランド。『ノー・ウェイ・ホーム』で兄弟共演が実現するかに思われたが、オリジナルバージョンでは出演シーンがカットされてしまっていた。この度、追加映像バージョンで無事に劇場公開される運びとなった。

更にこのシーンでは、周囲の大人たちがピーターがこんなことをする必要があるのかと議論を始める。ピーターに「まだ子どもだ」という人に、「もう子どもじゃない、14歳だ」という人もいる(ピーターはこの時17歳である)。しまいにはピーターと強盗がグルじゃないかと疑われる始末だ。ピーターは「こんなやつ知らない」と言い放つのだが、実の弟を「知らない」と言うメタなギャグになっている。そして、ピーターはオリジナル版でも描かれた通りミステリオ派の人物に緑色のペンキをかけられる。

高校での壁のぼり

スパイダーマンとしての正体がバレた後のピーターの高校生活も詳しく描かれる。学校の中では「ラボのパートナーだった」と主張する生徒や、通り過ぎたピーターを「かわいい」と言う生徒の姿が追加されている。ピーターを機に求めていなかった生徒達の見る目が変わった様子が描写されている。陰謀論者のアンドレ・ウィルソンコーチと一部の生徒たちが、ピーターに体育館の壁をよじ登らせるシーンも。ピーターは「怪物 (freak)」との声も浴びせかけられている。

ベティのインタビュー

長めのコミカルなシーンも追加されている。ベティ・ブラントによるスパイダーマン関係者へのインタビュー番組だ。先ほどのウィルソンコーチにハリントン先生、デル先生、フラッシュにネッド、ピーターらに質問している。

ベティはフラッシュに著作に自分の名前が出ていないと迫ったり、元カレのネッドに元カノへ夜中にメールを送ることについて聞いたり、ピーターに「もし今噛まれたクモに言葉をかけられるなら何て言う? お礼を言う?」と尋ねている。ピーターは「ありがとう」と言うと答えている。

ハリントン先生は元妻のことを話しているが、『ファー・フロム・ホーム』でも飛行機内でピーターに妻が指パッチンで消えたと思ったら男と逃げていたと話していた。また、ミッドタウンハイスクールの生徒たちが、自由の女神リニューアル案を紹介するシーンも。最後の生徒は自由の女神をミステリオ風にデザインしており、ミステリオのカルト的な人気もうかがえる。

番組の最後に、ベティは『ホームカミング』に登場したモリタ校長からのメッセージとして、カフェテリアの安全についての動画を紹介する。この動画は後ほど再登場することになる。

地下室での準備

わずかな時間だが、MJとネッドがドクター・ストレンジの住むサンクタム・サンクトラムの地下で作業の準備をするシーンも追加されている。思うようにコードを伸ばせず、部屋に積まれた椅子などを倒しまくっているのがコミカルだ。

ヴィラン達とマードック弁護士

続いて『エクステンデッド・エディション』に追加されたのは、ヴィランメンバーとメイ、ピーターが一緒にエレベーターに乗るシーンからのダメージ・コントロール局の面々が勢揃いしているシーンだ。調査を受けているのはハッピーで、その隣にはピーターの弁護士としてカメオ出演を果たしたデアデビルことマット・マードックの姿が。「優秀な弁護士が必要だ」とハッピーに助言していたが、ハッピーもマットに頼ることにしたようだ。

そのハッピーのスマホに、ヴィラン達が続々と自宅に入っていく映像が届く。焦るハッピーに、目が見えないはずのマットが「汗かきすぎ (Stop sweating.)」と言い、ハッピーは「何でわかるの?」と不思議がる。これは部屋に投げ入れられたレンガをキャッチしたシーンでピーターが言った「どうやったの?」と同じセリフになっている。同時に、マットが視覚以外の五感に超人的な力を持っているという設定と、「見えないはずなのに」と相手が驚く場面はドラマ『デアデビル』(2015-2018) で何度も繰り返し描写されている。

ピーター2とピーター3の会話

追加シーンは、トビー・マグワイア演じるピーター2とアンドリュー・ガーフィールド演じるピーター3との会話シーンも含まれる。「やり直したいことは山ほどある」と、『アメイジング・スパイダーマン2』(2014) でグウェンを助けられなかったことに言及するピーター3に、ピーター2は「今回がセカンドチャンスだ」と返す。

この会話は、トビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドの二人が「スパイダーマン」映画にカムバックした理由として受け取ることもできる。更に、この後のシーンで、ピーター3はMJを助けて「やり直し」をした。このシーンは本編に入っていてもおかしくない、作品により深みが生まれるシーンだった。

その後のウェブ切れについての会話はオリジナル版でも見られたが、ピーター2とピーター3がウェブの出し方について話す場面も追加シーンだ。宇宙の敵についても「特有の性質がある」とピーター2がコメントしている。また、会話の最後はピーター3が戦いの後に連絡先を交換しようと提案してピーター2が受け入れるというものになっており、三人の再共演が示唆される会話になっている。

ポストクレジットシーン

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』公開時点では直後に公開予定だった『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の予告編がポストクレジットシーンに設定されていた。しかし、「もっと楽しいバージョン」では、ピーターが忘れられた後のミッドタウン高校の様子が、ベティのリポートによって伝えられる。

このベティのコーナーの直前に入るのが、前述のモリタ校長からのメッセージであるカフェテリアの安全についての動画だ。トレーを持った少年がカフェテリアの床で足を滑らせて転ぶのだが、この転び方はトビー・マグワイア主演の映画『スパイダーマン』(2002) でMJがカフェテリアで足を滑らせるシーンを想起させる。

『スパイダーマン』では、スパイダーマンの力を手に入れたピーターが優れた反射神経を見せてMJを支え、飛び出した食べ物も再びトレーの上に乗せて見せる。これを機にピーターとMJの距離は縮まることになるのだが、今回の追加映像では、転ぶ少年を助ける存在はおらず、もうスパイダーマンはいないということを暗示していると捉えることもできる。

ベティのコーナーでは、『ホームカミング』と『ファー・フロム・ホーム』の時の思い出の写真と動画が紹介される。ベティとジェイソンが指パッチンで消える場面と5年後に戻ってきた場面も含まれている。なお、紹介された動画にはピーターが映っておらず、全ての写真はピーターの顔が見えないようになっている。後ろを向いていたり、ちょうど鳥がピーターの顔の前を横切っていたりしているのだ。

これまでは「人々がピーターの存在を忘れる」と言っても、写真などの物理的なピーターが生きた証がどうなっているのかについては疑問が残っていた。ドクター・ストレンジの魔法は、人々からピーターの記憶を消すと共に物理的な証拠についても加工が加えており、ピーターが生きた証は抹消されたと考えられる。改めてピーターの存在が「消えた」具体的な状態を示す重要な描写である。

以上が、『スパイダーマン:スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション』の主な追加映像である。新たに分かったことから、新たに考察できることも出てくるだろう。まだまだ『ノー・ウェイ・ホーム』を楽しもう。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム エクステンデッド・エディション』はNetflixで配信中。Amazonプライムビデオでもレンタル配信中。

サウンドトラックもAmazonで配信中。

¥1,800 (2024/03/18 22:06:27時点 Amazon調べ-詳細)

Amazon.co.jp限定のプレミアム・スチールブック・エディション(4K ULTRA HD + Blu-ray)も発売中。

¥2,970 (2024/03/19 16:48:24時点 Amazon調べ-詳細)

『ノー・ウェイ・ホーム』オリジナル版のエンディングからミッドクレジット、ポストクレジットの解説はこちらの記事で。

『ノー・ウェイ・ホーム』の終わり方を受けたスパイダーマン達とその他のキャラクターの今後については、こちらの記事で考察している。

もう一つのカメオであるヴェノム 登場について脚本家が語った真相はこちらの記事で。

脚本家が解説した『ノー・ウェイ・ホーム』ラストの意図はこちらの記事で。

MJとピーターの最後の会話に関するマーベル公式の解説と、トム・ホランドとゼンデイヤの見解はこちらの記事で。

MCUピーターの年齢と学年を含む時系列の解説はこちらから。

魔法の力を得た? ピーターを噛んだクモについての考察はこちらの記事で。

【ネタバレ注意】『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』ラストとポストクレジットシーンの解説はこちらから。

【ネタバレ注意】『ソー:ラブ&サンダー』ラストとポストクレジットシーンの解説はこちらから。

【ネタバレ注意】『ロキ』シーズン2最終話第6話のネタバレ解説はこちらの記事で。

【ネタバレ注意!】映画『マーベルズ』ラストの解説&考察はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
お問い合わせ

関連記事

  1. ロバート・パティンソン『TENET テネット』のオファーを受けるまで仕事がなかった 立て続けに『ザ・バットマン』出演も決定

  2. 第95回アカデミー賞作品賞はクィアSFに!『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が7冠

  3. マトリックス×BAITのTシャツコレクションが登場 『マトリックス レザレクションズ』公開を祝して

  4. コング、ゴジラ、人類の共同戦線か 『ゴジラxコング 新たなる帝国』予告編解禁