新SFレーベル始動! Kaguya Booksより刊行ラインナップ発表 SFを、もっと | VG+ (バゴプラ)

新SFレーベル始動! Kaguya Booksより刊行ラインナップ発表 SFを、もっと

SFレーベル Kaguya Books 始動

SFメディア バゴプラを運営するVGプラス合同会社は、2021年12月25日(土)、新たなSF書籍レーベル「Kaguya Books」を設立いたします。2022年より書籍の刊行を開始します。

弊社ではこれまで、SFコンテンツのニュースや解説・考察をお届けするバゴプラ、4,000字以下のSF短編小説を対象にしたかぐやSFコンテスト、ウェブで読めるSF誌のKaguya Planetを展開してまいりました。SFが持つ魅力を広く伝えること、短いSF小説を広く読んでもらえる場所を作ること、海外の読者を意識した作品が生まれること、ジェンダーギャップの是正など、各プロジェクトで取り組む課題を明確にして事業に取り組んでいます。

バゴプラは月間100万PVのSFメディアに育ち、かぐやSFコンテストの作品は受賞作を含む10編が翻訳されて海外のSF誌に掲載され、第一回大賞作品の勝山海百合「あれは真珠というものかしら」は『ベストSF2021』(2021, 竹書房) にも収録されました。有料会員登録という形で多くの皆様に支援して頂いたKaguya Planetでは、初年度で30名以上もの書き手の皆様に作品を寄稿して頂き、SF作家さんや翻訳者さんへのインタビューも掲載してきました。

一方で運営メンバーの中では、ウェブ媒体のスピード感から一定の距離を置き、読者と作家の皆様と中長期的な関係を構築できる発表の場所の必要性も痛感していました。同時に、応援して頂いている皆様からも「今のプロジェクトを基盤に書籍をつくってほしい」という声を数多く頂きました。

また、新しい作品発表の場所が生まれること自体が、SFに更なる多様性をもたらすことにもなると信じています。Kaguya Booksでは、出版社ではないSF企業によるSFレーベルという新しい可能性を追求してまいります。ウェブメディアのバゴプラとオンラインSF誌のKaguya Planet、そして各出版社様との連携によって、風通しのよい、希望ある未来をKaguya Booksから提示できればと考えております。

Kaguya Books刊行ラインナップ

Kaguya Booksの刊行ラインナップ第一弾は、2021年10月に業務提携の締結を発表した株式会社 社会評論社からの刊行となります。いずれも紙の書籍で、全国の書店様でお買い求めいただける形で刊行されます。また、2022年刊行予定の書籍は、『みんなの美術館』などのzine製作を手掛けてきた大阪府豊中市のギャラリー兼ショップの「犬と街灯」が制作協力にあたります。

Kaguya Booksから刊行を予定している書籍は以下の通りです。

かぐやSFコンテストから書き下ろしアンソロジー

2020年、2021年に開催した2,000字〜4,000字のSF小説を対象にした“かぐやSFコンテスト”より、受賞者および最終候補者による書き下ろし短編を収録する「かぐやSFアンソロジー」(仮) を刊行します。

かぐやSFコンテストでは、最終候補の全作品を筆者匿名でウェブ上に公開し、読者投票を行うという仕組みを採用しました。その結果、多くの方々に作品を読んで頂き、第二回目も大きな盛り上がりを見せました。一方で、数ヶ月にわたるコンテストを毎年開催するというハイペースなやり方ではとりこぼしてしまうものがあると考え、2022年はコンテストをお休みし、その結果を改めて一つの形として残すことにしました。

かぐやSFコンテストの最終候補には、既に単著が刊行されている筆者も複数いますし、これまでのSF書籍では紹介されてこなかった新たな才能もいます。かぐやSFコンテストを知らないという方も、参加筆者20名超を見込む一大書き下ろしSFアンソロジーの誕生にご期待ください。

なお、かぐやSFコンテストでは審査員が選外佳作リストを公開し、筆者様から申告があった作品のリンクを掲載しすることで、惜しくも最終候補に残れなかった作品を広く読んでいただくことができました。延いては選外佳作リストが海外の翻訳者様に多くの日本のSF作品を発見していただくことにも繋がり、海外でも評価される作品存在していることが証明されました。

そこで本アンソロジーでは、選外佳作筆者を対象とした公募も実施します。選外佳作筆者を対象とした公募からは、最大4作品の採用を予定しています。詳細は改めて発表いたします。

「かぐやSFアンソロジー」(仮) の刊行時期は2022年8月。二大会ともに審査員を務めたVGプラスのクリエイティブ・ディレクターでKaguya Planetのコーディネーターの井上彼方が編者を務めます。

かぐやSFコンテストの最終候補作品と選外佳作の作品は第一回目と第二回目のコンテスト特設ページから読むことができます。

第一回かぐやSFコンテスト  第二回かぐやSFコンテスト

蜂本みさ長編小説

蜂本みさによる初の長編小説をKaguya Booksより刊行いたします。蜂本みさは、2020年12月にKaguya Planetの第一回先行配信で発表した「冬眠世代」が話題を呼び、プロの作家や評論家からも高い評価を得ました。文芸作品によるプロアマ混合のオープントーナメント、ブンゲイファイトクラブでは、2019年の第一回目で準優勝、2020年の第二回目では優勝を果たしています。2021年6月には西崎憲プロデュースの短文集シリーズ〈kaze no tanbun〉第三弾『kaze no tanbun 夕暮れの草の冠』(柏書房) に「ペリカン」を寄稿しました。

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蜂本みさの描く世界観、言葉選びは特別な魅力を持っており、想像力が翼を与えるSF作品においては一層の輝きが加わります。今回の長編執筆にあたっては、編集を担当する井上彼方との二人三脚で執筆を進めます。Kaguya Planetと連動した計画も予定しておりますので、どのような作品が完成するのか、どうぞご期待ください。

なお、毎週水曜日21時からは、蜂本みさ、谷脇クリタ、北野勇作による「犬と街灯とラジオ」(通称:犬街ラジオ)がツイキャスで配信されています。トークと共に朗読を披露する人気番組です。こちらも要チェックです。

蜂本みさの代表作の一つである「冬眠世代」は、こちらから全文無料で読むことができます。

また、Kaguya Booksでは、各種のSF新人賞出身の作家の皆さんを応援すると共に、ウェブ上で発表した作品が評価されてSFレーベルから単著が刊行されるような、多様な出版の形を維持し、増やしていきたいと考えております。

大阪SFアンソロジー&京都SFアンソロジー

最後に、大阪SFアンソロジーと京都SFアンソロジーをそれぞれ刊行することを発表いたします。こちらは刊行時期は未定ですが、社会評論社からの刊行が決定しています。未来の大阪を舞台にしたSFアンソロジーと、未来の京都を舞台にしたSFアンソロジーを、それぞれの地域の出身または在住の執筆者と共に制作する予定です。

大阪と京都の現状と歴史を踏まえて未来を見据えるSFアンソロジーで、文化的なテーマも政治的なテーマも扱う作品を目指します。VGプラス合同会社の本社は大阪に位置し、Kaguya Booksは大阪と京都を拠点にするレーベルです。関西を拠点にしているSFレーベルならではの企画として進めてまいります。

 

以上が、2021年12月25日現在、刊行が決定しているKaguya Booksのラインナップです。まずは一冊ずつを丁寧につくり、販売していくことを心がけて始動したいと思います。また、前例のない新レーベルであり発行部数の見積もり等が難しいことから、2022年に刊行する書籍については先行予約型のクラウドファンディングも実施する予定です。合わせて様々な企画も考案中ですので、お楽しみに!

YouTubeライブで実施した新レーベル発表の生配信の模様はこちらから。

インスタ開設しました!

Kaguya Booksでは、書籍の製作状況やKaguya Planetの配信情報をお伝えするべく、新たにInstagramアカウントを開設しました。バゴプラのTwitterと共にInstagramもフォローをお願いします!

SFオンライン誌 Kaguya Planetも要チェック!

一周年を迎えたSFオンライン誌 Kaguya Planetでは、ジェンダーSF特集を開催中。高山羽根子による魔女SF「種の船は遅れてたどり着く」正井によるケアSF「優しい女」近藤銀河による論考「SFの中で踊る魔女 ─未来をフェミニストとして生き延びるために─」を先行公開中です。月500円または年間5,000円で支援していただくと、先行公開作品を読むことができます。

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ジェンダーSF特集は2022年1月も開催し、翻訳SFを含む複数のジェンダーSF小説を配信します。Kaguya Planetで作品発表の場を維持し、拡大していくことをご支援いただいた皆様、本当にありがとうございます。お陰様で1年間走り切ることができ、こうしてまた新たなステップを踏み出すことができました。SFがより豊かで多様になっていくように、これからもスタッフ一同、一生懸命頑張ります。

 

収支比率の報告を含む2020年度のバゴプラの概況報告は、こちらの会員限定記事で公開しております。

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そこは龍神の加護を受ける島。龍神様から狩人になる信託を受け日々修行に励む14歳のチャコは、大人になるための「洗礼の儀」に失敗して15歳で島を出たゼーシャのことを忘れられずにいた。そんなある日、平和に見えていた島に思いもよらない事態が降りかかる。

 

VG+編集部

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