最終回ネタバレ解説『ホワット・イフ…?』第9話 ポストクレジットの意味は? ウォッチャーの誓いは… あらすじ・考察 | VG+ (バゴプラ)

最終回ネタバレ解説『ホワット・イフ…?』第9話 ポストクレジットの意味は? ウォッチャーの誓いは… あらすじ・考察

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『ホワット・イフ…?』シーズン1最終回第9話

MCU初のアニメシリーズ『ホワット・イフ…?』シーズン1が遂に完結する。2021年7月の映画『ブラック・ウィドウ』公開、ドラマ『ロキ』シーズン1完結を受け、9月の映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』公開に先駆けて8月に配信をスタートした『ホワット・イフ…?』。毎週思いもよらない展開を見せてきたが、物語は遂に繋がり始めた。

MCUで初めて本格的にマルチバース展開を取り入れた『ホワット・イフ…?』は、第8話で人工身体を手に入れたウルトロンが別の宇宙に侵攻を始める。『ホワット・イフ…?』のブライアン・アンドリューズ監督は『ホワット・イフ…?』を「MCU正史であり現実に起きていること」と話す。展開によっては映画やドラマの本編にも影響を与えうる本作はどのような結末を迎えたのだろうか。

今回は『ホワット・イフ…?』シーズン1最終回第9話の各シーンを徹底解説していこう。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『ホワット・イフ…?』最終話 第9話の内容に関するネタバレを含みます。

『ホワット・イフ』シーズン1最終話までの全話あらすじ&分岐イベントのまとめはこちらから。

最終回第9話「もしも…ウォッチャーが誓いを破ったら?」のネタバレあらすじ&解説

誓いを破るウォッチャー

これまで様々なキャラクターの「もしも」を描いてきた『ホワット・イフ…?』だが、シーズン1最終回のタイトルは「ウォッチャーが誓いを破ったら?」と、主語がウォッチャーになっている。第8話のラストでウルトロンに追い詰められたウォッチャーは、ドクター・ストレンジ・スプリームに助けを求めた。

ドクター・ストレンジ・スプリームは、第4話でクリスティーンが死んだことで“闇堕ち”したドクター・ストレンジ。数世紀にわたって異次元の魔物を身体に取り入れたことで、現実改変を可能にするほどの魔力を持っている。第4話では自分がドクター・ストレンジになるために必要だった分岐イベント=クリスティーンの死をなかったことにしたためにパラドックスが発生し、ドクター・ストレンジ・スプリームを残して宇宙は消滅してしまった。

第4話ではドクター・ストレンジ・スプリームはその直前にウォッチャーに助けを求めたが、ウォッチャーは現実に干渉しないという誓いがあることからこれを拒否。第8話ではウルトロンがマルチバースに乗り出したことで、逆にウォッチャーが誓いを破ってドクター・ストレンジ・スプリームに助けを求めることになった。

ペギーのリーダーシップ

第9話の冒頭は『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014) の別バージョンからスタートする。同作でジョルジュ・バトロックが襲撃したレムリア・スター(S.H.I.E.L.D.の船)の救出作戦の指揮をキャプテン・カーターがとっている。どうやら『ホワット・イフ…?』第1話の続きらしい。

映画版では『キャプテン・アメリカ』(2011) の最後にスティーブ・ロジャースが現代に復活し、物語は『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』に続いていた。『ホワット・イフ…?』第1話のラストで現代に召喚されたペギー・カーターは、そのままキャプテン・アメリカのポジションで活躍しているようである。

映画版ではブロック・ラムロウが作戦の説明を行なっていたのに対し、『ホワット・イフ…?』ではキャプテン・カーターが状況を説明しており、ラムロウは説明を聞く側に回っている。スティーブは概要を聞いて作戦を指示するタイプだが、ペギーはあらかじめ情報を頭に入れて指示も行う。スティーブとペギーではリーダーシップの取り方が違うようだ。

一方、ナターシャは映画版でスティーブに「統計分析部のクリステン」を勧めていたが、こちらではペギーに「経理部のバーナード」を勧めている。ナターシャは意外とS.H.I.E.L.D.内で顔が広いらしい。ペギーに対しては「スティーブがよかった?」と一歩踏み込んだジョークをぶつけるナターシャ。ナターシャとペギーも良いコンビになっているようだ。

なお、テロリストのバトロックはドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』にも登場しており、『ホワット・イフ…?』でMCU3度目の登場になった。

映画版のスティーブと同じくレムリア・スターの船上でバトロックと戦うペギーだったが、その目に飛び込んできたのは、夜空に浮かぶウォッチャーの姿だった。ウォッチャーは、「時をさまよう戦士、君は選ばれた」とキャプテン・カーターを呼び出す。どうやらウォッチャーは、『ホワット・イフ…?』で誕生した変異体のヒーロー達を集めていくようである。

徴集されるヒーロー達

次の場面は第2話のラストでエゴが迎えにきたピーター・クイル。エゴは、クイルを媒介して宇宙全体を取り込む「拡張」を実現しようとしている。そこに助けに来たのはティ・チャラ版スター・ロード。ピーター・クイルが別のスター・ロードに助けられる奇妙な展開だ。そのティ・チャラを、ウォッチャーは「失われし王子、君は選ばれた」という決め台詞とともに徴集する。

次にウォッチャーが向かった世界は、『ホワット・イフ…?』シーズン1では描かれていない世界。トニー・スタークが登場していることから、おそらくパンデミックの影響でシーズン2に持ち越しになったエピソードだと思われる。順番的には第3話で配信される予定だったのだろうか。

脚本家のA.C.ブラッドリーはシーズン2に持ち越しになったエピソードについて、トニーが中心になった明るいエピソードと説明していた。『ホワット・イフ…?』では8話中4話で死んでしまったトニーだったが、やはり“トニー生存ルート”も用意されていたようだ。ブラッドリーによる“アイアンマン死にすぎ問題”の釈明と延期になったエピソードについての発言はこちらから。

サノスのインフィニティ・ガントレットを作ったニダベリアで、ガントレットが溶かされていく。トニーはハルクバスターのようなアーマーに身を包んでおり、「アーマー・スーツを銀河中に配備したい」と映画版よりも強硬な主張を繰り広げている。『ホワット・イフ…?』最終話のポスターにも採用されたガモーラはウォッチャーから「サノスを倒した者」と呼ばれており、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) で2014年のサノスが使用していた剣を持っている。また、そのアーマーは同じく『エンドゲーム』のサノスとよく似たスタイルのものになっている。

ウォッチャーはトニーに「君じゃない (Not you, Stark.)」と言うと(冷たくないですか)、サノスを倒したというガモーラを「君は選ばれた」と徴集するのだった。

第6話でキルモンガーが支配したワカンダには、シュリとペッパー、そしてドーラ・ミラージュの面々が突入していた。だが、ウォッチャーに選ばれたのはキルモンガーだ。「トニー・スタークの元弟子にして殺害者」という扱いになっている。

そして第7話のラストで完全体ウルトロンが侵略してきた世界線ではパーティ・ソーがウルトロン・セントリーと戦っている。戦いに夢中になっているパーティ・ソーをウォッチャーは無理やり拾い上げて徴集。5人のスーパーヒーローと第4話のドクター・ストレンジ・スプリームを、ペギーゆかりのパブに集合させるのだった。

ガーディアンズ・オブ・マルチバース結成

整理すると、ウォッチャーが新たに集めたヒーローはドクター・ストレンジ・スプリームキャプテン・カータースター・ロード ティ・チャラガモーラキルモンガーパーティ・ソーの6人。オリジナルのアベンジャーズと比べればまだ多様性のある面々だ。ウォッチャーは、ニック・フューリーのように任務を説明していく。一人のヒーローではなくチームの力が必要というアベンジャーズの基本中の基本を、ウォッチャーは大いなる発見のように語っている。言ってみたかったのだろうか。

ガモーラは「宇宙(ユニバース)を救うの?」と尋ねるが、彼女らが救うのは「全ての宇宙」。そしてウォッチャーは一同を「ガーディアンズ・オブ・マルチバース」と名付けるのだった。コミック版では、『Guardians of the Galaxy (Vol.2) #25』(2010) に“ガーディアンズ・オブ・オール・ギャラクシー”というマルチバース集団が登場する。これに近いチームがMCUにも誕生したようだ。

なお、このバーはドクター・ストレンジ・スプリームの強力な魔法によって形成されているようだ。正義感の強いキャプテン・カーターがリーダーシップをとっている上、ティ・チャラとキルモンガーが揃う夢の布陣でもある。

ガーディアンズ・オブ・マルチバースの敵はもちろんウルトロン。ウォッチャーはここでウルトロンのことを「インフィニティ・ストーンを手に入れてコズミック・ビーイング(宇宙的存在)となった人工知能」と解説する。コズミック・ビーイングとは、宇宙全体に影響を与えることができる存在で、ウォッチャーの種族や、映画『エターナルズ』(2021) で焦点が当てられるセレスティアルズもコズミック・ビーイングに含まれる。

つまり、コズミック・ビーイングは神のような存在なのだ。こちらの記事では、ウルトロンはユニバース間を移動できる“ネクサス・ビーイング”になったと解説した。だが、どうやらウルトロンはもう一段上の上位存在であるコズミック・ビーイングへと進化したらしい。相当な脅威である。

ウルトロンの身体とインフィニティ・ストーンを引き離す作戦を進めるガーディアンズ・オブ・マルチバース。ガモーラが持っていたインフィニティ・クラッシャーはインフィニティ・ストーンを破壊することができるという。これも幻のエピソードで登場したガジェットだろうか。

作戦会議のシーンで注目したいのは、キャプテン・カーターがリーダーシップをとり、パーティ・ソーがコミックリリーフ(話の腰を砕く愉快なキャラ)の役割を担っていることだ。現場を指揮するリーダーは男性に、コミックリリーフは有色人種に割り当てられるのがハリウッドの王道だったが、『ホワット・イフ…?』ではその形式を完全に打ち破っている。

vs ウルトロン

作戦会議を終えたガーディアンズ・オブ・マルチバースは、ウォッチャーの力で作戦決行の地に飛ばされる。ウォッチャーが持つパワーの強力さも垣間見えるが、ヒーロー達を「my friends(友よ)」と呼ぶ気さくな一面も描かれている。ドクター・ストレンジ・スプリームは自身の体内に眠る魔物の力を抑えなければならないというハンデがあるようだ。ハルクに近いのかもしれない。

キャプテン・カーターとドクター・ストレンジ・スプリームはそれぞれのユニバースの話を共有し、一同は決戦前に乾杯することに。出会ったばかりだが、仲睦まじくやれているようだ。ちなみにパーティ・ソーはビールを、キルモンガーとガモーラはショットグラスを、ドクター・ストレンジ・スプリームとキャプテン・カーターはカクテルを、ティ・チャラはワインを手にしている。

パーティ・ソーの雷に引き寄せられ、遂にウルトロンが登場。ドクター・ストレンジ・スプリームは“掟破りの呪文”として一同にバリアを施す。流石に生身でコズミック・ビーイングに挑むわけにはいかない。パーティ・ソーの雷はウルトロンに全く効かないが、パーティ・ソーとキャプテン・カーターは、ドクター・ストレンジ・スプリームの魔法との合わせ技で着実にウルトロンに攻撃を加えていく。

そしてウルトロンに簡単に振り払われたかに見えたティ・チャラが、見事にソウル・ストーンを奪取。激怒するウルトロンに対し、ドクター・ストレンジ・スプリームは異次元から大量のゾンビをウルトロンの上に降らせる。第5話のユニバースからゾンビを連れてきたのだ。

ゾンビ達は黄色い輪っかの中から降ってきているが、ドクター・ストレンジ・スプリーム自身がマルチバース間を移動させたのだろうか。ウォッチャーの力を借りた可能性もあるが、ドクター・ストレンジ・スプリームが既にネクサス・ビーイングになっている可能性も十分に考えられるだろう。であれば、2021年12月17日全米公開の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』よりも早くマルチバースの扉を開くドクター・ストレンジの力が垣間見られたことになる。

そしてゾンビの大群の中から現れたのは、第5話でゾンビ化していたワンダだった。映画本編では、ウルトロンの人工ボディへの意識のアップロードを邪魔した因縁の相手でもある。意外な強敵が登場するが、ウルトロンは惑星ごと爆破するという強引な手段でこの場を乗り切る。

一方のガーディアンズ・オブ・マルチバースは、ウォッチャーのゲートを使ってウルトロンが元々いたユニバースに来ていた。第8話の舞台である。最後の生き残りになっていたナターシャは、別ユニバースから現れた一同に警戒するが、この事態を収拾したのはキャプテン・カーターだった。

ペギーは、ナターシャの父について「父親はアイヴァン、育ての親はアレクセイ(アレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアン)」と言っている。ナターシャの実の父の名前が「アイヴァン」だということは、『エンドゲーム』でレッドスカルが「ナターシャ、アイヴァンの娘」と呼びかけたことから判明している。どうやら、第9話冒頭で描かれた元のユニバースで、スティーブ・ロジャースが触れることのできなかったナターシャの過去にペギーは触れていたようだ。

こちらの記事で解説した通り、映画『ブラック・ウィドウ』(2021) は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) の間で起きた出来事が描かれた。MCU本編では、ナターシャは人知れず自分の“宿題”をこなしていたが、ペギーはナターシャにとって良き相談相手になっていたのかもしれない。

ナターシャとの和解が成立したところでウルトロンが登場。ウルトロンはもはやインフィニティ・ストーンを6つ揃えていなくても次元間の移動ができるようだ。そしてソウル・ストーンの争奪戦が始まる。

本当のインフィニティ・ウォー

ウルトロンは宇宙を爆破して戦いを終わらせようとするが、これまで魔物を飲み込み続けてきたドクター・ストレンジ・スプリームはこのウルトロンのエネルギーを飲み込んでしまう。ペギーとナターシャはイギリス国旗の盾とレッド・ガーディアンの盾でコンビネーション攻撃。米代表たるスティーブ・ロジャースの引き立て役として扱われてきた英露の二人の女性による共闘だ。

そして、ガーディアンズ・オブ・マルチバースは本家アベンジャーズ顔負けのチームワークでウルトロンを追い詰めていく。それでもウルトロンはタイム・ストーンを利用してソウル・ストーンを取り戻す。

だが、それに対抗したのはドクター・ストレンジ・スプリームだった。ドクターはまだタイム・ストーンを内蔵した“アガモットの目”持っていたのだ。MCU史上初となる別次元の同じインフィニティ・ストーン同士のぶつかり合いだ。これが本当の”インフィニティ・ウォー”である。

ウルトロンはまさかの巨大化を見せるが、ドクターはキャプテン・カーターが対峙したタコのような異次元の化物を召喚してこれに対抗する。一同はウルトロンを魔法陣に釘付けにすると、ガモーラのインフィニティ・クラッシャーで全てのストーンを破壊。ウルトロンの打倒に成功したかに思われた。

だが、これで終わりではなかった。ウルトロンはインフィニティ・ストーンさえもそれぞれのユニバースによって違いがあるというめちゃくちゃなセオリーを発表。ガモーラも「クラッシャーは私の世界のストーンを破壊するようデザインされたもの」とこのセオリーを認めてしまう。これまでの苦労はなんだったのか。

再び6つのインフィニティ・ストーンを揃えたウルトロンは圧倒的な力を見せるが、ナターシャはここでゾラのデータをダウンロードした矢を思い出す。ナターシャはクリントの弓を使って矢を放ち、「This one’s for you, Clint.」と、第8話でその身を捧げたクリントに最後の一撃を捧げる。

同時にキャプテン・カーターがウルトロンに飛びついて頭部のアーマーを剥がすと、見事矢がウルトロンの目に命中。ゾラがウルトロンの身体に入り込み、ゾラはウイルスとして内部からウルトロンを破壊する。この辺りもトニー・スタークというアメリカの頭脳が作り出したAIに、ドイツ人のAIが入り込むという演出になっており、アメリカ人中心で回ってきたMCU本編へのアンチテーゼが感じられる。

ウルトロン打倒とその後

だが、さらに恐れていたことが起きる。意味深にウルトロン・セントリーの頭部を持ち続けていたキルモンガーがその頭部を使って黒いアーマーを作り出す。そして、6つのインフィニティ・ストーンを装着すると、一同に世界を元に戻そうと提案するのだった。

一見良い提案のように思えるが、これは力によって現実を思いのままにしようというドクター・ストレンジ・スプリームやウルトロンが歩んだのと同じ道だ。一同がこれを拒否する中、立ち上がったのはウルトロン(ヴィジョン)の身体を手に入れたゾラだった。

ドクター・ストレンジ・スプリームはインフィニティ・ストーンを奪い合う二人をシールドの中に閉じ込めると、ウォッチャーがそれに手を加える。ストーンは誰の身体にも属さない状態のまま、ゾラとキルモンガーと共に小さなユニバースの中に凍結された。

ウォッチャーは、ウルトロンがやってきた宇宙のインフィニティ・ストーンが破壊できないことや、キルモンガーの裏切りを知った上で、インフィニティ・ストーンを閉じ込めるしか方法がないと考えていたのだ。ドクター・ストレンジ・スプリームは「友人」として、ウォッチャーからこの小さなユニバースを見張るという役目を引き受ける。そして、マルチバースを助けたガーディアンズの面々は、元のユニバースへと帰っていく。

ハッピーエンドを求めるペギーも、ウォッチャーの「あの時代のあの世界はキャプテン・カーターを必要としている」という言葉に背中を押されて元のユニバースへと戻る。一方、所属していた宇宙がウルトロンによって滅ぼされたナターシャは、ウォッチャーに対して「私たちを物語扱いして、ただ戦いを見てるだけ」と、私たち視聴者にも刺さる言葉を投げかける。

ウォッチャーことウアトゥは、ヒーロー達の活躍を見ることが「私の全て」と正直な心情を吐露する。ウアトゥはただのヒーローオタクなのだ。「ならば」とナターシャは世界を元に戻すことを要求するが、ウアトゥは世界に干渉してはいけないというウォッチャーの掟を再び掲げる。

代わりに、ウォッチャーはナターシャを第3話の世界線へと連れていく。それはブラック・ウィドウを含むアベンジャーズが殺され、キャプテン・マーベルとキャプテン・アメリカだけが残った世界。ウアトゥは、ブラック・ウィドウを必要としている世界にナターシャを放ったのだ。ナターシャはロキを倒し、人手不足のアベンジャーズを率いるニック・フューリーと合流するのだった。

この流れには『ブラック・ウィドウ』から続くメッセージを読み取ることができる。詳しくはこちらの記事で。

ラストシーンは、各ユニバースに戻った面々の姿が描かれる。兄弟のようにスターロードのブラスターを撃つピーター・クイルとティ・チャラ、アイアンマンと肩を並べるガモーラ、ジェーンと再会するパーティ・ソー……。シュリとペッパーはどうなったのだろう……。

そしてウアトゥは、「自分にとってはマルチバースの全ての世界と物語が故郷である、最後まで守り抜く」と宣言して、『ホワット・イフ…?』シーズン1の最終回、第9話は幕を閉じる。

ポストクレジットシーンの意味は?

だがこのシリーズはMCUだ。ポストクレジット(ミッドクレジット)シーンが用意されている。元のユニバースに戻ったキャプテン・カーターはナターシャとの再会を喜ぶ。だが、ナターシャはレムリア・スターの船内で見つけたあるものをペギーに見せたがっていた。

厳重に封鎖された部屋の中には、デジタル機器に接続されたヒドラ・スタンパーの姿があった。そして、中には人が入っているという。第1話でキャプテン・アメリカにならず、ヒドラ・スタンパーに乗り込んでペギーを支えたスティーブ・ロジャースだろう。ハワード・スタークとスティーブはペギーがいつか帰ってくると信じ、スティーブをヒドラ・ストンパーの中で眠らせるという道を選んだのかもしれない。

脚本家のA.C.ブラッドリーはこのポストクレジットシーンについてコメントを残している。詳しくはこちらから。

ウォッチャーはこのことを知っていたのだろうか。手を加えずとも、自分がいた世界にもハッピーエンドの可能性があるということを示して、『ホワット・イフ…?』シーズン1は本当に幕を閉じる。

『ホワット・イフ…?』シーズン1最終回第9話まとめ

ウォッチャーの誓いとは?

『ホワット・イフ…?』シーズン1の最終話にあたる第9話は、これまでのストーリーで描かれた要素が全て登場する内容になった。『ホワット・イフ…?』がMCUで初めてマルチバースが交差するシリーズになったのだ。

また、物語としては、これまでにスポットライトが当たらなかったキャラクター達に活躍の舞台が与えられ、より多様な物語を届けるフェーズ4のコンセプトも強く感じられた。終盤にはネクサス・ビーイングとコズミック・ビーイングを絡ませた物語を展開することで、今後のMCUではより大きな物語が描かれることを期待させてくれている。

一方で、ウォッチャーの扱いが気になるところだ。誓いを破ったウアトゥには、シーズン1では何もお咎めがなかった。そもそも誓いの理由も明かされていないままだ。ウルトロン打倒に手を貸しただけならまだしも、最後にはナターシャを別ユニバースに連れていき、プラスワンモアで誓いを破っている。これに関しては“世界を救う”という話でもないはずだ。

原作コミックにおいては、ウォッチャーの掟を破ったものにはそれなりの困難を享受するのだが、その辺りのストーリーはシーズン2に持ち越しということになるだろうか。シーズン2に持ち越しになるのは、ガモーラとトニー・スタークの幻のエピソードも同様だろう。最終話で終結したメンバーの内、唯一語られなかった二人の物語は、前述の通りパンデミックの影響で配信を延期した幻のエピソードで語れているのだろう。変則的な順番にはなるが、シーズン2での配信に期待しよう。

※シーズン1最終話配信後に米メディアで公開されたインタビューで、脚本家のA.C.ブラッドリーがガモーラとトニーのエピソードはシーズン2で配信することを明言した。詳しくはこちらの記事で。

気になるペギー・カーターの今後

では、ポストクレジット(ミッドクレジット)シーンで登場したヒドラ・ストンパーについてはどうだろうか。カーター&ロジャースの物語は『ホワット・イフ…?』シーズン2で描かれる可能性もあるが、それより期待したいのはキャプテン・カーターを主人公に据えた実写作品だ。

製作陣はペギー主役の映画製作も希望しており、可能性は大いにあるはずだ。だが別バースの話を軸に映画を作るのは、スピンオフ/パラレル的な雰囲気も帯びてしまうため、興行的な不安もあるだろう。そこは本編でのマルチバース展開がどのように進むかに期待しよう。

仮にドラマ化となれば、ペギー・カーターは、ABC制作の『エージェント・カーター』に続いて二作品のドラマが製作された稀なキャラクターになる。ナターシャとのシスターフッドも垣間見せたペギーは、つい先日ディズニーと和解したスカーレット・ヨハンソンがMCUに戻る契機になるかもしれない。

このように、『ホワット・イフ…?』シーズン1には多くの“宿題”が残されている。シーズン1最終回を迎えて残された12個の謎はこちらの記事にまとめたので、チェックしていただきたい。

 

『ホワット・イフ…?』シーズン1を終えて、MCUは、ここで一旦ひと休み。米国ではソニーの『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が10月1日(金) に公開されたばかり(日本では12月3日(金) 公開)だが、日本では11月5日(金) 公開の映画『エターナルズ』11月24日(水) 配信開始のドラマ『ホークアイ』が控えている。まだまだフェーズ4は始まったばかりだ。ウォッチャーのように、引き続きMCUを追いかけていこう。

アニメ『ホワット・イフ…?』はDisney+で独占配信中。

『ホワット・イフ…?』(Disney+)

製作陣がシーズン1でのウルトロン起用とサノスの扱いについて語った内容はこちらから。

製作陣が語ったシーズン2の制作状況と内容についてはこちらの記事で。

 

11月5日(金)から劇場公開されるMCU映画『エターナルズ』予告編の解説はこちらの記事で。

11月24日(水)よりDisney+で配信を開始するドラマ『ホークアイ』予告編の解説&考察はこちらから。

 

Disney+での見放題配信がスタートした映画『ブラック・ウィドウ』のポストクレジットシーンの解説はこちらから。

ストーリーとは別の部分で注目を集めた『ブラック・ウィドウ』ポストクレジットシーンのある描写はこちらから。

 

『ホワット・イフ』シーズン1最終話までの全話あらすじ&分岐イベントのまとめはこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第3話のネタバレ解説はこちらから。

第4話のネタバレ解説はこちらから。

第5話のネタバレ解説はこちらから。

第6話のネタバレ解説はこちらから。

第7話のネタバレ解説はこちらから。

第8話のネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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