マーベル『ホワット・イフ…?』は「MCU正史であり現実」 監督のブライアン・アンドリューズが認める | VG+ (バゴプラ)

マーベル『ホワット・イフ…?』は「MCU正史であり現実」 監督のブライアン・アンドリューズが認める

© 2021 Marvel

『ホワット・イフ…?』の出来事は現実?

MCU初のアニメシリーズとして8月からDisney+で配信されている『ホワット・イフ…?』は、MCU史における起こりえたストーリー、「もしも」の物語を届けている。第1話ではペギー・カーターがキャプテン・カーターになった世界、第2話ではティ・チャラがスター・ロードになった世界が描かれ、これまでのMCUのストーリーを覆す展開を見せた。

一方で、MCUファンにとって気になるのは、『ホワット・イフ…?』はスピンオフに過ぎないのか? という疑問である。いくら『ホワット・イフ…?』の物語が面白くても、それらはあくまで「もしも」の話であり、結局正史に影響を与えないのだとすれば、なんだかおもしろみに欠ける。そんなモヤモヤを払拭したのは『ホワット・イフ…?』監督のブライアン・アンドリューズだ。

「正史であり現実」

TikTokerでYouTuberのマシュー・ラモスによるYouTubeチャンネルSUPESに登場したブライアン・アンドリューズは、「ドラマ『ロキ』のラストではマルチバースが混沌に陥っていく様子が描かれました。『ホワット・イフ…?』はMCUの正史ですか?」という直球な質問にこう答えている。

マルチバースは全て正史だと思っています。全てが公式であり、現実のものです。そのうちのどれを私たちが見ているかということに過ぎません。無数の可能性がありますが、それは全て、確かに正史です。

ドラマ『ロキ』でマルチバース化の火蓋が切られたが、やはり『ホワット・イフ…?』は現実に起きている“分岐イベント”ということだ。つまり、起こり得たが起きなかった「もしも」ではなく、MCUで分岐が止められなくなったが故に起きた出来事が『ホワット・イフ…?』の物語なのだ。

最初から映画に絡める目的ではない

『ホワット・イフ…?』は正史であるという監督からの証言は得られたが、本作の全てが今後のMCUに影響を与えるかというと、そうではないようだ。脚本家のA.C.ブラッドリーは、『ホワット・イフ…?』に登場するキャラクターが後のMCU作品で担う役割について、以下のように語っている。

実は、私が『ホワット・イフ…?』の製作に取りかかったのは2018年の8月のことなんです。『ドクター・ストレンジ2(マルチ・バース・オブ・マッドネス)』も『ロキ』もまだ開発段階にありました。

私たちが言われたことといえば、マルチバースで好きに遊んで何ができるかを見せて欲しいということだったんです。ですから、私に与えられた権限は映画のプロットとは関係なく、“楽しむこと”、同時にキャラクター達を拡張して、魅力的にして、楽しくすることでした。

マルチバース化が進むMCUフェーズ4だが、A.C.ブラッドリーが託されたのは、『ホワット・イフ…?』の作品を将来的な映画作品のプロットに絡ませることではなく、キャラクターを魅力的な方向に拡張していくことだったという。

既にキャプテン・カーターは実写化に期待がかかり、『ドクター・ストレンジ・イン・マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) での登場が噂されるなど、映画シリーズへ影響を与える可能性も囁かれている。だが、実はキャプテン・カーターはシーズン2で登場する予定のキャラクターであり、制作の途中でシーズン1第1話のキャラクターに抜擢された経緯もある。マーベル・スタジオは、『ホワット・イフ…?』で描かれた物語の中から、魅力的なキャラクターを抜擢していくというスタンスで臨んでいるのかもしれない。

いずれにしても、『ホワット・イフ…?』で描かれる物語はMCU正史の中で起きている物語である。一方で、どのような展開を迎えても、普通はマルチバース間を移動する手段がないため、そのユニバースはそのユニバースとして孤立したまま続いていくだけだ。

うまく発展できそうなものは映画やドラマシリーズに取り込み、そうでないものは無数のユニバースの一つとして見送る……そんな都合の良い手法をマーベル・スタジオは見つけたのかもしれない。引き続き、MCUのマルチバース化に関する展開を注視しよう。

アニメ『ホワット・イフ…?』はDisney+で独占配信中。

『ホワット・イフ…?』(Disney+)

Source
SUPES

『ホワット・イフ…?』第1話の解説はこちらの記事で。

第2話の解説はこちらから。

第3話に登場するキャラクターについてはこちらの記事で。

ドクター・ストレンジ登場回についての情報はこちらの記事で。

『ホワット・イフ…?』にX-MENが登場しない理由はこちらから。

チャドウィック・ボーズマン最後のティ・チャラ役について監督が語った内容はこちらの記事で。

映画『エターナルズ』最新予告の解説はこちらから。

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