解説&考察『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告編 マルチバース化へ、これまでの経緯を振り返る | VG+ (バゴプラ)

解説&考察『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告編 マルチバース化へ、これまでの経緯を振り返る

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『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』予告公開

マーベル・スタジオとソニーは米時間の2021年8月23日(月)、MCU映画27作目となる『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の初の予告編映像を公開した。

2021年9月3日(金)に公開される映画『シャン・チー テン・リングスの伝説』、11月5日(金)公開の『エターナルズ』に続き、12月17日(金)に全米公開を予定している『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。劇場公開まで4ヶ月を切ったタイミングでのトレーラー公開にファンは沸き立っている。

今回公開された予告映像では仲睦まじく話をするピーター・パーカーとMJの姿から、一転して前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019) のラストでサム・ライミ版「スパイダーマン」に登場したJ・K・シモンズ演じるJ・ジョナ・ジェイムソンの声が街に響き渡る。「スパイダーマンの正体はピーター・パーカー」と世界にアナウンスされ、ミステリオを殺したというフェイクニュースが流れている。

ピーターは逮捕され、メイ叔母さんや親友のネッドにも影響が及ぶ中、ピーターはドクター・ストレンジのもとを訪れ、ミステリオによる“暴露”を「なかったこと」にできないかと頼むのだった。ちなみにこの時ドクター・ストレンジが着ているパーカーは、原作コミックで母校という設定になっているコロンビア大学のものだ。

室内が凍っているのは何かの実験の結果だろうか。ウォンが「あの呪文は使うな。危険すぎる」と警告する中、二人は呪文を使って世界中の人々がピーター・パーカーがスパイダーマンだという記憶を消すことに。

呪文の領域に入ってから何人かの記憶は残したいと食い下がるが、呪文は発動。次のシーンではドクター・ストレンジの「時空を歪ませてしまった」という後悔がにじむ言葉が聞かれる。

そして、「マルチバースは私も解明できていない」と、ここで“マルチバース”という言葉が登場する。ドクター・ストレンジはピーターが「二つの人生を同時に歩み始めている」と説明し、「どちらかを選ばなければ大変なことになる」と忠告するのだった。

なお、ピーターが食堂のような場所にいる場面では、黒と金色のコスチュームを身につけている。マスクを取り、エプロンをつけた人物が指差す方向へ向かって走り出すピーターの様子が映っている。マスクはその手に握っているようだ。また、スパイダーマンが電気攻撃を受けるシーンでも黒金コスチュームがチラッと映っている。

そしてサム・ライミ版『スパイダーマン』(2002) で登場したグリーン・ゴブリンが使う爆弾、パンプキンボムが登場。グリーン・ゴブリンのものと思われる笑い声も聞き取れる。また、かねてより登場が報じられていたヴィランのドクター・オクトパスの姿が。『スパイダーマン2』(2004) で同役を演じたアルフレッド・モリーナがこの役を演じており、「やぁ、ピーター」とピーターのことを既に知っているそぶりを見せている。

なお、『ファー・フロム・ホーム』では、映画『アメイジング・スパイダーマン2』(2014) でエレクトロは役を演じたジェイミー・フォックスが同役で出演することも決まっている。そして今回の予告編では、エレクトロを思わせる電撃と共に『スパイダーマン3』(2007) に登場したサンドマンを想起させる砂嵐も時折見られる。

登場が確定したキャラクターが過去の「スパイダーマン」シリーズの人物の(ドラマ『ロキ』(2021) でその概念が紹介された)“変異体”であるかどうかはまだ不明。それでも、ドクター・ストレンジの言葉通り、スパイダーマンがマルチバースの世界へ足を踏み入れたことは確かだ。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』考察

今回の予告で気になるのは、ドクター・ストレンジがピーターに「君は二つの人生を同時に歩み始めている」と説明した部分。ドラマ『ロキ』(2021) で紹介されたMCUにおけるマルチバースは、別のユニバースに行っても“別の自分”がいるだけで、元の世界と「もしも」の世界の二つの人生を生きることはできない(なりすませば可能だが、ピーターほどの有名人では難しいと考えられる)。

そうであれば、単にユニバース間を移動しただけでなく、ドクター・ストレンジの魔術によってこれまでのセオリーにない現象を呼び起こしたと考えた方がよいだろう。ドクター・オクトパスがトビー・マグワイアでなくトム・ホランド演じるピーター・パーカーを認識している点も気になるポイントだ。なお、この時のトムホ版ピーターはトビー版ピーターが着ていたものと同じスーツとシャツを着ている。

もしも複数のユニバースに対してピーター・パーカーが一人しかいないのであれば、確かにピーターは自分をよく知るMJやメイ叔母さんが残る世界と、ドクター・オクトパスやグリーン・ゴブリンといった違う意味で自分をよく知るヴィランが巣食う世界(だがミステリオ事件は起きていない)を選ばなければならないが、果たして……。

なお、マーベル公式サイトには、今回の予告編公開に合わせて「ピーターがドクター・ストレンジに助けを求めたとき、危険は更に大きくなり、彼はスパイダーマンであることの本当の意味を知ることになる」という解説が掲載されている。マルチバースを経験したピーターが知る「スパイダーマンであることの本当の意味」とは、どのようなものなのだろうか。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のマルチバース化が決定的になった今回の予告映像。ここで改めて、ソニーとマーベルの「スパイダーマン」クロスオーバーの経緯を振り返っておこう。

「スパイダーマン」クロスオーバーの経緯

ソニー単独からMCUへの合流

「スパイダーマン」の映画作品は、マーベルが困窮していた時代に映画化の権利を売却したソニーがトビー・マグワイア主演サム・ライミ監督で2002年から2007年にかけて3作品が製作された。その後、主人公ピーター・パーカーの若返りを図るため、アンドリュー・ガーフィールド主演マーク・ウェブ監督による「アメイジング・スパイダーマン」シリーズを2012年と2014年に計2作品発表した。

『アメイジング・スパイダーマン2』の興行成績が伸び悩んだことから、ソニーは当時勢いに乗っていたMCUと手を組む。マーベルとソニーは合同でトム・ホランド主演ジョン・ワッツ監督による現在のMCU版「スパイダーマン」を製作することになる。

なお、「スパイダーマン」関連キャラの映画化権は引き続きソニーが保持しているため、「ヴェノム」シリーズや『モービウス』(2022) はソニーのユニバースであるSPUMC(ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクターズ)の枠組みで映画が製作されている。

MCUの「スパイダーマン」は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) で初登場を果たし、2017年には単独作品『スパイダーマン:ホームカミング』が公開された。前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は、インフィニティ・サーガを締めくくる最後の作品に。次世代を代表するヒーローの一人として、トム・ホランドが演じるピーター・パーカーには大きな期待がかかっている。

マルチバース化が進むフェーズ4

そして、MCUスパイダーマンの3作目にあたる『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、ソニー版スパイダーマンとのクロスオーバーの可能性が絶えず囁かれてきた。サム・ライミ版「スパイダーマン」に登場したJ・K・シモンズ演じるJ・ジョナ・ジェイムソンが『ファー・フロム・ホーム』にカメオ出演したことや、『モービウス』の予告編で『ホームカミング』でヴィランのバルチャーを演じたマイケル・キートンが登場したこと、壁の落書きでスパイダーマンが「人殺し」と罵られていること、そしてMCUフェーズ4がマルチバース化へ向かって突き進んでいることがその理由だ。

ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) では、ワンダがユニバースを超えていく存在“ネクサス・ビーイング”である可能性が示唆され、ドラマ『ロキ』ではこれまで食い止められてきたマルチバース化が解き放たれた。アニメ『ホワット・イフ…?』では、フェーズ3各作品の「もしも」が“正史”として描かれている

また、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で中心的な役割を担うことが明らかになった、ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジは、次の単独作品がマルチバースを中心に扱うものになる。

2022年3月25日(金) 公開を予定している『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』は、そのタイトルに「マルチバース」を冠し、エリザベス・オルセン演じるワンダ・マキシモフの登場が予定されている。物語はドクター・ストレンジがタイムストーンを使った研究に取り組んでいるところに「敵となった旧友」が現れるとされている。

もしも、スパイダーマンのユニバース移動を聞きつけたワンダが、ヴィジョンらの復活を求めてドクター・ストレンジのもとを訪れるのだとすれば、大きな一つの流れが見えてくる。ワンダとドクター・ストレンジの繋がりについてはこちらで解説している。

極め付けに、『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』の監督を手がけるのはソニーの初代「スパイダーマン」シリーズを手掛けたサム・ライミ監督となっている。ドクター・ストレンジが大きな役割を担う『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が、サム・ライミ版「スパイダーマン」と決定的なクロスオーバーを成し遂げることに期待しよう。

なお、MCUではないが、アニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018) では複数のスパイダーマンがユニバースを超えて入り乱れる姿が描かれた。MCU映画では『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が、マルチバース化の起点となることは間違いなさそうだ。

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は2021年12月17日(金) 全米公開。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』公式サイト

9月15日(水)に公開された劇場版予告はこちらから。

ドラマ『ワンダヴィジョン』で残された12の謎はこちらから。

映画『シャン・チー』のあらすじはこちらから。

映画『エターナルズ』最新予告の解説はこちらから。

マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは『ホワット・イフ…?』シーズン2はフェーズ4の映画が対象になると語っている

VG+編集部

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