ワンダの“カオス・マジック”とは何か 『ドクター・ストレンジ』と『ワンダヴィジョン』を繋ぐ第8話の“魔法”を考察 | VG+ (バゴプラ)

ワンダの“カオス・マジック”とは何か 『ドクター・ストレンジ』と『ワンダヴィジョン』を繋ぐ第8話の“魔法”を考察

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大好評の『ワンダヴィジョン』

2021年1月からDisney+で独占配信されている『ワンダヴィジョン』は、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) 後を描くMCU正史の一つとして重要な役割を担っている。『ワンダヴィジョン』は毎週最新話を更新するという配信形態で人気を集めている。ワンダとヴィジョンが暮らすシットコム (シチュエーション・コメディ) の世界の謎が、全9話の中で徐々に明らかになっていくのだ。

毎度視聴者に衝撃を与えている『ワンダヴィジョン』だが、第8話でも、気になるワードが飛び出した。今回は第8話までのネタバレ有りで、今後のMCUの展開を考察していく。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ワンダヴィジョン』第8話の内容に関するネタバレを含みます。

MCUと魔法

『ワンダヴィジョン』第8話「前回までは」では、まずアガサ・ハークネスの過去が明らかになる。現時点で確認できるアガサの最も古い出自は17世紀のアメリカ、マサチューセッツ州のセイラム。魔女狩りが行われていた場所と時代を背景にしている。アガサがセーラム出身という設定は原作コミックと一致しているが、コミック版ではアガサが魔女裁判を指揮したという設定になっている。一方、アガサが操る数々の魔法の一つとして挙げられるのが“ルーン魔術”だ。これは北欧にルーツを持つ魔法で、アガサの地下室には魔術に使われるルーン文字も登場している。

ちなみにアガサが使っていた北欧にルーツを持つ魔法は、もしかすると北欧の神話をモデルにした「マイティ・ソー」シリーズとの関連があるかもしれない。ソーの父親の名はオーディンだが、北欧神話ではルーン文字は最高神のオーディンが持ち帰ったとされているからだ。

この時点で、MCUの世界の“魔法”には、アメリカと北欧という二つの場所が確認できる。では、MCUの世界にとって魔法とは、一体どのような存在なのだろうか。そもそも、MCUの世界に魔法が存在するということは、映画『ドクター・ストレンジ』(2016) で周知の事実となっている。

『ドクター・ストレンジ』では、ドクター・ストレンジことスティーヴンはネパールのカトマンズにある修行場のカマー・タージで魔術師のエンシェント・ワンから教えを受ける。アガサも1693年のシーンが登場していることから、300歳以上になる長寿であることが示されるが、エンシェント・ワンは700歳を超えたケルト人とされている。『ワンダヴィジョン』でアガサが様々な種類の魔術を披露していた通り、世界各地にルーツを持つ魔法と魔術師が存在するのだろう。

“カオス・マジック”とは

そして、『ワンダヴィジョン』第8話最大のオチはと言えば、アガサがワンダの持つ能力を「カオス・マジック」だと断定する場面だ。ワンダの力はヒドラの人体実験によって得られたものだと思われていたが、実験はマインド・ストーンとの接触によってワンダの持つ本来の力を増幅させただけだという。更にワンダはマインド・ストーンの光の中にコミック版の格好をしたスカーレット・ウィットの姿を見ている。

アガサの言うカオス・マジックとは、原作コミックで悪魔に堕落した太古の神・クトーンがスカーレット・ウィッチに授けた力のこと。多次元=マルチユニバースを移動したり、現実改変を行なったりできる、マーベル内でも最強のパワーの一つだ。

原作コミックでは、クトーンは混沌 (カオス) の神で世界で最初に暗黒の魔術を操った存在だったが、東欧のワンダゴア山を介して異次元空間に封印されている。そして、原作のスカーレット・ウィッチは、このワンダゴア山の近くで生まれ、クトーンがミュータントとしての力を持つスカーレット・ウィッチを未来の自身の器として選んだために、その力は増幅されることになった。

そして、MCUのワンダの出身も東欧に位置するソコヴィアだ。ワンダは、マインド・ストーンの光の中で、かつて存在した大魔術師を見たのか、それともカオス・マジックを使いこなすようになった未来の自分自身を見たのだろうか。

原作コミックではアガサがワンダを訓練し、カオス・マジックをコントロールする力を身につけさせるが、『ワンダヴィジョン』第8話では、アガサがワンダに意識的に魔法を制御する姿を見せ、ワンダ自身の力に気づかせている。

キーになる『ドクター・ストレンジ』

ワンダが多次元を移動できるカオス・マジックの力を持っているということは、第7話でワンダが多次元を繋ぐ“ネクサス・ビーイング”という存在である可能性が示された事実とも一致する。“ネクサス”については、ワンダを演じるエリザベス・オルセンが7年前に「ワンダはネクサス」と話した内容に関して解説したこちらの記事を参照して頂きたい。

上記の記事でも触れているが、2022年に公開を予定している「ドクター・ストレンジ」の最新作のタイトルは『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス (原題)』で、この映画にはワンダが登場することが決まっている。タイトルに「マルチバース」という言葉が入っていることから、ワンダがカオス・マジックを使ってネクサス・ビーイング (マルチバースをつなぐ存在) になる可能性もある。

また、ビリーとトミーの紹介記事で解説した通り、ワンダの息子であるビリーは、原作コミックでは魔法使いとしてドクター・ストレンジに弟子入りするシリーズも存在する。スカーレット・ウィッチとドクター・ストレンジというマーベルの魔法使い・魔術師たちが神話や科学、宇宙を中心に回ってきたMCUに、“魔法”という新たな軸をもたらすことになるかもしれない。

ともあれ、原作コミック通りにはいかないのがMCU世界の面白いところでもある。どこまで原作の設定が採用され、どこを外してくるのか、その点も楽しみながら見守っていこう。

ドラマ『ワンダヴィジョン』は、Disney+で2021年1月15日(金)より配信中。

Disney+

バゴプラでは『ワンダヴィジョン』各話のネタバレ解説・あらすじ&考察をこちらで配信中。

CM解説はこちらから。

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