ネタバレ解説! 『ワンダヴィジョン』第1話 “ヤケティ・ヤック”とラストシーンの意味は? 舞台は1961年? あらすじ・音楽・考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説! 『ワンダヴィジョン』第1話 “ヤケティ・ヤック”とラストシーンの意味は? 舞台は1961年? あらすじ・音楽・考察

© 2020 Marvel

『ワンダヴィジョン』配信開始!

2021年1月15日(金)、遂にドラマ『ワンダヴィジョン』がDisney+で配信を開始した。『ワンダヴィジョン』は『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) 以降を舞台にした初のドラマ作品で、MCU (マーベル・シネマティック・ユニバース) フェーズ4の第一弾。映画『ブラック・ウィドウ』が約一年公開延期となったことで、2020年はMCU作品が公開されなかった一年となった。満を持して登場した『ワンダヴィジョン』には大きな注目が集まっているが、公開まで謎に包まれてきた同作では、どのようなストーリーが展開されたのだろうか。今回は、『ワンダヴィジョン』シーズン1第1話「公開収録でお届けします」のあらすじを、ネタバレありで解説していく。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ワンダヴィジョン』第1話の内容に関するネタバレを含みます。

『ワンダヴィジョン』第1話のあらすじ&ネタバレ解説

謎だらけの第1話

『ワンダヴィジョン』は、おなじみのMCUのオープニング映像で幕を開ける……かと思いきや、最後はタイトル画面が白黒になり、音質も変化する。そして、アナログのテレビ画面を点けた時のような演出が入り、画面のアスペクト比は両サイドに黒帯が入った4:3に切り替わる。かつてのテレビ画面と視覚で視聴者は『ワンダヴィジョン』を楽しむことになる。

そして、オープニングでオリジナルソング「A Newlywed Couple」が流れる。このオープニング曲で「新婚さんがやってきた」「郊外の静かな街へ」と、二人の状況が説明される。実はこのオープニング以外に二人の状況を説明するヒントはなく、視聴者は『エンドゲーム』後に何があったのか、ワンダとヴィジョンの状況を推し量りながら、この第1話を観ていくことになる。

8月23日が水曜日だった年は?

ドラマ『ワンダヴィジョン』は、始まってみれば『奥様は魔女』(1964-1972) を思わせる昔ながらのシットコム (シチュエーション・コメディ) 全開の作り。絶妙な掛け合いに、観客の笑い声……なんだか分からないが面白い。しかし、この「なんだか分からなさ」が度々頭をもたげ、幸せそうな二人の暮らしに不安な影を落とす。

最初の異変は、8月23日水曜日にハートマークが入っていること。二人ともこの日がなんの日か思い出せないようだ。シットコムであれば、二人共が記念日を忘れている“あるある”のシチュエーションとして楽しむことができるが、『インフィニティ・ウォー』でヴィジョンの身に起きたことを考えれば、二人の記憶の脆さの裏に何かがあるのではと勘繰らざるを得ない。

なお、作中の雰囲気に一致する時代で8月23日が水曜日になっているのは1950年、1961年、1967年などが該当する。ここ最近では、2017年か2023年だ。このカレンダーはあまり意味のないものなのか、それともこれに当てはまる特定の時期が舞台になっているのだろうか。

ヴィジョンは顔を人間の姿に変えて、仕事に出かけていく。ワンダが残った家には、お隣さんのアグネスが挨拶に訪れる。結婚しているが指輪がないことを指摘されたり、記念日の話をするが、なんの記念日かが分からなかったり、「ずっと一緒にいた気がする」と、どれくらい一緒にいたのかも、ワンダの中でははっきりしない。陽気な雰囲気とは裏腹に、見ている視聴者も少し怖くなってくる。

ラジオから流れてくる音楽は……

一方のヴィジョンは、会社で計算用紙を使った仕事に取り組んでいるが、これも何のためにやっているのか分からない。同僚に「ここはなんの会社だ?」と聞くが、やはり何をやっているのかは理解できない。そして、このシーンで同僚のラジオから流れてくる音楽が、ザ・コースターズの「ヤケティ・ヤック (Yakety Yak)」だ。

1958年に発表された楽曲で、当時のR&Bチャートで7週連続1位を記録した大ヒット曲。ということは、この時代は1958年以降で、前述のカレンダーの日程から考えると1961年が舞台というのが、現実的な見立てだろう (カレンダーに意味があれば、だが)。

“ヤケティ・ヤック = Yakety Yak” とは、「おしゃべり」「ぺちゃくちゃ」という意味の言葉。この曲は、母親が子どもに掃除やゴミ出しなど、“やらなければならないこと”を告げ、ぺちゃくちゃと口答えをする子どもに対して母親が「口答えしない」と叱りつけるという内容の曲だ。この曲が『ワンダビジョン』第1話では印象的な役割を果たすことになる。

意味深なスターク・インダストリーズのCM

ヴィジョンのもとへ現れたのは、上司のハート。どうやらハートが家にディナーを食べに来る日としてカレンダーにハートマークが記されていたようだ。ヴィジョンはワンダに電話をかけるが、アグネスと夫婦間の記念日の祝い方について話して盛り上がっていたワンダは、勘違いをしたまま夜を迎える。

と、ここでスターク・インダストリーズの新製品トースト・メイトのCMが挿入される。テロップの英語では「過去は忘れて、これがあなたの未来」と表示されている。『インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』であんな過去を経験した今、「過去は忘れて」という無神経な言葉には明らかに他意がある。ワンダとヴィジョンが置かれている不思議な状況と関係があるのだろうか。

CMについてのさらに具体的な考察はこちらの記事から。

再び登場する「ヤケティ・ヤック」

夜になりハート夫妻がワンダとヴィジョンの家を訪れると、夫婦の記念を祝うと思い込んでいたワンダと、上司の手前、それを慌てて取り繕うヴィジョンのコミカルなやり取りが繰り広げられる。ハートは「共産主義は嫌いだ」と発言するが、冷戦下の当時を示すセリフとして機能している。結婚指輪に対する指摘も、ワンダが電話を取る時に夫のヴィジョンの名前で電話を取る様子も、ワンダが専業主婦であることも、70年ほど昔の当時を再現しているのだ。

ワンダが準備していたのはチョコレートでコーティングしたイチゴだけ。ディナーの準備が捗らず、スーパーパワーを使い出すワンダ。心配したハート夫人はキッチンを覗きに行くが、ここでとっさにヴィジョンが歌い上げるのが会社で流れていた「ヤケティ・ヤック」だ。本来掛け合いになっている「ヤケティ・ヤック (ぺちゃくちゃ)」「口答えするな」の歌詞を一人で声を変えて歌い、ハート夫人の注目を集めることに成功する。ロックンロール全盛の当時大ヒットしていた曲を歌うことで、ハート夫人を踊らせたのだが、若い世代とアメリカ以外の視聴者にはあまりピンこない展開かもしれない。

違和感を流していくジョークとドタバタ

その後も、ヴィジョンは「イーアイ・イーアイオー」を歌いつつ時間を稼ぐ。ワンダはなんとか料理を準備し、ようやく夕食が始まる。だが、ワンダとヴィジョンの二人は、どこから来たのか、結婚して何年たつのか、といった質問に何も答えられない。何も思い出せないのだ。ハートは「君たちの物語はなんだ」「なぜこの街にきた?」と矢継ぎ早に質問し、ついにはワンダに向かってテーブルをたたく。と、次の瞬間、ハートは苦しみ始める。ハート夫人は、夫のジョークだと捉えて「やめて (Stop it.)」と繰り返すが、次第にその声をワンダに向け始める。この事態はワンダが招いたものなのだろうか。

笑顔を崩さないハート夫人の姿が一層の恐怖を煽り、ドラマは一瞬にして不穏な空気に。ワンダは遂にヴィジョンにハートを助けるよう指示を出す。ヴィジョンは能力を使って喉に詰まっていたイチゴを取り出して、ハートは一命を取り留める。喉に詰まっていたのは、ワンダが唯一準備していた“チョコレートがけのイチゴ”だった。一命を取り留めたハートだったが、夫妻は何事もなかったかのように再びシットコムのキャラクターを演じ、ハートは自分を助けたヴィジョンに昇進を約束するのだった。

ワンダとヴィジョンの二人も、最後まで矢継ぎ早に繰り出されるジョークで先程までの不安がどこかに行ってしまっている。違和感や大事なこと、忘れているかもしれないことが、日常のドタバタとジョークで流されていく。ストーリーが無理やり進められていくのだ。

二人は、記念日も、思い出の曲も、結婚指輪もないことについて話し合い、今日という記念日にして、「ヤケティ・ヤック」を思い出の曲に、スーパーパワーで指輪を出現させて、この問題を解決する。そして「めでたし、めでたし」と口付けを交わして、物語を閉じるのだった。

ラストシーンに登場したアレの正体は……

すると、画面がズームアウトしていき、画面のアスペクト比が4:3から16:9へと変化する。誰かがワンダとヴィジョンのショーをモニターしていたようだ。そしてこのシーンでは、手帳とモニターにあるロゴマークの姿が確認できる。

このロゴは、S.H.I.E.L.D.のものでもなければヒドラのものでもない。これは、マーベルコミックスに登場するS.W.O.R.D.という組織のもので、S.W.O.R.D.は、いわばS.H.I.E.L.D.の宇宙版のようなもの。“盾”を意味するS.H.I.E.L.D.に対して、“剣”を意味するS.W.O.R.D.という名前を冠したこの組織は、宇宙からの脅威に対応するべく組織された諜報機関だ。

なぜ、S.W.O.R.D.がワンダとヴィジョンをモニターしているのか……二人は地球に対する危機であると考えられているのだろうか。それは、ハートがワンダに威圧的な態度を見せた瞬間に喉をつまらせ、夫人がワンダに「やめて」とすがったことと関係しているのだろうか。そもそもワンダとヴィジョンは今も生きているのだろうか……。様々な疑問を残し、ドラマ『ワンダヴィジョン』の第1話は幕を閉じる。愉快で少し怖い、謎だらけの同作は、全6話でどのような物語を展開してくれるのか、心してチェックしていこう。

『ワンダヴィジョン』は2021年1月15日(金) より、Disney+で独占配信。

Disney+

『ワンダヴィジョン』第2話のネタバレ解説・あらすじ&考察はこちらの記事から。

『ワンダヴィジョン』第3話のネタバレ解説はこちらの記事から。

実はワーナー・ブラザースのスタジオを使っていた『ワンダヴィジョン』撮影の裏側については、こちらの記事から。

ワンダとヴィジョンがマーベルを代表するカップルになった理由については、こちらの記事から。

 

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。 お問い合わせはコチラから
お問い合わせ

関連記事

  1. ドラマ『ザ・ループ TALES OF THE LOOP』オープニングは原作者シモン・ストーレンハーグが作っていた——アニメーション付きの原画ポスターも公開中

  2. 『マンダロリアン』シーズン3が撮影開始 『オビ=ワン・ケノービ』『ザ・ブック・オブ・ボバ・フェット』と同時進行と米報道

  3. 第70回エミー賞発表! 『ウエストワールド』が助演女優賞、『ブラック・ミラー』に脚本賞 (主要部門受賞リスト掲載)

  4. ドラマ『スノーピアサー』シーズン2はロックダウン前に撮影完了。新キャストの情報も明らかに【Netflix】