ネタバレ解説!『ワンダヴィジョン』第3話 ワンダの歌、MCUとの繋がりは? あらすじ・音楽・考察 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説!『ワンダヴィジョン』第3話 ワンダの歌、MCUとの繋がりは? あらすじ・音楽・考察

© 2020 Marvel

『ワンダヴィジョン』第3話はどうなった?

2021年1月15日(金)よりDisney+で配信を開始したドラマ『ワンダヴィジョン』。翌週22日(金)より第3話「カラー放送」の配信が開始され、急展開でまたも話題を呼んでいる。MCUフェーズ4の先陣を切る『ワンダヴィジョン』はいよいよMCUの本筋にグッと近づく展開に。今回は第3話のあらすじと解説、そして新たに登場した謎についての考察をお届けしよう。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ワンダヴィジョン』第3話までの内容に関するネタバレを含みます。

『ワンダヴィジョン』第3話のあらすじ&ネタバレ解説

急展開の第3話

『ワンダヴィジョン』第3話「カラー放送」は、第1話・第2話とは打って変わってカラー仕様に。どうやら1970年代を舞台としているようだ。オープニング曲から今回のストーリーの方向性が掴める。曲の歌詞は「Together, one plus one is more than two. (=一緒なら1+1は2以上になる)」と歌われており (字幕では「2人で力を合わせ命を生み出そう」、吹き替えでは「ふたりともうプラスワン」になっている) 、子どもの存在を示唆している。オープニング映像中には「Pregnancy (妊娠)」というタイトルの本を読むヴィジョンの姿も確認できる。

本編が始まるとワンダはニールスン先生という医者の診断を受けている。ワンダは急激に妊娠4ヶ月の状態になったようだ。そんな状態で無事に産まれてくるのか……ヴィジョンには心配なようだ。バミューダ諸島に行くというニールスン先生を見送ったヴィジョンだが、庭の壁を切っている隣人・ハーブの姿を目撃する。何かがおかしい。

ヴィジョンが家に戻るとワンダのお腹がまた大きくなっている。ヴィジョンは妊娠・出産について勉強するが、ワンダのお腹はあっという間に妊娠6ヶ月の状態に。ワンダとヴィジョンは子どもの名前をビリーにするか、トミーにするかで意見が食い違う。ヴィジョンは「この世は舞台 人は皆 役者だ」というウィリアム・シェイクスピアの言葉を引用しているが、この世界が作り物ということを示唆している。なお、ビリーという名前を主張しているのは、シェイクスピアのファーストネームである「ウィリアム」の短縮型が「ビリー」だからだ。

ヴィジョンの計算によると、ワンダとヴィジョンの子どもは3日後には生まれるという。そして、ワンダに偽陣痛が始まると、痛みでパワーを暴走させてしまい、近所中で停電を起こしてしまう。

ここでワンダとヴィジョンは二人が置かれた状況を不審に思い始める。ハート夫妻とのディナー、先ほど壁を切っていたハーブの奇行……ヴィジョンは「何かがおかしい」と気付く。物語が核心に近付いたかに思われたその時、なんと画面が約20秒前に戻ってしまう。ヴィジョンは「僕たちは未知の世界に足を踏み入れた」と妊娠の話を始め、シットコムのストーリーが進められてしまう。二人が核心に近づこうとした時、まるで誰かがこの世界を操り別の展開に進ませているかのようだ。

第3話のCMは「ヒドラ・ソーク」

突然、ワンダが3日後の午後と思われていた出産時期を迎え、破水と同時に家の中で雨が降ったところで、『ワンダヴィジョン』でお馴染みのCMコーナーに。第1話から第3話のCMに関する考察はこちらの記事からご覧いただきたい。

第1話、第2話の男性目線のCMとは違い、第3話のCMは女性主体のものになっている。そう、1970年代のアメリカといえばウーマンリブの時代。政治や文化など、様々な分野にフェミニズムが進出していった時代である (とはいえ、家事労働が女性に押し付けられていること自体は批判せずに、ただ疲れを癒そうとするのだから、まだまだ70年代のCMという感じだ)。

今回の商品は入浴剤のヒドラ・ソーク「すべてを水に流し、自分だけの世界に浸れます」とは、愛する人を失ってきたワンダへの言葉だろうか。字幕には反映されていないが、「Escape the world (世界から逃げ出して)」というフレーズも入っている。字幕では「家にいながら 安らぎのひと時を」となっている箇所は、英語では「When you wanna get away, but you don’t wanna go anywhere. (逃げ出したいけれど、どこにも行きたくない時に)」となっている。非現実の世界に閉じこもったワンダのことを想起させるフレーズだ。やはり今回も潜在的に、このシットコムの世界を肯定するメッセージを訴えかけてくる内容になっている。

そして、商品にはお洒落なタコのマーク……と思いきや、これはドクロに足が生えたヒドラのマークだ。「“ヒドラ・ソーク” 女神の入浴剤」というキャッチフレーズでCMは締められる。MCUシリーズの“女神”といえば、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017) に登場したソーの姉である “死の女神”ことヘラだ。そしてこのヒドラ・ソークの形、MCUファンにはお馴染みの4次元キューブを想起させる。第1話ではスターク・インダストリーズ、第2話ではヒドラおよびストラッカー、第3話ではソーを題材にしたというところだろうか。

一方、今回のCMは、『ワンダヴィジョン』の世界が『エージェント・オブ・シールド』(2013-2020) に登場した仮想空間 “フレームワーク” によって誕生したものだということを示唆している可能性もある。詳細はCM解説記事をチェックしていただきたい。

遂に訪れた出産の時

CM明け、ワンダとヴィジョンの家の中は水浸しに。出産が間近に迫り、ヴィジョンは急いで医者を呼びに行く。子ども部屋の方から物音がするが、そこにジェラルディンが訪ねてくる。ワンダはドタバタ劇で妊娠していることを隠し通せたかと思いきや、子ども部屋から実体化したコウノトリが登場。前半ではワンダが子どものおもちゃだった蝶々を実体化させていたが、壁に描かれていたコウノトリも陣痛のショックで実体化させてしまったようだ。

このコウノトリに振り回されたワンダはジェラルディンに妊娠の事実を知られてしまい、遂には出産の時を迎える。ワンダはジェラルディンの助産によりなんとか男の子を出産する。そこにヴィジョンと医者が到着すると、医者とジェラルディンがその場を離れたことを確認し、ヴィジョンは元の姿に戻り、赤ん坊を「トミー」と呼ぶ。「ビリー」を推していたヴィジョンだったが、ワンダの案を受け入れたのだ。だがここで、ワンダがもう一人の男の子、ビリーを出産。妊娠していたのは双子だったのだ。

ヴィジョンに見送られるニールスン先生は、車が故障していたこともあり、「こんな小さな街から逃げ出すのは無理なんだ」とバミューダ諸島への旅行を諦めてしまう。映画『トゥルーマンショー』(1998) を思わせる展開だ。この街の住人はこの街を離れることができないのだろう。

ワンダが取り戻したあの人の記憶

双子を出産したワンダは、ジェラルディンに自分も双子だということを打ち明ける。そう、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015) に登場したクイック・シルバーことピエトロ・マキシモフのことだ。ここに来て映画版MCUとの繋がりが急激に加速する。

ピエトロの存在を思い出したワンダは子どもたちに向かって、故郷・ソコヴィアの歌を歌い始める。エンドクレジットでは「Sokovian Lullaby (ソコヴィアの子守唄)」という曲名が明らかになっている。ワンダとピエトロはアベンジャーズに復讐するため、共にヒドラの人体実験を受け、ストラッカーの手によりスーパーパワーを身につけた過去を持つ。

すると、ジェラルディンはピエトロについて「ウルトロンに殺された。そうでしょ?」とワンダに聞くのだった。ワンダはジェラルディンに「何て言った?」と聞き返すが、ジェラルディンは元の明るいキャラクターに戻り、「あなたは強いね」とひとつ前のセリフを繰り返す。ワンダの過去を知っているように思われるジェラルディンも、自分自身をコントロールできるわけではないのだろうか。

だが、ワンダはここで引き下がらない。「違う、ピエトロのことよ」と核心に迫ろうとする。話を逸らそうとするジェラルディンにワンダは立ち去るよう告げると、ジェラルディンのネックレスに目を留める。そのネックレスについている紋章は第1話と第2話に登場したS.W.O.R.D.のものだった。ネックスレスと自分の正体について聞かれ、答えに窮するジェラルディン。ワンダは追及をやめない。

その頃、アグネスとハーブがジェラルディンとワンダについて噂話をしていることに気づいたヴィジョンは、二人から話を聞き出していた。アグネスとハーブは家族も家も持たない新顔のジェラルディンを怪しんでいたのだ。ハーブは「彼女がこの街に来た理由は俺たちが皆……」と繰り返し、その先を言おうとしない。アグネスはジョークでこの場を切り抜けるが、観客の笑い声は入らない。妙な展開をジョークと観客の笑い声で切り抜けていたこれまでとは違う。だが、ハーブも結局その先を言わずに、その場を去ってしまう。

ジェラルディンの行末は

家に戻ったヴィジョンはワンダにジェラルディンの行方を聞くが、ワンダは「急用で帰った」と言うだけ。ここで画面両脇の黒帯が取り除かれ、現代と同じ16:9のサイズになる。そして映し出された場所は「ウエストビュー」と書かれた看板が立つ土地。この「ウエストビュー」の看板は第2話のオープニングアニメーションに登場している。「ウエストビュー すべては家庭から」と書かれた看板をワンダが魔法で「ワンダヴィジョン」の看板に変えてしまうのだ。ウエストビューという街はワンダとヴィジョンの世界に変えられてしまったということなのだろうか。

そして、上空からジェラルディンが弾き出される。ジェラルディンはダメージを受けており、ワンダがスーパーパワーを使う際に出す赤い光をまとっている。ワンダにやられたのだろう。どうやらこの場所は、どこかの組織が作った仮設のキャンプになっているようだ。集まってきた人々は銃で武装しており、S.W.O.R.D.の人間である可能性が高い。

そして、照明のような器材の向こう側にはバリアのようなものが張られている。ジェラルディンもこの“壁”から弾き出されたようだ。ロキのワームホールやドクターストレンジのゲートウェイとも違う雰囲気を持っている。ワンダがヴィジョンと住んでいるのは仮想空間ではなく、バリアを張られた実際の街なのだろうか。であれば、第2話のCMの「彼 (スタッカー) があなたのために時を作ってくれる」というフレーズ通り、現実の時間の流れを無視した空間を作り出しているのはスタッカーとヒドラなのだろうか。

「デイドリーム」の意味は

なお、この場面で流れ出す曲は、モンキーズの「デイドリーム」(1967) (厳密には1986年にモンキーズが再結成してレコーディングした「Daydream Believer (remix)」が使用されている)。忌野清志郎率いるザ・タイマーズによるカバーでも知られる曲だ。この曲は、かつて学校の人気者 (Homecoming queen) だった結婚相手に、今ではだらしなくなった主人公が、お金がなくても幸せに暮らせると語りかける内容の曲だ。「デイドリームビリーバー=夢見がちな僕」とは、ワンダのことなのか、それともヴィジョンのことなのだろうか……。

カラーになると同時に双子の出産、ピエトロの記憶、外部からの侵入者と、怒涛の急展開を見せた『ワンダヴィジョン』第3話。徐々に世界設定が見えたきた中で、全9話の内の三分の一が終了した。いよいよ中盤戦に入っていくが、どのような展開が待っているのだろうか。

『ワンダヴィジョン』は2021年1月15日(金) より、Disney+で独占配信。

Disney+

『ワンダヴィジョン』第4話のネタバレ解説・あらすじ&考察はこちらの記事から。

『ワンダヴィジョン』第1話のネタバレ解説・あらすじ&考察はこちらの記事から。

『ワンダヴィジョン』第2話のネタバレ解説・あらすじ&考察はこちらの記事から。

実はワーナー・ブラザースのスタジオを使っていた『ワンダヴィジョン』撮影の裏側については、こちらの記事から。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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